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ネットで盛り上がる的はずれの「検察リーク」批判【ASCII】 http://www.asyura2.com/10/senkyo79/msg/156.html
ネットで盛り上がる的はずれの「検察リーク」批判【ASCII】 文● 池田信夫/経済学者 .検察は捜査情報を「リーク」しているのか 民主党の小沢一郎幹事長の元秘書などが逮捕された事件をめぐって、民主党がマスコミ批判を強め、「捜査情報の漏洩問題対策チーム」をつくって調査に乗り出した。 これに便乗するように、ネット上でも検察のリーク(情報漏洩)に対する批判が強まっている。しかし、このリークとは何だろうか。 読売新聞のサイトより。「関係者の話でわかった」という表現がなされている たとえば上杉隆氏は、「記者クラブにリークを繰り返している樋渡検事総長と佐久間特捜部長は堂々と記者会見で名前を出して話したらどうか」とテレビで発言し、それに検察が怒ったと批判している。 しかしリークが事実だとすれば、国家公務員法(守秘義務)違反である。 検事総長が違法行為をやっているとテレビで名指しするなら、その根拠を示すのが当然だが、上杉氏は具体的な証拠を何も示していない。 これでは名誉毀損で訴えられてもしかたがない。 たしかに政治資金規正法違反という微罪で逮捕するのは異例だが、検察がもっと大きな容疑事実をつかんでいる可能性もあり、起訴するまでは何ともいえない。 一般的には検察の捜査は非常に慎重で、ほとんどの政治家のスキャンダルは見逃されてしまう。 今回のように物的証拠のあがる事件は珍しいので、彼らが政治的なリスク覚悟で捜査することを非難するいわれはない。 捜査手法とリークは別の問題だ。 結果として検事しか知りえない情報が漏洩していることは事実だが、それは彼らが積極的に情報を教えている証拠にはならない。 事件報道では、事情聴取を受けた人や周辺の取材で情報を固め、「こういう情報があるがどうか」と捜査官に「当てて」反応をみて裏を取るのが基本だ。 捜査官も本当の捜査上の秘密は教えてくれないし、「きょうにも家宅捜索へ」といった「前打ち」は証拠隠滅のおそれがあるのできらう。 無理にやると、出入り禁止を食らうこともある。 検事と記者の間にはこうした緊張関係があり、司法クラブに所属しているからといって検事がホイホイと情報をくれるわけではない。 記者の側から情報を提供することも多く、何も情報をもっていない記者は捜査官も相手にしない。 今回のような大事件になると、記者は検事に1日中「ベタ張り」するので、一方的にリークするというよりおのずから「情報共有」されるというのが実態に近い。 表現の自由は守秘義務より重い そもそもリークを批判する人々は、どうしろというのだろうか。 上杉氏のように「検察は記者会見をしろ」という人が民主党にもいるが、厳格に解釈すれば、検事が捜査について少しでもコメントすることは守秘義務に違反する。 情報漏洩を批判している民主党が、捜査の最中に記者会見で捜査情報を明かせというのは矛盾している。 民主党の対策チームは「匿名の情報で報道することを規制するつもりはない」というが、それなら何のために騒いでいるのか。 野党だったとき、民主党はメディアの未確認情報や堀江貴文氏の「偽メール」のように根拠の怪しい情報にもとづいて政府を追及した。 その民主党が、政権についた途端に報道に干渉するような言動を繰り返すのは、ダブル・スタンダードである。 非公式の捜査情報の報道を禁じたら、政治家の疑惑は起訴されるまで何も報道できなくなり、野党は追及の材料を失うが、それは国民の利益になるのだろうか。 起訴される前から、いろいろな容疑が「関係者」の話として報道されることには人権上の問題があるが、それはリークの有無とは無関係である。 むしろ週刊誌やワイドショーのように、憶測で犯人扱いするほうが問題だ。 司法クラブの記者が検察のものの見方に同調する傾向はあるだろうが、それは報道の内容を批判すればいいことで、情報源の性格とは別の問題である。 匿名の情報にもとづいて報道するのは、記者クラブの是非とは無関係の問題だ。 ニクソン大統領を辞任に追い込んだウォーターゲート事件で、捜査情報を提供した「ディープスロート」と呼ばれる匿名の情報源は、当時のFBI副長官、マーク・フェルトだったことが後に判明した。 これは明らかに守秘義務違反であり、それを報じたワシントン・ポストの記者もその「共犯」だ。 やろうと思えば、彼らを逮捕して情報源を聞き出すこともできただろうが、米政府はそれをしなかった。 憲法修正第1条に定める表現の自由は、行政上の守秘義務より重いからだ。 ところが日本ではメディアが権力と闘って表現の自由を勝ち取った経験がないため、取材対象に配慮して報道を「おさえる」ことが多い。 メディアが捜査情報を報道することより、政治家に遠慮して疑惑を闇に葬ってしまうほうが重大な問題だ。 もちろん一方的な情報にもとづいて犯人扱いすることはよくないので、人権に配慮する必要はあるが、それは情報源が匿名か実名かには関係ない。 たとえ情報源に違法の疑いがあっても、それより大きな公益のために必要だと考えれば報道することがジャーナリストの使命である。 筆者紹介──池田信夫
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