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第27回党大会に対する中央委員会報告(第2回)
幹部会委員長 志位和夫
米国大統領選挙の結果と、トランプ次期政権について
(www.jcp.or.jp:2017年1月17日より抜粋・転載)
日本共産党第27回大会で、1月15日、志位和夫委員長がおこなった大会に対する中央委員会報告は次の通りです。
第1章(新しい政治対決の構図と野党連合政権)について
◆「『日本共産党を除く』の『壁』が崩壊した」という指摘をめぐって
◆「野党共闘はうまくいくか」――今後の闘いにかかっている
◆「野党連合政権」と「国民連合政府」
――真剣な協議で政権問題での前向きの合意を
第2章(世界の新しい動きと日本共産党の立場)について
◆核兵器禁止条約の画期的な意義――米国の「書簡」が示すもの
以上は前回投稿済みです。以下はその続きです。
◆二つの平和の地域共同体の意義――キューバとの交流から
決議案第6項は、「国連憲章にもとづく平和の国際秩序」の担い手として、東南アジア諸国連合(ASEAN)と中南米カリブ海諸国共同体(CELAC)という平和の地域共同体が形成、発展していることに注目し、これらの二つの地域共同体に共通している特徴として、次の三つの点をあげました。
第一は、「あらゆる紛争を平和的に解決するという立場を堅持していること」、第二は、「大国の介入を許さず自主性を貫いていること」、第三は、「非核地帯条約(宣言)を結び、核兵器廃絶の世界的な源泉となっていること」であります。
昨年12月、日本共産党は、フィデル・カストロ前議長の追悼集会に参加するため、代表団をキューバに派遣しました。そのさい、緒方靖夫副委員長がキューバ共産党のバラゲール書記局員・国際部長と会談する機会がありました。
キューバ政府と懇談する機会もありました。キューバ側からCELACの意義について、次のような説明があったことを、この機会に報告しておきたいと思います。
――一つは、紛争の平和解決についてです。「2014年、ハバナでのCELAC第2回首脳会談で採択された『中南米カリブ海平和地帯宣言』は、すべての首脳が署名した『最も意義深い決定』となった。これは、地域内の諸国間の紛争を、武力でなく対話により、平和的に解決することをうたっており、疑いなくCELACの根本方針だ」
――二つは、独立と主権についてです。「CELACは、この地域の諸国の独立と主権を将来にわたって保証するものだ。この地域はもはや米国の思惑通りにならない。すでに彼らの裏庭ではないのだ。
すべての国が、政治的、経済的、社会的、文化的体制を選択する権利を持っている。イデオロギーの違いにかかわらず地域統合をすすめる」
――三つは、核兵器廃絶についてです。「核兵器廃絶は、平和のなかでも特別に重視し、2013年から15年まで毎年のCELAC首脳会談で『特別宣言』を採択し、法的拘束力をもった核兵器禁止条約交渉開始への支持を表明している。この課題でともに協力していきたい」
決議案がのべた二つの平和の地域共同体に共通する三つの特徴――紛争の平和解決、自主独立、核兵器廃絶が、CELACの根本方針であることが生き生きと語られました。
決議案は、CELACについて、「個々の国ぐにの政権交代に左右されない共同体発足の歴史的意義が鮮明になっている」、「(その)意義は、何よりもまず、歴史的に『米国の裏庭』とされてきたこの地域を、米国から自立した地域に変えたことにある」とのべています。この決議案の指摘をそのまま裏付ける発言が、CELACの議長国を務めたキューバの党と政府から聞くことができたことを、報告しておきたいと思います。(拍手)
二つの平和の地域共同体の形成、発展は、北東アジアに平和と安定を築いていくうえでも、多くの示唆と教訓に富むものであります。日本共産党は、この未来ある流れへの連帯を表明するものであります。(拍手)
◆米国大統領選挙の結果と、トランプ次期政権について
決議案第7項は、アメリカをどうとらえ、どう向き合うかについてのべています。報告では、大統領選挙の結果と、米国トランプ次期政権について、二つの点にしぼってのべたいと思います。
大統領選挙の結果をどうみるか――「格差問題が米国政治の中枢に復活した」
一つは、大統領選挙の結果、トランプ氏の勝利をどうみるかということです。
決議案は、「アメリカ社会は、長年続いた多国籍大企業の利益を最優先するグローバル資本主義、新自由主義の経済政策のもとで、格差と貧困が広がり、深刻な行き詰まりと矛盾に直面している」とのべ、トランプ氏の勝利は、「アメリカ社会の陥っている深刻な行き詰まりと矛盾の一つの反映」と指摘しました。
この見方は、立場の違いを超えて、広く共通した見方となっています。米国の政治学者、フランシス・フクヤマ氏は次のようにのべています。
「今回の大統領選挙における本当のストーリーとは、『経済格差が拡大し、多くの人が経済停滞の余波にさらされた数十年を経て、アメリカの民主主義がついに問題の是正へと動き出した』ということに他ならない。社会階級(格差問題)がいまやアメリカ政治の中枢に復活した」。
