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内田樹(著)『街場のメディア論』覚書 (文筆劇場)
http://www.asyura2.com/10/idletalk39/msg/118.html
投稿者 五月晴郎 日時 2011 年 1 月 02 日 22:18:28: ulZUCBWYQe7Lk
 

http://hiroya.web.infoseek.co.jp/
「文筆劇場」ジョン・スミスへの手紙 サイバー・ラボ・ノート (2833) 「内田樹(著)『街場のメディア論』覚書」から下記を転載投稿します。

=転載開始=

内田樹(著)『街場のメディア論』(光文社新書)を読了しました。

 予め断って置くと、本書の内容は「メディア論」からはみ出して多岐に渡り、毎度の"内田節"が展開されます。直接的には「メディア」とは関係のない箇所でも、非常に考えさせられる指摘が満載です。

 但し、ここではあくまで「メディア論」の書籍として、「なぜ、今日のメディアは危機的状況を迎えているのか?」という問題提起と、「では、どうすればいいのか?」という解答部分を中心に紹介致します。

 まず、著者が今日のメディアに関して感じている問題意識は、おおよそ、以下のような点です。 

 [引用開始]

 ジャーナリストの知的な劣化がインターネットの出現によって顕在化してしまった。それが新聞とテレビを中心として組織化されていたマスメディアの構造そのものを瓦解させつつある。(本書P38)

 メディアの「暴走」というのは、別にとりわけ邪悪なジャーナリストがいるとか、悪辣なデマゴーグにメディアが翻弄されているとかいうことではありません。そこで語られることについて、最終的な責任を引き受ける生身の個人がいない、「自立した個人による制御が及んでいない」ことの帰結だと僕は思います。(本書P94)

 メディアが急速に力を失っている理由は、決して巷間伝えられているように、インターネットに取って代わられたからだけではないと思います。そうではなくて、固有名と、血の通った身体を持った個人の「どうしても言いたいこと」ではなく、「誰でもいいそうなこと」だけを選択的に語っているうちに、そのようなものなら存在しなくても誰も困らないという平明な事実に人々が気付いてしまった。(本書P96)

 「読者は消費者である。それゆえ、できるだけ安く、できるだけ口当たりがよく、できるだけ知的負荷が少なく、刺激の多い娯楽を求めている」という読者を見下した設定そのものが今日の出版危機の本質的な原因ではないかと僕は思っています。(本書P130)

 [引用終了]

 一言で言えば、「知的な劣化」。これが著者が考える「メディアの危機」の本質だというわけです。

 僕自身は、この見方に全面的に同意します。

 TVをつければ、くだらない番組が垂れ流され、新聞では自作自演の"世論操作"がトップニュースとして報道され、書店に行けば、くだらないベストセラーとその二番煎じの書籍が溢れている。

 そこには「どうせ視聴者、読者はバカだから」という制作側の意識が透けて見えます。

 僕自身、TV番組は、NHKオンデマンドで見る価値のある番組しか見ません。新聞はデータベースを利用し、紙の新聞は読んでいません。本の購入は、殆どがAmazonです。

 特に危機的状況だといえるのが、「読売新聞」です。いまや「読売新聞」は、ファミリーレストランで無料で散布されています。もはやフリーぺーパーです。

【写真】フリーペーパーと化す「読売新聞」

 以前は、店員の方が「新聞を読みますか?」と確認してから配っていたのですが、いまやそんなことにはお構いなしで、全席にばら撒いています。

 ではメディアはどうすればいいのか。対策は当然、問題意識の裏返しになります。

 つまり、自立した個人が最終的な責任を引き受け、読者に対する敬意を払い、「知的に価値があり、どうしても言いたいこと」を言う。突き詰めれば、そうなります。

 尚、著者自身は、このことを以下のような言葉で記しています。

 [引用開始]

 メディアの威信を最終的に担保するのは、それが発信する情報の「知的な価値」です。古めかしい言い方をあえて使わせてもらえば、「その情報にアクセスすることによって、世界の成り立ちについての理解が深まるかどうか」。それによってメディアの価値は最終的に決定される。(P38〜39)


