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   衆院本会議で枝野幸男・立憲民主党代表が代表質問(上)
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投稿者 青木吉太郎 日時 2017 年 11 月 25 日 20:42:49: jobfXtD4sqUBk kMKW2Itnkb6YWQ
 


衆院本会議で枝野幸男・立憲民主党代表が代表質問(上)


(cdp-japan.jp:2017年11月20日より抜粋・転載)

衆院で11月20日、安倍総理の所信表明演説に対する本会議代表質問が行われ、立憲民主・市民クラブを代表して枝野幸男代表が質問しました。

1.はじめに

立憲民主党代表の枝野幸男です。

立憲民主党は、10月3日に結党した、2ヶ月にも満たない新しい政党です。
「このままでは、選択肢がない。私たちの声に耳を傾ける、受け皿を作ってほしい。」そんな多くの声をいただき、背中を押されて作った政党です。

特定の価値観を、上から押し付ける、トップダウン型の政治ではなく、国民の皆さんの、草の根からの声に支えられた、ボトムアップ型の政治へ。
日本の民主主義を、「右でも左でもなく、前へ」。「真っ当な政治」を取り戻したい。
私は、そう決意し、立憲民主党を立ち上げました。

先の総選挙は、結党から1週間で公示され、20日後の22日が投票日でした。
それなのに、比例区では1千万を超える票をいただきました。短期間で、こんなにも多くの皆さんに、ご期待をいただけるとは、正直言って思ってもいませんでした。

私自身も含めて、この国の政治が、国民の皆さんから、いかに遠くに離れていたのか。そのことに、いかに多くの皆さんが、苛立ちを感じておられたのか。
ご期待をいただけば、いただくほど、痛切に感じる選挙戦でした。

立憲民主党は、国民の皆さんにお約束したとおり、数合わせの権力ゲームと受け取られかねない、
永田町の内側を向いた政治ではなく、筋を通し、国民の皆さんと共に歩む「真っ当な政治」を、一歩ずつ進めて行きます。

2.立憲民主党が目指す社会

立憲民主党が目指す社会。
それは、「多様性を認め合い、困ったときに寄り添い、お互い様に支え合う社会」です。

「誰か人のために」と思ってすることが、巡りめぐって自分に返ってくる。
「情けは人の為ならず」という“ことわざ”があるように、私たちの社会は、そんな、寛容で、相互に支え合う社会であったはずです。

ところが、バブル崩壊以降、
「自由競争、規制緩和、自己責任」
こうした言葉が、政治の側からも含めて、繰り返し語られるようになりました。
結果として、行き過ぎた競争が、過酷な労働環境につながり、過労自殺や、スキー・ツアー・バスの事故など、悲惨な事態を招いています。格差の拡大と、自己責任に名を借りたエゴイズムが、社会を分断して、ヘイト・スピーチという深刻な問題まで生んでいます。

競争だけでは、社会は回らず、経済も発展しません。
公正で、公平なルールがあり、そのルールが守られている中で競争する。だからこそ、社会は安定し、発展します。
誰が、その公正、公平なルールを作り、守らせるのか。まさに政治の役割です。

誰にでも、自分の力だけではどうにもならないことが、必ずあります。今は勝ち組で、自分の力だけで生きていると思っている人でも、いつ、不慮の病気や事故に見舞われるか分かりません。政治は、そのときのためにあります。
自己責任を過度に強調してあおるとしたら、それは政治の責任放棄です。

立憲民主党は、本来の政治を取り戻します。
豊かさを、社会全体で公正に分かち合い、将来の不安を小さくしていくことで、社会の活力を生みだします。一人ひとりの違いを、互いに認め合うことで、それぞれの持ち味が発揮される、そんな社会を築き上げます。
こうした社会を作ることで、多くの人が幸せを実感できる。私は、そう信じています。

