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米企業、雇用拡大には依然として消極的 日米英欧は相対的な経済力低下が続く 
http://www.asyura2.com/10/hasan70/msg/773.html
投稿者 tea 日時 2011 年 1 月 27 日 02:22:43: 1W1IXELjjF6i2
 


オバマは緊縮財政と企業減税を約束したが、市場はややドル安に動き
当分は、世界に占める米国経済の比重は縮小し、国内インフレの悪化は間違いなく進んでいく。
新興国の成長を取り込んだ一部のグローバル企業は世界レベルで雇用を増やしているが、
多くの米国企業にとって、バブル崩壊による信用収縮と高齢化による市場の縮小が進み、社会保障コストと税金負担が重く、労働者の質も低下している上に労組が強い(賃金が高い)米国で、積極的に投資を行うには、まだ消極的である。

中銀は緩和、政府は緊縮財政と企業減税を目指す先進国は暫くはスタグ気味か

スーパーサイクルを期待されるほどバブル的な成長が続き、インフレと引き締めが厳しくなっている新興国とは対照的だ


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米企業、雇用拡大には依然として消極的

* 2011年1月26日 水曜日
* Bloomberg Businessweek

雇用  オバマ大統領  失業率  政治・経済  金融支援  個人消費需要 

Ian Katz(Bloomberg News記者)
米国時間2011年1月13日更新「Why the Private Sector Still Isn't Hiring」

 バラク・オバマ米大統領は今年、米経済界を説得し、自らの雇用拡大政策の味方に付けようとしている。オバマ大統領はワシントンを抜け出し、より頻繁に全米中を遊説して、景気回復と米企業の雇用拡大をうながす構えだ。現在、米企業は多額の現金をため込んでいる。これを積極的に雇用に使ってもらおうという考えだ。

 大統領は昨年、さまざまな政策で経済界と衝突した。今年は、米ホワイトハウスの人事刷新や2月7日の米商工会議所での講演、法人税制の見直しなどを通じて、経済界との関係修復に努めている。これらはすべて、米国の失業率を低下させるのが目的だ。

業績は反転、しかし雇用は増やせない

 だが、こうしたオバマ大統領の努力も、企業経営者が景気回復を見込める状況にならなければ、労働需要の改善にはつながらない。例えば、1883年に繊維メーカーとして創業した米ホープ・グローバル(本社:ロードアイランド州カンバーランド)のシェリル・マーチャントCEO(最高経営責任者)は、雇用拡大に慎重な経営者の1人だ。非上場企業の同社は現在、米衣料大手ティンバーランド(TBL、本社:ニューハンプシャー州ストラザム)製ブーツ用の靴ひも、米自動車メーカーに供給する自動車用部品、住宅リフォーム用の目詰め材などのニッチ製品を生産している。ブラックストーン川のほとりに位置する同社は2008〜09年、景気後退の打撃を受け、従業員590人の4分の1の人員を削減した。米デトロイトとフランス、アイルランド、ブラジルの事業所閉鎖した。

 現在、ホープ・グローバルの業績は改善してきている。同社の売上高は2008年の約5500万ドル(約45億円)から大きく落ち込んだ後、約5000万ドル(約41億円)(2010年)まで回復している。だが、1999年からCEOを務めるマーチャント氏(47歳)は、人員を増やす姿勢はみせていない。同CEOは「景気回復を確信できる状況にはない。景気回復を見込み、先行して従業員を増やすつもりはない。先に景気回復が必要だ。ただし、現在の従業員に対しては、5%削減中の給与と有給休暇などの福利厚生待遇を改善する」と語る。

景気と雇用と個人消費のジレンマ

 マーチャントCEOの慎重な姿勢は、全米の多くの経営者と共通している。米経済界は景気の足取りが力強さを取り戻すまで、新規雇用に乗り出そうとしない。だが、個人消費が勢いを取り戻さない限り、景気が本格的に回復することはない。そして失業問題が改善するまで、個人消費は回復しない。

 米労働省が1月7日に発表した統計は、こうした窮状を表している。2010年12月、米国の非農業部門雇用者数は前月比10万3000人増加し、失業率は9.8%から9.4%に低下した。失業率は2009年5月以降、最も低い水準になった。だが、新規雇用者数は、米メディア・情報サービス大手ブルームバーグが取りまとめたエコノミスト予想中央値の15万人を大きく下回った。政府統計によれば、失業率が低下したのは、求職活動をやめた人が過去最高規模に達したからだ(関連記事「米雇用統計に隠された真実」)。

 失業率を低下させ、就職のペースを維持するためには、新規雇用者数が12月の2倍の水準で増える必要がある。仏銀大手BNPパリバの北米担当チーフエコノミスト、ジュリア・コロナド氏(ニューヨーク在勤)は「米経済の労働人口は増えているが、求人需要の回復を示す明確な兆候はない」と指摘する。

 こうした中、オバマ大統領が雇用拡大を実現するためには、ホープ・グローバルのような輸出企業や中小企業の動向がきわめて重要だ。オバマ政権は失業対策の一環として、今後5年間に米国の輸出を2倍に増やす目標を掲げている。オバマ政権は最近、韓国との自由貿易協定(FTA)に合意した。1月13日には、大手銀行の英HSBC(HBC)や米ウェルズ・ファーゴ(WFC)、バンク・オブ・アメリカ(BAC)、米PNCと提携し、中小輸出業者向けの金融支援を、2014年度末までに年間90億ドル(約7400億円)に引き上げる対策を発表する。2009年度は年間45億ドル(約3700億円)だった。

真に重要なのは金融支援より個人消費の拡大

 金融支援はもちろん助けになる。だが、ホープ・グローバルにとって本当に重要なのは、ティンバーランドのブーツなどに対する、個人の消費需要が増えるかどうかだ。昨年終盤、さわやかな秋晴れの日、ホープ・グローバルの工場長ジョー・シルバ氏は中国で生産される高級ブーツ用の靴ひもの製造法について説明してくれた。同氏は800機の組ひも製造装置の騒音の中で、黄色いスポンジの耳栓を外し、大声を張り上げた。同工場長は「機械が1分間に300回転して組ひもを編む。靴ひもの先端は熱で処理してほつれないようにする。耐久性が低くなるので、プラスチックの先端部品を靴ひもに付けることはしない」と語った。

 ティンバーランドは丈夫で耐水性のある、数百種類の色柄の靴ひもを製造するよう、ホープ・グローバルに求めている。ティンバーランドのトム・コネーン非皮革素材部長は「当社は中国やドミニカ共和国の工場で、ホープの靴ひもを使用している。ホープの品質や価格、納期は当社の基準を見たしている。信頼できる供給会社を確保することで、安定が得られる」と語る。

自動車需要は回復しつつあるが、金融危機前のレベルにはほど遠い

 ホープ・グローバルにとって今後の一筋の光明は、自動車産業かもしれない。同社の売上高の3分の2以上は、自動車座席シート用部品やSUV(多目的スポーツ車)用カーゴネットから上がる。自動車販売は再び上向いている。だが、依然として景気後退前の需要水準には程遠い。

 マーチャントCEOは、米自動車大手ゼネラル・モーターズ(GM)やマツダ、米自動車大手フォード・モーター(F)、米自動車部品大手リア(LEA)の製造現場で長年働いた経験から教訓を得ている。

 米ミシガン州イサカ出身のマーチャント氏は、同州アルマにあるアルマ大学を卒業後、GMの高級セダン「キャデラック・フリートウッド・ブロアム」生産工場の塗装作業部門の現場監督になった。同氏はその製造現場のシフト内で唯一の女性だった。その後、メキシコにあるフォードの自動車座席生産工場の責任者になった。1993年にリアがこの事業を買収したのに伴い、同氏はリアに移籍した。そしてカナダと東欧でリアの工場長を務めた後、ホープのオーナー経営者だったデービッド・キャスティ氏によって同社に引き抜かれた。キャスティ氏は2003年に他界し、現在は息子のロナルド・キャスティ氏が同社の取締役会会長を務めている。

