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中国株式市場の調整等のほか、安倍政権の超緊縮財政政策が
株価続落・暴落の一因だ !
NHK等が隠す、米国の対日収奪戦略と
戦略なき自民・自公政権の大失政 !
(「植草一秀の『知られざる真実』」:2016/01/20より抜粋・転載)
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1)年初来、日経平均株価は、暴落を続けて、
1月20日には16416円にまで下落 !
2016年が始まり20日が経過した。日経平均株価は、暴落を続けている。
日経平均株価は、昨年12月1日に2万円の大台を回復した。
チャイナショックから一時的には立ち直りを示した。ところが、これを転換点に再び下落に転換。
1月20日には16416円にまで下落した。
12月1日の終値20012円から3596円、18.0%の急落である。
株価下落の基本背景は、中国株式市場の調整であり、これ以外に、中東におけるサウジアラビアとイランの関係悪化などの地政学リスクの高まりも生じた。
2)株価下落の基本背景は、中国株式市場の調整等もあるが、
アベノミクスが経済見通しを大幅に悪化させている事もある !
しかし、原因はそれだけではない。
安倍政権の経済政策が日本経済の先行きに対する見通しを大幅に悪化させていることを見落とせない。
このまま、安倍政権が政策路線を修正さずに進むなら、日本経済は再転落。
株価は泥沼に舞い戻ることになるだろう。株価の下落は政権支持率を直撃する。
安倍政権に対する批判は急拡大して、夏の参院選で安倍政権与党は大敗することになるだろう。
政治刷新を求める人々にとって、安倍政権与党勢力が衰退することは望ましいことであるが、経済政策の失敗で国民生活が奈落に突き落とされることは望ましいことではない。
バブルの崩壊が始まって、丸26年の時間が流れた。
3)バブルの崩壊が始まって、26年経過、
「失われた30年」になる可能性大 !
「失われた10年」は「失われた20年」になり、「失われた20年」はいま、「失われた30年」になろうとしている。
日本経済が長期低迷を持続してきた最大の理由は、経済政策の失敗にある。
一言で言えば、経済が浮上しかける局面で必ず実施されてきた「政策逆噴射」が日本経済の浮上を破壊し、経済長期低迷をもたらしてきたのである。
この「政策逆噴射」を主導してきたのは財務省である。
財務省の病理=宿痾(しゅくあ)は、近視眼的な財政再建原理主義にある。
4)経済が浮上し始めると、財務省は、決まって超緊縮のブレーキ、
日本経済が再転落の繰り返しだ !
経済が浮上し始めると、決まって超緊縮のブレーキを踏み込む。
その結果、回復初期の日本経済が再転落する。
経済の再転落は税収の自然減をもたらし、景気低迷と財政赤字存続という、最悪の状況が存続してしまう。
財務省の病理が、日本経済の長期低迷の元凶であることを、日本の主権者ははっきりと確認しておく必要がある。問題は日本経済の先行きである。
2012年11月から2015年6月までの、日本株価上昇の時期においても、日本経済は浮上していない。上昇したのは、株価だけだった。
5)自民・自公政権・財務省の病理が、日本経済の長期低迷の元凶である !
大企業の利益だけが拡大し、大多数の労働者の賃金が減少した !
経済が浮上していないのに、株価が上昇したのは、生産の果実の分配に大きな偏りがあるためだ。
大企業の利益だけが拡大し、大多数の労働者の賃金が減少したのである。
それでも、株価が上昇していたから、ごまかしが利いた。
安倍政権と癒着する大企業が民間メディアの情報を誘導して、アベノミクスが成功しているかのような「情報操作」を展開したからだ。しかし、頼みの綱の株価が下落に転じると、救いようがなくなる。
日本経済が丸ごと転落することになる。
日本経済が悪化の方向に転じている最大の理由は、安倍政権の経済政策が、「超緊縮」の方向に確実に進み始めたからだ。この事実は「知られざる真実」である。
6)安倍自公政権・財務省は気づいていないが、
経済政策が、「超緊縮」になっている !
