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立憲4党と語る、これからの日本:社会民主党編(上)
社民党はどういう政党? 社会民主主義という理念
社民党議員のバックグラウンド——なぜ安倍政権に反対なのか ?
「共謀罪」法案の廃案に向け、最後の最後まで闘い抜く(談話)
(shiminrengo.com:2017年5月24日 より抜粋・転載)
市民と立憲4党の共闘の原点は、尊厳ある個々人の暮らしを守るための「リスペクトの政治」。 そこから浮かび上がる日本の課題、また必要な政策対応はどのようなものなのでしょうか。 市民の声に応え、衆院選で確かなオルタナティブを提示するために、 立憲4党それぞれが構想する未来の展望をじっくり聞いてみました。
「社民党の理念は、『平和・自由・平等・共生』の4つ。これらの価値を踏まえ、自民党政権が進める新自由主義、新保守主義に対峙する」と、又市征治幹事長。
福島みずほ副党首は、「社民党の生活感覚に近い理念や政策を他の政党の人にも浸透させていきたい。野党4党だけではなく、もっと広がって行くようにしていきたい。例えば、保守の人たちに『あなたが支持してきた自民と、いまの安倍政権は全く違いますよ』と伝えて、市民のなかに仲間を増やしていきたい。実際に応援してくれる保守の人もいる」と意欲を燃やす。
国政における議席数では小政党であっても、要所、要所で存在感を示す社会民主党。その役割は、野党共闘の「接着剤」としてだけのものではない。
市民運動や地方政治の現場に常に近くあったからこそ、生活に根ざした政策アイデアで立憲野党を牽引できるか。
社会民主党の真価が、今こそ問われている。
◆社民党はどういう政党? 社会民主主義という理念
津田: こんにちは、ジャーナリストの津田大介です。本日は市民連合主催の「立憲4党と語る、これからの日本」の第三弾で、社会民主党の議員さんにインタビューをします。市民連合から岡歩美さんと一緒に、社会民主党幹事長の又市征治さん、副党首の福島みずほさんにお話を伺っていきたいと思います。
社民党は他の野党とどこが違うのでしょうか?また、どのようなことに力を入れて活動しているのでしょうか?
又市幹事長: 2006年に、社民党結党10周年ということもあって、網領的文書「社会民主党宣言」を採択しました。社民党は、社会のあらゆる改革を進めようとするあらゆる人々に開かれた国民政党として、日本における社会民主主義の理念を掲げています。その理念とは「平和・自由・平等・共生」の4つです。
この4つの理念を具体化するために様々な活動をしています。まずは自民党政権が進める新自由主義、新保守主義に対峙することが大切です。
津田: やはり社民党は小泉政権の構造改革に対してのカウンターとしてあったと思います。では、その社会民主主義のモデルとしてはドイツや北欧など、ヨーロッパなのでしょうか?
又市: 基本的にはそうです。社会主義インターナショナルというものがあり、日本では社民党だけが参加しています。国際的な社会民主主義の基本理念である「自由・公正・連帯」をもとに社民党の理念を考えました。
津田: 福島さんは政策や理念についてどんなことを考えているのですか?
福島副代表: やはり社会民主主義的価値の実現です。働いて、望めば子供を産んで、年をとる。これを安心してできる社会を目指しています。
公平な税制の実現、格差の是正、教育の無償化、雇用創出、十全な社会保障、労働条件の保護などが必要です。また、護憲、脱原発、沖縄の辺野古・高江の新基地建設反対も訴えてきました。
岡: それは私自身も共感できますし、市民の感覚とあっていると思います。
津田: 一方で、普段の社民党の活動が見えにくくなっているという現状があると思います。岡さんは社民党に対して、どのような印象がありますか?
岡: 社民党員はどのくらいいるのでしょうか? また、国会以外の地域での活動はどのようなものですか?
又市: 社民党員は約1万7000人、地方議員は約600人います。基本的には普通の生活をしながら、党員としては通常のビラ配りや署名活動に加えて、定期的に支部会議に出席します。支部会議では自分たちの身の周りに起きていることを持ち出して、どうやって対処すればいいのかを話し合います。
地域の人の声を聴いて、議会に反映させていくことを念頭に活動しています。
津田: いま世界的に情勢が変わってきています。テロの問題、トランプ政権の誕生やブレグジットがありました。そんな状況の中で、平和や、共生をどのように考えますか?
