http://www.asyura2.com/10/senkyo90/msg/190.html
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From : ビル・トッテン
Subject : 【講演録】私が考えるカジノ経済の弊害(1)
Number : OW858
Date : 2009年02月26日
今年も、新年にあたってアシストのお客様に向けて、私が日頃から考えていることをお話しさせていただいた。本稿は、そこでの私のつたない日本語を補うために、また、当日お越しいただけなかった方々のために、講演をまとめたものである。ご一読いただければ幸いである。
(ビル・トッテン)
私が考えるカジノ経済の弊害(1)
はじめに
2009年が始まり、明るく楽観的な話をしたかったが、今の経済状況をみるとそれは難しいようだ。日本経済は今、どの分野をみても落ち込んでいる。
販売額や生産高は減り、投資は減少、社員を削減し、それでも利益は減っている。雇用や所得が減れば将来を考えて消費者はさらに購買を控えるようになる。IMFの最新の予測によれば、世界は今、第二次世界大戦以降、最悪の景気後退に直面しているという。
しかし、ビジネスと経済は、人生における重要なもののうちわずか2つの要素にすぎず、私はそれよりも、健康や幸福の方が大切だと思う。従ってビジネスや経済だけにとらわれるのではなく、本当に大切なことは何かを考えれば、たとえどのような状況にあっても、新しい年を迎えられたことに感謝しつつ、幸せで健康な一年を過ごせるように祈ろうという気持ちになるだろう。
さらに私は次のことを信じているから、他の人よりも楽観的である。
(1)この問題をもたらしたのは私たち自身であり、外から押し付けられたものではない。 (2)この問題が私たちに及ぼす被害を最小にすることができる。 (3)この問題が再発する機会を、最小にすることができる。
日本の経済問題の近因
世界そして日本経済を悪化させたのは、アメリカのサブプライム問題だといわれている。しかし、なぜアメリカで起きた問題が日本に影響を及ぼすのだろうか。それについて私が思いつくのは次の2つの理由である。
日本の金融機関がアメリカ市場で博打をしているから。つまり、サブプライムローンやその他アメリカで行われている博打行為に、日本の金融機関が多額のお金を貸し出しているから。
日本の大企業の多くが輸出中毒になっており、そしてその主要な輸出先がアメリカだから。
アメリカ経済がサブプライム問題で悪化したために日本が影響を受ける理由は、これら以外の原因は考えられない。そしてこれが日本経済が落ち込んでいる原因なら、それは日本の問題である。なぜなら日本の金融機関や輸出企業の行動をコントロールするのは、他でもない、日本の責任だからである。そして、我々はこの問題の再発を防ぐ力も持っているはずだ。
日本の経済問題のより深い原因
日本が直面している問題の根本的な原因は、日本が「カジノ経済」になったことにある。
1.外国為替
2007年、世界では1日に452兆円(約4.5兆ドル)の外国通貨が売買された。1日あたりの外国通貨取引高は、過去20年間で6倍以上に増えている※1。また、外国通貨の取引額は世界貿易額の86倍もあり、1年間で世界のGDP合計の27倍にもなる※2。
これはつまり、1年間の外国通貨の取引額が、1年間の製品やサービスに関する世界の貿易額の86倍にものぼり、また1年間に全世界で生産、消費された製品やサービスの総計の27倍にもなるということである。
これはまったくの博打である。より正確に言えば、世界貿易(および海外旅行も含む)に必要な金額は、外国為替取引全体のわずか1%に過ぎないということであり、残りの99%はまったくの博打なのである。それは、例えば円をドルに交換し、そのドルの価値が上がったらそれを売って円に替えて為替差益を手にするという、その儲けのためだけに行われていることだ。
このような博打が行われるようになったのは最近のことである。1971年、ニクソン大統領の「米ドルと金の交換停止」の発表により、事実上、金本位制度が廃止されるまで、主要な国家の通貨は金に対して固定相場であったため、通貨は相互に固定した金額で対比され、通貨価値の変動を狙って売り買いされることはなかった。
円だけをみると、1日に外国為替取引の約8%に当たる金額が売買されている※3。つまり、1日に452兆円の8%、36兆円が売買される。日本の1年間の貿易額は約157兆円(2007年)なので、約4日分の日本円の為替取引が1年分の日本の貿易額と同じになる※2。
言い換えると、1年間の外国為替取引高は日本の1年間の貿易額の84倍にものぼる。したがって、円の通貨売買にかかる金額の1%以下で製品やサービス(海外旅行含む)をカバーでき、99%以上は、円が他の通貨に対して上がったり下がったりすることに賭ける、純粋な博打なのである。
2.金融デリバティブ
2001年に、アメリカの商業銀行が保有するデリバティブは約4,200兆円(42兆ドル)といわれた。そのわずか6年後の2007年、その額は17,000兆円(170兆ドル)にも増加し、これは全世界の経済(全世界のGDPの合計)の約3倍にもなる※4。
デリバティブとは何か、いろいろ調べてみたがほとんどが専門用語でわかりにくい。その中で、金融デリバティブをわかりやすく説明している文章を見つけたので例示する。
ニューズウィークなどにも寄稿しているアンドリュー・レオナルドというSalon.comのシニア技術ライターは以下のように説明している※5。
「厳密に言って、デリバティブとは金融の仕掛けで、その価値は原資産からもたらされる。例えば住宅ローンが原資産で、住宅ローンをまとめ、束ねて証券化し、それを市場で売買する。それがデリバティブだ。「リアル・エコノミー」(実体経済)という言葉がある。これは実在の人々が、実在のものを売買したり、働きにいってモノを作るとか、実体のあるサービスを提供するとか、そういった実体のあるものだ。デリバティブは、いうなれば「アンリアル・エコノミー」となる。つまり、リアル・エコノミーに起こるかもしれないことに対して投機家が賭けをする場所にある、その賭けをするための媒体がデリバティブなのだ。もしあなたが、借り手たちがきちんと返済をするだろうと思えば、そのような投資グループの株を買うことはいい考えかもしれない。そう思えばあなたはそれに賭けるのだ。
たとえ話をしよう。リアル・エコノミーはスーパーボウルのようなものだ。本物の人間が実際の競技場で本物のボールを使って互いに一定時間競技をする。点数を多く入れた方が勝つ。しかしこれが行われている間に、この試合に参加していない数百万人の観衆がその結果に賭ける。または結果だけでなく、どれくらい差がでるか、どちらのチームのクォーターバックが最初に怪我をするか等々、賭けに乗る人がいればあらゆるものに賭けることができるのだ。賭け事経済、これがアンリアル・エコノミーだ。スポーツの賭けと同じく、どんなにばかげていても金融分野で行われている価値や意味は、競技場で起きていることから派生する。理論上は、賭け事経済は実際の試合とは別の次元に存在するが、それは真実ではない。博打には巨額のお金が関与しており、その結果を都合のよいように変えたいという耐え難い誘惑が生じるからだ。例えば、プレーヤーもレフリーも、買収されることがある。NBAオフィシャルが買収されるのは、スポーツが賭け事になったためだということができる。
そしてまったく同じことがリアル・エコノミーとアンリアル・エコノミーでも起きる。住宅部門に関連したデリバティブの賭けには巨額のお金が賭けられていた。そのためウォール街の投機家たちは、基本的に自分たちが儲かるように、住宅部門を操作したのである」
