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(回答先: 森田実『小沢政治は頂点に立った瞬間から落下を始めた。日本は「小沢政治」の終焉に向かっての混乱期に突入した』 投稿者 仁王像 日時 2010 年 1 月 17 日 08:35:37)
http://www.pluto.dti.ne.jp/~mor97512/C05986.HTML
2010.1.16(その3) 森田実の言わねばならぬ【39】
平和・自立・調和の日本をつくるために[39]
《新・森田実の政治日誌》[月満つれば欠く・小沢政治の終焉(2)]裏切られた政権交代〈その2〉鳩山首相への期待と失望
「正を以て国を治む」(『老子』)
鳩山内閣支持率の変化
多くの国民が、8.30革命といわれる総選挙による政治革命によって、日本の政治が、古い政治から新しい政治へ脱皮し、国民のための政治が行われることを期待したのは当然だった。2009年9月16日に発足した鳩山内閣の支持率は史上最高と言われた小泉政権と細川政権と並ぶ高さになった。
だが、鳩山内閣の高支持率は長続きしなかった。政権交代から4カ月を経た2010年1月、国民の鳩山民主・社民・国民新三党連立内閣への期待感は急激にしぼみつつある。過剰な期待は失望へと変わり始めている。その最大の理由は鳩山首相のリーダーシップ不足への不満にあった。多くの国民は、決断力のない鳩山首相に失望した。鳩山首相の首相としての資質に疑問を抱く国民が増えている。鳩山首相は、失言を繰り返したために信用を失った麻生太郎前首相と同類の政治家と見られるようになった。
鳩山首相の支持率の急激な低下の最大の原因は、鳩山首相のリーダーシップ不足だが、それだけではない。より大きな原因は、民主党政権に経済再生・景気回復・デフレ脱却を期待していた国民が、鳩山内閣に景気回復策がないことを知ったことにある。鳩山内閣には日本経済が深刻な危機に直面しているとの認識が欠けていることに大多数の国民が気づき、失望したのである。不況克服・経済再生は今日の政府の最大の課題である。鳩山内閣にはデフレ対策がなかった。2009年末、あわてて「新成長戦略」を発表したが、泥縄的対応では信用されない。
さらに深刻な問題がある。鳩山首相と小沢幹事長の「政治とカネ」の問題である。衆議院議員・鳩山由紀夫氏の政治資金団体の政治資金虚偽報告事件が表面化し、鳩山由紀夫氏自身が虚偽報告のあったこと素直に認めた。この素直さが一時的に鳩山氏を救った。民主党が2009年8月30日の総選挙で勝ったのは、鳩山氏が民主党代表に就任した3カ月半後のことだった。
政治資金規正法の規定により虚偽報告は違法行為であり、資金担当者は処罰を受けなければならない。だが、問題はそれだけにとどまらなかった。鳩山由紀夫氏が母親より巨額の資金援助を受けていたことが明らかになった。脱税容疑が発覚した。鳩山首相は母親から毎月1500万円の資金供与を受けていたのだ。これは「1500万円の子育て手当」と言われた。
しかし、この問題は、鳩山由紀夫事務所の弁護士と検察当局との間の交渉によって決着した。検察当局にとって首相は官僚組織の頂点に立つ上司である。追及はできなかった。一種の司法取引である。検察当局は鳩山事務所の会計責任者を起訴し、事務所の事務の総責任者を即決裁判によって処分した。さらに鳩山首相と母親の事情聴取はせず上申書で決着をはかった。鳩山首相が最もおそれた首相本人と母親への事情聴取は回避された。鳩山氏に対しては司法上の処分は行われないことになった。
鳩山氏の政治資金にからむ法律上の問題は決着した。「首相の立場にいる政治家は司法当局によって追及されない」ことが明確になった。鳩山首相は危機を乗り切った。
だが、このような司法当局の措置は多くの国民には甘い処分のように感じられている。国民の間にはこの司法取引に対する不満が残っている。
巨額な脱税容疑があれば一般国民は容赦のない取り調べと責任追及を受けるのに、鳩山氏は総理大臣であるがゆえに、甘い処分で決着したとの強い疑いが国民の中にはある。首相への甘い処分には世論が納得していないのである。この問題は、国会における野党側の追及によっては、再び国民世論の注目するテーマになる可能性を孕んでいる。また、2010年政治決戦の夏の参院選の行方にも影響を及ぼすことは避けられない。もしも、鳩山内閣への支持率の下落がつづく上、国民の生活がさらに貧困化し、経済状況が悪化すれば、参院選における民主党の優位は危うくなる。
鳩山内閣の今後を決定する最も重要な要因は経済である。日本経済が深刻な危機に陥ったとき、鳩山政権の政策全般が問われることになる。(つづく)