もし雇用を増やすとしたら米国外で

 ホープの強みは、価格競争力が問題になる場合には、生産をコストが安い国に移せることだ。同社は現在、SUV用カーゴネットの生産を移転している最中だ。時給11ドル(約900円)以上の米ロードアイランド州の工場の従業員が、製品素材を生産。その後、生産した素材をメキシコ・レオンの工場に運び、時給約3ドル(約250円)で働く従業員が手作業で最終製品を製造する。出来上がったカーゴネットは自動車部品の製造会社に納品する。

 マーチャントCEOが今年雇用を増やすとしたら、その大半はホープ・グローバルの海外工場での雇用になるだろう。同社は12月にメキシコで従業員を20 人増やした。同CEOは「景気が回復したら、自動車のドアやトランク用のゴムパッキンを補強する金属製部品の生産工場を中国・上海に開設したい。『米国でどうやって操業を続けているのか』としばしば尋ねられる。当社は周囲に壁を築いて操業を続けているのではない。グローバルに事業を展開することで、会社を維持している」と語る。

 つまり現状では、米国内で雇用を増やす可能性は少ない。「当社は堅実な経営を続けている。銀行は当社の経営状況を評価している。売り上げが伴わないのに従業員ばかり増やせば、経営状態を悪化させることになる」(マーチャントCEO)。

 米国の失業率を低下させるためには、ホープ・グローバルのような企業が、景気回復に対する強い信頼を持てるようにしなければならない。

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コメント
 
01. BOSATU 2011年1月27日 03:49:43: sXkWSVcMAHme2 : Tk5K5hQi52
長い文面ですから、最初の文面のみ拝読。失礼・・。米は、ドル安・株暴落・国債の価値もない。よって、世界から、信用をなくすのは、時間の問題。オバマは、理由をつけ辞任。ヒラリーに打て代わる。恐らく、今年3月に、デノミに走る。以上

02. 2011年1月27日 12:56:44: cqRnZH2CUM

グーグル、揺らぐネット覇者の座 フェイスブックに敗北

2011/1/11 4:00

 インターネット検索最大手、米グーグルのネット覇者の座が揺らぎ始めている。2010年はサイト訪問者数で交流サイトの米フェイスブックに抜かれて首位を明け渡し、株価も年間で5%下落した。人材流出も止まらず、「かつての輝きを失った巨人、マイクロソフトに似てきた」と揶揄(やゆ)する声も漏れている。

■アキバでケータイに見入った2人の創業者

グーグルのエリック・シュミットCEO
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グーグルのエリック・シュミットCEO

 12月。米シリコンバレーのグーグル本社では毎年、幹部やメディア関係者が集まるクリスマスパーティーが開かれる。

 メディアの集まりが悪く、定刻になってもやや閑散とした会場。手持ち無沙汰でもあったのだろう。グーグルのふたりの創業者、セルゲイ・ブリン、ラリー・ペイジの両氏が話しかけてくれた。

 「日本から来たって?僕らはアキハバラに行くのが大好き。最先端の携帯電話が見られるからね」。

 わずか5年前の2005年の冬のことだ。その後にネット業界を席巻することになる2人は無邪気に東京・秋葉原と日本製の携帯電話の魅力を語っていた。

 10年12月。会場の様子は一変。クリスマスパーティーに顔を出したエリック・シュミット最高経営責任者(CEO)は記者団に取り囲まれ、引っ切り無しに質問攻めにあっていた。上機嫌で記者に応対する姿には有力企業を率いるトップの風格が漂っていた。

 年が明けた1月。米ラスベガスで6日に開幕した世界最大の家電見本市「コンシューマー・エレクトロニクス・ショー(CES)」。各国のメーカー首脳らがスピーチし、相次ぎ戦略商品を披露したが、主役はグーグルだった。

 各社が目玉と位置付けるスマートフォン(高機能携帯電話)など新型端末には、軒並みグーグルの基本ソフト(OS)「アンドロイド」が搭載される。10年4−6月期に米スマートフォン市場でOSシェア首位となった勢いは11年も続く。

*
かつてアキハバラでケータイに見入っていた立場から、携帯機器全般の心臓部を握り、サービスをリードする存在にまで一気に駆け上ったグーグル。ネット検索の最大手に君臨し、ネットの覇者であることは自他共に認めるところだ。

アップルのスティーブ・ジョブズCEO=AP
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アップルのスティーブ・ジョブズCEO=AP

 話題には事欠かず、先進企業のイメージも強い。しかし、このところ株式市場がグーグルに注ぐ視線は冷淡だ。10年の年初から年末までにグーグル株価は5%下落した。前年の93%上昇と比べると伸び悩みは著しい。スマートフォン分野で張り合うライバルである米アップルは同じ10年に51%上昇した。開きは大きい。

 株価がさえないのはなぜか。理由は成長力への懸念にある。

 まず、収益のほとんどを検索連動型広告に依存する事業構造。新たな収益モデルが見えず、広告収入が生命線である構図が創業以来、変わらない。

■ヤフーをマイクロソフトから奪う

 「実は積極的だったのはグーグルの方ですよ」。10年7月に発表したグーグルと日本のヤフーによる検索分野での提携。ある交渉担当者はこう打ち明ける。

 ヤフーは従来、株主でもある米ヤフーの技術を使ってきたが、前年に米ヤフーがマイクロソフトの技術導入を決めたため、日本側も検索エンジンの見直しを迫られていた。最終的にグーグルから検索技術を導入することになり、「幅広く選択肢を検討した結果、グーグルと組むのがベストと判断した」と日本のヤフーは説明した。交渉はヤフー側が主導したように見えた。

 交渉担当者は曲折があったと明かす。

 実際には「日本でもヤフーがマイクロソフトの検索技術を使うことでほぼ話がまとまっていた」。しかし、「グーグルがヤフーの筆頭株主であるソフトバンクの孫正義社長にアプローチし、ひっくり返した」というのだ。まずグーグル日本法人がヤフー側の意向を探り、脈ありと判断するとグーグル米国本社の部隊が乗り出してきて話をまとめたのが真相だと交渉担当者は話す。

 提携でグーグルは日本の検索サービスの9割の技術を担うことになる。独禁法上の問題が壁にならないよう、事前に公正取引委員会に詳細な説明をするなど準備は周到だった。

 広告収入に直結する検索分野では絶対に負けるわけにいかない――。そんなグーグルの事情が、なりふり構わぬ提携交渉からにじみ出る。

アンドロイドやパソコン用の「クロームOS」を無償で配れるのも、検索連動型広告の収入があってこそ。「ネット接続機器が増えればその分だけ当社のサービスの利用も拡大してネット広告の収益が増える」というのがグーグルの公式見解だが、広告に代わる収益の柱が見つからないのは悩みの種だ。自慢の無償OSも「どう収益につなげていくか、走りながら考えている状況」とある幹部は打ち明ける。

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 売り上げ、利益とも伸び率の鈍化傾向が鮮明になるなか、グーグルも検索連動型広告に頼る「一本足打法」の危うさは認識している。動画共有サイトのユーチューブや、ディスプレー広告会社ダブルクリックの大型買収など多角化の手も打ってきたが、現時点ではいずれも話題は集めるものの、収益面での成果が見えにくい。「グーグルがしようとしていること、したいと思っていることが明確でない」というのが、このところのアナリストの平均的な評価となっている。

 株価低迷のもうひとつの要因は、検索サービスを通じてネット利用の「入り口」を押さえ、業界内での優位性を保つというビジネスモデルそのものが揺らぎ始めたことだ。グーグルの影響力が及びにくい領域がネットの中に着実に広がりつつある。