もう1つのデリバティブの説明は、China Investment Corporationの社長、Gao Xiqingによるものだ。同社は中国の海外資産のうち20兆円(2,000億ドル)を管理し、中でも、ただ単に米国債を保有するのではなくブラックストーン社やモルガン・スタンレー社の株を買うなど、最も目立つ投資を行っている※6。
「まず、あなたは商品としての本を持っている(といって革張りの本を手にする)。これには何がしかの価値がある。なぜならこの本を作るために、労働力が投じられているからだ。しかし、誰かがこう言う。「本を売る必要はない。私は鏡を持っているから、本の鏡像を売ればいい!」。オーケー。それが株券だ。すると別の人がこう言う。「もう1つの鏡がある!その鏡の鏡像も売ることができる!」それがデリバティブだ。しばらくの間はそれでいいだろう。しかし、もし鏡が10,000個あり、鏡像がほとんど完璧だとすれば、人々はその鏡像をリアルだと思うようになる。しかしある時点で像は中断される。するとすべての像が消滅するのだ。
州議会でこの鏡の例をあげて私が話をした時、議員は笑いだした。「どうして鏡像を売れるのか。それはこじつけだ」と。しかしこれこそまさにアメリカ経済で起きたことだ。そしてアメリカ経済の失墜は、長く苦しいプロセスとなるだろう。我々は今オーバーホールをして、こう言うべきだ。「デリバティブの9割をとりのぞけ」と。もちろん誰もが嫌がるだろう。なぜならそれによって多くの人が職を失うから」
つまり、金融デリバティブとは単なるツールに過ぎない。実体経済の上で博打をするための、極めて複雑なツールなのだ。しかし実体経済そのものよりも、実体経済に対して賭けられたお金が何倍にも膨らんだ時、この博打は実体経済そのものを簡単にぶちこわすことができる。それが今現実に起きていることだ。これは1929年の株式市場の暴落以来最大規模のものとなるだろう。
3.株式市場
10年前、日本の全証券取引所では日本のGDPのおよそ4分の1にあたる金額が取引されていた※7。過去10年間に日本のGDPはほとんど増えていないが、株式売買代金は6倍に増え、GDPの半分以上になった。
企業の株式による資金調達額は、この株式取引全体のわずか1%未満である。残りの99%以上は、すでに発行された株式を投機家、投資家が値上がりを期待して行うものである。新規発行株と違い、これはいくら取引が増えても企業の資金を増やすことはない。
つまり、株式取引の99%は、賭けに勝った人が儲かり、負けた人が損をする博打である。これが日本経済にどのように貢献しているというのだろう。また、経済を循環させるために企業の資金調達に使われるのがわずか1%の取引だけだと考えると、このやり方は資本を集めるためには極めて非効率で無駄なやり方だといえる。
4.規制緩和
カジノ経済を可能にしたのは、アメリカが1980年頃から始めた金融規制緩和であった。以来、カジノ経済は急速に広まり、実体経済を破壊するまでになった。
カジノ経済が癌のように広まるのと並行して、アメリカでは研究開発や製造が減少し、産業基盤が空洞化して貿易赤字や財政赤字が増大した。失業率が増えて貧富の格差が広がり、その結果、アメリカの大部分の国民の生活水準は大きく低下した※8。
さらにアメリカは多くの人を貧しくして少数の人を富ませ、また自国の経済と社会を破壊させるだけでは満足せず、他の先進国にも規制緩和と民営化を迫っていった。その一方でIMFを使って途上国にも同様のことを行った。
今苦境に立たされているのが、アメリカの要求に屈服した国、特にイギリスと日本である。
日本における規制緩和や民営化の始まりは、1983年、日銀第22代総裁(1967〜1974年)を務めた佐々木直による「世界国家への自覚と行動」(通称佐々木リポート)である。その内容は、市場開放と自由化、官僚の規制や指導の禁止、産業構造の変革を求めるものであった。
これに次いだのが1986年に出された前川リポートで、日銀第24代総裁(1979〜1984)前川春雄を中心に提出された。
「前川リポートはアメリカ側通商代表の要望リストのようだった。リストはまず行政改革からはじまった。基本的には規制と許認可を中心としたシステムから市場メカニズムに基づく「原則自由、例外制限」という体制に転換する。また輸入の増大、市場アクセスの改善、それに「規制緩和の徹底的推進」が目標とされた。要するに、目標は政治体制そのものの変革、戦時経済体制の廃止、アメリカ流の自由市場経済の導入だった」(『円の支配者』リチャード・ヴェルナー著より)※9
アメリカからの要望を翻訳しただけの、佐々木、前川リポートの青写真を実行に移したのが、小泉純一郎、竹中平蔵といった人々だった。
5.貸し渋り
佐々木、前川を経由してアメリカ政府が行った「日本を変える」作戦の1つは、金融ビッグバンであった。この金融規制緩和が、日本の経済と社会に大きな被害をもたらしたのである。
1997年末に、1998年4月1日から外国為替を規制緩和すると発表してから、2008年までの間に、日本の銀行の預金残高は84兆円増えた。しかし、その一方で日本企業や個人への貸付残高は136兆円減少した ※10。
つまり、1998年から日本がゼロ成長という景気後退期に入ったのは、220兆円(預金増加分と、貸付減少分の合計)が日本経済から流出したことが大きな原因だと私は見ている。もし銀行が「貸し渋り」をしていないというなら、貸付残高の減少分、預金残高の増加分はどこへいったのか。
他の企業と同じく、銀行は一定の規制の下、可能な限り早く、多くの利益を手にするための施策を自由にとることができる。たとえその行動が日本経済や社会にマイナスの影響を及ぼそうとも、多くの利益を手にすることを求めるよう、常に駆り立てられている。
なぜならカジノ経済においては、銀行同士だけでなく、あらゆるものが競争相手となるからだ。
例えば東証では上場企業すべてが競争相手である。またそれは国内に限らない。投資家や投機家が売買することで利益を得られるものであれば、海外の株式、外国通貨、デリバティブ、様々な金融商品など、あらゆる博打の相手がライバルとなる。
民間銀行も、またその他の上場企業も、その配当金や株価を他の国の銀行、他の企業よりも高くすることに必死である。またそれだけではなく、投資家や投機家が取引をすることで利益を得られるもの、つまり、あらゆる博打の相手がライバルなのだ。
そしてもし銀行の株価や配当が、投資家や投機家に魅力のないものであれば、投機家はそれを売却する。株価が急落すれば銀行は買収対象となったり、倒産の危機に陥り、預金者や社員、関連業者に対して責任が取れなくなるかもしれない。
事実、アメリカ大手企業CEOの80%は、アナリストが発表する四半期の利益予測にあわせて、研究開発費、広告費、その他の保守費用を削減したり、採用や新規プロジェクトを延期すると答えている※11。
日本がアメリカと同じカジノ経済になれば、日本企業もアメリカ企業と同じ行動をとるのは仕方がないことであろう。つまり銀行は、国内外の投資家・投機家を喜ばせるために、より早く、多くの利益を出して株価を上げ、配当を増やそうとした。日本の企業や個人に貸し出しをするより、国債を買ったり海外に貸付や投資、投機をした方が利益がたくさん得られるのであれば、銀行はそちらを選んだ、ただそれだけのことなのである。それが日本の銀行の220兆円が向かった先だと私は思っている。
こうして、外国為替が規制緩和される直前の1997年末あたりから、日本の銀行は企業や個人に貸し付けるかわりに、海外での貸し付けや投資、投機、または日本国債の購入を選んだのである。
投資家や投機家についても同様である。貪欲な投機活動がよく話題になるが、年金基金など、人々の預金や資金その他を投資している担当者は、ただ、最も高い持続可能なリターンを得るような投資をせざるを得ないだけなのである。つまり正直な投資家であっても、なるべく早く多くのリターンを得られるところに資金を賭けなければならない。それがカジノ経済のルールだからだ。
