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上西充子教授:労働時間規制の強化を前面に出しつつ緩和を同時にもくろむ
「働き方改革」一括法案を、日曜討論で野党が批判 !(中)
(b.hatena.ne.jp:2018年1/21(日) 22:21より抜粋・転載)
上西充子(うえにし・みつこ、1965年〜)・法政大学キャリアデザイン学部教授:
○通常国会:焦点は「働き方改革」
安倍首相、改憲論議に意欲 !
◆なぜ「働き方改革」関連法案は、対決法案となるのか ?
◆1月21日のNHK日曜討論で、各党代表が論戦 !
以上は前回投稿済みです。以下はその続きです。
☆【立憲民主党・長妻昭代表代行】
この法案には憤りを感じる。過労死のご遺族の方々も、この法案が通れば過労死は確実に増える、とおっしゃっておられる。私もそう思う。
特に最大の問題は、裁量労働制という、残業時間を一定の時間と決めれば、それ以上残業しても残業代を出さないでいいという、これを営業に広げること。これは、無制限に働くような働き方を推奨しかねないものであり、これは電通の悲願でもあった。
そういう働き方(裁量労働制の拡大)も(法案の)中に入れている、しかも(時間外労働の規制についても)1か月の労働時間100時間までOKだ、と(より正確には、時間外労働と休日労働をあわせて単月で100時間未満)。
こういうとんでもない話なので、我々は対案としてインターバル規制、この法律を出したい。
(インターバル規制は)ヨーロッパでは常識。退社してから出社するまで、最低11時間あける、これを確実に担保するような形でタガをはめたい。
裁量労働制を営業に広げるのは撤回していただきたい。
長妻氏の発言で注目されるのは、裁量労働制を営業に広げることについて撤回を求めていることだ。労働時間規制の緩和については、高度プロフェッショナル制度の創設に注目が集まりがちだが、高度プロフェッショナル制度の対象者には年収要件があるのに対し、裁量労働制の拡大については年収要件が設けられていない。
対象範囲にはグレーゾーンが広く、このまま法改正されれば幅広い営業職に裁量労働制が適用されていく恐れがある。
なお、裁量労働制の営業への拡大は電通の悲願でもあったという点は、長妻氏が2017年2月17日の衆院・予算委員会でも追及した問題だ。その質疑の様子は下記にまとめてあるので、ぜひご覧いただきたい。
電通が営業への裁量労働制の適用拡大を求めてきたのは、それによって違法状態を合法化し、会社としての責任を問われないようにするためであったのではないかと思われてならない。
●法人営業職への裁量労働制の適用拡大は、第3の電通事件を招きかねない
(上西充子) - Y!ニュース(2014年4月14日)
また、インターバル規制を含む対案を出すという意向が示されたことも注目される。インターバル規制は退社から出社までの間の時間を空けるものであるため、日々の健康確保に資するものだ。
月単位の上限規制だけだと、徹夜が続くといった問題には規制が及ばないが、インターバル規制だと規制が可能になる。
インターバル規制は、労働政策審議会の中で労働側委員を務める連合がかねてより求めてきたものだが、法案要綱では「努力義務」としてしか盛り込まれていない。これを「義務」にしようというのが、立憲民主党の対案のねらいだろう。
☆【希望の党・岸本周平幹事長代理】
基本的には長妻さんの言っていることと同じ。さらに、裁量労働制の、例えば年収ですよね、高いところだからいいじゃないの、1,000万もとる人とかいませんよ、と(ここで、それは「高プロ」の話、と隣の長妻氏から訂正が入る)。
高プロについて政令で(対象となる労働者の)金額が決められるもんですから(正しくは省令で決める)、法律じゃないんですね。
1,000万が800万、400万になってくる。実際、経営側はそれ(引き下げていくということ)を言っていたこともあったわけです。
もう少し法律でしっかり縛るという議論を。しかも法律を分けて(一括法案ではなく)。
(政府が出そうとしている働き方改革法案は)一本に束ねて、我々はどうするんだ、と。少しは賛成する部分があったとしても、賛成できない。
安保法もそうだった。一本ずつきちんと議論したい。また政令ではなく法律事項をきちんと決めていきたい。
1,000万というのは、高度プロフェッショナル制度の対象者を年収1,075万円以上の者に限定することが予定されていることを指す。
「経営側は言っていた」というのは、経団連が2005年の「ホワイトカラーエグゼンプションに関する提言」で年収400万円以上という額を示していたこと(p.13)や、1,075万円以上という対象範囲について、狭すぎるという声が経済界から繰り返し表明されてきたことを指しているだろう。
岸本氏は、「一括法案」という手法についても批判していることが注目される。
☆【民進党・川合孝典幹事長代理】
時間外労働の上限規制がかかるということ自体は、労働法の歴史の中でも画期的な取り組みであることは事実。他方、月100時間まで認めることがいいのかどうかについては、議論を深めていかなければいけない。
ただ、現状では青天井の時間外労働が、罰則つきの規制の枠組みの中に入るという意味では、その点ではやはり評価しなければならない。
他方、高度プロフェッショナル制度のように、「時間にとらわれない働き方」を一方で認めるということであるので、時間外労働を規制したいのか、労働時間にとらわれずに働かせたいのか、非常に相矛盾する状況になっている。
そもそもこの法律(高度プロフェッショナル制度の創設と裁量労働制の拡大を盛り込んだもの)は、別の法律として(2015年に)労働基準法改正案として出てきたものが、審議がなかなかできなかったものだから、ここへきて、(働き方改革関連法案と)ガッチャンコして一本の法律にしたということで、完全にこれは矛盾の状態になっている。