 どうせ口を開く以上は、自分が言いたいことのうちの「自分が言わなくても誰かが代わりに言いそうなこと」よりは「自分がここで言わないと、たぶん誰も言わないこと」を選んで語るほうがいい。(P103)

 メディアの「危機耐性」とは、端的に言えば、政治的弾圧や軍部やテロリストの恫喝に屈しないということです。その抵抗力は最終的には「メディアには担わなければならない固有の責務がある」という強い使命感によってしか基礎づけられない。(P45〜46)

 [引用開始]

 既に気付いている方が多いと思いますが、上記のような問題と対策は、"既存のマスメディア"にだけでなく、個人のウェブサイトやブログに対しても当てはまります。

 また、現代社会では、殆どの人が「情報を発信する」という機会を持ちますが、そのような局面でも、思い出したい原理原則です。

 本書では、電子書籍などタイムリーな話題も取り上げられていますが、技術系の話題にはあまり踏み込んでいないので、その方面の話を期待する人にはあまりおススメでません。

 ただ、普段から「メディアとはどうあるべきか」という問題意識を持っている人にとっては、色々と得られる知見と考えさせられるところの多い書籍だと思います。

 尚、全くの余談ですが、僕は昨年の大晦日、本書を品川駅構内の書店で買って、新幹線の中で読み始めたところ、名古屋駅到着とほぼ同時に読み終わりました。
 
 (以上、2000字)

 山田宏哉記

=転載終了=


 

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コメント
 
01. 2011年1月02日 23:54:05: zPPxnDtTZ6
http://hiroya.web.infoseek.co.jp/john2833.htm
ですね。

02. 五月晴郎 2011年1月03日 00:10:00: ulZUCBWYQe7Lk : ZMbmXo037I
>>1
有難うございます。

すいません。>>1で御指摘のURLの訂正いたします。


03. 五月晴郎 2011年1月03日 00:40:57: ulZUCBWYQe7Lk : ZMbmXo037I
また間違えました。

X 御指摘のURLの訂正いたします。
         ↓
○ 御指摘のURLに訂正いたします。


04. 2011年1月04日 19:59:10: ZWmD2jl7As
正直いってわたしはあたまが悪いせいか、あたまの悪い人の文章がよくわからない。
しかし、頭が悪いのでその頭の悪さを補ってくれる頭のいい人の文章は不思議にすんなり頭に入る。
どうか、内田樹氏のような頭の悪い人の文章ではなく、もっとわかりやすい文章、つまり
もっとまともな頭のいい人の文章をお読みになり、また、貼り付けるようにお願いします。

巷間では内田の文章はそれを読む人の頭の悪さを測るバロメーターといわれています。
内田のあの文章に感激するのはたいがい頭の働きが鈍い人であると、そう断言するひともいます。
そうすると、わたしの頭はあまり悪くないのかも知れませんね。wwww


05. 五月晴郎 2011年1月05日 00:07:53: ulZUCBWYQe7Lk : ZMbmXo037I
この記事は山田宏哉氏の文章です。
内田氏の文章に感激して書いた文章でもないようです。
文章自体には性格が出ると巷間言われています。

06. 2011年1月06日 15:20:38: 0EopofEgjc
だけどこれって、マスゴミ以外の一般民間企業にも言えてるよね。
どんな企業も会社員もやれ数字だ、売り上げだ、収入だばっかで、
自分たちの企業として、社会人としての社会貢献なんか二の次だもんね。
公務員も然り、どこも一緒だよ。
メディアは単に攻撃しやすいだけ。
だってどんな会社だって、金儲けが一番大事なんだろ?