銀行や投資家のこのような行為を非難できるだろうか。規制緩和とは、「保護をなくす」ということである。日本を今日の窮状にしたのは、アメリカの圧力に屈して規制をなくし、それによって日本をカジノ経済に引きずり込んだ日本の政治家と官僚である。その臆病で愚かで腐敗した彼らのせいで、日本国民は今その代償を払わされている。
6.改悪された日本
アメリカを崇拝する日本の政治家、官僚たちは、こうして日本の経済、社会を改革してきた。いや、正しくは「改悪」であろう。佐々木レポート以前、日本経済は年間10〜15%で成長していたが、佐々木レポート以降は5%になり、今では退行している。
佐々木、前川、そして小泉、竹中による改革が日本にもたらした破壊と貧困の指標を挙げてみる。
失業率は50〜60%増加※12
生活保護世帯数は13%増加※13
ジニ係数によると所得格差は10%以上広がった※14
犯罪は19%増加※15
自殺は35%増加※16
<出所>
※1Foreign exchange market, "Wikipedia"
http://en.wikipedia.org/wiki/Foreign_exchange_market#Market_size_and_liquidity
※2外国為替取引の分析 (データは講演用統計資料ページ参照)
http://www.ashisuto.co.jp/corporate/totten/ForeignExchange.pdf
※3Foreign exchange market, "Wikipedia"
http://en.wikipedia.org/wiki/Foreign_exchange_market#Market_size_and_liquidityの"Most traded currencies" の表を参照
(取引量の合計は200%:100%は売り手、100%は買い手)
※4"Let the Banks Fail: Why a Few of the Financial Giants Should Crash" By Joshua Holland, AlterNet. Posted December 15, 2008.
http://www.alternet.org/story/112166/
※5"Panic on Wall Street" by Andrew Leonard
http://www.salon.com/tech/feature/2007/08/17/wall_street_panic/index.html
※6"Be Nice to the Countries That Lend You Money" by James Fallows http://www.theatlantic.com/doc/200812/fallows-chinese-banker
※7株式市場分析 (データは講演用統計資料ページ参照)
http://www.ashisuto.co.jp/corporate/totten/StockMarketAnalysis.pdf
※8"INDICATORS: ECONOMY", UNDERNEWS, by Sam Smith
http://prorev.com/2009/01/indicators-economy.html
※9『円の支配者』リチャード・ベルナー著
※10金融ビッグバンによる資金の流出 (データは講演用統計資料ページ参照)
http://www.ashisuto.co.jp/corporate/totten/BigBangDrainsEconomy.pdf
※11"Let the Banks Fail: Why a Few of the Financial Giants Should Crash" By Joshua Holland, AlterNet. (December 15, 2008)
http://www.alternet.org/story/112166/?page=entire
※12失業率 (データは講演用統計資料ページ参照)
http://www.ashisuto.co.jp/corporate/totten/JapanUnemployment.pdf
※13被保護実世帯数・保護率の年次推移 (データは講演用統計資料ページ参照)
http://www.ashisuto.co.jp/corporate/totten/JapanHouseholds_Welfare.pdf
※14所得の格差:総所帯の等価可処分所得のジニ係数 (データは講演用統計資料ページ参照)
http://www.ashisuto.co.jp/corporate/totten/JapanIncomeGap.pdf
※15犯罪件数 (データは講演用統計資料ページ参照)
http://www.ashisuto.co.jp/corporate/totten/JapanCrime.pdf
※16自殺者数の推移 (データは講演用統計資料ページ参照)
http://www.ashisuto.co.jp/corporate/totten/JapanSuicide.pdf
もう1つの大きな問題がある。それは日本がアメリカに巨額の貸し付け、それもドル建てでお金を貸していることだ。つまり、為替リスクはすべて日本が負わなければならない。
(ビル・トッテン)
私が考えるカジノ経済の弊害(2)
さらなる問題
例えば1ドルが150円から100円になれば、日本に返済される額は3分の2になる。アメリカが破産宣告をすれば、一円も戻ってこないかもしれない。
私はこれまで何度も、日本政府がいくら米国債を購入しているのかを調べようとしたが、日本政府はそれを日本国民に公開してはいない。
一方、アメリカ財務省のホームページでは、日本が約5,860億ドルの米国債を購入していると公開されている。しかしそのうち日本政府がいくら保有していて、企業や個人がいくら保有しているのかはわからない※17。
このデータからはまた、円高になるほど日本が損をすることがわかる。例えばこの1年間に1ドルが113円から94円になったことで、日本は米国債を約11兆円失った。11兆円といえば、昨年の日本の消費税の税収分に相当する。しかし日本の「民主的な」政府は、この重要なことを有権者に伝えてはいない。
2008年9月以降、アメリカ政府は税金を使ってアメリカの金融機関を救済している。例えば、過去数ヶ月で、連邦準備制度理事会と米財務省は8.3兆ドル以上をアメリカの銀行救済に投じた。これは日本が過去40年間に積み上げた長期債務残高776兆円を上回る金額である。一方で、連邦準備制度理事会によるとマネーサプライ(M2)は、2008年12月時点で8兆ドルに満たない※18。
金融の専門家は、アメリカの巨額の貿易赤字、戦争にかかる費用、そしてこのウォール街救済によって、ドルの価値はさらに2009年も下がり続けるとみている。「アメリカの公的債務と個人の債務がそのGDPの4倍近くもあることは信じがたいほどだ。アメリカとイギリスは、史上最大の債務危機に瀕しており、それから抜け出す現実的な方法は、広範囲な企業の債務不履行、借金の帳消し、負債を管理可能なレベルに減らすためにインフレを起こすことだ」と言う※19。
ある信頼できる情報筋からは、USドルの価値は今年中に60%下落するという話もある※20。
昨年アメリカへの貸し出しで約11兆円を失ったことに加えて、今年はいくら損失が増えるか試算してみると恐ろしい数字になる。ドルがさらに10%下がれば、保有する米国債の価値はさらに6兆円減少する。ドルが30%下がれば、損失はプラス17兆円となる。これは日本の所得税収を上回る。そしてドルがさらに60%下落すれば、日本の損失額は33兆円、日本国の税収の3分の1に相当する金額を失うのである。
これは日本が保有している米国債に関してだけの金額である。日本の民間企業やその他公的機関がアメリカに貸し出している総額は2兆ドルといわれている。これは米国債によって貸し付けている金額の3〜4倍にもなる※21。したがって、もし米ドルの価値が下がれば、日本全体の損失は今私が述べた金額の3〜4倍にも膨らむことになる。