トランプ氏は、この矛盾の打開の方策を示しているわけではありません。しかし、アメリカ社会が深刻な格差問題にどう対処するかをめぐって、重大な岐路に立っていることが、誰の目にも明らかになったのが、今回の大統領選挙だったことは間違いありません。
大統領選挙の民主党予備選で大健闘した「民主的社会主義者」を名乗るバーニー・サンダース氏は、自らの選挙戦をこう総括しています。
「私は、この国の将来について、選挙戦を始めた時よりももっと楽観的になって選挙戦を終えました」。「最終的には、この国には、支配者層の政治にとことん嫌気がさし、本当の変革を求めている、そのために立ち上がってたたかうつもりがある、そういう何百万もの人たちがいる、ということを私たちは示しました」。
「本当の変革」を求めてたたかうつもりがある何百万もの人たちが生まれたこと――ここにこそ、アメリカ社会の希望があるということを、私は強調したいと思うのであります。(拍手)
◆トランプ次期政権がどうなるか――いくつかの注目点について
いま一つは、トランプ次期政権がどうなるかという問題であります。まだ発足していない外国の政権について、あれこれと予断をもって断定することはできませんが、次の諸点に注目していきたいと思います。
1) ――一つは、アフガニスタン報復戦争、イラク侵略戦争など、破たんした軍事的覇権主義の世界戦略をどうするかであります。この点で、トランプ次期大統領が、昨年12月、「アメリカは核戦力を大幅に強化、拡大する必要がある」と発言したことは、世界に大きな衝撃をあたえました。
次期国防長官に指名されたマティス元海兵隊大将は、イラク戦争で民間人多数を殺傷したファルージャ作戦を指揮し、米国内の討論会で、アフガニスタンの「男の風上にもおけない奴(やつ)ら」について、「そういう人間を的にするのは死ぬほど愉快でした」と発言した人物であります。トランプ米国次期政権が、軍事的覇権主義を強め、日本に対して軍事的・財政的負担の強化を求めてくる危険があることを直視しなければなりません。
2) ――二つは、移民問題での排外主義など危惧される姿勢がどうなるかです。ここでも、トランプ次期大統領が、1月11日の記者会見で、「われわれは(メキシコとの国境に)壁をつくる」と明言したことは重大であります。次期国家安全保障問題担当補佐官に指名されたフリン元国防情報局長は、テロ問題でイスラム教を「癌(がん)だ」と呼び、人々がイスラム教徒を恐れるのは「当然のことだ」と発言してきた人物です。
次期司法長官に指名されたセッションズ上院議員は、不法移民の市民権取得に反対するだけでなく、合法移民の受け入れにも反対してきた人物です。この問題でも、米国次期政権の対応への強い危惧をのべないわけにはいきません。
3) ――三つは、格差と貧困の深刻化という問題にどういう政策でのぞむのかであります。トランプ次期政権の閣僚級17人の資産は合計で95億ドルに達し、これは米国の全世帯の下位から3分の1(=4300万世帯)の資産合計を超えるといわれています。これで「既得権益層」に切り込めるでしょうか。 トランプ新政権の動向を、強い警戒をもって、注視していきたいと思います。
いずれにせよ、日本政府は、これまでのような「日米同盟絶対」の硬直した思考では、いよいよ対応ができなくなるでしょう。
日本共産党は、これまでの異常な対米従属の体制を打破し、対等・平等・友好の日米関係を築くために、奮闘するものであります。(拍手)
◆中国について――「“社会主義をめざす国”といえるのか」
という疑問について
決議案第8項は、中国の国際政治における動向に、重大な問題点があらわれてきたことを、核兵器問題、東シナ海・南シナ海での力による現状変更をめざす動き、国際会議の民主的運営をふみにじる乱暴なふるまい、日中両党で確認してきた原則に相いれない態度――の4点について事実にもとづいて具体的に明らかにし、「今日の中国に、新しい大国主義・覇権主義の誤りがあらわれてきた」と厳しく指摘しました。
全党討論で、この指摘にかかわって、中国について「“社会主義をめざす国”――『社会主義をめざす新しい探究が開始』された国(綱領)といえるのか」という疑問が寄せられています。この疑問に対する答えは決議案のなかにあります。決議案では次のようにのべています。
「中国にあらわれた新しい大国主義・覇権主義が今後も続き、拡大するなら、『社会主義への道から決定的に踏み外す危険』が現実のものになりかねないことを率直に警告しなくてはならない」
「今後も続き、拡大するなら」というただし書きに注目していただきたいと思います。
第26回党大会に対する中央委員会報告でのべたように、私たちは、中国、ベトナムなどの現状を評価する場合に、何よりも重要になるのは、それぞれの国の指導勢力が社会主義の事業に対して真剣さ、誠実さを持っているかどうかにあると考えています。
そして、それをはかる基準としては対外的な関係――外部にあらわれた事実を評価するしかありません。つまり、私たちが対外的にこういう国ぐにの指導勢力と接して私たち自身が判断する、あるいはこれらの国ぐにが現実にとっている対外路線を分析して判断するしかありません。