福島: まずは新自由主義と戦わなければいけないと思います。また、グローバリゼーションの中でも、排外主義にならないようにしなければなりません。
安全保障に関しては、尖閣などの問題があるからこそ、武力による威嚇ではない方法で解決しなければいけません。安倍政権は9条を変えると言っていますが、むしろいまこそ護憲が必要でしょう。
又市: 新自由主義は格差を生み出すだけです。アベノミクスに現れているように、大企業が儲かれば、おこぼれが一般庶民にしたたり落ちるという、トリクルダウンは起こりません。
だから一貫して経済がよくなりません。また働き方も酷いものです。
80時間が過労死ラインだというのに、100時間未満の残業というのは、「過労死しなさい」と言っているに等しいですよね。
また、平和の問題に関しては2001年に土井たか子さんが、「21世紀の平和構想」(土井ドクトリン)を出しました。そこでは、日本・韓国・北朝鮮・中国・モンゴル・ロシア・アメリカ・カナダで北東アジア総合安全保障機構の創設を主張しています。ここで何かあっても絶対に武力行使はしない。
特に日本・韓国・朝鮮・モンゴルは国連で非核地帯宣言をしよう、というものです。前年の南北首脳会談にも金大中(キムデジュン)と金正日(キムジョンイル)が非核化についての話をしていますし、そうした文脈の中で小泉さんは2002年に北朝鮮に行きました。こういうことをいまやらねばならないと思います。
いま北朝鮮について大騒ぎしていますが、わざわざ5月の初めに米艦の防護に自衛隊を防備で参加させる必要があったのでしょうか。軍事的な圧力で問題解決というのは時代に合いません。
中国も韓国も対話路線です。さらにはロシアも6カ国協議再開だと言っているのに、日本ではアメリカと一緒に軍事的圧力ばかりです。日本海でアメリカと北朝鮮の戦争が始まれば日本は集団的自衛権の行使をするでしょう。その際、
福井県の14基の原発にミサイル落とされたら、日本列島は崩壊です。
そういう状況になりかねないのです。それなのに今の政権は極めて無責任だと思います。
◆社民党議員のバックグラウンド——なぜ安倍政権に反対なのか ?
津田: いま安倍さんが憲法改正を主張しています。1項と2項を残して9条を変えると言っています。また、教育の無償化も突然言い出しました。これには反発も大きいですが、一方で上手いなとも思いました。
9条と自衛隊をめぐっては、法的安定性の問題もあるため、比較的国民の理解を得やすいと思います。この戦略に対してどのように論理的に反論するのかが、リベラル側に突きつけられた難しい問題だと思います。
福島: 安倍総理はそもそも憲法を理解していない。9条の1項2項に基づけば違憲のはずなのに、集団的自衛権を容認する安保法制を強行採決してしまいました。
その安保法制を合憲化するための3項になってしまいます。しかし、集団的自衛権を書き込むことや、自衛隊は具体的に何をするのかについてはごまかしている。
「変わらないですよ」と言いながら、戦争しない国から、戦争する国へ180度変わってしまいます。5月3日の安倍さんの会見は国民への宣戦布告でした。自分が本当にやりたいのは改憲で、戦後レジームから脱却したいのだと。それを2020年までにやると言っている。
又市: 自民党の9条の改憲案は非常に練られていると思います。国民の8〜9割は自衛隊を認めてもいいんじゃないかと考えています。ですから、それをそのまま憲法に書くというのです。しかし、実際に国民が認めているのは、災害時の救助や、海外でPKO活動をする自衛隊です。海外での戦争はダメというのが国民の意思でしょう。
教育の無償化も突然言いだしました。2010年に高校授業料無償化・子ども手当に取り組んだとき、「バラマキだ」と批判したのは自民党の方です。しかも、改憲しなくても財政措置で無償化にできます。「バラマキ」的に無償化を訴えているのは自民党の方です。
津田: 安倍さんはまさに現状の違憲状態を変えようとしていますよね。
福島: 政府も、集団的自衛権を行使する自衛隊は違憲であると考えていました。だからまず違憲のまま解釈改憲をした後で、合憲にしようというわけです。これでは順番が逆です。
津田: 次に、おふたりのパーソナルなことをお聞きしたいのですが、いまの思想を持つにいたった個人的なきっかけはなんでしょうか?
又市: 私は1945年生まれです。戦時中、父親が軍用トラックにはねられて、身体障害者になりました。1年後に富山空襲があり、母親が非常に苦労して育ててくれました。地域社会のなかで障害者に対する差別が酷かったのを覚えています。
そうやって、小さい頃から差別や戦争を、自らの体験として記憶しています。父が働けないため、貧乏のどん底で小学校5年から新聞配達や田んぼを耕して家計を助けなければなりませんでした。
親の反対を押し切ってアルバイトをしながら高校に通い、その後、県庁に入りました。ここではすごい経験をしました。1966年に公務員が初めてストライキをしたとき、3つの県庁に機動隊が導入されました。
そのとき先頭に立つのは青年部です。警察権力に蹴散らされました。その時、憲法に決められたことが守られないことにショックを受け、人生観が変わりました。ストライキは成功しましたが、みんな処分と弾圧を恐れて、バラバラになってしまいました。仲間をつくらねばと思い党に入りました。
津田: 福島さんは、もともと弁護士ですね。弁護士を始めたきっかけはなんだったのでしょうか?