日本の政治家、官僚、財界を取り仕切る人々は、アメリカ政府に行っているドルの貸付、または自分たちが行うドル建ての「金融資産」への投資が、日本の経済や社会にどのような影響を及ぼすか理解しているのだろうか。
簡単な解決策
これらを解決する簡単な方法がある。しかし、それを実行に移すには問題がある。
1つ目は、日本政府に本当にそれができるかどうか。2つ目は、政府にそれをやらせるよう、日本国民が明確な意志表示を政治に対して行えるかどうかである。
1.米国債
もし日本政府がこれからもアメリカ政府にお金を貸したいのであれば、ドル建てでなく、円で貸すべきである。それによって日本(の納税者)ではなく、アメリカ政府が為替差損のリスクを負うことになる。これはまた、アメリカがドルの価値を下げることで、日本が貸したよりも少ない額を返済しようとするのを防ぐことができる。
しかし考えてみれば、アメリカは他国にドル建て以外でお金を貸すことはないし、また日本を含め、どの国の銀行もその国の通貨でしかお金を貸さない。日本政府が円建てでアメリカ政府にお金を貸すことは、むしろ当然ではないか。
まず、日本はドルの価値がさらに下がる前に、今日にでも、保有する米国債をすべて売却すべきである。そしてもしアメリカ政府がそれ以降、また日本にお金を貸して欲しいと言ってきたら、円建てで貸し出しをする。
例えば今、日本全体が保有する5,860億ドルの米国債のうち、日本政府が5,000億ドルを持っているとしよう。もし今日それをすべて売れば、1ドル91円で、46兆円となる。それから日本政府はアメリカ政府に対して46兆円を円で貸し付ける。そしてアメリカ政府は、どんなに今後ドルが下がっても、日本へ46兆円と利子分を返済しなければならないという条件で貸し出すのである。
この貸付のもう1つの条件として、日本政府は昨年1年間で、ドルが113円から91円に下落したことで被った損失分もあわせて返してもらう。もしこの条件をアメリカ政府が承諾しなければ、少なくとも日本政府は、11兆円の損失の半分を日本と折半するようアメリカ政府に要求すべきである。
では、日本政府がこのような不公平、またはばかげた方法でアメリカ政府にお金を貸し続ける理由は何なのだろうか。2つ考えられる。
1つは、ドルに対する円の価値を維持することで、日本の輸出企業を助けるためである。もしそうなら、次のような理由から、これは極めて不公平である。
日本の輸出額と輸入額はほぼ等しく、このような輸出への補助は、日本の輸入企業に悪影響を及ぼす※22。
輸出企業へのこのような補助は、輸入品を購入するすべての消費者に悪影響を及ぼす。
このような補助は、すべての納税者に悪影響を及ぼす。なぜならアメリカ政府に貸し付けることによってもたらされる日本政府の損失は、納税者、そして将来的には子供や孫たちが税金で返済していかなければならないからである。
輸出企業を助けるために、なぜ輸入企業、消費者、そして納税者が被害を被らなければならないのだろう。
日本政府がアメリカ政府にドルを貸し続けるもう1つの理由は、日本政府がすでにアメリカ政府に貸し付けたドルによる損失を最小限に抑えるためであろう。しかしそれは愚行である。ギャンブラーがこれまでの損失分を取り返そうとさらに博打を続け、結局は破滅するような愚かさにも等しい。
2.外国為替
1981年にノーベル経済学賞を受賞したエコノミストのジェームス・トービンは、為替投機の抑制のために、外国為替取引に対して定率の税を課すことを提案した。
トービンによるこの提案を実現するためには、国際間における合意を必要とするが、これは金融海賊の住処であるアメリカが反対する限り、現在、そして将来も実現不可能であろう。しかし他国の合意がなくても、一国が自国の通貨に対して行うことは可能である。
2007年には、1日に36兆円の円が通貨売買された。日本の1年間の貿易額は約157兆円であることを考えると、わずか4日の通貨売買額が、製品やサービスの年間貿易額に相当することになる。言い換えると、円の年間通貨売買額の1%未満の取引額で、日本の外国貿易全体をカバーしている。つまり通貨売買の99%は、純粋な博打なのである※2。
これは極めて危険なことである。なぜなら、もし投機家が投機によって日本円を超円高、または超円安にして日本経済を崩壊させようとすれば、年間予算が100兆円にも満たない日本政府にとってそれを防ぐことは不可能だからだ。日本の国を金融海賊のきまぐれや貪欲にまかせておいてよいはずはない。
私は、トービン税のように、日本円の売買に1%課税することを提案する。つまり円の売り手に0.5%、買い手に0.5%の税金を課す。投機家が通貨売買を行うのは1%未満の円の上がり下がりという、極めて小さな動きを期待してであることを考えると、トービン税を課すことによって円への投機は完全になくなる可能性もある。または全部を排除できないとしても、それによって日本を危うくするほどの円の売買は防げるであろう。
そして、もしそれでも円の通貨売買が極端に減らないとしても、日本政府は年間132兆円の税収を得られることになる。これだけで現在の地方税と国税をあわせた税収100兆円を上回る税収となる。
このような税金を課すことは、日本の輸出入に悪影響を及ぼすと反対する人がいるだろう。しかし輸出入の総額は、通貨売買のわずか1%にしかならない。したがって、全体の99%を占める円の通貨売買を取り除くために1%に負担をかけることは仕方がないといえる。また、金融海賊が日本の通貨を投機の対象として売買することで為替が激しく変動するのをなくすことで、最も得をするのは輸出入企業なのである。
日本政府は、日本国民の買い物に対して5%もの消費税を課している。水や食料といった生きるために必要なものを買うためにも、我々は5%消費税を払わないとならない。そうであれば、日本の通貨を投機のために売り買いすることに1%の税金をかけられないはずはないのである。
3.デリバティブ
デリバティブに対しても、トービン税のような投機税を課すことは金融デリバティブで博打をする気持ちをそぐ1つの方法である。
昨年アメリカ大統領選挙に出馬したラルフ・ネーダーもそのような税制を提唱した。彼は、それによって1年間に5千億ドルの税収となり(現在のアメリカの国税の税収の約4分の1にあたる)、投機家たちには自分が払った税金で金融危機を救済させるべきだと主張した※23、※24。
繰り返すが、日本政府は日本国民に対して命の存続に不可欠な水や食料にさえ5%の消費税を課している。金融デリバティブ商品の投機的な売買に1%の税金を課せないはずはない。
世界の大富豪ウォーレン・バフェットのパートナーであるバークシャー・ハサウェイの副会長チャーリー・マンガーは、“最も安全な取引である”米国債を除いて、すべての証券取引をする際にレバレッジ(総資本に占める他人資本の割合)は50%に制限すべきだと主張している。破綻したベアー・スターンズ、リーマン・ブラザーズは、破綻前、自己資本1ドルあたり30ドルを他人資本、つまり借金をして投機を行っていた※25、※26。さらにマンガーは、ウォール街をラスベガスにしないために、シカゴとニューヨークのオプション取引を同じ水準にし、すべてのデリバティブ取引を禁止することを提唱している※27。
4.株式市場
前述したように、日本の証券取引所で取引される株式のうちわずか1%だけが企業が新しく資本を集める際のもので、99%は純粋な博打である。
2007年には、取引額752兆円のうちわずか15兆円(1%に満たない)だけが企業が新規株式を発行して集めた分で、737兆円(99%以上である)はすでに発行された株式の売買であった※7。
企業の株で博打をすることは、外国通貨やデリバティブと同じく、社会への付加価値を提供せず、賭けをして勝った人だけがより金持ちになり、負けた人がお金を失うだけである。