1998年の日本共産党と中国共産党との関係正常化の時点では、わが党は、中国の体制の評価について「白紙の立場」でのぞむと表明しました。その後、わが党は、中国において「社会主義をめざす新しい探究が開始」されていると判断し、2004年に決定した新しい綱領にその立場を明記しました。この時点で、わが党が、こうした判断をおこなったことは、根拠があるものだったと考えています。
それでは今後はどうか。決議案で批判したような問題点が「今後も続き、拡大する」のか、それとも是正の方向に向かうのか。一定の長い目で今後を見ていきたいと思います。
1月12日、私は、党本部を訪れた中国の程永華大使と会談をおこないました。
程大使は、日本共産党大会決議案にあるいくつかの国際問題について、中国共産党の立場をのべました。それらについて、私は、決議案が明らかにしている見解と立場を、その背景にある事実関係も含めて詳しく説明し、その内容を本国に伝えるよう要請しました。程大使は伝えると応じました。
こうした形で、決議案の内容は、中国共産党にも率直に伝えたということを、報告しておきたいと思います(拍手)。言うべきことは直接に伝えるというのが、わが党の流儀であります。(拍手)
日本共産党は、中国が、戦後、国際政治の重要な民主的原則の形成に関与してきた国として、大国主義、覇権主義の誤りを真剣に是正し、国際社会の信頼をえる大道に立つことを強く願うものであります。(拍手)
◆欧米での社会変革をめざす新しい潮流
――欧州左翼党大会での交流から
決議案第11項では、欧米で、「格差・貧困の是正と平和を求め、選挙をつうじた社会変革をめざす、注目すべき新しい潮流が生まれている」ことに注目しています。
昨年12月、ベルリンで開催された欧州22カ国の左翼勢力26政党が加盟する欧州左翼党大会に、森原公敏国際委員会副責任者が参加し、欧州の各党と交流する機会がありました。日本の運動との「響き合い」という点で、二つの点を報告しておきたいと思います。
一つは、不況、失業、格差と貧困が広がるなかで、「個人の尊厳」が各国の市民運動の共通の根本的主張となっていることであります。
スペインでこの間大きく躍進している新政党「ポデモス」代表は、経済危機が引き起こした失業、貧困から、「人間の尊厳」を擁護することが「活動の原点」だと語りました。ギリシャで政権についた「シリザ」(急進左翼連合)代表は、「経済危機のために、電気、水道、食事も欠乏し、医者にもかかれない状況に陥った人々に対して、政治の責任として、人間の尊厳を守れと訴えてきた」と語りました。
わが国の野党と市民の共闘のスローガンは「個人の尊厳を擁護する政治」であります。洋の東西での「響き合い」があるではありませんか。
いま一つは、日本共産党に対する強い注目とともに、交流を求める声がつぎつぎに寄せられたことであります。
森原副責任者は、外国代表のなかで2番目に紹介され、発言しました。「野党と市民の共闘で参議院選挙をたたかい、成果をあげました。日本共産党自身も野党第2党に躍進し、重要な役割を果たしています」と発言すると、約300人が参加した会場全体から大きな拍手と歓声が起こったとのことであります。
スペインの「ポデモス」代表は、わが党との懇談で、次のように語りました。
「G7のなかで共産党が躍進しているのは日本だけです。スペインと日本は政治状況が違いますが、同時に、発達した資本主義国として共通性もあると思います。どのような共通性があるのか、大いに興味があります。日本共産党との意見交換は願ってもないことです」
「ポデモス」とは、双方の交流をすすめていくことで合意したことも報告しておきたいと思います。
(拍手)
ヨーロッパでは、グローバル資本主義の暴走と、深刻な経済危機のもとで、移民排斥を主張する右翼排外主義の潮流の台頭という事態も起こっています。社会進歩か逆行か。ヨーロッパもまた重大な岐路に立っています。
決議案は、わが党の野党外交の発展方向の一つとして、「欧米の進歩的勢力との交流と連帯を抜本的に強化する」ことを位置づけています。先方も、わが党との交流を強くのぞんでいることが確認できたことはたいへんにうれしいことであります。
たたかいを相互に交流し、連帯し、教訓を学びあう取り組みを大いにすすめたいと考えています。(拍手)
−この続きは次回投稿します−
*悪徳ペンタゴン:
日本の既得権益(原発マフィアも同類)とは、米国・官僚・大企業の三者をいう。
私はこれに、利権政治屋(自民党・公明党等の政治家)・マスコミを加えて、米・官・業・政・電の五者が、日本の既得権益であるとしている。
米・官・業・政・電は、ピラミッドの構造をしているというのが私の認識である。
ピラミッドの頂点に位置するのは米国である。
日本の司令塔、日本の既得権益の頂点に位置するのは、「米国」なのだ。
(植草一秀氏の説)
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