■人材流出止まらず

 「キーワードに基づいて関連情報を探すだけならグーグルの仕組みは最適だが、インターネットはさらに進化しようとしている」。グーグル副社長として検索連動型広告の普及に携わったデービッド・フィッシャー氏は10年春、7年間勤めたグーグルを退社した。ほどなくして職を得た先は交流サイト(SNS)最大手の米フェイスブックだった。

 グーグルが上場した04年に設立されたフェイスブックの社員は約2000人。うち1割がグーグル出身者といわれる。幹部を含め人材を奪われっぱなしのグーグルはシュミットCEOが自ら全社員に電子メールを送り、11年1月から月給を10%引き上げる方針を伝えた。しかし、フェイスブックのような株式公開を控える新興企業はストックオプションのインセンティブが大きい。「グーグルでは薄れてしまったのびのびとした雰囲気」(あるグーグルOB)も魅力だ。グーグルからの人材流出は当面、止みそうにない。


 目の上のたんこぶのような存在となったフェイスブック。10年の年末にはグーグルにとって屈辱的とも言える情報が飛び込んできた。10年の米サイト訪問者数のシェアでフェイスブックがグーグルを抜いて首位に立ったというのだ。米調査会社のエクスペリアン・ヒットワイズが発表した。

■フェイスブックに首位譲る

 フェイスブックのシェアは約9%で初めて首位となり、前年1位だったグーグルは7%強と2位に陥落した。さらに11年1月1日までの1週間を見ると、フェイスブックは11%にまで増える一方で、グーグルはやはり7%強止まり。ユーチューブを入れても11%弱とフェイスブックに届かない。

フェイスブックのザッカーバーグCEO=AP
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フェイスブックのザッカーバーグCEO=AP

 フェイスブックの会員数は5億人を超える。やり取りされる情報はグーグルに公開されておらず、その内容はグーグルでは検索できず、ググれない。

 ネットの利用者がこれまでのように「まずは検索」ではなく、直接好みのアプリ(応用ソフト)を立ち上げて使うという行動パターンの変化もグーグルの検索サービスには脅威。「スマートフォン時代の主役は検索ではなくアプリ」。アップルのスティーブ・ジョブズCEOもこう言い切る。アップルは 10年4月にはアプリと連動するネット広告事業への参入を表明、グーグルを脅かす。日本では電通と組んで市場を開拓するという。

 「グーグルは『第2のマイクロソフト』になるかもしれない」。アナリストの間からはこんな声が漏れ始めた。独禁当局に一挙手一投足を監視され続け、新たな収益源が育たず、じわじわ失速したマイクロソフトの姿がグーグルとだぶって見えるとの指摘だ。

 欧州連合(EU)の欧州委員会は10年11月末、独禁法に基づきグーグルの調査を始めると表明した。グーグルが自社の検索サイトの上位にライバル会社が表示されないようにしたり、ライバル会社には広告を出さないようネット広告会社に圧力をかけたりしたとの疑いが持たれている。グーグルはここ数年、独禁当局から検索市場での影響力の大きさを問題視され、他社の買収案件で手続きにストップをかけられるなど機動的な経営に水を差される場面が増えている。


米グーグルの主な動き 1998年 会社設立
2002年 ニュースサービス開始
2004年 株式上場
2005年 地図サービス開始
2006年 動画共有サイト、ユーチューブ買収を発表
2007年 「Gメール」サービスを一般利用者に開放
携帯機器向けOS「アンドロイド」の無償提供を発表
2008年 ネット広告会社ダブルクリックの買収を完了
独自ブラウザー「クローム」の提供を開始
2009年 携帯向け広告配信のアドモブ買収を発表
2010年 「グーグルTV」を発表
日本のヤフーと検索、広告分野で提携
2011年 パソコン用無償OS「クロームOS」提供開始(予定)

 かつて当局の“標的”といえばマイクロソフトだった。米司法省などが独禁法違反で同社を提訴したのは1998年。最終的に回避したものの、裁判所から会社分割の命令も出された。「2001年末の家庭用ゲーム機発売のころまで、新事業に挑戦することへの自己規制が働いていたように感じる」と中堅社員は明かす。マイクロソフトがネット革命の波に乗り遅れ気味となり、パソコンソフト販売の「一本足」に甘んじているのは、独禁法問題と無関係ではない。

■グルーポン、グーグルになびかず

 邪悪になるな(ドント・ビー・イーブル)――。グーグルは上場時、株主への手紙にモットーを掲げた。パソコン用OSで9割超のシェアを握り、業界に君臨する「悪の帝国」と一部でささやかれたマイクロソフトは、グーグルにとって反面教師的な存在だった。グーグルの経営思想は、マイクロソフトの看板商品であるOSを無償で配布し、技術を囲い込むマイクロソフトとは対極的に、どんどん公開するオープン路線に端的に表れている。自社OSの普及が加速するなかで、「マイクロソフト化」が指摘されるようになったのはグーグルには皮肉な展開だ。

 10年に脚光を浴びたクーポン共同購入サイトの米グルーポン。グーグルは60億ドルともいわれる金額を提示して買収に動いたが、グルーポン経営陣はなびかなかった。これまで新興ネット企業の間では、富と業界での存在感の両方が手に入るとの理由で、グーグルに買収されることを経営目標とするムードさえあった。だが、風向きは変わり、グーグルにかつての求心力はない。

 創業時からのグーグル幹部であるマリッサ・メイヤー副社長が語る。「大企業になれば影響力がかつてとは違うし、それなりの振る舞いを求められるようになる」。斬新な技術やサービスで世の中をあっと言わせ、同時に高い収益力も誇った輝きを取り戻せるのか。アンドロイドフィーバーの陰で、「成熟期」を迎えつつあるネットの巨人が苦悩を深めている。

(村山恵一、奥平和行)
www.nikkei.com/biz/focus/article


03. 2011年1月27日 13:08:43: cqRnZH2CUM
BOPは10年後のマーケットではない
「低価格品」「ローエンド」「辺境」は誤解。今すぐ動け!

* 2011年1月27日 木曜日
* 小林 慎和


 BOP(Base Of Pyramid)。2009年頃よりにわかに新聞紙上を賑わせている言葉である。「BOPビジネス」とビジネスを付け加えた形で、語られることも多い。 BOPとは何か。BOPとはどの程度の所得の人々を指すのか。実のところ、全世界共通、もしくはすべての企業で共通認識が持たれている定義は存在しない。

 その中でも、最も広く知れ渡っているものとして、2007年に国際金融公社(IFC)と世界資源研究所(WRI)が発表した「The Next 4Billion : Market Size and Business Strategy at the Base of the Pyramid(以下、4Billion)」がある。ここでは、BOPとは開発途上地域において、購買力平価換算での1人当たり年間所得が3000ドル未満(約26万円未満)の人々を指すと定義されている。

最優先で取り組むべきマーケット

 BOPについて、一般消費者や新興国ビジネスに縁遠いビジネスマンの理解は次のようなものが多いのではないだろうか。BOPとは貧困層である。低所得者層である。飢餓や悪質な住環境に苦しむ人々である。または難民キャンプで日々の生活を送っている人々である――。

 BOPビジネスというと、そうした恵まれない社会課題を抱えた人々に対してまともなビジネスができるのか。そう考えてしまう人が多い。

 社会支援事業として日本政府と日本企業が、さらには日本の一般の消費者が寄付という形で成すべきことはあるかもしれない。しかし、利益を生むほどのビジネスとなると話は別なのではないか。特に日夜ステークホルダーからの収益改善・向上の要望を受け付けている上場企業や、グローバル展開の強力な推進を掲げ、自社のメインターゲットである人々(多くの場合、先進国と途上国の富裕層、それに加えて一部の中間層)への事業を切磋琢磨している企業にとって、 BOPビジネスとは二の次、三の次の話である。BOPという領域で、人件費の高い日本人ができることなどない。日本の人件費の2分の1から5分の1の中国やインド企業ならば可能なのかもしれない。日本企業が持続的に収益を上げることができるビジネスを作り込むことは不可能に近いのではないか。

