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(回答先: 現在の日本の教育システムは、役に立たない新卒者を大量生産している。引きこもりになる原因として職場になじめなかったが大半。 投稿者 TORA 日時 2011 年 2 月 04 日 15:55:43)
1,2年自衛隊で鍛え直すなんて、莫大な人件費や軍事関連費がかかるし
天下りに利用されて、税金の無駄だからやめよう
それより、彼らができることから少しづつやらせていった方が社会のためにもなる
diamond
第54回】 2011年2月3日 池上正樹 [ジャーナリスト]
「くたばれ、自己責任!」引きこもりから勤続年数13年の会社員へ 自己嫌悪に陥った当事者はどう心の闇を脱したのか
生きづらさを抱えた自分がものすごくイヤで、なかなか外に出られなかった。そんなつらかった心の病などの経験をカミングアウトし、「自慢話」やアートに置き換える活動を続けることで、収入を得る経済生活への第1歩を踏み出せた人たちもいる。
“いま”という空気を感じた『こわれ者の祭典』の熱気
少し古い話になるが、1月9日の日曜日、新宿ロフトプラスワン(新宿区)で開かれた『こわれ者の祭典〜「病気」から回復した僕たちのメッセージ〜』というライブに誘われた。
出演するのは、「引きこもり」や「アダルトチルドレン」「強迫行為」「脳性マヒ」などの当事者たち。それぞれが「生きづらさから、どのようにして 回復していったのか」を朗読やコント、パフォーマンスなどで披露する。また、精神科医の香山リカさん、作家の雨宮処凛さんらも交えて、トークを行うイベン トだ。
休日にそんな集まらないだろうと、タカをくくって、ぶらりと開演直前くらいに出かけてみれば、すでに会場の入り口は満員の観客で入りきらない。中に入って見渡してみると、客席は立ち見までギッシリ埋まって、熱気に溢れている。
意外に、若い世代の人たちが多いことにも驚かされた。いや、むしろ中高年以上の世代の姿が少ない…というべきなのか。すでにイベントは9年くらい 続いていて、リピーターもいるそうだ。これが、“いま”という時代の空気なのだろう。そう思うと、かすかな希望が見えるような気もしてくる。
引きこもりへの自己嫌悪を拭った「くたばれ、自己責任!」という言葉
中でも、こうして詰めかけた若い世代の魂を揺さぶるようなストレートな訴えを披露し、会場を笑わせていたのは、「引きこもり」経験者で、イベントの主催者でもある月乃光司さん(45歳)の叫ぶ朗読だ。
月乃さんは、「引きこもり」時代に着ていたというパジャマ姿で舞台に登場。そして、こう叫ぶ。
「くたばれ、自己責任!」
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先頭に立って何か行動を起こそうとして、1人だけ突出したように目立ってしまうと、匿名性の保たれた「安全」なところにいる人たちから叩かれ、足を引っ張られる。結果的に、親や社会、国に対して迷惑をかけてしまった人たちも、また同じだ。
「僕らは、社会で、いわれ続ける。自分の尻を、自分で拭ける人間になれよ!」
誰もが、自分で自分の責任をとれる人間を目指している。でも、社会で自立したくても、外に出られない。そうしたくてもできない自分に悩み続け、罪 悪感を抱えている「引きこもり」当事者の中にも、実体のない中傷や批判に傷つき、怯え、萎縮しながら生きている人たちは少なくない。
月乃さんは舞台で、こう続ける。
「自分で自分の尻を拭けない僕は、ビミョ〜に迷惑な垂れ流し男となった。そんな現実に、僕は自己嫌悪を抱き続けていた…」
でも、45歳になって悟った。そして、「くたばれ、自己責任!」と、繰り返す。
「なぜ、自分で自分の尻を拭かなければいけないのか! 時代はもう、ウォシュレットの時代です。私の罪も、迷惑も、負い目も、水に流してください! 誰か私の罪を、拭いてください!」
そう叫び続ける月乃さんも、実は現在、会社員だ。ただ、自宅や勤務先が新潟市にあり、有給休暇を使って行う、こうしたライブ活動のコストはほぼ「持ち出しに近い」という。