ここで川合氏が指摘しているのは、日本共産党の小池氏と同様に、労働時間規制の強化と緩和が同時に法律に盛り込まれており、相矛盾する、という問題だ。
また、川合氏が指摘しているように、高度プロフェッショナル制度の創設と裁量労働制の拡大は2015年の労基法改正案に盛り込まれていたものであり、反対が強く審議入りができなかったものである。
それを「働き方改革」の一括法案に「ガッチャンコして」盛り込んだ、という手法を批判している点は、希望の党の岸本氏と同様だ。
☆【社会民主党・又市征治幹事長】
この法案は一言で言えば、「毒まんじゅう法案」だと思う。残業時間の罰則つき上限とか、いくらかは評価していい内容が若干は入っているが、何のことはない、「残業代ゼロ」と悪名が高い高度プロフェッショナル制度を導入する、「定額で働かせ放題」の裁量労働制の対象の拡大をする。
労働者が求めていないものを、8本の法律にみんな、ガチャンコとまとめて、岸本さんもおっしゃるように、安倍政権、これ(一括法案)、大好きなんですね。安保法制も11本の法律を、みんなまとめて。
審議なんかまともにできやしない。今度も、賛成できる部分があっても賛成できないことになっている。
ちゃんと分離して、柴山さんね、これは(一つ一つの内容を)分離をして、しっかりと議論ができて、本当に労働者の働きがよくなる、残業規制がしっかりと行き届いていく、こういう法案に仕上げるために、与党は努力してくださいよ、よろしくお願いしますよ。
「毒まんじゅう」の「毒」として又市氏が指摘しているのは、高度プロフェッショナル制度の創設と裁量労働制の拡大だ。それを一括法案にまとめて成立させようとする手法を又市氏は批判し、一括法案化しないよう、与党に求めている。さて、与党はこの声にどうこたえるのか。
☆【自由党・森ゆうこ幹事長代理】
過労死は絶対おこしてはいけないことは大前提。働き方は、かつて、女性が家庭で専業主婦として家庭生活を全面的に責任を負い、男性は企業戦士として働く、その、かつての、そんなに長い期間でもないのだが、日本社会の働き方が、もう頭の中にこびりついていて、その発想から抜け切れていないのではと思う。
女性活躍もいいが、今のような働き方では家庭と仕事の両立は絶対できない。男性も女性ももう、ぎりぎりまで働く、どうやって結婚相手をみつけ、どうやって子どもを産み、育てることができるのか。
発想を完全に転換して、議論しなければならない。
又市さんがおっしゃったように、この二つ(労働時間規制の強化と緩和)を一緒にやるというのは絶対だめ。もっとしっかり議論しましょう。
森氏が前半で語っているのは、時間外労働の上限規制とは、過労死しないレベルに設定すればいいというものではなく、男女が共に働きながら家庭生活も営めるものであるべきだ、ということだろう。そのうえで森氏もまた、相矛盾する内容を含む一括法案という手法を批判している。
☆【自由民主党・柴山昌彦筆頭副幹事長】
これらの野党側の批判を受けて島田キャスターが、安全保障関連法の時も議論になったが、束ねてまとめて出した結果として、個別にばらして審議することができない、これはどうなんでしょう、今度の法案も今、各党から、賛成できる部分と反対する部分がいくつかあるんだから、一括の関連法案というやり方を変えてはどうかという提言があったと語り、自由民主党・柴山氏に見解を求めた。それに対する柴山氏の発言は次の通り。
これはですね、働き方改革という、要は、個々の労働者の方の「自己実現」を含めて、トータルとしての生産性を上げるということの、それぞれ、分割することのできない側面を表している、それぞれの規制なんです(野党側から異論の声)。
まず一つ言わせていただくと、岸本先生がおっしゃったような、高度プロフェッショナル制度の適用者について、きちんとした数字が出ていないということについては、これは法案要綱で「支払われることが確実に見込まれる賃金の額が平均給与額の3倍を相当程度上回る」ということを規定をしている。無条件にそれが引き下がるということはないと思っている。
長妻先生がおっしゃった裁量時間(裁量労働制のこと)の規制の範囲に営業の方が含まれるんじゃないかということですね、これも今、いろいろと調整をさせていただいているところで、営業の方がですね、長時間労働の犠牲にならないように、しっかりとすすめていきたいと思う。
トータルとして、働き方改革は、進めていかなければならない。「自己実現」のためにも、それが必要だということだと思っている。
前半では「専門性の高い仕事の中で、時間管理しきれない部分が広がっているのは、これは事実」と語っていた柴山氏が、ここでは労働者の「自己実現」を語っている。
これは、2017年3月の「働き方改革実行計画」に高度プロフェッショナル制度の創設と裁量労働制の拡大を盛り込んだ際に「意欲と能力ある労働者の自己実現の支援」という表現を使ったことを受けているのだろう。
しかし、労働者側が「自己実現」したいから労働時間規制を緩和してくれ、と求めているわけではない。
ところで営業への裁量労働制の拡大について、柴山氏が「今、いろいろと調整をさせていただいているところ」と語ったことは注目される。番組終業後に柴山氏は下記の通りツイッターでも「修正します」と語っている。
柴山昌彦:@shiba_masa
修正します。RT @aequitas1500:年収300万の外回りの営業も、人件費を抑えるべき「専門性の高い仕事」なんですか? 柴山さん。今回の法改正案ではそれが可能になりますが。
#働き方改革 #定額働かせ放題
参考記事… https://twitter.com/i/web/status/954926058419007490 …
14:59 - 2018年1月21日
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これはつまり、法案要綱の内容に修正を加えるということだろうか。
―この続きは次回投稿します―
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