 しかし、こうした考えは全くの誤解である。

 今現在、こうした誤った考えを持っている経営者やビジネスマンは数多くいる。いやむしろ、こうした意見が多数派を占める。筆者はこうした誤解を解きたいと考えている。さらに誤解を解いたうえで、各社が取り組むべきマーケットとして、最優先にとらえるべきものであり、かつ今すぐに動き出す必要のある領域であることを認知させ、行動を起こさせたいと考えている。

「低」所得者と思ってはいけない

 低所得者層の人々の暮らしぶりが、我々日本人の想像を超えるものであることは、以前にもこのコラムで紹介した(『はるかインドの農村で突撃! 隣の晩ご飯?』2010年7月29日)。

 日本人は日本人的な金銭感覚で、低所得者層の人々のことを理解しようとする。年収30万円であれば、日本ではどのような暮らしができるだろうか。どのようなものを購入できるだろうか。

 ほぼ100%に近い日本人はそうした家族がテレビを買うことも、バイクを買うことも想像できないだろう。

 例えば次の3枚の写真はどうだろうか。これはインドの最大都市ムンバイから車で3時間ほどのところにある村である。この家の世帯年収はどれほどのものであろうか?
平屋ではあるが、その広さは約50平方メートルほどである。
この世帯の家に近づいていくと写真のようなオレンジ色のパラボラアンテナが屋根の上に設置されている。
家のリビングには、21型のブラウン管テレビとセットトップボックスがあり、15チャンネルの番組を楽しんでいる。

 この世帯の年収は約15万円である。7人家族で、5人が収入を得ており5人の収入の合計が15万円である。インドには、こうした農村部の低所得者層が5億人も6億人も存在する。

 ここまでを見て、「ニーズがあるのは理解できる。しかし、それはあくまで低価格商品、ローエンド商品であり、日本が攻め込むターゲットではないのではないか」

 そう考えるのが日本のビジネスマンだろう。しかしながら、そこで思考を終わらせることも、また誤りなのでる。

 次の質問はどうだろうか?

 世界最大のモバイルバンキングサービスの国はどこだろうか?
 日本ではない。アメリカでもない。

 答えはこの2枚の写真を撮ることができる国である。

 この写真は、大阪府とほぼ同じ面積を擁するマサイマラ国立保護区で撮影したものである。そう、モバイルバンキングサービスが最も発展している国は、アフリカ東部に位置するケニア共和国なのである。

 ケニアは人口約4000万人で、現在携帯電話利用者は半分の2000万人に上る。そのうちの4割の約800万人が既にモバイルバンキングサービスを利用しているのである。そのサービス名は、M-PESAという。M-PESAを利用すると、店頭で購入したプリペイドバリューをショートメッセージメール(SMS)でケニア国内の知人に送ることができる。送金を受け取った人はM-PESAの代理店で現金を引き出すか、携帯電話料金として充当することができる。つまり、携帯電話がATM代わりなのである。
ケニア全土にはこうしたM-PESAの代理店が約1万7000店舗点在する。

 ケニアには、銀行の支店網が発達していない。当然ながら、日本のようにコンビニエンスストアもない。家から一番近い銀行が10kmということもよくある話である。そうした人々の中の多くが真っ先に手に入れた生活インフラ。それは携帯電話だったのである。パソコンの普及率も数%程度である。

現地、現物、現実を体感して発想する

 このM-PESAを提供している事業者は、サファリコム(Safaricom)というボーダフォン傘下の携帯電話事業者である。ボーダフォンは60カ国を超える国に進出している。なぜモバイルバンキングサービスを初めてサービスインする国として60カ国の中からケニアを選んだのか。

 M-PESAのサービスが開始されたのは2007年であるが、そのサービス設計が短期間になされたわけではない。サービスの検討は実にその4年前の2003年にまでさかのぼる。その当時のケニアにおける携帯電話利用者は数十万人程度である。

 ただ通話をする。SMSを友人に送る。単純な携帯電話のビジネスのみを見ていては、M-PESAのサービス設計も、ケニアへの導入もなされなかっただろう。ケニアという国がこれからどう発展していくのか。広大な大地が広がる中で、ケニアの人々はどのような暮らしぶりをしているのか。M-PESAのようなサービスは決して仮説からは生まれてこない。現地の暮らしを理解し、現物、そして現実を体感しなければ発想されない。事業をどのように拡大していくかという「狭い」検討を繰り返すだけではイノベーションは生まれない。

 これからは社会をどう変革していくか、社会課題をどのように解決していくか。そうした視点での検討が求められる。つまり、そうした視点を持って事業を検討できる人材の育成が急務なのである。社会課題を抱える人々を救済の対象としてだけとらえ、施しを与える活動ではすぐにその思いや資金は途絶えてしまう。いかに持続可能なものに仕上げていけるかがカギとなる。

 ケニアという国で、社会の変革をも見据えたM-PESAというサービスを発想し、設計し、開発できた人材は、続いて本国であるイギリスやアメリカ、もしくは中国や日本でもそうした社会課題を解決するという視座から、新たなビジネスイノベーションを生み出し得る人材へと成長しているに違いない。M- PESAの事業開発を担った人材は、ターゲットとなる国の文化的、民俗的、歴史的な背景からその国がどのように構造変化していくのか、異文化の人々とどのように交流しコミュニケーションをとっていくのか、NGO(非政府組織)/NPO(非営利団体)などのセクターの人々とどのように事業の交渉を行っていくのかなど多様なスキルを実体験と共に手に入れているのだから。

 事実、IBMは、“Global Citizen's Portfolio”の一施策として、グローバルな社会貢献活動を通じて次世代グローバルリーダーを育成する“IBM's Corporate Service Corps”を実施している。M-PESAのようなサービスを発想し、社会を変革し得る人材の育成のために、BOPマーケットを活用しているのである。このプログラムでは、世界中のIBM社員から選抜された人材をアフリカなどの途上国に派遣し、現地NGOと連携しながら非営利活動を支援する活動を行わせている。本業の事業のみを検討するのではなく、強制的に社会課題や環境を考慮した持続可能性のある事業(活動)の実践を行う機会を次世代リーダー候補に与えているのである。

 ビジネスを単なる「事業」としてとらえている限り、革新的なものは生まれてこない。発想の段階は、「事業」、「ビジネスモデル」、「経営」、「産業」、「社会」、「環境・地球」の6段階ある。段階を広げた視座で構想する必要がある。

 事業をどのようなビジネスモデルで組み立てるのか。それをどのように経営によってマネジメントしていくのか。さらには、産業をどのように発展させていくべきか。社会の変化や社会課題をその事業が解くことができるのか。そして、環境や地球のことを考慮に入れた持続可能性のあるものに仕立て上げることができるのか。

BOPは未来の事業の柱と次世代人材育成の場

 BOPは決して10年後のマーケットではない。低価格品やローエンドを提供して開拓するマーケットでもない。そして辺境でもない。筆者は、BOPマーケットに対する誤解を解くためのポテンシャルの提示と具体的な攻略方法について『BOP 超巨大市場をどう攻略するか(日本経済新聞出版社)』でまとめた。

 企業がこのマーケットを検討する際に、どのように検討を進めていけば良いのか。その具体的な方法論を提案している。各社にとってこのBOPマーケットに参入をすることで、企業が今後も存続していくための糸口をつかんでもらいたいと思う。

 BOPマーケットには大きなポテンシャルが存在する。世界中にBOPに区分される人々は約40億人も存在する。その中には、確かに飢餓に苦しみ死を余儀なくされる救済するべき子供たちも多くいる。一方で、こう表現することもできる。「自社ブランドを認知していない人々がまだ地球上には40億人も存在するのだ」と。

 この巨大な市場をどう攻略するのか。自社にとってどのようなポテンシャルを秘めているのか。現地現物、そして現実を体感することで、その施策をあぶり出していただきたい。筆者は過去5年間で、インドやアフリカなど各国のこうしたマーケットの実態を現地に赴くことで何度となく「体感」してきた。攻略法やポテンシャル評価で企業のお手伝いもできると思っている。

