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http://wiredvision.jp/news/201102/2011022519.html
ロシアのプーチン首相による政権が、独裁政権に対する抗議運動を評価しないことは理解できる。しかし、米国のテレビ番組司会者であるGlenn Beck氏が同じ意見を持っていることは少々驚きだ。さらに奇妙なのは、両者ともが、中東に広がりつつある抗議運動の背後に米Google社が存在すると主張していることだ。
ロシア副首相を務めるイーゴリ・セーチン(Igor Sechin)氏は22日(現地時間)、『Wall Street Journal』紙に以下のように述べている。
セーチン副首相はWael Ghonim氏のようなGoogle社幹部について言及しながら、「彼らがエジプトでしたことを見てほしい。Google社の幹部たちや、現地でいかに人々のエネルギーの操作が行なわれたのかを」と述べた。
[Wael Ghonim氏は、Google社の中東および北アフリカ担当マーケティング責任者。エジプトで民主化要求デモのきっかけになったFacebookページを匿名で作成、のちに政府によって拘禁、釈放されて「革命」の象徴的人物となった(日本語版記事)。
一方、米国のトーク番組司会者Glenn Beck氏は、米国政府に対するGoogle社の協力に関するダークな見解を広めようとしている。[Glenn Beck氏は保守派の司会者で、複数の著書もある。]
Beck氏は先週、同じ『Fox News』の番組司会者であるBill O'Reilly氏に対して、こう語った。「[Google社には、]文字通り――いや、文字通りではないものの――大統領と同じベッドやオフィスに出入りし、ホワイトハウスに協力している幹部が4、5人いる。Google社の2名のバイス・プレジデントが実際、エジプトの革命を扇動するのに関わったのであり、彼らはそれを誇りに感じているのだ」
Beck氏はその後、自身の番組の中で、視聴者たちにGoogleを使用しないことを勧めた。「私からの提言だが、宿題をやるときにはGoogleの検索を使わないように。Google社は政府と深く関わっているようだ。だからこそ、同社は他の国々から追い出されているのではないだろうか? 彼らは今まさに、米国政府の手先なのではないだろうか? Jared Cohen氏とは誰だ? 彼は一般市民なのか、それとも政府のスパイなのか? (Wael Ghonim氏に続いて)表立ってきた2番目のGoogle社の人物ではないのか? 彼こそ、革命の扇動者として現在表に出てきた2人目のGoogle社幹部だ」
[Jared Cohen氏は、米国務省のデジタル専門家として、YouTubeやTwitterといった新しいソーシャルメディア技術に対する政府内の理解促進を支援していたが、最近、Google社が開始するシンクタンク『Google Ideas』の責任者になった。1月から2月まではエジプトに滞在していた。
Google Ideasは、「テロ対策、急進派対策、核拡散防止といったハードな課題から、開発や市民への権限付与といった課題まで、あらゆるもの」を取り上げ、実践へ協力する「Think/do Tank」とされる。なお、Eric Schmidt CEOは、オバマ大統領を選挙戦時代から支持しており、現在は、大統領に技術問題に関する助言を提供する科学技術諮問委員会のメンバー。Google社とCIAが投資する「世界監視システム」についての日本語版記事はこちら]
「ワシントンのエリートたちが構想した世界的変化をもたらすために、政府がメディア、検索エンジン、ソーシャル・ネットワークとひそかに協力していることを、みなさんは問題に思わないのだろうか?」とBeck氏は語る。
Google社がそれほど強力な民主的革命の推進力であり――そしてそれが悪いものだったとは、誰が知っていただろうか。
[日本語版:ガリレオ-向井朋子/合原弘子]
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米国の伝統的な価値観を重視する保守派のトーク番組司会者Glenn Beck氏が、中東・アフリカ北部で連鎖的に発生している独裁体制国家での反体制運動に対してこれを言下に否定する主張を行なっている。彼によれば、これらの運動の背後には「ワシントンのエリートたち」が関与しているのだという。早い話がオバマ政権の下、CIAがGoogle社と協力して反体制運動を煽動しているというわけだ。しかしながら、そうした主張を裏付ける証拠は提示されていない。エジプトの反体制運動においてGoogle社の現地幹部であるWael Ghonim氏が一定の役割を果たしたのは事実である。エジプトの反体制運動が一旦下火になったとき、彼がTVのインタビューで語った言動が再び反体制運動に火をつける結果となった。だがこれをGoogle社の組織的な行動とみなす根拠は見つからない。むしろ彼の個人的な行動として説明することが可能だ。なにも組織的な陰謀論を持ち出す必要はないのである。
Glenn Beck氏は独裁政権が打倒されることを「望ましくない」と考えている。その理由付けとして持ち出されるのが反体制運動がCIA・Google社の共同の陰謀によって引き起こされているからということだ。では、CIA・Google社によってではなく、反体制運動が「自発的」に起こった場合、その運動を支持するだろうか。どちらも結果として独裁政権が打倒されることに違いはない。もたらされる結果に違いがないのに、CIA・Google社が関与していることを理由としてその結果を受け入れようとしない彼の態度からは、独裁政権打倒そのものには価値を見いだしていないようにみえる。そこにはGlenn Beck氏が有名な右派の人物であるという事情が影響しているのかもしれない。
今の米政府が民主党政権であるということがGlenn Beck氏の主張に反映されている可能性がある。彼はいう「私からの提言だが、宿題をやるときにはGoogleの検索を使わないように。Google社は政府と深く関わっているようだ。」と。もし、米政府が共和党政権であったなら同じことをいうだろうか。はなはだ疑問である。「Google社の陰謀」を主張することによって、民主党政権を攻撃しているとも受け取れる。
米政府が過激派の動向を探るためにGoogle社に協力を要請し、それにGoogle社が応えてCIAと共同でネット上のあらゆる情報を収集・分析するシステムを作り上げているという話しを聞いても私は驚かない。それは充分にあり得ることだからだ。しかしながら独裁体制を打倒するために「Google社の陰謀」が存在する、という主張には具体的な根拠が示されていない。
「Google社の陰謀」というと一部の阿修羅掲示板のファンが喜びそうな話題ではある。そうした人々には特徴的な思考が見て取れる。それはこういうことだ。「独裁政権が倒されると内戦になる」、「独裁政権が倒されると替わりに米国の傀儡政権ができあがり、国民は搾取される」。したがって「独裁政権は独裁政権のまま存在し続けるほうが良いのだ」と。こうした思考形態からくる主張は、かつてのビルマ軍事独裁政権に対する大衆闘争の際に阿修羅掲示板をにぎわした。そして今はリビアのカダフィ独裁体制に対する反体制運動にも同じような主張が見受けられる。そうした主張にはこう言おう。独裁政権を打倒した後にどのような政府を作るかは、その国の国民が決める事柄である。外国人があれこれ指図するのは余計なお世話というものだ。
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- Re:WIRED VISIONですか。ふーん。なるほど。 metola 2011/2/27 21:51:52
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