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菅直人首相による直接の要請を、「一兵卒」を自認する小沢一郎・元代表は拒んだ。衆院政治倫理審査会への小沢氏出席をめぐり、民主党内で飛び散る火花が激しさを増している。菅首相ら執行部は今後、小沢氏の招致議決、さらには離党勧告も視野に党内調整を進めるとされるが、果たしてどこまで本気なのだろうか。結局、腰砕けに終わるのでは、とシラけムードも漂う。
2010年12月20日、菅首相と小沢氏は首相官邸で約90分間2人で会談した。政倫審への出席を求めた首相に対し、小沢氏は「出席しなければならない合理的理由がない」などと改めて拒否する姿勢を示した。小沢氏は数日前に首相へ「けんか」を売っており、要請を受け入れるはずがなかった。
小沢氏「菅内閣が成立して以来、選挙戦はすべて連戦連敗」
菅首相の「拳」の行き先は? 「菅内閣が成立して以来、選挙戦はすべて連戦連敗」「このままで選挙戦(編集部注:11年春の統一地方選、さらには衆院解散も念頭にありか)を迎えると全国的に厳しい戦いが予想されます」。首相との会談の2日前の12月18日、岩手県内の会合で小沢氏はこうあいさつした。反撃ののろしを上げた様に聞こえなくもない。
一方、小沢氏への直接要請という「強気」の姿勢を示した形の菅首相だが、今後、招致議決までもっていくのは簡単ではない。当初賛成していた自民と公明が、小沢氏の17日の出席拒否発言を受け反対に回り、証人喚問を求める姿勢に転じたからだ。
さらに民主党の政倫審委員(17人)の中にも小沢氏支持の議員が複数いる。ちなみに、「小沢ガールズ」の中でも忠誠度が高いとされる三宅雪子議員も名簿に名前がある。彼らが野党議員と共闘して欠席すれば、議決の可否を決める政倫審開催そのものを阻止することも可能だ。「非小沢氏支持議員」とのメンバー差し替えの可能性も指摘されるが、実行しようとすれば一悶着ありそうだ。いずれにせよ政倫審の招致議決は簡単には行きそうにない。
招致を押し進めようとする執行部に対しては、小沢氏支持議員らが反発を強めている。党の両院議員総会開催を求める署名を集めており、すでに必要数の国会議員の3分の1に達したとの指摘もある。開催が決まれば、菅首相(党代表)らの解任動議が出される可能性もある。
両院総会の議事は過半数で決めることになっており予断を許さない。2010年9月の代表選で菅・小沢両氏が一騎打ちした際は、党員・サポーター票を含めた総合ポイントで菅首相が圧勝したが、国会議員票だけを見ると、菅首相が6票(12ポイント)多いだけだった。
小沢氏の強制起訴後に離党勧告?
小沢氏が支持議員らを連れて離党する可能性について、付いて行く議員らの数は多くないと見られている。このため、12月20日放送の情報番組「みのもんたの朝ズバッ!」(TBS系)や「スーパーモーニング」(テレビ朝日系)では、政治解説コメンテーターらが、小沢氏は党内に残って影響力を行使する方針だと解説していた。
菅首相らが小沢氏の国会招致を進める真意を巡っては、「小沢氏の強制起訴後の離党勧告を睨んだ環境整備」との指摘もあるが、「危険水域の2割台に落ち込んだ内閣支持率を浮上させるために『脱小沢』姿勢をとっているだけ」との見方もある。
支持率低下と野党との政策協議不調の原因について、菅首相周辺は、小沢氏の「政治とカネ」「説明不足」が一因だと強調し、小沢氏周辺は「問責決議を受けた仙谷由人官房長官のいなおり」が問題だと、互いに「敗因」をなすり合っている形だ。
ジャーナリストの鳥越俊太郎氏は、「スーパーモーニング」(12月15日)で、小沢氏の政倫審招致について菅首相が「本気で」取り組んでいると分析したが、「小沢さんとの決別を決意したのか」との質問には、「いや、そこまでは……どうですかね」と懐疑的な見方を示した。また、20日の「朝ズバ」では、杉尾秀哉・TBS解説委員室長は、「ここで(小沢問題の)カードを(菅首相が)切って決定的な事態になるより、カードとして残しておくという考え方もある」と指摘した。
菅首相は、拳を振り上げたもののその拳はそのまま――そんな中途半端な状態がしばらく続く可能性があるようだ。
http://www.j-cast.com/2010/12/20084009.html?p=all
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