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このコラムについて
クラウドの先を読む 産業パラダイム・チェンジ

クラウドコンピューティングやソーシャルネットワークといった新しい動きが登場するIT・通信業界。それは先進国だけでなく、BOP(ボトム[ベース]・オブ・ピラミッド)として注目を集める新興国を巻き込んでいる。企業や消費者の動向を踏まえながら、進化するハードウエアやコンテンツがもたらすパラダイム・チェンジを解説する。

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小林 慎和
(こばやし・のりたか)
小林 慎和


04. 2011年1月27日 13:29:09: cqRnZH2CUM
WSJ 
2011年度の米財政赤字、1.5兆ドルの見通し=議会予算局

* 2011年 1月 27日 3:49 JST 
 【ワシントン】米議会予算局(CBO)は26日、2011会計年度(10年10月-11年9月)の米財政赤字が1兆5000億ドル(約123兆6000億円)に拡大する見通しだと明らかにした。昨年決定された減税措置の延長が主な圧迫要因となる見込み。
エルメンドルフCBO局長 Chip Somodevilla/Getty Images

記者会見するエルメンドルフCBO局長(26日、ワシントン)

 CBOは年に2回、米経済の見通しを公表する。今回のCBO報告によると、2011年の米国内総生産(GDP)は3.1%成長となる見通しだが、失業率は当面、高止まりする見込み。10年度の財政赤字は1兆3000億ドルだった。

  CBOは、財政赤字が11年度にはGDP比9.8%と、10年度の8.9%から拡大する見込みだと明らかにした。これが現実となれば、財政赤字のGDP比率は、過去65年で最悪の数字となった09年度の10%という水準以来の高水準となる。CBOはまた、財政赤字のGDP比率はその後、12年度には7%に低下すると みている。

 また、CBOは失業率については現在の9.4%から今年第4四半期には9.2%と小幅低下し、12年末までには8.2%まで下がるとの予想を示した。ただ、「通常の水準」とみなされる5.3%に低下するには2016年までかかる見通しだという。

 一方、CBOはインフレ率について、12年末まで「非常に低い」水準にとどまるとの見方を示した。債券購入プログラムがインフレ高進につながることを警戒する米連邦準備理事会(FRB)にとっては、これは好感される内容。

 CBOはさらに、「米政策当局者が決定した最近の措置により、今年の実質GDPは一段と加速する見通しだが、生産性と雇用は今後何年間にもわたり米経済の潜在成長力を大幅に下回る公算が大きい」との見方を示した。

 民主・共和両党が昨年12月に合意に達したブッシュ政権下での減税措置の延長により、向こう10年間で財政赤字は8580億ドル膨らむ見通し。

記者: Corey Boles


05. 2011年1月27日 13:29:50: cqRnZH2CUM
WSJ 昨年12月の米新築住宅販売、前月比17.5%増

* 2011年 1月 27日 2:50 JST
 
 昨年12月の米新築住宅販売は予想を大幅に上回る増加となったものの、昨年1年間全体としては過去最悪の年だった。

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AP Photo/Reed Saxon

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 米商務省が26日発表した12月の米新築一戸建て住宅販売(季節調整済み、年率換算)は、前月比17.5%増加し32万9000戸となった。西部地域での住宅販売が72%近く急伸したことがけん引した。

 ダウ・ジョーンズ経済通信がまとめたエコノミスト調査では、3.1%増の年率29万9000戸が予想されていた。

 昨年年間の米新築住宅販売件数は約32万1000戸(暫定値)と、前年比14.2%減少し、1963年の統計開始以来で最悪となった。

 昨年12月の米新築住宅価格中央値は24万1500ドルと、前年同月水準から8.5%上昇した。2009年12月の新築住宅価格は7.6%下落していた。

 昨年末の米住宅販売統計は有望なものとなったが、住宅市場が引き続き低迷している多くの兆候が見られている。失業率の高止まりや高水準の住宅差し押さえ件数のために住宅価格は引き続き圧迫されており、多くのアナリストが予想していた住宅価格の2番底の兆候が拡大している。

 昨年12月の新築住宅在庫は19万戸となり、販売に対する在庫比率は6.9カ月となった。同比率は6カ月が健全な水準とみなされる。昨年11月は8.4カ月だった。

 昨年11月の新築住宅販売件数は、前月比横ばいの年率28万戸に上方修正された。

 昨年12月の住宅販売件数は西部が71.9%と大幅増加、中西部は3.2%増、南部では1.8%拡大と、3地域で増加した。一方、北東部の販売は5.0%減少した。

記者: Alan Zibel and Jeff Bater
 


06. 2011年1月27日 13:30:27: cqRnZH2CUM
WSJ:米FRB、FOMCで政策維持を決定

* 2011年 1月 27日 5:37 JST 
 米連邦準備理事会(FRB)は26日に開いた連邦公開市場委員会(FOMC)で、景気てこ入れを目指し米国債の購入を継続することを全会一致で決定した。一方で、米経済は改善しているとの認識を示した。
イメージ Bloomberg News

バーナンキ米FRB議長

 今年初となるこの日のFOMCで、メンバーらは6000億ドル規模の米国債購入プログラムの推進を全会一致で決定した。FOMCで投票権を有する新メンバー4人のうち3人がこれまで、この政策に批判的な見方を示していた。

  今回、全メンバーの支持を得たことで、金融市場に対して同プログラムの完了公算が大きいことを示唆することにより、バーナンキFRB議長は同プログラムの効率性改善が望めるもよう。同プログラムでは借り入れ金利を低く抑え株価を押し上げることにより、景気てこ入れを目指す。

 FRB当局者らはこの日、世界の食品と原材料価格が上昇しているものの、エネルギーと食品といった変動の大きい項目を除くコア物価指数は引き続きFRBが妥当とみなす範囲内に収まっている、との見方を示した。

 FRBは声明で、「商品価格は上昇しているものの、長期的なインフレ期待は引き続き安定しており、コアインフレ指数は低下傾向を続けている」と表明した。

  FRB当局者らはFOMC後に発表した声明で、個人消費面での一部進展を指摘し、「昨年遅くに上向いた」と言及した。しかし、FRB当局者らは、高い失業 率と所得の遅いペースでの伸び、信用ひっ迫に米経済は引き続き抑制されているとみている。さらに、雇用主は「雇用拡大に引き続き消極的」で、住宅セクター は「依然、圧迫されている」と指摘した。

 総合すると、米経済の改善はFRBが政策変更に動くには十分ではなく、FRB当局者らは、短期政策金利は長期にわたりゼロ付近に据え置く見通しだと繰り返した。

 昨年中盤に景気回復が鈍化したことに加え、短期金利は既にゼロ%付近にあることから、短期金利の低水準維持を目指し、FRBは昨年11月に債券購入プログラムを再開した。しかし、金融危機に対処するために実施した最初の1兆7000億ドル規模の債券購入と異なり、今回の措置についてはFRBは景気が回復すれば、規模を縮小する用意があると示唆した。

 ただ、もはや規模が縮小される公算は小さいもよう。失業率が高止まりし、コアインフレが当面低水準にとどまるなか、FOMCは「昨年11月に発表した通り、証券保有を拡大し続ける」ことを明らかにした。FRBは既に約2000億ドル規模の米国債購入を実施しバランスシートが拡大しており、今年6月に債券購入規模は6000億ドルに達する見通し。

 カンザスシティーのホーニグ総裁は昨年は一貫してFRBの金融緩和策に反対を表明した。今年、FOMCでの投票権を得た4人の地区連銀総裁のうち、ダラス地区連銀のフィッシャー総裁とフィラデルフィア連銀のプロッサー総裁、ミネアポリス連銀のコチャラコタ総裁の3人はこれまで、債券購入政策に反対の意向を表明してきた。