社会に流通するお金の量は一定である。その社会で生産物やサービスを提供していないにもかかわらず、博打で儲かったというだけでギャンブラーの手により多くのお金がわたることは、健康や幸福のために貢献している人の取り分が減ることを意味する。これは結果的に社会を不均衡にし、富の格差を拡大する。
この対策として、他の多くの国のように、そして1999年まで日本が行っていたように(有価証券取引税)、新規発行株以外の株の売買に課税すべきである。株の売買に1%の税金をかけても株取引が減らないとしても、日本政府には7兆円の税収が入ることになる。
<出所>
※2外国為替取引の分析 (データは講演用統計資料ページ参照)
http://www.ashisuto.co.jp/corporate/totten/ForeignExchange.pdf
※7株式市場分析 (データは講演用統計資料ページ参照)
http://www.ashisuto.co.jp/corporate/totten/StockMarketAnalysis.pdf
※17日本が保有する米国債 (データは講演用統計資料ページ参照)
http://www.ashisuto.co.jp/corporate/totten/JapanHoldings_US_Treasuries.pdf
※18Federal Reserve Statistical Release, Money Stock Measure
http://www.federalreserve.gov/releases/h6/
※19"US and UK on Brink of Debt Disaster" by By John Kemp, Reuters, (January 20, 2009)
http://www.globalpolicy.org/socecon/crisis/tradedeficit/2009/0120brink.htm
※20"Forecast for 2009" by Jim Kunstler
http://jameshowardkunstler.typepad.com/clusterfuck_nation/2008/12/forecast-for-2009.html
※21"Be Nice to the Countries That Lend You Money" by James Fallows, The Atlantic (December 2008)
http://www.theatlantic.com/doc/200812/fallows-chinese-banker
※22日本の輸出と輸入 (データは講演用統計資料ページ参照)
http://www.ashisuto.co.jp/corporate/totten/JapanExports_Imports.pdf
※23"Nader calls for tax on derivatives" by Betsy Z Russell, spokesmanreview.com (October 21 2008)
http://www.spokesmanreview.com/breaking/story.asp?ID=17319
※24"Speculation Tax", Issues that Matter for 2008, "Nader/Gonzalez favor a securities speculation tax"
http://www.votenader.org/issues/speculation-tax/
※25"The Feasibility of a Unilateral Speculation Tax in the United States" by Dean Baker, Center for Economic and Policy Research (July 26 2000)
http://www.globalpolicy.org/socecon/glotax/currtax/baker1.htm
※26"Charlie Munger: Ban All Derivatives" by Julie Crawshaw, Newsmax.com (October 16 2008)
http://moneynews.newsmax.com/streettalk/munger_ban_derivatives/2008/10/16/141117.html
※27"Dimon, Munger, Rohatyn: No More Vegas" by Robert Lenzner, Forbes.com (October 13 2008)
http://www.forbes.com/2008/10/13/rohatyn-munger-dimon-pf-ii-in_rl_1013croesus_inl.html
古典的なテキストである『熱狂、恐慌、崩壊』(1978年)で、著者のチャールズ・キンドルバーガーは、規制のない金融制度という文脈において、金融危機を「何度も蘇る多年草」と呼んでいる。 キンドルバーガーは、1725年以降、西欧資本主義経済において平均で約8年半ごとに金融危機が起きていると書いている ※28。
(ビル・トッテン)
「私が考えるカジノ経済の弊害」(3)
より大きな解決策
1.通貨制度改革
リチャード・ヴェルナーはじめ、多くのエコノミストたちは、これらの金融危機の主な原因は、実体経済で必要とされる以上のお金が創造されたためだと主張している※29。過剰にお金が創造されると、実体経済における製品やサービスの価格がインフレになるか、またはカジノ経済において「資産」と呼ばれるものの価格が膨張する。
1929年の株式大暴落後、1930年代に起きた世界恐慌の後でアメリカや他の先進国では厳しい金融規制が施行された。このためその規制が再び撤廃され始めた1980年頃までは金融危機は起こらなかった。
リチャード・ヴェルナーが『円の支配者』で書いているように、日本の経済は1980年代半ばまで深刻な金融危機に直面することはなかった。これは日銀が窓口指導を通して、お金の創造や貸付を厳しく規制していたためである。
実体経済を略奪し、害を与えるカジノ経済をなくすかまたは弱めるために、我々は1930年代に作られ、1980年頃に緩和、撤廃された金融規制を元に戻す必要がある。特に日本経済にとっては、少なくとも1998年の金融規制緩和を撤回し、銀行に対する日銀の窓口指導を復活することだ。つまり日本のマネーサプライを統制する能力を日本政府は取り戻さなければいけない。
さらに、私はそれ以上のことが必要だと思っている。
まず始めに、我々は日本銀行を監督する必要がある。日本銀行という名称から、それは政府機関のように聞こえるが、日本政府は日銀の55%の株しか保有していない。残りの45%の株主が誰なのか、政府も日銀も、国民に教えてはくれない。日銀の株はジャスダックで取引されているが、日銀も政府もジャスダックも、誰が何株を保有しているのか教えてはくれない。45%の日銀の株を持っているのがJPモルガンなのか、シティバンクなのか、野村證券なのか。民主主義と呼ばれる国で、主権を有するはずの国民はそれを知らされていないのである。
実際、日銀は奇妙な機関である。以下、日銀のホームページからの引用である。
「日本銀行はわが国唯一の中央銀行です。日本銀行は、日本銀行法によりそのあり方が定められている認可法人であり、政府機関や株式会社ではありません。
(中略)
政策委員会
日本銀行には、最高意思決定機関として政策委員会が置かれています。政策委員会は、通貨及び金融の調節に関する方針を決定するほか、その他の業務の執行の基本方針を定め、役員(監事および参与を除く)の職務の執行を監督する権限も有しています」※30
