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正論:集団的自衛権を考える (第4回)
柳澤協二氏と伊勢崎賢治氏の対談レポート !
(www.magazine9.jp:2014年6月18日より抜粋・転載)
集団的自衛権と自衛隊(その2)
軍産複合体はペテンの戦争・戦争脅威で大儲けする !
柳澤協二さん×伊勢崎賢治さん:対談レポート
◆「軍隊がいるから安全」は一側面に過ぎない !
◆アフガン戦争やイラク戦争の「検証」を !
以上は前回投稿済みです。以下はその続きです。
◆アフガン戦争やイラク戦争の「検証」を ! の続き
伊勢崎: インターポールの範疇ですね。
柳澤: そうなんです。最近になってアメリカは、必要なのはこっちだろうということで、空港で入国する人の荷物チェックを厳しくしたりしています。
9・11テロ事件は「犯罪」だったという理解で、その犯罪を未然に防ごうとしているわけですね。
それを「戦争だ」という理解でアフガンに、そしてイラクに兵隊を出した結果、多くの米兵も犠牲になった。
9・11のときに貿易センタービルで犠牲になった人が2700人くらいなのに対して、アフガンとイラクでの米兵の死者数は約6000人です。
もちろん、その数だけで「正義」を決めるわけにはいかないけれど、少なくともそれは間違っていたという教訓として、ちゃんと受け継がれなければならないでしょう。
日本だってアフガンやイラクに自衛隊を派遣して、隊員には犠牲者を出さずに帰ってはきたけれど、帰国後にPTSD(心的外傷後ストレス障害)で自殺した人が30人ほどいるとも言われている。
僕だって、イラクで誰か1人自衛隊員が死んでいたら、今こんな元気よく話せていない、相当トラウマを引きずって生きていると思いますよ。
そういうことを、日本ももっとちゃんと検証しないといけないと思うんです。以前、ある新聞社の方にそう言ったら、「いや、うちの社は検証はしない。
なぜなら、自衛隊員が1人も死んでいないから」と言われたんですが、1人も死んでいないから検証しないなんてことを言ったら、次に起こるかもしれない「なくてよかった死」を防げないじゃないですか。
それに、自衛隊派遣以外の面でも、日本はアフガニスタンのDDR(武装解除・動員解除・社会復帰)に相当お金を出したりしていますよね。現地の警察官の人件費も出したんでしょう。
伊勢崎: そうです。まあ、「世界で一番腐敗した警察」とも言われているので、それもどうなんだろうとは思いますが(笑)。
柳澤: いずれにせよ、それがどういう効果を上げてるのかということは検証されるべきですよね。日本って何か、嫌なこと、まずいことは振り返らないみたいな文化があるのかもしれません。
かつての太平洋戦争、対中戦争も、東京裁判を経てA級戦犯が悪かった、軍部独裁が悪かったで済んじゃってるけど、なぜそういうことになったのかというプロセスが検証されてないですよね。
でも、嫌なこと、振り返りたくないことをあえて検証することで、次に起こるかもしれない「嫌なこと」を減らせるかもしれない。そういう文化がもっと必要だと思います。
◆安倍首相の掲げたパネルの「もう一つの嘘」
伊勢崎: 先ほど、柳澤さんは安倍首相の会見でのパネルを「あり得ない想定」といって批判されてましたけど、実はもう1枚のパネルがあったんですよね。
あれにも重要なごまかしがあるんです。ちょっとその話をしていいですか。
これは、日本のNGO職員や国連の日本人職員に対して、武装勢力が攻撃したときに、自衛隊員――ブルーヘルメットをかぶっているので、国連PKO部隊ですね――が駆けつけ警護をできない、それでいいのか、という話でした。
でも、これって根本的におかしいんですよ。僕は国連PKO部隊を統括した経験がありますけど、こういう話は、駆けつけ警護ではなくて、正当防衛の話になります。一つの国連のファミリーとして、文民の国連職員、国連と提携するNGOを敵から守るのは正当防衛なんですよね。当たり前です。
それとあと、日本の自衛隊だからといって日本人を優先的に保護するということは、国連ではあり得ません。
柳澤: それはそうですね。
伊勢崎: そういうことを議論すること自体が国連ではタブーです。国連ですから。同国人か否かで差別しちゃいけないんです。
例えばそこにいるのが自衛隊じゃなくて韓国軍でも、絶対に日本の国連要員を助けてくれるし、NGOについても国連に登録されているNGOであれば、どこの国の団体でも救出する義務がある。だから「自衛隊が日本人を助ける」っていうこの図自体が、どう考えても国連PKOの世界では不謹慎なんです。
ついでに言うと、今国際社会で問題になっているのは、こういう正当防衛のケースではなくて住民の保護です。