3.草の根からの経済再生

バブル崩壊以降、長期にわたる経済の閉塞状況の原因は、国民の所得を削り、中間層を激減させたことによる、個人消費の低迷にあります。
消費性向は、所得が高いほど低い。経済のイロハのイです。
中間層が減って、その分、貧困層が増えれば、購買力がないために、消費は減少します。高所得者がわずかばかり増え、さらに豊かになっても、限界消費性向が低いために、消費の大きな拡大にはつながりません。

消費性向の高い、所得の低い人から、所得の底上げを図る。そのことで、消費を喚起できます。
苦しい中で頑張っている人を支えるという、社会政策的観点だけではありません。消費不況を脱却し、経済と社会を活性化させるために、私たちは、分厚い中間層を取り戻すという、草の根からの経済再生を進めていきます。

【保育・介護等の賃金引き上げ】

待機児童の問題が深刻です。介護サービスも不足しています。背景には、低賃金による、保育士や介護職員の人手不足があります。
賃金も含めて、価格は、需要と供給のバランスで決まるのが、真っ当な資本主義経済です。需要に対して、供給が大幅に不足している保育士や介護職員などの賃金は、大幅に引き上がるのが当然です。
私たちは、限られた公的な予算、財源を、こうした分野の人件費に、最優先で回すことを強く求めます。

低賃金だった、介護職員や保育士の給料が上がれば、それが消費に回って、内需拡大にもつながります。出生率の上昇も、結果的に消費を拡大させます。老後の安心が高まれば、老後のための蓄えが、消費へと向かう可能性が出てきます。
景気対策としても効果的なのです。
災害復旧や、老朽化設備の補修など、公共事業の中にも、急ぐべきものが、確かにあります。しかし、優先順位の低い公共事業については、それを我慢してでも、介護職員や保育士など、「低賃金であるために、人手不足の、公的サービス分野」。この分野での、賃金引き上げを急ぐべきです。

【教育の無償化】

幼児教育の無償化は、社会全体で子どもの育ちを支援するという観点から、私たちも賛成です。
大切なのは、すべての子どもが等しく対象であるということです。親の年収や施設の種類で、限定や差異を付けるべきではありません。
所信表明でおっしゃった「全ての子どもたち」というのは、限定や差異なく無償化するとしか受け取れませんが、総理に確認します。

待機児童問題が解消されないままに無償化を進めれば、保育所に入れない人が、無償化の恩恵も受けられないという、二重の不利益を被ることになります。
待機児童問題の解決こそが先行すべきであり、そのためにも、保育士の賃金引き上げを急ぐべきです。
所信表明では、「2020年までに32万人分の受け皿整備」を進めるとしています。
しかし、これで本当に、待機児童問題が解消するとは思えません。また、具体的に、どのような手段で、受け皿整備を進めるのでしょうか。総理の見解をお尋ねします。

今53歳の私が大学生の頃にも、奨学金を借りていた同級生はいました。しかし、それは一部に限られていました。多くの人たちが、奨学金を借りずに大学に進学できた。そんな時代がわずか30年前ほどにありました。
意欲と能力がある子どもたちに、しっかりとした学ぶ機会を作ることで、未来を担う人材が育ちます。

高等教育の無償化に関して、いわゆる出世払い方式の奨学金を導入しようとしているとの報道があります。しかし、出世払いにしても、借金であることには変わりありません。大学の授業料や入学金は、大幅に上昇しており、借入れを要する奨学金の額そのものが大きくなっています。無償化の対象を、恣意的に選別するとの動きも伝えられています。
本当に、恣意的な選別なく、真の無償化が進むのか。その具体策について、総理にお尋ねします。

