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副島氏サイト「学問道場」より記事転載 「平野貞夫vs藤原肇」B 〔ライジング・サン(甦る日本)〕 http://www.asyura2.com/10/senkyo84/msg/198.html
http://ameblo.jp/kriubist/entry-10504857409.html 〔転載開始〕
「財界にっぽん」2010.4月号を貼り付けます。 (転載貼り付け開始) 「生理と病理の診断と日本の健康な国づくり」 政治評論家、前参議院議員 平野貞夫 好評のうちに第3回を数える平野鴨藤原両氏の特別対談は、日本の政治の在り方について、厳しい意見と同時に、温かい心のこもった意見が見事に同居、両氏の日本に対する思いが、政治家と、政治を志す人たちの指針となることを願うばかりか、読む人の心を揺さぷる対談となっている。政権交代後の混迷する政治は、新・旧が激突する壮絶な権力闘争の様相を呈しているが、そういった次元から1日も早く抜け出し、国民のための政治の実現が望まれるところである。
平野 所得格差の拡大で貧富の差が広がり、弱い者が犠牲になって仕事がなくなってしまい、人々が前途に希望を失うような状態は、社会不安の原因として実に由々しい問題です。そのために政治への無関心やシラケ層が増え、国民の連帯感が急激に減少したことは、社会の健康という意味で深刻な事態ですよ。 藤原 スピノザは「悪とは何か」を定義して、「連帯意識の消失である」と言っています。これは社会学的にはアノミ!の蔓延だが、この虚脱感を逆手にとって国粋主義が台頭し、安倍や麻生による「靖国カルト」が横行しました。 平野 出発点での自民党の寄って立つ理念は、自由とデモクラシーに基づく自由社会の建設だった。この自民党が政権交代せずに半世紀も君臨し、独裁的な政治をして社会の健康を損なったために、自由は放縦に民主は愚民主義に変質しました。
平野 国によって歴史や政治風土があるので、健康な社会とは何かという定義づけをするのは、言うは簡単でもなかなか難しい問題です。 藤原 だから、今の日本で最も重要な政治課題は、自民体制でデモクラシーと議会主義が損なわれたので、暴政を放置した怠慢の反省の必要性です。
藤原 むしろ、小沢が小沢チルドレンの新議員たちに、「これが政治家としての心得を学ぶ上で役立つ、他山の石だから熟読せよ」と言って配ったら、国会議員の意識を向上させる上で、役立ちましたよ。 平野 ただ、今の民主党は政権交代のことばかりを考え、日本の政治をどう変えるかについて誰も考えていないし、考える頭脳もないから全て役人任せです。だから、官僚化して最も役人依存が強いのが民主党で、そこが新政権の問題として致命的な部分なんです。
平野 それは実に鋭い指摘です。生理から病理に至っている日本の病状について、正確に認識することから始めるべきで、私は藤原さんのそのご意見に大賛成です。『さらば暴政」の読後感で申し上げた通り、生理と病理で社会判断するというのは、仕分けの仕方として最高のやり方です。それは親父が開業医だった影響のお陰で、健康維持が何より大切だと私は考えており、社会でも個人でも健康を損なえば病気だし、その予防と健康管理が何にも増して重要です。 藤原 その通りです。昔から「命あっての物だね」と言うし、生れた時も死ぬときも裸なのであり、世俗の欲望に翻弄されれば阿修羅地獄で、閻魔大王に舌を抜かれて終わるだけのことです。 平野 だから、先生が社会の健康について取り上げて、自民体制による暴政が日本を破滅に追いやったのだから、健康な社会に戻そうという意見に接し、わが意を得たりという気持ちを強く持ちました。また、世の中にはこんな発想をする人がいて、世界中で資源開発の体験をした後で、アメリカで石油会社を経営したという体験がこういう視座をもたらせたというのならば、発想を持つに至った経過を知りたいものです。 藤原 私は文学少年で中学時代からフランス語をやり、ファシズムやナチズムの研究をしたかったが、日本では歴史学科は文学部に属して、数学が苦手の学生が圧倒的だったから、幾何学が好きな私には抵抗があった。そこで、医学部に行って医者になることも考えたが、死体の解剖をしないと免状が取れないし、私は肉や血を扱うのがとても嫌だったので、地球の医者として地質学をやったのです。
藤原 じゃあ、平野さんは生粋の土佐自由党の後継者ですね。 平野 そういうことです。私は高校生の頃に先生の影響を受けて、政治活動に関心を持ち社会科学の本を読み漁りました。親兄弟は皆で私に医者になれと言ったが、医学関係の学校に二年ほど行ったけれど、医者になるという気持ちになれなかった。それで大学では社会問題について勉強し、せいぜい武力革命を起こして30歳で死に、社会さえ良くなれば満足だと考えていた。私は毛沢東の『実践論」と『矛盾論」を愛読し、多くの仲間が私を共産党に入れようとしたが、あの教条主義と官僚主義は嫌でした。
平野 土佐は自由民権運動の本拠地であるし、吉田茂の影響が至る所に広がっており、親父が開業医として吉田茂や林譲治と親しく、その関係で地道な政治活動に転じました。学生活動に一時のめり込んでいたが、私は吉田と林の両先生に説教と指導を受けて、衆議院の事務局に勤めるようになりました。また、園田直衆議院副議長だけではなくて、前尾繁三郎衆議院議長の秘書官もやり、特に戦後政治の三賢人だった前尾さんの議会運営は、生理学の原則に合う素晴らしいものでした。
