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ウクライナのコロナ政局インフレ !
植草一秀氏ブログ「知られざる真実」:2022年12月1日
2022年も年の瀬へ。師走を迎えた。2022年も激動が続いた。
2月24日にウクライナで戦乱が勃発した。戦乱はいまなお続いている。厳寒の時期を迎え、情勢に変化が生じるのか。しばしば用いられる,「国際社会」は、戦乱の長期化、拡大ではなく、一刻も早い戦乱の収束を目指すべきだ。しかし、米国を軸とするNATOとウクライナは,戦乱長期化・拡大を指向している。
昨年10月の衆院総選挙に続き、本年7月には,参院通常選挙が実施された。政治私物化の腐敗に陥った,自公政治を打破するために,野党の躍進が求められたが、野党にその気概はなかった。
自民党が,党勢を維持するなかで,一気に凋落の坂を転げ落ちたのは,立憲民主党だった。自公政治に対峙する,政治勢力と国民の大きな連帯を,構築しなければならないときに、立憲民主党は,野党共闘を攻撃の対象にした。野党共闘による政治刷新を目指す国民が,立憲民主党支持から一斉離脱した。主権者国民に見放された立憲民主党は,隠れ与党勢力である,維新の会にすり寄る醜態を示している。国民民主党に至っては,隠れ与党の正体を露わにして,政府提案予算案に賛成する,傍若無人ぶりを発揮している。
岸田首相は,3年間の国政選挙空白期を迎えて,「黄金の3年」「岸田の3年」を,手にしたかに見えた。ところが,参院選投票日の2日前に発生した事件が,流れを変えた。
「岸田の3年」は,「岸田の残念」に変わりつつある。
7月8日、安倍晋三元首相が,銃弾に倒れた。旧統一協会による,反社会的活動の被害者が、旧統一協会と関係の深い,安倍晋三氏に対して,怨恨の心情から犯行におよんだのではないかと,見られている。真相は,現時点で明らかではない。逮捕、勾留された山上徹也容疑者が,真の実行犯ではない,との見解も存在する。
この事件を契機に,自民党と旧統一協会の、深く、歴史的経緯の長い癒着関係に,光が当てられることになった。
岸田内閣の凋落が始動した契機は、7月14日の岸田首相による,国葬実施方針の決定だった。法的根拠がない、思想および良心の自由を侵害する、財政民主主義に反する、法の下の平等に反する,との主張が多数の識者、国民から提示された。同時に、反社会的活動が,問題とされる,旧統一協会と安倍晋三氏,ならびに安倍氏の父、祖父との深い癒着関係が指摘され、このなかで安倍晋三氏の国葬を,実施することの不当性が指摘された。
岸田首相は,世論の圧倒的反対を無視して,9月27日に国葬実施を強行した。「聞く力」よりも,「無視する力」が,上回ることが鮮明になった。
この問題に決着をつけることなく、2022年を終えようとしている。
実効性のある,被害者救済法制の整備、旧統一協会に対する解散命令発出要請を,政府が実行することが求められているが、少なくとも,解散命令発出要請は,2023年に先送りされることになる。
* 自民党政権の正体とは ?
*自民党一党支配をアメリカが長期的に支援
当時、マッカーサー司令部は、戦争犯罪の裁き(死刑を含む)と、厳しい刑罰の脅威を利用して、戦時経済体制の指導者たちをアメリカに感謝し、協力する友人に仕立てあげた。この方策は、ほとんどの場合奏功した。
このようにして、アメリカの政策に従順な日本政府の体質は、敗戦直後から着実に形成されていた。そして、CIAが1950~60年代に日本の保守政権の安定化を図り、自民党や「左派穏健勢力」に繰り返し「資金提供」していたことが、米国務省の機密文書公開で明らかにされている。
でも、現代の日本社会において、戦前の指導者たちの子孫・親戚が、政界・官界・財界で有力者の一角を占めているため、資金提供された個人名はほとんど公表されていない。戦争の総括を自民党ができなかったことについて、田原総一朗は、宮澤元首相に尋ねた時、「宮澤さんは『敗戦後の自民党の幹部は、ほとんど追放組ですよ。追放組とはA級戦犯の子分です。それまで使い走りをしてきた者が親分の総括なんかできるわけがありません』と苦笑いしていました。」と述べている。
*日本のマネーパワーを押さえ込む戦略
戦後以降、大きな政治圧力で日本の金融・経済を支配してきた、アメリカは、1980年代、日本からの資金流入にたよりつつ、同時に日本のマネー・パワーを抑え込もうという、相矛盾する動きが芽生えていた。そのために考案された装置の1つが、銀行を対象にしたBIS規制(1988年7月G10で合意)である。
アメリカ・大企業の金融は直接金融が中心であるが、戦後、日本企業の金融は、間接金融が中心である。たとえば、1998年において、日本企業の銀行借り入れの対GDP比率は、110%なのに対して、アメリカでは、15%に過ぎない。このような間接金融への過度の依存状況が生じた一因としては、銀行保護のため、企業の社債発行要件が厳格に規制されていたことが挙げられる。
また、日本企業の特徴は、株式の持合がさかんであり、銀行・資産勘定には多くの持ち合い株式が含まれている。「会計ビッグバン』による時価会計の完結編として、2005年度の決算から減損会計が義務つけられた。これによって、企業は、含み損を抱えている不動産や株式の評価額を大きく減らさなければならなくなった。
日本企業は、長い間、「含み益」を基にして、これに信用創造機能をもたせて経済繁栄を築いてきたのである。
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