http://www.asyura2.com/10/kokusai5/msg/459.html
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中東・北アフリカで燎原の火のごとく広がっている「民衆蜂起」は、歴史の必然と見る。これらの地域の21世紀の幕開けを告げる素晴らしい現象である。
だが、この混乱に乗じて介入・誘導する勢力があってもおかしくない。彼等はそうするはずだ。
これらの「民衆蜂起」の主因が何で、副次的に伴った現象は何かという立場での論立てである。
まず、チェニジアを見てみる。Nスペによると、ある都市の果物を販売して生計を立てている露天商が警官に言いがかりをつけられ、商売に必須なものを取り上げられた。そこで抗議して言い合いになったが、露天商は絶望のあまりその場で抗議の焼身自殺をした。それを見ていた民衆が近くの役所を襲った。その映像がネットに流れた。
これが始まりだった(もちろんNスペがすべての手がかりを提供しているわけではない)。この映像を見たある女性は、心底怒り、心底悲しんだ。心底こんな社会・政治があってはならないという思いに火がついた。彼女はフェイスブックでこの映像を仲間に流した。これが瞬く間に広がっていった。
警官がいいがかりをつけて賄賂をとる構図はこれまでも茶飯事だったろう。しかし時代はネットの時代であった。溜まりに溜まった民衆のマグマの噴火口ができていたのだ。
エジプトの政変も明らかにチェニジアの政変の影響をうけて自然発生的に始まった。
ここまでの過程にアメリカや国際金融勢力が直接主導したとは思われない。その証拠も今のところないと思う。親米・親イスラエルのムバラク政権をアメリカが自ら積極的に主導して潰す必然性はないはずだ。
だが、ここまで民衆蜂起が拡大すれば、ムバラクを断固支持するなどと言えたものではない。国際世論も見ている。アメリカの伝統的な「人権外交」という建前もある。これで、ソ連や中国をさんざん揺さぶってきたのだ。
中東・北アフリカの前近代的な長期にわたる独裁政権を後押しできる時代ではない。だからオバマは曲折の末、ムバラクに即時退陣を求めた。軍部がムバラクに引導を渡したという田中宇の見解はおそらくそうだろう。氏はアメリカの意向を受けた軍部がと言っているが、果たしてそれだけであろうか。
軍部が木偶の坊でない限り、「ムバラクでは持たない」という独自の政治判断もあったのではないかと筆者は考える。軍部が早々とデモを抑えることをしないと表明したのは独自の判断ではないのか。
(このような事例は歴史的にもある。たとえば韓国大統領・朴正煕が側近の護衛官に射殺されたのは(1979.10.26)、国内各地に民衆蜂起が吹き荒れる最中であった)。
今やリビアも崩壊寸前である。さらに他国にも広がっていく。これらの一連の民衆蜂起がもっぱらアメリカや国際金融勢力の画策によるものとし、否定的に捉える見方は、「敗北主義」であり「民衆不信」である。「中東を戦乱と貧困の混沌に追い込むのが目的。シナリオを書いたのは国際銀行家グループ・国際金融資本」などと現時点で決めつけるのはあまりにもうがった見方で状況を撹乱するものである。あたかもこれらの民衆蜂起が無意味でバカげているかのようだ。この地域の人々の闘いへの冒涜といっていい。
だが、統一戦線も出来ないうちの急激な政権崩壊は、その後の政権立ち上げを困難にしているのも確か。ここによからぬ勢力が付け込むスキはいっぱいある。アメリカや金融勢力が介入し、自分たちの都合のよい政権が打立てられるよう画策・誘導してくるのも明らかだ。あとはこれらの地域の民衆の力と知恵と(目に見えない)介入勢力との戦いである。
以上の綱引きの過程で、「民主」というものに慣れていないこれらの国々の新しい政権が十分に民衆の負託に十分応えられないということはあるだろう。だが、一歩前進である。
ムバラクよりもカダフィ※よりも少しでもマシな政権ができればさしあたりそれで良い。南アのマンデラが27年もの牢獄生活から解放されたのち大統領の座についたのも歴史の流れであった。南アの現政権が万全なものとは言えないだろう。だが、昔日に比べれば格段の前進といって間違いない。
同様にこれらを足掛かりに次を目指していくのである。それが歴史の大方向というものだろう。
中東・北アフリカの一連の民衆蜂起は、これらの地域の21世紀の幕開けを告げる素晴らしい現象である(と思う)。
※(カダフィ大佐の前半生はアラブの英雄だったかもしれないが、今はまったく様変わりしていると思う。長くやり過ぎた。)
・「統一戦線」の現代的意義を問い直す
http://www.asyura2.com/09/dispute30/msg/362.html
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