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オバマは緊縮財政と企業減税を約束したが、市場はややドル安に動き
当分は、世界に占める米国経済の比重は縮小し、国内インフレの悪化は間違いなく進んでいく。
新興国の成長を取り込んだ一部のグローバル企業は世界レベルで雇用を増やしているが、
多くの米国企業にとって、バブル崩壊による信用収縮と高齢化による市場の縮小が進み、社会保障コストと税金負担が重く、労働者の質も低下している上に労組が強い(賃金が高い)米国で、積極的に投資を行うには、まだ消極的である。
中銀は緩和、政府は緊縮財政と企業減税を目指す先進国は暫くはスタグ気味か
スーパーサイクルを期待されるほどバブル的な成長が続き、インフレと引き締めが厳しくなっている新興国とは対照的だ
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米企業、雇用拡大には依然として消極的
* 2011年1月26日 水曜日
* Bloomberg Businessweek
雇用 オバマ大統領 失業率 政治・経済 金融支援 個人消費需要
Ian Katz(Bloomberg News記者)
米国時間2011年1月13日更新「Why the Private Sector Still Isn't Hiring」
バラク・オバマ米大統領は今年、米経済界を説得し、自らの雇用拡大政策の味方に付けようとしている。オバマ大統領はワシントンを抜け出し、より頻繁に全米中を遊説して、景気回復と米企業の雇用拡大をうながす構えだ。現在、米企業は多額の現金をため込んでいる。これを積極的に雇用に使ってもらおうという考えだ。
大統領は昨年、さまざまな政策で経済界と衝突した。今年は、米ホワイトハウスの人事刷新や2月7日の米商工会議所での講演、法人税制の見直しなどを通じて、経済界との関係修復に努めている。これらはすべて、米国の失業率を低下させるのが目的だ。
業績は反転、しかし雇用は増やせない
だが、こうしたオバマ大統領の努力も、企業経営者が景気回復を見込める状況にならなければ、労働需要の改善にはつながらない。例えば、1883年に繊維メーカーとして創業した米ホープ・グローバル(本社:ロードアイランド州カンバーランド)のシェリル・マーチャントCEO(最高経営責任者)は、雇用拡大に慎重な経営者の1人だ。非上場企業の同社は現在、米衣料大手ティンバーランド(TBL、本社:ニューハンプシャー州ストラザム)製ブーツ用の靴ひも、米自動車メーカーに供給する自動車用部品、住宅リフォーム用の目詰め材などのニッチ製品を生産している。ブラックストーン川のほとりに位置する同社は2008〜09年、景気後退の打撃を受け、従業員590人の4分の1の人員を削減した。米デトロイトとフランス、アイルランド、ブラジルの事業所閉鎖した。
現在、ホープ・グローバルの業績は改善してきている。同社の売上高は2008年の約5500万ドル(約45億円)から大きく落ち込んだ後、約5000万ドル(約41億円)(2010年)まで回復している。だが、1999年からCEOを務めるマーチャント氏(47歳)は、人員を増やす姿勢はみせていない。同CEOは「景気回復を確信できる状況にはない。景気回復を見込み、先行して従業員を増やすつもりはない。先に景気回復が必要だ。ただし、現在の従業員に対しては、5%削減中の給与と有給休暇などの福利厚生待遇を改善する」と語る。
景気と雇用と個人消費のジレンマ
マーチャントCEOの慎重な姿勢は、全米の多くの経営者と共通している。米経済界は景気の足取りが力強さを取り戻すまで、新規雇用に乗り出そうとしない。だが、個人消費が勢いを取り戻さない限り、景気が本格的に回復することはない。そして失業問題が改善するまで、個人消費は回復しない。
米労働省が1月7日に発表した統計は、こうした窮状を表している。2010年12月、米国の非農業部門雇用者数は前月比10万3000人増加し、失業率は9.8%から9.4%に低下した。失業率は2009年5月以降、最も低い水準になった。だが、新規雇用者数は、米メディア・情報サービス大手ブルームバーグが取りまとめたエコノミスト予想中央値の15万人を大きく下回った。政府統計によれば、失業率が低下したのは、求職活動をやめた人が過去最高規模に達したからだ(関連記事「米雇用統計に隠された真実」)。
失業率を低下させ、就職のペースを維持するためには、新規雇用者数が12月の2倍の水準で増える必要がある。仏銀大手BNPパリバの北米担当チーフエコノミスト、ジュリア・コロナド氏(ニューヨーク在勤)は「米経済の労働人口は増えているが、求人需要の回復を示す明確な兆候はない」と指摘する。