現在の政策委員のうち2人は日銀出身者で2人は大学教授、そして4人は日銀が規制をするはずの民間の金融機関や民間企業出身者である※31。政策委員の誰一人として、労働者の立場にある者の気持ちを代弁する人、労働者のニーズや要望を提案する人はいないのだ。
私は日本政府は日銀の残りの45%の株を買い取るか没収するかして、日銀を認可法人ではなく、政府の財務省の一部にすることを提案する。そして民主主義国家において有権者のために責任ある行動をとる組織に変えるべきだ。もちろんこのためには、国民自身が民主国家における責任を果たすことを求められるのは言うまでもない。
そしてもし財務省の一部門として日銀が窓口指導を再開すれば、実体経済を習慣的に脅かしてきたカジノ経済をなくすか、またはその影響を大きく減らすことができるであろう。
しかしこのような重大な変革でもまだ十分ではない。お金が作られる方法もまた変える必要がある。現在、日本政府が作っているのは、日本国内に流通するお金のうち紙幣と硬貨の分にあたるわずか10〜20%だけで、銀行預金などにある残りの80〜90%のお金は民間銀行が作っている※32。
一般に信じられているのとは違い、民間銀行はお金を「貸し出し」ているのではなく、お金を作っている。
もし私があなたに100万円を貸したら、あなたから返してもらうまで100万円を使うことはできない。つまり私の購買力をあなたに渡したことになるからだ。しかし銀行があなたに100万円を貸し付ける時には、何もないところから100万円を作ることができるために誰の購買力を減らすこともなく100万円を貸すことができる。経済学ではこれを信用創造とよび、銀行の貸出によってマネーサプライ(通貨供給量)を増やすことを銀行の重要な機能の1つだと教えている。
しかしこの「信用創造」を別の言い方で説明すると、銀行は預金として預かったお金の一部を準備預金として中央銀行(日銀)に預ける。例えば、100万円を預かると預金準備率4%にあたる4万円を日銀に預ける。そして、残りの96万円を別の人に貸し出すことができる。そしてこの96万円を借りた人がそれをまた銀行に預ければ、銀行はさらにまた4%を除いた残りを、別の人に貸し出すことができる。これを繰り返すと銀行は2500万円まで貸し出すことができる。(国際決済銀行(BIS)の規制で、国際取引を行う場合8%の、国内業務に特化した銀行は4%の自己資本比率を維持することが求められている。)
100万円を預かった銀行が2,500万円を貸し出す時、最初に預かった100万円は準備預金に行っているわけだが、そうすると銀行が貸し出した2,500万円はどこからきたのか。これが銀行が新しく作ったお金である。このメカニズムが「信用創造」で、銀行はお金を貸せば貸すほど預金総額が増えるのだ。
顧客が銀行へ行き100万円を借りたいと申請をすると、銀行は顧客の普通口座に100万円という数字を打ち込み、その単純な行為で日本のマネーサプライは100万円増える。お金を借りた顧客は100万円の貸付を銀行に返済しなければならないので、銀行のバランスシートには100万円(預金)という負債に加えて、貸し出しによって利子を稼ぐ100万円の資産ができたことになる。このプロセスによって、銀行は何もないところからお金を作り出すことができるだけでなく、自分が作りだしたお金が自分の資産となり、より多くのお金を創造し続けることができるのである※29。
近代経済がなぜ毎年成長をしなければならないか、あなたは疑問に思ったことはないだろうか。その答えは簡単である。社会に流通するお金の80〜90%がこのように「貸付」で作られたお金であり、「貸付」は利子をつけて返済しなければならない。そのため経済は利子分だけ常に成長しなければならないのである。そしてこの利子分は、実体経済における製品やサービスとは関係のないお金であり、国民の健康や幸福を増やすわけではない。
もしすべての預金者が明日銀行へいって預金を全額おろそうとしたら、銀行はそのうちの10〜20%しか支払うことはできない。これこそ真の不良債権なのである。
今自民党では政府が作るお金、政府紙幣が検討されているという。しかしそれに対して、そんなことをしたらインフレになるとして反対する声が多い。しかし、それなら、規制されていない民間銀行が、実体経済が必要とするだけのお金を創造していると、どうして信用できるのだろう。民主的に国民によって選ばれた政府がやることは信用できないが、民間銀行なら信用できる、とでも言うのだろうか。
民間銀行は、他の営利企業と同じようにその株式は証券取引所で売買されている。株価が下がらないよう、常に投資家、投機家に魅力的であるために短期間で儲けを最大にする努力をしていかなければならない。さもなければ投機家に株価を下げられ、買収対象となったり、存続が危うくなることもあるからだ。
銀行は自分でお金を創造して貸し付け、その利子で儲けている。なるべく多くのお金を、なるべく早く創造したいという動機付けがあるのだ。それは実体経済で必要とされる金額を上回るかもしれないし、国民の幸福や健康を満たすための製品を作り、販売するよりもずっと多くの金額になるかもしれない。
1980年頃から規制が緩和され始めると、銀行の懸念は、借り手が返済できる以上のお金を貸し出すことで自分たちの経営が悪化しないか、ということだった。しかし銀行の経営状況が危なくなると、日本政府は、繰り返し「つぶすには大きすぎる」として、公的資金を注入した。さらに政府は、銀行が無謀にも過剰のお金を貸し付けることで不良債権が増大すると、労働者や一般消費者の税金を増税した。悪化しても公的資金で救済してもらえるという前例を作ったことで、銀行はますます安心してお金を貸し出し続けた。
繰り返すが、金融危機を防ぐために最低限すべきことは、1980年以前の金融規制にもどすことである。日本についていえば、1998年の金融規制緩和を撤回し、日銀が窓口指導を再開することだ。つまりマネーサプライを統制する能力を政府は取り戻さなければいけないのである。
そして、たとえこれらの規制を元に戻して金融バブルや銀行危機を終わらせても、民間銀行からお金を創造させる特権を取り上げ、その力を政府に戻さなければならないと私は考える。
政府がお金を作ることは、2つの利点がある。
1つは、政府がお金を作り、それを利子をつけないで国民に貸し出せば、民間銀行に創造させたお金を貸し出すことによって生まれる利子による無駄な経済成長の必要がなくなる。
2つ目は、日本政府は増税をすることなく、巨額の負債を返済することができる。私の試算を見てほしい※33。
日本政府の国家債務の78%は、借金を返済するためのものである。日本の国家や国民のために使われているのは政府の債務の22%だけなのである。
さらに、1968年から国民が支払ってきた税金の29%は、政府の借金のために使われた。国家や国民のために使われたのは税金の71%だった。
また、日本政府は民間銀行が作るお金の約89%を毎年借り、そのうち75%を、再び民間銀行へ借金返済として支払っている。
日本政府が巨額の公的債務を積み上げたのは、政府自身がお金を作らずに民間銀行にお金を作ることを許しているからなのである。
民間銀行ではなく、政府がすべてのお金を1968年から創造していれば、日本政府は547兆円の公的債務のかわりに、625兆円の黒字になっていたはずである。つまり民間銀行に80%から90%のお金を創造させるのを許しているために547兆円の公的債務ができたのである。
または、民間銀行ではなく政府自身がお金を作っていれば、1968年には公的債務はゼロ、1969年からは税金を67%減税することができただろう。もしそうしていれば、547兆円の公的債務のかわりに2.3兆円の黒字となり、1969年以降支払ってきた税金は現在の3分の1になっていたはずである。
2.最後の雇用者は政府
1980年代半ばから行われた改革と呼ばれる最もひどい経済改悪の1つは、失業率を50〜60%も増加させたことだ。現在日本には270万人もの失業者がいて、生活保護世帯は13%増加し、犯罪件数は25%増え、自殺者数は35%も増加した※12〜※16。
