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「新型コロナ」を好機に変えたプーチン大統領の強かさ ! (上)
「権威主義」と「フェイクニュース」の地政学
世界の感染者・死者の人数とは ?
(toyokeizai.net:2020/03/19 5:25)
廣瀬陽子・慶應義塾大学総合政策学部教授 :
◆権威主義体制の功罪 !
ロシアは欧州で大規模感染が広がってしばらく経った後の3月17日段階でも、感染例は114事例に押さえられており、中国と長い国境を接し、欧州とも接していることを考えれば、封じ込めにはかなり成功していると言ってよいだろう。しかも2月中は、感染例は2名にすぎなかったのだ。
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この封じ込めの背景にあるのは、ロシアの権威主義的な強権体制であると言ってよいだろう。ロシアは1月末から公共の場でのキスや抱擁を禁じ、2月に入るや中国・ロシア間の列車の運行の停止、中国からの外国人流入の一時的制限を発表し、20日には中国人の入国禁止が発効した。
中国との関係を重視して、中国人の入国制限になかなか踏み切れなかった日本、韓国とは違い、友好国である中国にも断固たる措置をとったロシアの姿勢は高く評価された。
また、ロシアは中国・武漢から避難した144人のロシア人に対しても、厳しい対応をした。移動はトイレもない軍機で、ロシア到着後はシベリアのチュメニ地区に14日間隔離された。なお、このような対応にも反発はとくになかったと報じられている。
その後も、各国で感染が広がるにつれ、韓国や日本の北海道便を停止したり、韓国、イラン、そしてイタリアをはじめとした感染が拡大している国からの入国を禁止したり、入国後に2週間の自己隔離を命じたりした。
なお、感染拡大国から帰国したにもかかわらず、2週間の自己隔離を行わなかった者については、厳しい罰則、具体的には最大5年の刑期を課すとし、徹底した封じ込め体制をとったのだった。
◆ロシアの新型コロナ対応は、かなり厳格に行われた
また、早くから会社レベルでも、海外出張を禁じたり、自宅勤務を推奨する措置が取られるなど、国民の危機意識も高かったと言える。
そして、3月初旬に医療用マスク、手袋、包帯、防護服の輸出が一時的に禁止され、10日から人々がラッシュアワーに公共交通機関を利用したり、ショッピングモールや公共の場所になるべく行かないようにしたりすることが推奨されるようになった。加えて、12日からは4月10日までの5千人以上の大規模なイベントが禁止され、企業が在宅勤務を認めるようになった。
そして14日には、ポーランドとノルウェーとの国境閉鎖が発表され、私立学校などに対しても2週間の休校かオンラインの授業にすることが推奨されるようになった。さらに16日には、18日から5月1日までの外国人の入国を原則禁止としたのだった。
このように、ロシアの国内外に対する対応は、かなり厳格に行われたと言ってよい。
概して、自由主義の国は、人の移動を重視することから、国境封鎖や入国禁止措置などは取りにくい傾向がある。それに対し、ロシアはそのような政策でもすぐに実行に移せたのは、権威主義のゆえということもできるだろう。
実際、ロシアに限らず、旧ソ連諸国はイランのような爆発的な感染拡大国に接するアゼルバイジャンやアルメニア、トルクメニスタンですら、感染数が低く抑えられており、アルメニアは最近、民主化傾向が強まっているとはいえ、ソ連的な統治が感染拡大の阻止には有効であるということがいえそうだ。
とはいえ、中国の事例を考えてみると、権威主義が必ずしもウイルス対策によいとはいえない面もある。
中国は、感染が拡大した後は、その強権体制を生かして武漢を封じ込め、パンデミック状態から予想より早く抜け出せたと発表している一方、ウイルスの感染が広がり始めた頃に、情報統制を行った結果、爆発的感染が広がったという事実もあるからだ。
◆フェイクニュース問題
このようにロシアは新型コロナウイルス問題対策には比較的成功しているといえるのだが、その裏で同問題の政治利用をしているしたたかな側面もある。その1つがフェイクニュースの利用であろう。
