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文藝評論家・山崎行太郎の『毒蛇山荘日記』
2010-08-04 01:45
西部邁も「官房機密費」を貰っていたのか?
これは僕の感想に過ぎない。証拠や資料に基づいて言っているわけではない。ただ、なんとなく、そう思うのである。つまり、西部邁も、いわゆる「官房機密費」を貰っていたのではないか、と。僕は、西部邁の近著『小沢一郎は背広を着たゴロツキである』を読んでいるうちに、自然にそう思うようになっていった。そして今は、それが確信にかわりつつある。何故か。前回、西部邁が、自分の意思で鈴木宗男事務所を訪ね、その時の対話の結果として何がしかの現金を受け取ったという話を、西部邁自身が告白していることを書いたが、僕は、これは鈴木宗男代議士との間だけの話ではなく、西部邁の政治家達との頻繁すぎる交流から推測すれば、これに類する話は他にもあるはずだと考えるのが、むしろ当然だろうと考える。とすれば、西部邁の場合、自民党の有力政治家たちとの頻繁な交流の延長上で、貰ったか貰わなかったかはともかくとして、「官房機密費」問題は避けて通れないはずである。むろん、僕は、以前にも書いたように、「官房機密費」そのものが悪いとか、「官房機密費」を貰ったことが犯罪だと言いたいわけではない。思想や言論を、「官房機密費」を受け取ることによって「売り渡すこと」が問題だと言いたいだけである。僕は、先日、以前から交流のある若い大学生や大学院生、及び卒業生の若い大学教員たちを中心とする政治思想団体「日本保守主義研究会」(岩田温代表)の事務所移転祝いに呼ばれたので、参加してきたが、その時、事務局長のU君が、「本会は何処からも金銭の援助を受けていません」「自腹を切ってやっています」「事務所移転のために会員の某君と某君が増資に協力してくれました」というような挨拶をしたので、ちょっと驚くと同時に、三島由紀夫が「楯の会」を運営していく上で、同じように誰からの資金援助も受けず、自腹を切ったという話を思い出したのだが、やはり政治や思想を語り、政治運動や思想運動を展開していく時、「カネ」の問題は重要であり、場合によってはそれで失敗することもあれば、それで成功することもあるものなのである。さて、西部邁であるが、西部邁がリーダーを務めた「六〇年安保」の時の学生運動組織(ブント?)は、かなり金銭的にいい加減であった、と言われている。財界や右翼団体、あるいはアメリカのCIAからも資金援助を受けていたのではないかと言われている。西部邁を筆頭に多くの指導者達が、たとえば唐牛健太郎、森田実、青木昌彦、生田浩二…等が、「六〇年安保」闘争の終焉後、揃って転向し、中にはアメリカに留学し、帰国後は右翼・保守派に転じていった者が少なくなかったことが知られているが、それを考えるならば、このCIAの資金援助の話も、あながち噂ばかりとは言えない。副島隆彦は、ある対談で、こう言っている。
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小林(よしのり)さんは、西部さんを今は高く評価しているんでしょうが、あの人は中曽根康弘元首相の子分だし、中曽根さんは凶暴なキッシンジャーの子分、東大生時代に、純粋な学生たちが日本共産党から分裂してブント(共産主義者同盟)を結成して暴れたといっても、その時、資源派財界人の他にCIAからも金が出ていたのは周知の事実です。でなければブントの幹部たちが銀座で豪遊できるわけがない。以前、最高幹部だった人にその点を追求したら「それはいまは言えない。迷惑がかかる人々がいる」と口を濁して否定しなかった。(「諸君」2003/1、対談「我らが反米という作法について」P144)
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副島隆彦が、この話に続けて、「西部さんとだって直接対決していい。ぐうの音も出ないぐらいに論争しますよ」と挑発しているにもかかわらず、この発言をめぐって、論争好きらしい西部邁との間に論争や、あるいは名誉毀損の裁判が起きなかったことが証明しているように、おそらく当たらずとも遠からずというか、要するに「事実」に近いのではないかと思われる。
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