福島: 私は中学生の時に、ジャーナリストか、小説家か、弁護士になりたいと思っていました。それで高校1年生のときに弁護士になることを決心して、大学は法学部に行きました。手弁当で社会活動をがんばっている弁護士を見て、あのように自分も社会を変えたいという気持ちがありました。
津田: 弁護士から、議員になったきっかけはなんだったのですか?
福島: 当時、土井たか子さんが行っていた、女性中心の集会に行きました。そこで握手してもらったことが嬉しかった。それまでは政治は男がやるもの、料亭で談合するものと考えていましたが、距離がぐっと近くなりました。それから土井さんの選挙の応援や法案づくりなどもやるようになりました。土井さんにはすごくお世話になりましたね。
そうして、1998年に立候補することになりました。弁護士もやりがいのある仕事でしたが、憲法や9条が変わってしまうなら立ち上がるしかないと、立候補を決めました。
津田: もともと社会を変えようと思ったきっかけはなんだったのでしょうか?
福島: やはり親の影響は大きいと思います。私の父は特攻隊の生き残りでした。予科練で訓練を受けており、戦争末期に若い時を過ごしました。8月15日になると、父が泣いているというのがショックだった。父から戦争の話をよく聞いていたので、戦争のできる社会にはしてはいけないと思いました。
−この続きは次回投稿します−
(参考資料)
「共謀罪」法案の廃案に向け、最後の最後まで闘い抜く(談話)
(www5.sdp.or.jp:2017年6月14日より抜粋・転載)
社会民主党幹事長 又市征治
1.事実上の「共謀罪」を新設する組織犯罪処罰法改正案は、参院法務委員会で審議されてきたが、13日の参考人質疑では、「政府の活動に反対する団体、例えば沖縄の基地建設や原発の再稼働、憲法改正に反対する団体の構成員や周辺者が、捜査機関によって日常的に監視されるようになる」(山下幸夫弁護士)、「戦前の治安維持法に対する反省から、刑法は行為がなければ処罰されないとされてきた」、「(共謀罪法案は)刑法の基本原則を変える立法だ。
賛成するわけにはいかない」(一橋大の村井敏邦名誉教授)などの懸念や反対の声が相次ぎ、更なる慎重審議が求められていた。にもかかわらず政府・与党は、本日中に、法務委員会での審議を打ち切る「中間報告」をもって本会議での採決を強行する意向を示した。
これは、委員会中心主義を否定し、議会制民主主義の死をもたらす禁じ手であり、良識の府・熟議の府としての参院の自殺行為に他ならず、断じて許されない。
2.よって野党4党は、急遽本日13時半、幹事長・書記局長・国会対策委員長会談を開き、政府・与党の暴挙を打ち砕くべく、内閣不信任決議案を含むあらゆる手段で徹底的に闘う方針を再確認した。
そして参院では金田法相及び山本国務相の問責決議案並びに本会議への「中間報告」の動議提出を受け入れた山本参院議運委員長の解任決議案を提出して闘う一方、衆院では内閣不信任決議案を提出して闘い、本日中の法案採決を阻止すべく、全力を挙げた。
3.「共謀罪」法案は、テロ対策を口実に摘発の網を広く市民社会全体に広げ、実行行為と犯罪結果があって初めて処罰する刑法の基本原則を根本から覆し、277の犯罪に当たる行為を「計画」し「準備」していると見なされれば、誰もが捜索・逮捕され処罰される可能性を有しており、思想・良心の自由(19条)、表現の自由と通信の秘密(21条)を侵す違憲立法である。
結果して”一億総監視・萎縮社会”を招来すると言わねばならない。したがって短期日のうちに国内の反対署名は153万筆以上にも上るほか、国連の特別報告者のジョセフ・ケナタッチ氏が公開書簡で法案に深刻な懸念を示し、14か国の環境や平和問題に取り組む142団体が「市民社会を抑圧し民主主義を窒息させる」と廃案を求める声明を発表し、国際ペンクラブのジェニファー・クレメント会長も「共謀罪は日本の表現の自由とプライバシーの権利を侵害する」との声明を発表するなど、国内外で日増しに批判が高まってきた。
これらを一顧だにしない、政府・与党の民意無視の暴挙は断じて許し難い。事態は極めて切迫しているが、平和と民主主義の擁護を求める院外の多くの市民の皆さんとの共闘を強化し、社民党はあくまで廃案を求め最後まで闘い抜く。 以上
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