 フィッシャーとプロッサーの両総裁は、高い失業率よりもインフレ高進のリスクをより懸念する傾向があり、2008年にはFRBの積極的な利下げに反対を表明した。バーナンキFRB議長が今年6月以降も同プログラムを延長する計画であれば、メンバー内に反対があると複雑な状況が生じることになる。

 バーナンキ議長による半期に一度の議会での金融政策報告は3月3日に予定されている。共和党議員の一部はFRBによる米国債購入プログラムを厳しく批判しており、これによりインフレ高進およびドルへの下押し圧迫につながりかねないと主張している。

 FRBが前回、FOMCで全会一致の決定に至ったのは09年12月。その後は、ホーニグ地区連銀総裁が昨年のFOMCでは毎回、反対票を投じた。

 今回のFOMCではまた、米景気見通しが若干更新されたもようだが、経済成長率とインフレ、失業率に関する詳細は2月16日の議事録発表まで公表されない。

 昨年末に決定された減税措置に支えられ、米経済は今年は力強さが増すと広く予想されている。所得税減税により、昨年の年末商戦での小売売上高のしっかりした増加に続き、今後も個人消費は拡大を続ける見通し。

記者: Luca Di Leo and Jeffrey Sparshott


07. 2011年1月27日 13:50:37: cqRnZH2CUM
税制改革のゴールは「競争条件の平等化」=ガイトナー米財務長官

* 2011年 1月 27日 9:51 JST 

 ガイトナー米財務長官は26日、本紙とのインタビューで、現在35%の法人税率の引き下げによる減収分は、控除や優遇措置をなくすことで補うとするオバマ政権のスタンスを強調した。

  

ティモシー・ガイトナー米財務長官(1月12日、ワシントンDC)
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 ガイトナー長官は、世界的な競争を踏まえ、法人税の引き上げで税収増を図るのは「現実的ではない」と述べた。ただ、財政赤字の状況下では「法人税を引き下げるために、個人への課税を増やすことはできない」とも指摘した。

 また、多国籍企業の税制について、課税対象を海外事業からの利益を含めたものから国内利益のみに絞る案については言及しなかった。これについては国際的な標準でもあり、米国企業から強い要望が出ている。一方で、同長官は、法人税制改革の主要なゴールは「競争条件の平等化」だと述べた。

 2月に提出される予算教書には、具体的な法案は盛り込まれない予定。

 オバマ米大統領は、25日に行われた一般教書演説で、米議会に税制抜本改革への着手を呼び掛けた。大統領は、「制度を簡素化し、抜け穴を排除する。無駄を省くことで、25年ぶりの法人税率引き下げに踏み切る。赤字は積み増さない」と語っている。

※この記事はアップデートされます。

記者: David Wessel


08. 2011年1月27日 13:55:09: cqRnZH2CUM
農作物価格高騰で注目の3銘柄

* 2011年 1月 26日 13:42 JST  
ルイス・ナベリア

 【リノ(米ネバダ州)】米国では、景気回復が関心の的だが、その他の国々では、食料など生活必需品の確保が懸念されている。 

 事実、世界は、食料価格の高騰、すなわち農作物インフレに見舞われている。さらに、米国農務省が主要穀物供給量予測を下方修正したことに市場がサプライズ反応し、トウモロコシと大豆価格が30カ月ぶりの高値をつけた。

 農務省の推計では、今年のトウモロコシ在庫は前年比5.5%減少し15年来の低水準になる。トウモロコシからエタノールが生産されるため、トウモロコシ価格の上昇はガソリン価格の上昇につながる。さらに、トウモロコシは、家畜の重要な飼料でもあるため、食肉価格もつり上がる。国連食糧農業機関(FAO)は最近、穀物価格の上昇が止まらなければ、世界は新たな食糧危機に近づくだろうと警告を発した。

 2008年の食糧危機ではコメ価格の高騰が顕著だったが、今回は、トウモロコシ、大豆、麦などの穀物価格が急騰、アルジェリアやモザンビークでは暴動に発展している。途上国では、先進国に比べて家計に占める食費の割合が高いため、価格が上がると人々の生活が直撃される。インドは先週、12月の卸売価格が 11月の年率7.48%から8.43%に上昇したと報告した。

 明らかに、需要と供給のバランスが崩れているようだ。このところの急成長で新興国の生活が豊かになり中産階級が増えている。そして、それに伴いタンパク質の消費量が増加傾向にある。需要が高まる一方で、環境問題などによる減産から農産物の供給が追いつかず、価格上昇圧力がかかっている。

 さて、この上昇トレンドでは、どのような投資戦略を取るべきだろうか。商品相場で豚バラ肉、トウモロコシやオレンジ・ジュースなどを投機的に売買することは薦められない。安全にお金を殖やしたいなら、食料生産に必要な農業機械、肥料、種子など農業関連銘柄への投資がよいだろう。コモディティー相場に比べれば値動きは小さいが、株価は確実に上昇軌道に乗っている。

注目したい農業関連の3銘柄

 ディアは、世界最大の農業機械メーカーで、建設用機械、林業用機械、業務用・家庭用芝刈り機を製造している。東欧では小麦の収穫量が減少しているが、対照的に米国では、ここ数カ月間に、穀物の収穫量が急増している。米国では、現在、穀物輸出量が史上最高を更新した。穀物需要が高まれば、当然、農業機械も必要になる。

 農業が米国経済に占める割合は約1% 程度でしかないが、実際には、穀物価格が上昇すると、農業機械、種子、穀物取扱い施設や食品加工の分野で支出が増え、実質的な影響は10倍以上になる。このように、ディアは、農作物価格上昇の影響を受けやすい銘柄だ。上昇トレンドにある食料価格とドル安から、農業関連銘柄は絶好の買い場にある。

 アグリウムは、北米の大手化学肥料メーカーだ。同社は、アルゼンチン、カナダ、米国に工場があり、主に窒素、カリウム、リン酸塩を主原料とする化学肥料を製造している。工場の窒素産出能力は、年間800万トンを超える。卸売りに加え、アグリウムには、米国と南米に826の販売店舗網がある。同社は、直近の四半期、アナリストの期待に沿う業績を出せなかった。そのため、来期に目標を達成すれば、株価が大幅に反発する可能性がある。

 CFインダストリーズ・ホールディングスは、窒素とリン酸塩肥料を製造、販売する。同社は、主に米中西部に工場と販売店網を展開している。肥料メーカーの好業績の背景は、容易に分析できる。国際的な食料需要に応えて、穀物収穫量を増やそうとする農産物生産者にとり、CFは絶対に欠かせない存在だ。CFもアグリウム同様に収益の悪化を経験したが、ここ半年でファンダメンタルズが回復し、株価は今後も続伸しそうだ。

(ナベリア氏は、投資ニュースレター「Blue Chip Growth」の編集者で、Navellier & Associatesの会長。同氏は、本コラムで言及された銘柄を保有していない)


09. 2011年1月27日 13:58:36: cqRnZH2CUM
ドル下落、米量的緩和維持が重し−豪中の動向警戒で一時リスク回避も 

  1月27日(ブルームバーグ):午前の東京外国為替市場では、ドルが対ユーロで約2カ月ぶりの安値圏、対円では1ドル=82円台前半で推移した。前日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で現行の量的緩和策維持があらためて確認されたことから、ドル売り圧力がかかりやすい展開が続いた。

  ただ、中国が住宅投資を抑制する方針を示したほか、オーストラリアのギラード首相が洪水被害で経済成長が押し下げられると述べたのを受けて、豪ドル売り主導でリスク回避の動きが進行。ドルと円が買い戻される場面もみられた。

  午前のユーロ・ドル相場は1ユーロ=1.3715ドルを下値にドルがやや下げ渋る展開となり、一時は1.3691ドルまで値を戻している。午後零時 22分現在は1.3701ドル近辺で取引されている。前日の取引ではロンドン時間に一時1.3722ドルと、昨年11月22日以来の水準までユーロ高・ドル安が進んでいた。