PKOがいたにもかかわらず100万人の虐殺を防げなかったルワンダに対する反省があって、国際社会には無辜の住民を「保護する責任」がある、という考え方が、国連でも主流になってきている。
自衛隊が参加している南スーダンを含め、PKOのマンデード(使命、権限)に住民の保護が含まれるのはもう、普通のことになっているんです。
この場合、住民が武装勢力にやられそうになったら、責任として助けなきゃいけないんですね。
それどころか今は、住民を保護するために武装勢力に対して「先制攻撃すべきだ」という声さえあります。コンゴのPKOでは実際にそれが行われて、しかも人権団体からさえ反対の声はあがりませんでした。
しかし、そういうことが行われるようになってくると、当然PKOに参加する国のリスクは非常に高くなります。
その中で、日本はどうすべきかという話をしたいんですけど――こうした住民保護、住民への「駆けつけ警護」は、ある程度の大きな部隊にしかできません。
ところが実は、PKOに大隊を出している国って、先進国にはあまりないんですね。ほとんどが発展途上国なんです。外貨が稼げるから。
柳澤: ああ、PKOに兵隊を送ると、兵士1人あたりいくら、という手当が国連から出るんですよね。
伊勢崎: そうです。だから、言い方は悪いですけど駆けつけ警護ができるような大部隊を出すのは、発展途上国の「お仕事」になっている。そこは彼らの領域なんです。
じゃあ先進国は何をするのかというと、司令部要員などの政治的な部分を担うわけです。
中でも、僕が個人的に自衛隊のイメージに一番フィットするんじゃないかと思っているのは、非武装の軍事監視団、停戦監視団です。これは、PKOの中でも一番重要な働きをします。
なぜなら、武装勢力とも対話をしなきゃいけないからです。
司令官クラスの軍人たちが、非武装でチームをつくって多国籍の軍事監視団を結成し、現地の武装勢力と信頼醸成をやっていく。
これは国連の本来の業務、非常に名誉ある仕事なんですよね。武装勢力にも「こいつらが言うならちょっと話を聞いてみるか」と思わせなくちゃいけないわけで、非常に高度な業務ではあるんですが…それを担うのは、クリーンなイメージのある自衛隊が一番いいんじゃないかと思うんですが、どうでしょう。
◆国連の本来業務である「非武装の停戦監視」を !
柳澤: 私も以前、ゴラン高原で国連兵力引き離し監視軍(UNDOF)に参加していた監視要員のサイトを視察したことがありますが、本当に丸腰なんですね。だからかえって抑止力があるのか、と感じました。でも、最近そういうPKO派遣のあり方は全然議論されてないですね。
伊勢崎: そうですね。僕のこういう発言が新聞などに載ると、「最前線に自衛隊を丸腰で送るなんて馬鹿なことができるか」といった批判が来るんですが、これは伝統的な、国連の本来業務だということを忘れてはいけないと思います。
そもそも国連というのは外交の場、戦争回避のための組織なのであって、武装した軍隊を派遣するPKOなんていうのは、近代的な発展形に過ぎない。
非武装での停戦監視こそが本体業務中の本体業務だということを、いま一度認識してもらいたいですね。
柳澤: ただ、ルワンダもそうですが、ああした虐殺、内戦による惨事はどうしたら防げるんだろうと思いますね。
結局は、PKOなども何かが「起きた後」にしか動けないし、当事者が解決するしかない問題なのかと思ってしまうんですが。
伊勢崎: 難しいですよね、「予防」というのは。
PKOは結局「火消し」に過ぎず、「火の用心」ではない。「火の用心」をやるとしたら多分、内政干渉だと言われないような形で内政干渉(笑)するしかないでしょう。
その国で人権侵害が起こってるとか、軍事費が不自然に増えてるとか、そういう話が出てきたら、援助国として、そこはかとなく、でも毅然と注意を促すとか、そういうことです。
そのためには、やはりこちら側のイメージが重要になるんですよね。例えば、アフリカ諸国では中東と同じで、まだ日本はいいイメージを保っているんですから、ODAなんかを活用して――中国に対抗するとか変な下心を出さないで――、そういうイメージを構築していくということをやってほしいんですが。
柳澤: たしかに、そうして日本の存在感を少しずつそこで浸透させていけばいいんでしょうね。
やたらとにかく自衛隊が出て、日本が何でもやれるような強い国になるということが、国際社会から求められているわけではない。それが一番賢い道なわけでもないということなんだと思います。
一度自衛隊を派遣すれば、そう簡単に撤収はできない
伊勢崎: 最後に、これは少し意地悪な質問かもしれませんが、南スーダンに自衛隊が派遣されていますよね。
派遣後、現地では政府勢力と反政府勢力との抗争が激化して、状況がどんどん悪くなりつつあります。