しかしこのような状況は、日本政府が、働く意欲があり今すぐに働ける非自発的失業者に雇用を提供することで、すぐに解決できる。
それには甚大な費用がかかるわけではない。現在失業中の270万人を、平均最低賃金である時給703円、または最も高い東京の時給766円で、1日8時間、週5日、年間2,000時間雇用しても、1年間の費用は4兆円である。これは昨年の消費税税収13兆円の3分の1以下である。日本政府が消費税を国民の社会保障費の財源と位置づけているなら、これは極めて正当な使い方だと私は思う。
現在の日本の失業問題は深刻である。長文だが、政府に「最後の雇用者」(ELR:エンプロイヤー・オブ・ラスト・リゾート)の役割を担わせるという考え方に馴染みのない方は、ぜひ以下の記事を読んでいただきたい※34。
(ここから引用)資本主義経済は本質的に不安定であり、構造的にいって適切な賃金と手当を提供して完全雇用を創出することはできない。税金の払い戻しや債務控除は、来る経済の嵐から守るためのある程度の保護は提供するかもしれない、これらの手段は短期的なもので永続的な問題に対する対応としては不十分である。
それらのその場しのぎの政策や、ワシントンの自由経済原理主義者たちが提唱するもっとひどい政策に代わるものとして、アメリカや海外のエコノミストや政策立案者の中に、失業問題を終わらせるために、政府を通して、職を探していてすぐにでも働くことができる人に雇用を提供するという政策を推奨している人々がいる。
最後の雇用者(エンプロイヤー・オブ・ラスト・リゾート:ELR)という提案はとてもシンプルな考え方だ。資本主義経済では、ほとんどの人は生活のために民間の雇用者に依存しているが、完全雇用の保障という責任を負っているのは政府だけである。それは国連の世界人権宣言でも、雇用の権利と共に含まれている。完全雇用へのコミットメントは1946年雇用法、1976年Humphery-Hawkins法でも当然のものとして、アメリカ政府の正式な政策となっている。
ELR推進には多くのバージョンが提案されてきたが、それらは、政府がすぐに仕事に就ける人なら誰でも雇用を提供することで完全雇用を保障できる、という概念以上にはなっていない。
様々な提案での違いは、それぞれ参加者に支払う賃金と手当てであり、一般的な提案では、スキルや経験、過去の所得にかかわらず、すべての参加者に共通の基本賃金と手当てを払うというものである。この賃金と手当てが、経済の公共および民間セクターに有効な最低限度を形成する。賃金と手当てを決めた後、政府はそのプログラムに参加する労働者に、民間セクターの雇用の循環的変動に対応して、転々としたり、上下することを許すのである。
ELRでは、参加者に基本的なインフラプロジェクトから、環境関係のものまで、地元地域を改善するあらゆるプロジェクトに参加させることを提案している。多くのELR提唱者はまた、プログラムは本質的に国家レベルで資金提供されるが、プロジェクトの計画と遂行は地元の自治体か非営利組織による分散的アプローチを提唱している。
ここで重大な疑問がでる。そのような大規模プログラムに、どうやって政府はお金を払うのだろうか。ELRプログラムは、大幅な増税か、爆発的な財際赤字をもたらすのではないか。政府は本当に民間セクターで仕事を見つけられないすべての人に、雇用を提供することができるのだろうか。
これに対してELRの提唱者は、様々な方法で政府にはそれをすることができる余裕があることを説明しているが、全員が一致して言っていることは、それが社会にもたらす利益は支出を上回る、というものだ。そしてELR提唱者の多くは、社会にかかる「コスト」という言い方は、失業の問題の本質を見誤って伝えていると主張する。
失業している労働者の存在は、社会の純損失(ネットコスト)となる。失われた所得、失われた生産性、そして長い間失業していることによる精神的ストレスに社会的ストレス。そういった人々が仕事に就けば、所得が増え、個人、そして社会全体の安寧が増える。その意味で純利益(ネット・ベネフィット)になるのだ。社会全体という視点からみると、ELRプログラムの真の負荷は実際、皆無である。
ELRプログラムの直接的なコストを見積もると、毎年GDPの1%以下である。アメリカの場合、2006年には1320億ドル以下か、または国家予算の約5%であった。(比較として、2006年にアメリカ政府はイラクとアフガニスタン戦争で1200億ドル以上を使った。そしてこの数字には、戦争で失われた命や負傷者のコスト、退役軍人の健康保険など将来的に発生するコストは含まれていない。)
さらに、ELRプログラムによって労働者が(公園や町の美化、無料の託児所等を提供するなどの)公共インフラの維持・補強、そして社会の生産高を増やすことで、社会全体に益がもたらされるのである。
教育やトレーニング・プログラムに参加させ、これらの参加者の生産性をあげることでELRプログラムは経済全体の真のコストを削減する。ELR参加者には、賃金や手当が支払われるため、フードスタンプ、現金支援、失業保険支給などが減るからである。もちろん働くことができない人々はこれらの支援、またその他の支援を引き続き受けることができる。
資本主義経済において、非自発的失業者は「自己責任」だと言われる。しかし、大部分の人が生計を立てるために民間の雇用に依存している社会において、職を探すすべての人に十分な雇用を作り出せないことは資本主義経済が抱える問題なのだ。だからこそ民間セクター以外からの介入が必要になる。
ELRの提唱者は、唯一お金を支払える能力を持ち、原則からしても民主的に社会の機関として責任がある政府こそが、完全雇用のための最も論理的な機関だとみている。それに加えて、政府が雇用を創出することは、資本主義経済における非自発的失業者の問題を解決する最もシンプルで、最も直接的な手段なのだ。
失業問題に対する普通の反応は、資本主義の犠牲者とみるのでなく、必要な才能やスキルがないか、または職を探して働き続ける意欲に欠けている、と非難する。そのため、急速にグローバル化している経済において、労働者の競争力をもっと高め、労働者を「人的資本」とみなして能力を増強することを目的とした政策が推進されるのだ。
これに対してELR提唱者は、そのような政策では教育によって何かを達成しても、ただ単に失業と貧困をより均等に再配分するだけだという。例えば、労働統計局によると失業者数(職を探すことをあきらめた、または能力を十分発揮できる仕事についていない人も含む)は2007年8月は1640万人であり、一方で、求人数はわずか410万人だった。人的資本へいくら投資をしても十分な職がない状況は変わらないのだ。
ELRの提唱者はまた、一貫してケインズ方式も否定する。ケインズ方式は需要管理戦略であり、経済のアウトプットのための全体の需要を増やすことを目的としている。このアプローチは直接、または商品やサービス(世帯への支払いを移転することを含め)への政府支出を通してか、または間接的に、民間投資を増やすことを目的とした政策によって行われてきた。そのようなアプローチは、裕福な個人や有力な企業に、減税や投資クレジットによってすでに裕福な人をさらに富ませるような政策に偏ることで格差をさらに広げるからである。
またケインズ方式は政府の援助から利益を得る業界にいる、最もスキルのある高給取りの労働者に特権を与える傾向にある(兵器製造や他の軍需産業の場合が多い)。例えば、冷戦時代の政府支出増加のほとんどは、ハイテク、資本集約型の、売り手寡占の分野だった。
資本集約型産業は、比較的少数の労働者しか必要とせず、したがって、政府支出に対してわずかな雇用しか創出しない。この政策では、低賃金の失業者は、経済がいずれ拡大した後、大企業が大儲けをした後の残りかすをもらう程度のわけまえしか望めない。