藤原 定員の変更は議員には死活問題だから、国政よりも自分の既得権に目ざとい議員にとって、大いに紛糾の種になったことだろうと思います。 平野 そこで宮沢総務会長が衆議院の事務局の私に、どう対応したらいいか非公式に問い合わせてきたので、選挙制度については全会一致はあり得ないから、これは党議を外してフリートーキングがいいと答申した。 藤原 それは世界の民主国では当たり前です。国会議員が自分で判断しないで党議に従い、ボスが勝手に決めた党議に従うのでは、ソ連の共産党の中央委員会のやり方と同じであり、議員ではなくてロボットに他ならないです。
藤原 血が出たからといって女性の生理の時に騒げば、これはとんでもない誤診になってしまうのに、政治の世界ではこの種の誤診が頻繁です。
藤原 東京大学の法学部だけが日本の代表で、それで日本を動かせるという明治以来の発想が、今の日本をこれだけダメにしてしまったのです。
藤原 私の専門の構造地質学の分野では、世界一の先生がレニングラード大学にいたのですが、ソ連政府の給費留学生試験に落ちてしまい、その次にいい先生がいるグルノーブル大学に行きました。 平野 津和野のご出身ですか。津和野藩は土佐藩と同じように幕末に、多くの人材を生み出したことで知られていますね。 藤原 その代表が西周でして、彼はライデン大学に留学して国際法を学び、軍人勅諭を作っています。平野その西周に英語を教えたのがジョン万次郎で、この二人は文明開化の日本に大きな影響を残しています。ということは、土佐の生まれの私と津和野出身の藤原さんが、こうやって出会いを持ったのも因縁であり、歴史は奇妙な形で繰り返すという証拠として、この出会いは実に貴重だということですね。 平野 そうでしたか。西先生は私と同じでフランス語をやったから、彼は英語が出来なかったので苦労したことでしょう。また、祖父の家には西先生の机という書見台があり、母が亡くなった時に郷土館に寄贈したが、机の裏面に「読書百遍、義自ずから通ず」と書いてあり、西さん特有の丸文字で墨書しているんです。 藤原 西周は幕臣で議会政治の精神を最も理解し、哲学や芸術という言葉を作った凄い知識人であり、ライデン大学で国際公法や哲学を修めている。 平野 だから、私もライデン大学に憧れたことがありまして、中学生の頃から『百一新論」を愛読したことで、全てが繋がって関連を持つことを学び、生理と病理が一続きであると理解できたのです。平野西周は明治における日本最高の知識人だが、軍人勅諭とか教育勅語などについては、もう一度きっちり検討し学び直す必要がある。結局は軍人勅諭を守らずに戦争にのめり込み、統帥権の独立などと言い出したために、軍人としての職務の間違いが始まってしまい、大日本帝国を滅亡させてしまったのです。 藤原 私が戦前に生まれていたら三宅坂の参謀本部か、海軍の軍令部での仕事が最も似合っていて、兵用地誌の専門家になったと思います。だが、構造地質学ではフランスで一番の先生がいたので、グルノーブル大学に留学した結果、地球の医者としての人生を歩むことになった。地球も社会も人間も生き物であるし、医者が専門にする健康を取り扱う学問こそが、結局は全ての学問の基盤を作っているのです。 平野 幼稚な質問になるかも知れませんが、ご専門の構造地質学というのはどんなことをやり、医者との対比ではどういうことになるのですか。
平野 だから、『さらば暴政」の精神分析は絶妙であり、特に安倍晋三に関しての記述は全くその通りです。世界から見るとこれだけ見通せるかと思い、全く凄いと感じて恐れ入った次第ですが、背景に精神病理学の応用があったのですな。 藤原 私が世界から眺めてこう観察したというのは、同じような眼力を持つ人には誰でも読み取れるわけです。こんな愚劣な人物を首相にしたことで、日本が国の尊厳と名誉を損なったという意味で、安部首相の誕生は実に情けない粗悪人事の見本になりました。 平野 藤原さんが本の中で良く論じているが、日本人は政治家を含めて「タコ壷」の住人です。だから、自分がいるツボの中だけで世界を考えて、精神的な鎖国状態にいることのために、「井の中の蛙」だという事実にも気づかない。 藤原 そうですね。それと共に、地質学は46億年の地球の歴史を扱い、タイムスパンが非常に大きい学問であるので、私には百万年などは一瞬の出来事だし、大局観で歴史の事象を相似象として捉えて、パターン認識を武器に自然を理解します。 平野 人間の皮膚の下の病状に等しい疾患で、地球における異常現象をビジネスにする。しかも、それが文明の発達だという壮大な歴史観は、地球の医者を自認する藤原さんならではのものだし、こんな文明理論は今まで聞いたことがない。 藤原 しかも、われわれが直面している情報革命について、日本人はもっと真剣に考えないと手遅れになる。アニメや携帯のゲームなどにうつつを抜かせば、一億人が情報化時代の文盲になってしまい、世界の後進国に成り果ててしまい兼ねません。 平野 文盲と後進国については異議があるが、政界の後進性については「わが意を得たり」ですよ。だから、私は平成無血革命を成功させることで、新しい政治システムを作る必要があると考えて、盛んにそれを訴え続けてきたのだが、誰もそれに対して共鳴してくれないために、いささか幻滅の悲哀を感じています。
(転載終わり)
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