さらにこれが広がって本格的な戦闘がはじまったら、派遣時の法的根拠であるPKO協力法の「5原則」(※)が崩れてしまうことになるわけですが、もし柳澤さんが今官邸にいたとしたら、「撤収せよ」と言えますか。
柳澤: …言えないですね。PKO法の枠組みでは、停戦合意が崩れたら業務を中断しなくてはならないし、戦闘が恒常化するようなら撤収するということになっています。
法律上はそうです。しかし、日本だけが撤収するというのは、周りへの影響も非常に大きいし、やはり難しい。私が官邸にいたら、なんとか理屈をつけて撤収を引き延ばそうとしたでしょうね。
伊勢崎: 僕もそれが正しい道だと思います。自衛隊が一番先に撤収したら、世界中の人道団体から非難が来ると思いますよ。
柳澤: ただ、いくら撤収を引き延ばしても根本的な解決にはなりませんし、あとは状況任せというわけにもいきませんから、非常に悩んだでしょうね。
スーダンへの派遣は私が官邸を離れた後ですが、実は官邸にいたときも、なんとか自衛隊を出せないか、という話はあったんです。それに対する一番の「抵抗勢力」は防衛省でした。あんな物騒なところに部隊は出せないし、何の国益があるんだ、というんです。
防衛省が、一番そこのところを現実的に考えていました。それくらい、一度出しちゃったら引けないということなんです
伊勢崎: だから、そもそも大部隊を送ることの根本的な是非を考えたほうがいい。出しちゃったらもうしょうがない、少々の犠牲が出たからといってそんな簡単に引けるものではないんです。安倍首相の言う「積極的平和主義」についても、その観点を持った上で議論をしていくべきだと思います。
※PKO5原則…PKO協力法に明記された、自衛隊がPKOに参加できるための条件のこと。
(1)紛争当事者間で停戦合意が成立していること、
(2)当該地域の属する国を含む紛争当事者がPKOおよび日本の参加に同意していること、
(3)中立的立場を厳守すること、
(4)上記の基本方針のいずれかが満たされない場合には部隊を撤収できること、
(5)武器の使用は要員の生命等の防護のために必要な最小限のものに限られること、
の5項目である。
(構成・仲藤里美 写真・塚田壽子)
(参考資料)
軍産複合体はペテンの戦争・戦争脅威で大儲けする !
(blog.nihon-syakai.net/blog/:2008年05月01日より抜粋・転載)
1) 軍産複合体は、米国を、裏から操作して
戦争に向かわせて、利益を貪る略奪集団 !
『アメリカの共和党と民主党』14 ・・・
軍産複合体はペテンの戦争脅威で儲ける(3/3):
アメリカを裏で操作する軍産複合体、こうした、2度の世界大戦、冷戦〜テロ迄の流れを見てみると、軍産複合体とは、他民族を排除してでも利益を追求する為に生まれたアメリカで誕生し、戦争が無くなれば経済が停滞してしまうアメリカを、裏で操っては戦争に向かわせて、利益を貪る略奪集団そのものと言えそうです。
しかしこの軍産複合体に依存するアメリカの経済構造、政治への影響力が無くならなければ、アメリカは戦争を行い続け、他国に干渉し、その中で一部の軍需産業の利益の為に、世界中の一般市民が戦争の犠牲になり続けてしまいます 。
この軍産複合体の影響力は、今後のアメリカの動向を読み取っていく上でも重要な視点になりそうです。
現在、アメリカという国家には、大統領を含む国家安全保障会議、CIA、FBI、国防総省、陸海軍統合参謀本部、国務省、各国大使館、NASAがあります。
軍需産業には、軍用機、艦船、銃砲、核弾頭ミサイル、エレクトロニクス、宇宙産業がひしめき合っています。
この間に、軍事シンクタンク、全米ライフル協会、石油メジャー、兵器輸出ロビー上院下院議員、地元の労働者等、これらが渾然一体とした軍産複合体となり、莫大な金額が捻出され、もはや大統領には制御しきれない程の集団となっています。
2)軍産複合体を構成する 主な軍需企業と政党との繋がり
まず歴史を俯瞰すると、アメリカ国内における工業を中心とする企業は、一貫して共和党支持の元に発展しました。
しかし、金融資本の台頭等で大きくなるに従い、さらなる利益を追求しなければ生きていけない企業は、時代の流れに沿ってその都度その都度利益の上がる側の政党に支持や献金を繰り返します。
20世紀に起こった四大戦争を見てみると、実はいずれも民主党政権の時に起きており、メディアで言われるように一概に軍需企業は共和党だけを支持しているとは言えなさそうです。
確かに選挙等で支持基盤を得ようと思えば巨大な工場に膨大な雇用者(支持者)を扱っている軍需産業は蔑ろに出来ない存在 :roll: 。よって民主党でも軍需産業の影響は強く受けていると言えます。
3)巨大軍需企業の工場立地と、国からの予算は、完全に一致 !
―以下省略―
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