こうした中、オバマ大統領が雇用拡大を実現するためには、ホープ・グローバルのような輸出企業や中小企業の動向がきわめて重要だ。オバマ政権は失業対策の一環として、今後5年間に米国の輸出を2倍に増やす目標を掲げている。オバマ政権は最近、韓国との自由貿易協定(FTA)に合意した。1月13日には、大手銀行の英HSBC(HBC)や米ウェルズ・ファーゴ(WFC)、バンク・オブ・アメリカ(BAC)、米PNCと提携し、中小輸出業者向けの金融支援を、2014年度末までに年間90億ドル(約7400億円)に引き上げる対策を発表する。2009年度は年間45億ドル(約3700億円)だった。
真に重要なのは金融支援より個人消費の拡大
金融支援はもちろん助けになる。だが、ホープ・グローバルにとって本当に重要なのは、ティンバーランドのブーツなどに対する、個人の消費需要が増えるかどうかだ。昨年終盤、さわやかな秋晴れの日、ホープ・グローバルの工場長ジョー・シルバ氏は中国で生産される高級ブーツ用の靴ひもの製造法について説明してくれた。同氏は800機の組ひも製造装置の騒音の中で、黄色いスポンジの耳栓を外し、大声を張り上げた。同工場長は「機械が1分間に300回転して組ひもを編む。靴ひもの先端は熱で処理してほつれないようにする。耐久性が低くなるので、プラスチックの先端部品を靴ひもに付けることはしない」と語った。
ティンバーランドは丈夫で耐水性のある、数百種類の色柄の靴ひもを製造するよう、ホープ・グローバルに求めている。ティンバーランドのトム・コネーン非皮革素材部長は「当社は中国やドミニカ共和国の工場で、ホープの靴ひもを使用している。ホープの品質や価格、納期は当社の基準を見たしている。信頼できる供給会社を確保することで、安定が得られる」と語る。
自動車需要は回復しつつあるが、金融危機前のレベルにはほど遠い
ホープ・グローバルにとって今後の一筋の光明は、自動車産業かもしれない。同社の売上高の3分の2以上は、自動車座席シート用部品やSUV(多目的スポーツ車)用カーゴネットから上がる。自動車販売は再び上向いている。だが、依然として景気後退前の需要水準には程遠い。
マーチャントCEOは、米自動車大手ゼネラル・モーターズ(GM)やマツダ、米自動車大手フォード・モーター(F)、米自動車部品大手リア(LEA)の製造現場で長年働いた経験から教訓を得ている。
米ミシガン州イサカ出身のマーチャント氏は、同州アルマにあるアルマ大学を卒業後、GMの高級セダン「キャデラック・フリートウッド・ブロアム」生産工場の塗装作業部門の現場監督になった。同氏はその製造現場のシフト内で唯一の女性だった。その後、メキシコにあるフォードの自動車座席生産工場の責任者になった。1993年にリアがこの事業を買収したのに伴い、同氏はリアに移籍した。そしてカナダと東欧でリアの工場長を務めた後、ホープのオーナー経営者だったデービッド・キャスティ氏によって同社に引き抜かれた。キャスティ氏は2003年に他界し、現在は息子のロナルド・キャスティ氏が同社の取締役会会長を務めている。
もし雇用を増やすとしたら米国外で
ホープの強みは、価格競争力が問題になる場合には、生産をコストが安い国に移せることだ。同社は現在、SUV用カーゴネットの生産を移転している最中だ。時給11ドル(約900円)以上の米ロードアイランド州の工場の従業員が、製品素材を生産。その後、生産した素材をメキシコ・レオンの工場に運び、時給約3ドル(約250円)で働く従業員が手作業で最終製品を製造する。出来上がったカーゴネットは自動車部品の製造会社に納品する。
マーチャントCEOが今年雇用を増やすとしたら、その大半はホープ・グローバルの海外工場での雇用になるだろう。同社は12月にメキシコで従業員を20 人増やした。同CEOは「景気が回復したら、自動車のドアやトランク用のゴムパッキンを補強する金属製部品の生産工場を中国・上海に開設したい。『米国でどうやって操業を続けているのか』としばしば尋ねられる。当社は周囲に壁を築いて操業を続けているのではない。グローバルに事業を展開することで、会社を維持している」と語る。
つまり現状では、米国内で雇用を増やす可能性は少ない。「当社は堅実な経営を続けている。銀行は当社の経営状況を評価している。売り上げが伴わないのに従業員ばかり増やせば、経営状態を悪化させることになる」(マーチャントCEO)。
米国の失業率を低下させるためには、ホープ・グローバルのような企業が、景気回復に対する強い信頼を持てるようにしなければならない。
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