  一方、ドル・円相場は1ドル=82円台前半で小動き。ドルの上値が82円28銭、下値が82円02銭と、午後零時22分現在までの値幅は26銭にとどまっている。

  上田ハーローのシニアアナリスト、山内俊哉氏は、米国の金利先安観が払しょくできず、「ドルが弱含む地合いが続く」と予想。ただ、明日は米国の国内総生産(GDP)発表を控えて、様子見姿勢が強い面もあるといい、東京市場ではオーストラリアと中国発の材料がリスク回避に伴うドルと円の買いにつながったと説明している。

  中国の国務院は26日にウェブサイトに掲載した声明で、2軒目の住宅を購入する際の頭金の最低比率を50%から60%に引き上げるとともに、地方政府に土地供給の拡大を要請した。資産バブル発生リスクを一段と抑えるのが狙いで、「中国は引き続き、住宅の投資や投機的な購入を効果的に抑制していく」方針を示している。

  また、ギラード豪首相は洪水で同国のGDPが0.5ポイント押し下げられるだろうと発言。これを受けて、豪ドルは一時、対米ドルなどで下落した。同首相はまた、洪水後の復興コストを賄うため今年7月から一時的な課税を実施すると発表した。

          米量的緩和維持は全会一致

  米連邦準備制度理事会(FRB)は26日のFOMCで、6月にかけて6000億ドルの国債を購入する方針を維持。政策は2009年12月以降で初めて全会一致で決定された。また、声明文では、景気拡大が「継続しているものの、そのペースは労働市場の状況を著しく改善させるには不十分だ」と指摘されている。

  ブラウン・ブラザーズ・ハリマン外国為替部の久保信明バイスプレジデントは、FOMCについては投票権を持ったメンバーが変わったということもあり、反対票が増えるというような期待もあったが、結果は全員一致で、なおかつ割と慎重な見通しを示したということがドルの重しになっていると説明している。

  明日は、米国で昨年10−12月のGDP統計が発表される。ブルームバーグ・ニュースがまとめた市場予想の中央値では、前期比3.5%の増加と、前期の2.6%増を上回る伸びが見込まれている。

          ユーロに「高値警戒感」も

  一方、欧州金融安定ファシリティー(EFSF)がアイルランド救済資金を調達するため25日に発行した同基金初の債券は、取引初日の26日の流通市場で上昇している。入札では募集の9倍の注文があった。

  欧州中央銀行(ECB)のトリシェ総裁は、26日、スイスのダボスでのブルームバーグテレビジョンとのインタビューで、ユーロ圏の救済基金に国債購入の権限を与えることは可能との見解を示した。

  また、ECBのシュタルク理事は、26日、キールでのイベントで、「ECBの金融政策は依然緩和的であり、景気動向を考慮すると一層緩和的になっているといえる」と指摘。「現時点では、われわれの分析では中期的なインフレ圧力の兆候は見られない。だがこの判断が変わった場合は、行動を起こす」との見解を示している。

  半面、ECB政策委員会メンバーのマクチ・スロバキア中銀総裁は26日、ブラチスラバでの記者会見で、ユーロ圏のインフレ率上昇は「一時的」だと述べている。

  BBHの久保氏は、ユーロ・ドルが1.37ドルをつけた後、「足踏み」している感があるとした上で、「大きくユーロが崩れることはないだろうが、高値警戒感自体はある」と指摘している。

記事に関する記者への問い合わせ先:東京 三浦和美 Kazumi Miura kmiura1@bloomberg.net
更新日時: 2011/01/27 12:36 JST


10. 2011年1月27日 16:03:25: cqRnZH2CUM
豪 洪水税とは。。
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Australia introduces ‘flood tax’
Julia Gillard Agence,France-Presse
Spending cuts also planned to meet A$5.6bn repair bill

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Japanese exports surge 13 per cent
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Global Overview from MARKETS 6:19am
Asian shares extend upbeat run
US data and Fed stance brighten the mood

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* Wall Street rises after State of the Union

From WORLD 10:36am
Global economy fears ease at Davos
Roubini says upside and downside risks balanced

* In depth Davos 2011
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Goldman president warns on bank rules
Cohn says global crackdown could cause crisis

* In depth Davos 2011
* Optimism over ‘three-speed’ recovery
* Martin Wolf Return of optimism?

Toyota Sienna minivan recall From COMPANIES 9:08pm
Toyota recalls 1.7m cars to check fuel pipes
Move includes one Lexus luxury model

* Analysis Carmaking: Adroit in Detroit
* Daimler to make light car parts with Toray


11. 2011年1月27日 20:49:57: cqRnZH2CUM
 増谷栄一のアメリカ経済情勢ファイルトップ |
米FRB、原油高でもインフレ懸念を否定=政策金利は据え置き
2011/01/27 (木) 17:08

―6千億ドルの追加国債買取維持=全員一致で―

【2011年1月27日(木)】 − FRB(米連邦準備制度理事会)は25-26日のFOMC(連邦公開市場委員会)会合で、景気見通しをやや引き上げた一方で、6000億ドル(約49兆4000億円)の追加国債買い取りの維持を全員一致で決めた。

 また、政策金利であるFF(フェデラル・ファンド)金利の誘導目標も市場の予想通り、「for an extended period」(長期にわたって)の文言を残した上で、現行の0%〜0.25%のレンジに据え置くことも全員一致で決めた。政策金利の据え置きは2008 年12月以来23カ月連続。

 前回(昨年12月)のFOMC会合まで、カンザスシティ地区連銀のトーマス・ホーニグ総裁だけが現行の"ゼロ金利"政策は長期的には景気や金融市場に対するリスクを高めるとして反対してきたが、今回は賛成に回った結果、2009年以来初めて全員一致の決定となった。

 また、同総裁は前回まで長期国債の買い取り拡大も、メリットよりもデメリットの方が大きくなるリスクがあるとして反対していたが、今回は賛成している。

 同総裁はこれまで、「長期にわたり、超低金利政策を続ければ、FRBのバランスシートを悪化させるばかりか、長期のインフレ期待を高め、その結果、経済を悪化させる可能性がある」と主張、また、金融市場で投機的な動きが活発化させる恐れがあるとして、昨年1月27日のFOMC会合以来8回連続で反対していた。

 また、今回の会合は、同総裁が支持に回っただけでなく、今年からFOMCの新メンバーとなった4人の地区連銀総裁の中でも、インフレに対してタカ派とされるフィラデルフィア地区連銀のチャールズ・プロッサー総裁とダラス地区連銀のリチャード・フィッシャー総裁の2人も反対しなった点は注目されるところだ。

 市場では依然として、FRBはいつから利上げに転換するかという出口戦略に対する関心がくすぶり続けている。金利先物市場では徐々にだが、年内の利上げ観測が強まってきている。しかし、大方のアナリストは2012年に入るまでは利上げに転換しないと見ている。

 しかし、プロッサー氏とフィッシャー氏に加え、FOMCの新メンバーとなったミネアポリス地区連銀のナラヤナ・コチャラコタ総裁もタカ派に傾く恐れがあるため、ベン・バーナンキ米FRB議長に対し出口戦略への早期転換を迫る可能性もある。

■景気の現状認識、ほとんど変わらず

 FRBが政策金利を据え置き、また、長期金利の低下を促すための追加国債買い取り規模も維持したのも、FOMCのメンバーが景気の現状認識で、特段、大きな改善は見られていないと判断したからだ。

 会合後に発表されたFRBのバイアス(金融政策に対する姿勢)を示す声明文を見る限りでは、FRBの景気の現状認識はほとんど変わっていない。前回の発表と同様、「景気回復は続いているが、雇用市場を著しく改善させるには不十分な成長ペースとなっている」としている。