【労働法制】

格差が拡大している背景には、労働法制の、行き過ぎた緩和があります。
いつクビになるか分からない非正規などで、年収200万円以下の方が、1千1百万人余りいます。その結果、結婚して、家庭を持って、子どもを産み育てて。そんな夢すら持てない若者が、少なからず生まれています。
これでは、社会の活力が生まれるはずもなく、消費低迷や人口減少に、歯止めがかかるとは思えません。
加えて、この国には、「サービス残業」というおかしな言葉があります。残業代を支払わなければ、明白な違法行為、「違法残業」です。

働き方改革を言うならば、まずは、今の労働法制を厳しく守らせることが前提です。「サービス残業」という違法行為をやめさせ、過労死や過労自殺を根絶させるべきです。
違法残業がまかり通っている中で、残業代を払わない方向での法改正、いわゆる「残業代ゼロ法案」を進めるのは、まったく方向が逆です。

働いたら、その分だけきちんと給料がもらえる、真っ当な仕組みを。希望すれば正社員で働けるという、30年前には当たり前だった、真っ当な社会を。私たちは、粘り強く求めていきます。

正社員として働ける方向へ、民主党政権は、労働契約法を改正しました。期間従業員などが、同じ会社で通算5年を超えて働いた場合、無期雇用に転換できるという「5年ルール」の導入です。
ところが、この適用を受けないよう、社内ルールを変更した、大手企業の存在が明らかになりました。
制度の趣旨を骨抜きにするようなルール変更に対して、政府は厳しく指導すべきと考えますが、総理の見解をお尋ねします。

【一括交付金・戸別所得補償制度】

社会の下支えと底上げには、地方の活力を取り戻すことが不可欠です。
それぞれの持ち味を生かし、地方の活力を引き出す上で、地方の自由度がより高い、一括交付金を復活させるべきだと考えます。総理の見解を求めます。

また、地方の活性化には、農業政策が重要です。
政府は、「コメに対する所得補償交付金」を、平成30年から廃止すると決めました。稲作農家からは、不安の声が上がっています。
私たちは、地域社会と食糧安全保障、そして、水や緑を守っている農業の多面的機能を重視し、農業者戸別所得補償制度の法制化・恒久化を目指します。
この制度に対する総理の見解を求めます。

【多様性ある社会】

人口が減少する成熟社会において、社会の活力を維持するには、一人ひとりの個性を生かし、持ち味を発揮する、多様性こそが重要です。多様性は、一人ひとりの人権の問題であると同時に、社会の活力の源です。

そのためにも、夫婦別姓を選択できるよう、法改正を急ぐべきと考えますが、総理の見解をお聞かせください。

民間の調査によれば、日本におけるLGBT当事者は、13人に1人。
こうした皆さんの人生を守り、すべての人が、その性的指向や性自認によって、差別されることのない社会を作るため、私たちは、LGBT差別解消法の制定を目指します。
この問題は、政治家一人ひとりに対し、「あなたは、本当に、多様性の力を信じる立場にいるのか」という問いを突き付けます。総理の見解を求めます。

また、障がいを持った人も、安心して暮らすことができ、共に生きる社会に向けた象徴的な案件として、「手話言語法」の制定を急ぐべきだと考えますが、総理の認識をお聞かせください。

【金融政策】

日本銀行が掲げたインフレ目標は、5年近くが経っても、未だに達成できていません。輸出数量も、当初の見込みとは異なり、増えていません。
「ゼロ金利のもとでは、マネタリーベースを増やしても、物価は上昇しない。」このことが明らかになっていると考えますが、総理の見解を伺います。

【カジノ解禁】

政府は、カジノを成長戦略と位置付けているようですが、本気でしょうか。
カジノの解禁は、ギャンブル依存症を拡大させます。依存症は、当事者や家族にとってだけでなく、膨大な社会的コストを生じさせ、経済にもマイナスです。総理の見解を伺います。

やるべきことは、ギャンブル依存症を防止し、依存症からの脱却を支援することです。私たちは「ギャンブル依存症対策基本法案」を準備しています。
これについての総理の見解もお尋ねします。

−この続きは次回投稿します−





 

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