新型コロナウイルス問題では、ロシアを発信とするものに限らず、多くのフェイクニュースが世界を席巻している。世界保健機関(WHO)のテドロス・アダノム・ゲブレイェスス事務局長も「私たちはウイルスと戦っているだけでなく、トロールや陰謀説とも戦っている」と述べ、それらによる混乱が問題への対応を一層難しくしていると警鐘を鳴らしている。
また、デマが世界の混乱をより深刻にしている。
例えば、日本でもトイレットペーパーが買えなくなるというデマからトイレットペーパーなどの買い占めが横行し、○○度でウイルスが死滅するなどのウイルス対策情報が氾濫した。
このように、世界のネット上では、不安をあおったり、医学的根拠を欠く情報が無尽蔵に飛びかっている。WHOはこの状況を「インフォデミック(Infodemic)」として、信頼できる情報の入手が困難になっていると警告している。
それでも、フェイクニュースの世界における最大の脅威と見られているロシアには、早期から警戒の目が向けられた。
2月7日の『ニューズウィーク』の報道によれば、同紙は「アメリカ北方軍はロシアが新型コロナウイルスに関する虚偽情報を広めようとした場合に備えて、ロシア政府が運営する(またはロシア政府が発信元の)アカウントを監視している」ことが記載されたアメリカ防総省の機密文書を入手したという。
◆追跡・監視の対象とされている媒体
追跡・監視の対象は政府系のスプートニクおよび、RT(ロシア・トゥデー)、ロシア国防省系のテレビ局「ズベズダ」、およびこれらのメディアの各国語版(英語、スペイン語、フランス語、ドイツ語、トルコ語)などの各種メディアであり、これらはロシアの「シャープパワー」戦略の実行役として、かねてより注視されている媒体だ。
そして、文書には、ツイート数や「いいね!」数が多いアカウントや最もよく使われているハッシュタグ、キーフレーズ、最も多くの反響があった記事などが列挙されており、これらのツイッター・アカウントで1月28日から2月3日の間に最も多く使われたハッシュタグが「コロナウイルス」だったということも記されていたという。
なお、調査期間中に最も活発な動きがみられたロシア政府系アカウントは、RTのスペイン語版(1658ツイート)、スプートニクのトルコ語版(1122ツイート)とスプートニクの英語版(1046ツイート)だったとされる。
◆コロナ危機のターゲットにされたアメリカ !
そして、アメリカ国務省でプロパガンダ対策を担うグローバル・エンゲージメント・センターのコーディネーターであるリー・ガブリエル氏は、3月5日の上院外交委員会・小委員会で、新型コロナウイルスに関し、ロシアによる虚偽情報のエコシステムがフル稼働していると述べた。また同センターはロシアによって、「200万件の陰謀論」が拡散されているとも分析している。
実際、中国、イランと同様に、ロシアはアメリカを批判する論調を展開してきた。例えば、RTは新型コロナウイルスを「アメリカによる生物兵器」だと述べ、イランや中国の主張と歩調を合わせた。
また、2月26日には、ロシア自由民主党党首であるウラジーミル・ジリノフスキーが、アメリカが中国での新型コロナウイルスの蔓延の主な原因だと指摘し、「新型コロナウイルスはアメリカによる扇動行為だ」と述べ、「アメリカは中国経済に打ち勝つことはおろか、少なくとも中国と経済的に対等でいられないことを恐れている」とまで主張したのである。
また、ロシアはかねてより、旧ソ連の中では親欧米・反露路線をとるジョージアに対して懲罰的行為を取り続けてきたが、その一環で、アメリカの資金で運営されているジョージアのバイオ研究所である「ルガー研究所」に対する攻撃も行われてきた。
ロシアは同研究所が生物兵器の開発拠点だと主張してきたが、今回の新型コロナウイルス問題においても、その議論を復活させ、同研究所と新型コロナウイルスの関係を喧伝しているという。それにより、アメリカの国際的な信頼をおとしめるだけでなく、ジョージア・アメリカ関係にも亀裂を生じさせる効果が望めるというのだ。
加えて、新型コロナウイルス問題は、サイバー攻撃にも利用されている。例えば、バルト諸国に現地支局を置くメディア5社が、ロシアからと思われるハッキングを受け、「NATO軍の一員としてリトアニアに駐屯している米軍兵士らがコロナ罹患(りかん)との診断を受けた」という虚偽ニュースを掲載することになってしまったのである。