安倍政権も気付いていないだろう。財務省も気付いていない。
精密に財政計数を精査しなければ分からない「真実」なのである。
この「政策逆噴射」が日本経済を転落させる。
危機を回避するには、安倍政権が政策転換する必要がある。
しかし、安倍政権は、現実を精査していない。自分が何をしているのか知らないのだ。
7)安倍首相が無知のまま、消費税再増税に
突き進むなら、日本経済は、下落する !
知らないまま、無邪気に消費税再増税に突き進むなら、日本経済は間違いなくとどめを刺されることになる。そのリスクが確実に高まりつつある。
私は、日本の国家財政の推移を分析してきている。
財政政策は大きな振幅で「拡張」と「収縮」を繰り返してきた。
財務省の最大の失策は、日本経済が不況を脱出して、緩やかな浮上を始めると、必ず逆噴射のレバーを引くことだ。この政策逆噴射で、日本経済は何度も撃墜されてきた。
経済が緩やかに浮上し始めるときに、何よりも大事なことは、その自律拡大の芽を摘まないことである。
―この続きは次回投稿します―
(参考資料)
安倍政権・NHK等が隠す、バブル崩壊と
「失われた20余年」・デフレの犯人は誰か ?
NHK等が隠す、米国の対日収奪戦略と
戦略なき自民・自公政権の大失政 !
(1)バブル崩壊と「失われた20年」の原因・理由
@対外資産を円建てで持たない失政
日本は世界最大の対外債権国、つまり海外にお金を貸している。普通であればそれで国民はもっと豊かな安定した生活を送れるはずである。それがそうなっていないどころか、このように財政も金融もいわば滅茶苦茶であるのはなぜなのだろうか。
そこには目につきやすい小さな失敗を超えた何か「基本的な問題」があるのではないだろうか。それは日本にとって経済運営のきわめて大きい外部条件である円・ドル関係の矛盾である。
しかもそれを是正しようとせず対米政治関係を慮るばかりで「対症療法」を繰り返し、その挙げ句日本は深みにはまり、今やどうにもならなくなっているということである。
このような場合、かつての19世紀ビクトリア朝のイギリスがそうであったように、対外債権は基本的に自国通貨、つまり「円建て」で持つのが一般的である。
ところが日本の場合、具体的には大蔵(現財務)省が相手国通貨、
つまり「ドル建て」で持つとしたのは実に「運命的な決定」であった。
その以前、1971年にアメリカはドルの金との兌換義務(中央銀行間)を一方的に断ち切り、結局主な通貨は変動相場制に移っていった。
ドルもその中で単なる一通貨となったはずだが、その国際機軸通貨の座だけは離そうとしなかったのである。
それが今まで日本経済をおかしくしてきたという点で「原罪」なのである。
Aアメリカの策略「超円高攻勢」に大敗北
その線上で、1985年には日本が支え、信用しようとしていたドルの価値が半分になる「プラザ合意」が行われ、具体的な支え手であった機関投資家、つまりは日本国民の資産は「莫大な差損」を蒙った。
経常収支赤字を続けたアメリカは、当時対外債務を膨らませており、株式市場の不安定も、いわば当然だったのだが。
その後も日本は何とかドルの価値を維持しようと金利引下げや日米不均衡の是正に役立つという財政出動を対米融和策として続けた。
しかしその挙げ句、95年春には米クリントン政権に日米自動車協議とからめて「超円高攻勢」をかけられ、とりあえずここで日本経済の底が抜けた。
“対米債権を「ドル建て」で持っていたというのが、アメリカの攻勢が成功した本質”である。ドルへの配慮を最優先して円の小世界を放棄したという「原罪」がここでも祟っている。
Bバブル経済の発生と崩壊・ 米国の「対日収奪の策略」
に、はめられた愚かな自民党・官僚達 !