人的資本と需要管理アプローチとは対照的に、ELRはすぐさま非自発的失業をゼロにする手段を提供する。定義では、失業者でELRを受け入れない人は自発的失業者とみなされる。つまり多くの預金があるか、まともな職を見つける可能性がある人は、ELRプログラムに参加することができても、それを見合わせるだろう。しかしELRはいつも、バックアップの選択肢として彼らに職を提供する。
ELRがすぐに雇用に与える影響に加えて、プログラムは国家経済の民間セクターが循環的に変動する時の、自動的な安定剤として働く。景気後退期はレイオフの増加で民間セクターで雇用を見つけることがむずかしくなり、プログラム参加者が増えることが予測される。ビジネスサイクルにおける景気回復期では反対のことが起き、ELRの最低賃金を上回る賃金を提供する雇用が民間セクターで簡単に見つかれば人々はそちらへ行くだろう。その結果、ELR提唱者は、このような政府プログラムによって所得の低下と失業に底値を設定することで、民間セクターの活動の変動を緩和できると主張している。 (ここまで引用)
<出所>
※12失業率 (データは講演用統計資料ページ参照)
http://www.ashisuto.co.jp/corporate/totten/JapanUnemployment.pdf
※13被保護実世帯数・保護率の年次推移 (データは講演用統計資料ページ参照)
http://www.ashisuto.co.jp/corporate/totten/JapanHouseholds_Welfare.pdf
※14所得の格差:総所帯の等価可処分所得のジニ係数 (データは講演用統計資料ページ参照)
http://www.ashisuto.co.jp/corporate/totten/JapanIncomeGap.pdf
※15犯罪件数 (データは講演用統計資料ページ参照)
http://www.ashisuto.co.jp/corporate/totten/JapanCrime.pdf
※16自殺者数の推移 (データは講演用統計資料ページ参照)
http://www.ashisuto.co.jp/corporate/totten/JapanSuicide.pdf
※28"Tools for a New Economy" by Robert Pollin, Boston Review
http://bostonreview.net/BR34.1/pollin.php
※29『虚構の終焉』リチャード・ヴェルナー著
※30日本銀行の概要
http://www.boj.or.jp/type/exp/about/expboj.htm
※31日本銀行の概要
http://www.boj.or.jp/type/list/soshiki.htm
※32日本のマネーサプライ (データは講演用統計資料ページ参照)
http://www.ashisuto.co.jp/corporate/totten/JapanMoneySupply.pdf
※33お金の創造と国の借金 (データは講演用統計資料ページ参照)
http://www.ashisuto.co.jp/corporate/totten/JapanMoneyCreation_NationalDebt.pdf
※34"An Introduction to the Employer of Last Resort Proposal - A New WPA?" by Ryan A Dodd, Dollars & Sense magazine (March / April2008)
http://www.dollarsandsense.org/archives/2008/0308dodd.html
2008年第4四半期の実質GDPは年率12.7%減と大幅なマイナスになった。雇用者報酬の減少以上に個人消費が減ったのは雇用への不安と、もう一つは政府の政策への不信からだろう。しかしもし、日本のリーダーたちが知恵と意志と強さを持って、今私が述べた提案を実行すれば、すぐにでもカジノ経済がもたらした破壊的な危機を取り除くことができると私は信じている。日本のリーダーに、または日本の国民に、そのような知恵や意志、強さがあるだろうか。
(ビル・トッテン)
私が考えるカジノ経済の弊害(4)
おわりに
残念だが、日本の政治家や官僚、そしてメディアの報道をみているとその期待はできず、日本はこれから、1930年代以降経験したことがないほどの厳しい景気後退期に入っていくだろう。そして数年前から私が危惧していたように、日本経済は今の半分の規模に縮小するかもしれない。
私の仕事は、アシストの800人の社員とその家族の健康と幸福を守り、アシストの製品を購入していただいている数千社のお客様に製品を有効に使っていただくためのサポートやサービスを提供して会社を存続させていくことである。
もし日本経済が大幅に縮小すれば、例外なくわが社の売上げも減り、社員へ給料を支払う能力も減少する。私はリストラをしないことを社員に明言してきたため、存続のために必要とあれば全社員の給料を削減することになる。その際は、社員にも明言したように、役員や役職者といった高い給料を得ている人から、累進的に削減していく。
しかし、今の給与水準を維持できなければ社員とその家族の健康と幸福を守れない、とは私は思っていない。そのために私は次のようなことを社員に提言した。
消費中毒を治す。私たち一人ひとりが経済の急激な崩壊、つまりそれによってアシストの売上げが減り、給料が減ることに対して、具体的に計画し、準備するためにできる最も重要なことの1つは、「広告」は私たちを健康や幸福に必要でないたくさんの商品やサービスを消費する消費中毒にするためのものだということを理解することである。今日私たちが消費するものの多くは、健康や幸福には必要ではないものであり、そればかりか、健康や幸福を損ねるものもある。もし我々がこのような不要なものを買う消費中毒から脱することができれば、たくさん所得があっても、不要な消費にほとんどを費やすよりも、少ない所得でも、不要な消費をしないで健康で幸福でいられるだろう。
衣食住を自分で行う方法を学ぶ。これまでお金を払って他者にやってもらっていたことを自分の手で行うようにする。アシストは2年前から農芸プロジェクトを開始し、社員に家庭菜園を推奨してきた。農園を借りる社員には年間2万円まで支援し、できるだけ自然に近い方法で家庭菜園を行って欲しいと思っている。また裁縫プロジェクト(洋裁、和裁)、日曜大工プロジェクトも計画している。もはや身の回りにはモノがあふれている。これからは他者にお金を払ってやってもらっていたことを、我々の両親、祖父母がしていたように、自分の手で行うのうだ。また、それらの時間を作るために、週4日間労働、在宅勤務、サテライト・オフィスなどの仕組みをつくることで、社員により柔軟な勤務体系を提供する実験を行っている。
これらの施策を着実に実行することで、たとえ会社の売上げが大幅に減り、給料が減っても、社員とその家族の健康と幸福を保つことができると私は信じている。
日本は今大きな危機に直面している。私はここで、その原因分析と不可能とも思われる解決策を提言した。この解決策を実行に移すための障害は、日本のリーダーたちの対米従属や拝金主義だけでなく、私たち一人ひとりの「無関心さ」にもある。
社会や日々の暮らしにその影響が及んできた今こそ、私たちが経済や金融の奴隷になるのではなく、その仕組みは本来どうあるべきか、私たちは何をすればよいかを真剣に考えるべきである。人は苦難を体験した時の方が成長を遂げる。金融危機はそのチャンスなのだ。
アシストコラム
http://www.ashisuto.co.jp/corporate/totten/column/index,1,list01,4.html
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