ロシアにとって、旧ソ連のバルト三国に駐留している米軍は深刻な脅威であり、このような危機の際にターゲットにされたということには十分な理由がある。
また、ロシアと厳しい関係にあるウクライナも被害に遭っている。例えば、ロシア連邦軍参謀本部情報部(GRU)傘下のハッキンググループ(2016年に米民主党全国委員会にハッキングした「APT28」や「Fancy Bear」などと呼ばれているグループ)と関連があるとされる「Hades」は、2月半ばに新型ウイルス関連のニュースを含む文書を同国保健省の公衆衛生センターを差出人と詐称する電子メールに添付し、マルウエア・ウイルスを仕込んで送信する標的型電子メール攻撃を行った。
それと同時に、新型ウイルス関係の大量のスパムメールがウクライナ中に送付され、SNSに同ウイルスの感染者が出たというメッセージが拡散されたのだ。さらにそれらを見た人々が、SNSで情報をさらに拡散させ、結果、各地でパニックが起きて、一部では暴動に発展したという。
また、一部の地域では、混乱が続くウクライナ東部からの避難者がウイルスを持ち込んでくるというデマも拡散し、病院が封鎖された例もあったという。
なお、3月4日に、プーチン大統領は国内での新型コロナウイルスの感染拡大について、連邦保安庁の情報として「外国が作ったフェイクニュースだ」と主張している。そして、17日にはモスクワに新型コロナウイルスに関する情報センターが開設され、同日、プーチンが視察した。同センターは内外の情報収集やインターネットでの偽情報拡散を予防するための監視を行うという。
(参考資料)
新型コロナウイルス、現在の感染者・死者数:
感染者398 万超、死者27.6 万人に
(www.afpbb.com:2020年5月10日 5:51)
発信地:パリ/フランス [ フランス ヨーロッパ ]
【5月10日 AFP】AFPが各国当局の発表に基づき日本時間10日午前4時にまとめた統計によると、世界の新型コロナウイルスによる死者数は27万6435人に増加した。
◆5月10日午前4時時点の感染者・死者の人数 !
中国で昨年12月末に新型ウイルスが最初に発生して以降、これまでに195の国・地域で計398万4960人余りの感染が確認され、少なくとも131万2900人が回復した。
この統計は、各地のAFP支局が各国当局から収集したデータと世界保健機関(WHO)からの情報に基づいたもので、実際の感染者はこれよりも多いとみられる。多くの国では、症状が特に重い患者にのみ検査を実施している。
9日午前4時以降、新たに4656人の死亡と8万7674人の新規感染が発表された。死者の増加幅が最も大きいのは米国の1643人。次いでブラジル(751人)、英国(346人)となっている。
最も被害が大きい米国では、これまでに7万7744人が死亡、129万7549人が感染し、少なくとも19万8993人が回復した。
次いで被害が大きい国は英国で、死者数は3万1587人、感染者数は21万5260人。以降はイタリア(死者3万395人、感染者21万8268人)、スペイン(死者2万6478人、感染者22万3578人)、フランス(死者2万6310人、感染者17万6658人)となっている。
人口10万人当たりの死者数が最も多いのはベルギーの74人。次いでスペイン(57人)、イタリア(50人)、英国(47人)、フランス(40人)となっている。
香港とマカオ(Macau)を除く中国本土で発表された死者数は4633人、感染者数は8万2887人、回復者数は7万8046人。
地域別の死者数は、欧州が15万5074人(感染170万7797人)、米国・カナダが8万2528人(感染136万5168人)、中南米・カリブ海(Caribbean Sea)諸国が1万8679人(感染34万1790人)、アジアが1万367人(感染28万4322人)、中東が7502人(感染21万8372人)、アフリカが2160人(感染5万9254人)、オセアニアが125人(感染8261人)となっている。
各国の死者数・感染者数は、当局による訂正やデータ公表の遅れがあるため、過去24時間での増加幅は前日の集計結果との差と一致しない場合がある。(c)AFP
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