アメリカは95年から相対的ドル高によるマネー取り込みで株高の大ブームを作る政策に転換するが、日本はこのためにどこまでも金融援助を続けるよう「協力させられる」ことになった。
当時、日本経済の90年代の低迷をバブル崩壊と結びつけて、「失われた10年」と言われたりしていたが、実は失われたのは80年代からの「20年だ」ということである。
そして以後6年以上が経ったが、いかに変わろうとあくまでドルを支えるのだという以外の選択を否定する財務省(罪務省ではないか)の「思考停止」によって事態はますます「悪化の一途」をたどっている。
(2)米国の対日戦略・グローバル・スタンダードの美名
BIS基準・減損会計は、貸しはがし・貸し渋りの要因
@BIS規制のワナ
戦後以降、大きな政治圧力で日本の金融・経済を支配してきた、アメリカは、1980年代、日本からの資金流入にたよりつつ、同時に日本のマネー・パワーを抑え込もうという、相矛盾する動きが芽生えていた。
そのために「考案された装置」の1つが、銀行を対象にしたBIS規制(1988年7月G10で合意)である。
アメリカ・大企業の金融は「直接金融が中心」であるが、戦後、日本企業の金融は、「間接金融が中心」である。
たとえば1998年において、日本企業の銀行借り入れの対GDP比率は、110%なのに対して、アメリカでは15%に過ぎない。
このような「間接金融への過度の依存」状況が生じた一因としては、銀行保護のため、企業の社債発行要件が厳格に規制されていたことが挙げられる。
この結果、社債を取引する資本市場は発達させず、銀行が金融の仲介機能を一手に引き受けることとなった。
このBIS規制は、エサン・カプスタイン(米外交評議会研究主任)が分析・実証したように、日本の銀行の伸張を抑えようという、「アメリカの意図」よるものである。
「自己資本8%」という基準には、何の根拠もなかった。持ち合い株習慣のない、直接金融中心の、アメリカの銀行にクリアし易く、邦銀に難しい数字が8%であったにすぎなかった。
BIS基準は、アメリカと違う、この日本経済の特徴(間接金融中心、株式の持合が多いなど)を、「狙い撃ち」にしたのである。
米国・情報機関は、「ノーパンしゃぶしゃぶ事件」を誇大・集中報道させ、官僚を屈服させた。BIS基準以下になると銀行は、公的管理されるため、BIS基準・減損会計は、貸しはがし・貸し渋りの大きな要因になった。
A 会計ビッグバン・時価会計・減損会計のワナ
また、日本企業の特徴は、株式の持合がさかんであり、銀行・資産勘定には多くの持ち合い株式が含まれている。
「会計ビッグバン』による時価会計の完結編として、2005年度の決算から「減損会計が義務」つけられた。これによって、企業は、含み損を抱えている不動産や株式の評価額を大きく減らさなければならなくなった。
日本企業は、長い間、「含み益」を基にして、これに信用創造機能をもたせて経済繁栄を築いてきたのである。
日本の与党政治家、官僚、経済・政治・会計関係の学者など多くは、このアメリカの国益のための巧妙な、「意図・戦略」に気がつかず、グローバル・スタンダードの美名のもとに、従順に、BIS規制や時価会計を、安易に導入した。
(3)政府・自民党の国益を損なう選択とその甚大な影響
背景を精査すれば、1980年代の中曽根内閣(82年11月〜87年11月)による国際的な調和のための「構造調整」政策の核心は、日銀の協力を得て、“特に不動産バブルをまず発生させ、後に急激に破裂させることによって、日本の金融や経済を壊滅させる”ことであったと考えられる。
BIS規制の効果は、合意後、直ちに現れ、邦銀において、世界の国際シンジケート・ローンの組成規模が急速に縮小していった。
アメリカの戦略に乗せられ、日本の金融界と大蔵省は、国益を損なう、運命的な選択をしたことになる。
株高の維持こそが邦銀にとっての生命線となり、この政策決定は、バブル崩壊後の邦銀の苦難の道を準備することになったのである。
「円」ほど、強く切り上げられながら、リーダーシップを発揮できていない通貨も珍しい。金融当局は、早い段階で、ドル離れを実行に移せるように、さまざまな施策を練るべきであった。
ドルのみならず、マルク、ポンドあるいは金などにも「分散投資」を行うよう、金融界をリードすべきであった。
さらには、「円建て」による貿易や対外投資チャネルの形成など、「円を機軸」とする世界を構想すべきであったし、それは決して不可能ではなかった。
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