引きこもり、アルコール依存症から見事脱出!仕事を13年続けられた「先輩の言葉」
月乃さんは高校時代、醜形恐怖症と対人恐怖症がきっかけで、不登校になった。以来、「引きこもり」の生活を続け、アルコール依存症にも陥った。
「引きこもり」を脱することができた理由は、病院に入院して、当事者グループにつながったこと。そして、いまはビルメンテナンス業の会社に、約13年間勤務を続けられるまでになった。
次のページ>>「ただ、ひたすら弁当を食べていればいい」
どうして仕事を長続きさせられたのか。月乃さんは、当事者グループのスタッフから「君は長い間働いていないから、すぐに働きに出ても挫折しちゃうよ」とアドバイスされたという。
そこで、まずメガネを製作する会社や清掃会社で、1日1〜2時間のバイトからスタート。何度も辞めたいと思ったときの支えは、相談相手である同じ経験をしてきた当事者の先輩からの「もう少しだけ、頑張ってみたら」という言葉だった。
居場所での仲間の支えが大事だというのは、まさにこのことなのだろう。
こうして月乃さんは、1年かけて少しずつ仕事の時間を増やし、フルタイムでも働けるようになった。
ちょっと元気になると、すぐに働きたがったり、家族も本人を働かせたがったりする。でも、そうではない。
まず当事者の仲間がいる居場所に通えることや、バスなどの公共機関に乗れること、カフェなどでお茶を飲んで話すことができるようになってから、その次に1時間くらいの仕事に就くことができる。1年くらいの時間をかけないと、また戻ってしまうと、月乃さんはいう。
大切なのは、無理をしないで、できる範囲でトレーニングしていくことだ。
別のグループでは、仲間から「ただ、ひたすら弁当を食べていればいい」といわれた。
皆の前で、お弁当を食べながら、面白いことや洒落たことをいわなければいけないと思うと、それが理由でもがき苦しみ、疲れてしまう。それが最後まで弁当を食べられるようになれば、第1段階は終了というわけだ。
「当事者の先輩の言葉がすべてだった」
と、月乃さんは振り返る。
次のページ>>つらかった過去を気にするより“いま”をどうするかのほうが大切
9年前、この「こわれ者の祭典」を始めたのも、様々な自助グループの体験発表をエンターテインメントによって笑えるようにすれば、イベントに来 て、何かのきっかけにつながる人たちもいるのではないかと思ったからだ。「先輩からもらったものをエンターテインメント化して面白くした」という。
昔、つらかったことでも、人前で繰り返し話すことによって、「生きづらくても大丈夫!」と、思えるようになるかもしれない。
かつて、どうだったのかという過去をどうこう気にするよりも、いまはどうなのか。どうすれば、これからもっと良くなるのかを皆で考え合うほうが大切だ。
ただ、月乃さんがこうした公演を主催してこられたのも、本業である会社員としての収入があったからでもある。
今回の祭典には、当連載でも紹介した「引きこもり」や摂食障害などの経験者である、『K−BOX』代表のKaccoさん、強迫行為に悩まされてき たアイコさん、お互いに脳性マヒと診断されながら、映画や舞台などで活躍を続ける、お笑いコンビ「脳性マヒブラザーズ」など出演者たちが、それぞれの歌や パフォーマンスを披露した。
月乃さんは、最後にこう叫ぶ。
「お互いにビミョ〜に迷惑をかけ合って、ビミョ〜にお互いの尻を拭き合って、生きていこう。責任は、お互いにとり合おう。これが、福祉ってやつじゃ、ないですかね〜! 皆さま〜!」
次回の『こわれ者の祭典』は5月頃、東京と新潟で公演される予定。
発売中の拙著『ドキュメント ひきこもり〜「長期化」と「高年齢化」の実態〜』(宝島社新書)では、このように、いまの日本という国が、膨大な数の「引きこもり」を輩出し続ける根源的な問いを追い求め、当事者や家族らの語る“壮絶な現場”をリポートしています。ぜひご一読ください。
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