オレも含め、みんな同罪なんだろうなぁ。
こんな世の中にしちまったのって・・・


07. 2011年1月06日 15:31:49: 0EopofEgjc
>>06だけど
オレのコメ、全然意味不明だねw

この投稿は、端的に言えば「腐りつつあるメディアの現状と問題」だよね。
オレが言いたいのは、「腐りつつある社会全体の現状と問題」ってこと。

全て同じ根の問題を抱えてる。


08. 五月晴郎 2011年1月06日 17:32:28: ulZUCBWYQe7Lk : ZMbmXo037I
私は、記事の↓の言から「同じ根の問題を抱えてる」というか

>そこには「どうせ視聴者、読者はバカだから」という制作側の意識が透けて見えます。

「どうせ○○○、○○はバカだから」という確信を持っているように見えるキャバ嬢、弁護士、○○屋さん・・・等々が増えたのを連想しました。

で、私の対処法は相手にしないというか適当にしか相手にしない、これしか現実にないわけで。
懲らしめてやろうとかは先ず思わない。
そうしたメディアに対しても同じですかね。


09. 2011年1月07日 19:04:54: 0EopofEgjc
>>08

そういう事だよね。
もしかしたら、知らず知らず自分自身も同じ過ちを犯してるかもしれないし・・・

そういう自分に気付くところから始めなきゃダメなのかもしれないね。

ところで話は逸れるけど
>>04
アンタよっぽどお頭がいいらしいなw
さっさと一人でもっとレベル高いとこへ行けよ、ウザい奴www


10. 2011年1月09日 17:51:29: KCEDRkC4Rk
04だが、図星だったようだな。
あははは。

11. 五月晴郎 2011年1月09日 18:31:31: ulZUCBWYQe7Lk : ZMbmXo037I
はい、御悧巧様でございますね。

12. 五月晴郎 2011年1月09日 18:53:18: ulZUCBWYQe7Lk : ZMbmXo037I
>>4のようなすんばらしい論理をもった文がすらすら書け、>>10のような機知に富んだコメントが出来る御悧巧様になるには、どうしたらいいのでしょうか。
オレンジの皮のたっぷり入った美味しいお洒落なママレードとか、やはり食べ物で養わないといけないのでしょうか。
KCEDRkC4Rkさん、教えてください。

13. 2011年1月14日 18:22:54: W9dPKy6VXs
バカなくせに思想だのなんだのといじくりまわすのはよせ。
自慢したければ、ちゃんとべんきょうしてはどうだ。
罵倒馴れしているようだが、なんとまあ、糞のようなのがこの掲示板には
住み着いているものだ。

14. 五月晴郎 2011年1月15日 02:21:17: ulZUCBWYQe7Lk : WMeWSWy0Ww
>>13
固体先生、ここは雑談掲示板でございますよ。シソーとかリンリ♪リンリ♪と唄ってるのは先生くらいでございます。

固体先生と「固体幻想理論」(「個体幻想」ではないです。先生独自の理論です)
に就いて詳しくは「「思想と経験、そして現実との格闘 (文筆劇場)」http://www.asyura2.com/10/idletalk39/msg/134.htmlで。
また先生は、宮台先生の向こうを張って政治のみならず社会学分野にも斬りこみ「固体幻想理論」で「高齢者セックスの闇」を語ってらっしゃいます。


15. 五月晴郎 2011年1月15日 16:54:52: ulZUCBWYQe7Lk : WMeWSWy0Ww
4=10=13 の固体先生に就いて、そんなような研究をしている人のサンプルとして使う方がいるなら下記を

「師匠の教え」"小学生の作文"のように書く (文筆劇場)
http://www.asyura2.com/10/idletalk39/msg/147.html#c1

01. 五月晴郎 2011年1月15日 16:28:14: ulZUCBWYQe7Lk : WMeWSWy0Ww
クリアカット(明瞭)に認識できない言葉を、これまたコピペで貼り合わせたコメントは、時系にそって、どう変化していくかの例を下に上げます。
「思想と経験、そして現実との格闘 (文筆劇場)」
http://www.asyura2.com/10/idletalk39/msg/134.html#c4 以降
(ID No.は変化していきますが追っていけます)


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