 また、個人消費(家計支出)についても、「家計支出は昨年暮れに上昇した」との文言を加え、前回の「家計支出は緩やかに増加している」から消費が改善傾向にあることを強調したが、そのあと、「依然、高水準の失業率と個人所得の緩やかな伸び、住宅の資産効果の低下、さらには、銀行からの借り入れ難によって伸びが抑制されている」と、前回と同じ文言となっている。

 さらに、「企業の機械装置・ソフトウエアに対する投資は増加しているが、工場などの非居住用建物への投資は依然弱く、住宅市場も依然、低迷している」という文言も前回と同じ。

 バーナンキ議長は雇用市場の低迷に強い懸念を示している。それは雇用の低迷はGDPの約70%を占める個人消費を抑制するからだ。

 ちなみに、労働省が今月7日に発表した昨年12月の新規雇用者数(非農業部門で軍人除く、季節調整済み)は、前月比10万3000人の純増と、3カ月連続の増加となったが、昨年10月の大幅な伸び(21万人増)に比べると増加ペースが半減、依然、雇用の回復は緩慢だ。

 失業率も9.4%と、前月の9.8%から0.4%ポイントも改善したが、9%台は20カ月連続で、1982‐1983年のリセッションの19カ月連続の過去最長記録を更新している。

 失業率は当面、10%に近い水準が続くと予想されている。バーナンキ議長は今月7日の上院銀行住宅都市委員会の公聴会で、「雇用の増加ペースが加速しなければ、失業率は持続安定的に低下することは望めない」と悲観的な見通しを明らかにしている。

 ただ、同議長は、今年の経済成長率については、政府の減税延長措置によって、個人消費や企業の設備投資が刺激され、2010年よりはやや高い伸び率になるとの楽観的な見方は示している。

 しかし、同議長は、雇用情勢の改善が遅れ、特に個人消費が抑制される場合には、せっかくの政府の減税延長措置の効果も弱まることになりかねず、2013年までに失業率は約8%に低下するとの厳しい見方も示している。

 また、同議長は高水準の失業率は最長であと5年は続くとも指摘しており、エコノミストも失業率の低下については懐疑的で、米投資分析大手ムーディーズ・アナリティクスの主席エコノミストのマーク・ザンディ氏は、6000億ドルの追加金融緩和措置がなければ2011年末の失業率は9.9%に上昇するが、それでも9.6%がやっとだ、と冷ややかだ。

■インフレ懸念見当たらず

 また、今回の金融政策の現状維持のもう一つの根拠となっているのは、インフレ上昇懸念はないというFOMCメンバーの判断だ。これは早期利上げの必要性がないということを意味する。

 声明文を見ると、今回初めて、「商品(コモディティ)価格が上昇している」との文言を加え、最近の原油高や食品価格の上昇によって全世界でインフレ圧力が高まっているとの認識を示している。

 しかし、すぐそのあとに、「長期のインフレ期待は依然安定しており、足元のインフレ指標は低下傾向を示している」とし、早期利上げの必要性はないこと、また、米国の個人消費に悪影響を与えないとの見方を示し、インフレ上昇による景気の先行き懸念を否定している。その意味で、個人消費の昨年暮れの改善傾向と合わせ、景気見通しをやや引き上げたといえる。

 インフレに対する認識は、コモディティ価格に関する文言が付け加えられたことを除けば、基本的には前回の声明文と変わっていない。

 声明文では、「現在のインフレ率は、FRBが使命としている物価の安定と雇用の最大化と矛盾せず、FOMCが長期にわたって望ましいとする水準をやや下回っている」とし、むしろ、ディスインフレの状況にあることを示している。

 アナリストの多くは、FOMCのメンバーの大半はコモディティ価格の上昇は需要の回復の表れと見ており、また、高水準の失業率でコアインフレ率は引き続き抑制されると楽観的に見ている、と指摘している。

 昨年11月に公表されたFOMC議事録では、PCE(個人消費支出)物価指数で見たインフレ率(中央値)については、徐々に緩やかに上昇ペースが加速するが、低水準で安定的に推移すると予想している。

 2011年のインフレ率の見通しは+1.1〜+1.7%、2012年は+1.1〜+1.8%と、長期インフレ目標の+1.6〜+2.0%を下回っている。ちなみに、2013年は+1.2〜+2.0%となっている。ただ、2月16日に公表される議事録で、最新の予想結果が明らかにされる予定だ。

 また、先の議事録では、FOMCメンバーの半数は、欧州債務危機のような大きな経済的ショックが再発しなければ、今後5‐6年以内に、米国の GDP成長率や失業率、インフレ率はそれぞれの潜在的な伸び率に収斂(れん)していくと予想している。しかし、一部のメンバーはそれまでにはもっと時間がかかり、景気回復は長期化すると悲観的な見方をしている。

■追加国債買い取り規模を維持

 FRBは昨年11月3日のFOMC会合で、景気回復の遅れとディスインフレ(物価上昇率の低下)からの脱却を目指して、長期国債の追加買い取り規模を6000億ドルとすると発表。今回はこの規模も、また、今年第2四半期(4-6月)末までの買い取り期限も現状通り維持したが、エコノミストは、今後数カ月は、買い取り規模は大幅な増減なしにこのまま維持されると見ている。一部にはもう一段の追加対策が取られる可能性もあるとしている。

 昨年12月のFOMC会合では、景気の現状認識については、前回(昨年11月)発表時の「生産活動と雇用の回復ペースが依然として鈍化している」から、「景気回復は続いている」との認識に変わったが、それでも、今月4日に公表されたFOMC議事録の中で、「この程度の景気見通しでは国債買い取りプログラムに調整を加えるには不十分だ」と、指摘している。

 さらに、同議事録では、「買い取りプログラムの進捗ペースや規模は経済・金融情勢次第だが、プログラムを変更するかどうかの閾(しきい)値はかなり高い」とし、買い取り規模の現状維持に対し断固とした姿勢を示していることからも現状維持の決意は固い。

 追加国債買い取りは、従来からの"QE(Quantitative Easing) Lite"と呼ばれる、2500億‐3000億ドル(約20兆6000億‐24兆7000億円)の長期国債への再投資を加えることで、量的金融緩和の規模は8500億‐9000億ドル(約70兆‐74兆2000億円)へと、一気に3倍以上に拡大する措置。

 FRB傘下のニューヨーク連銀が公開市場操作(オペ)を通じて、毎月750億ドル(約6兆2000億円)のペースで、平均5-6年の残存期間の長期国債を来年6月末までの8カ月間にわたり買い取っている。

 ただ、今回の声明文では、「毎月750億ドルの買い取りペース」という文言が削除されたが、これは月ごとに買い取り額が変動している現状を単純に反映させたものと見られている。

■NY株式市場、上昇=債券利回りも上昇

 ニューヨーク株式市場では、今回の政策決定の結果を受けて、原油高でもインフレ上昇懸念は見られず、個人消費に悪影響が及ばないという景気見通しを好感、また、この日、商務省が発表した昨年12月の新築住宅販売件数が前月比17.5%増と、急増したことも手伝って、主要株価指標のダウ工業株30種平均は、一時、2008年6月19日以来約2年半ぶりに1万2000ドルの大台を突破した。結局、前日比8.25ドル(0.1%)高の1万11985.4 ドルと、上昇して引けている。

 しかし、株式相場とは対照的に、ニューヨーク債券市場では、10年国債は売られ、債券価格と反対方向に動く利回りは前日の3.34%から7ベーシスポイント(0.07%ポイント)高い3.41%に上昇した。

 一方、ニューヨーク為替市場では、ドルは主要通貨バスケットに対し、政策決定発表前の77.934から発表後は77.776に低下している。 (了)


12. 2011年1月28日 20:56:44: Pj82T22SRI
在庫率の高止まりによる中古住宅市場の需給緩和を背景に住宅価格が再下落
住宅価格下落に伴う住宅価値の毀損は、家計の純資産を目減りさせ、貯蓄率を高止まり
http://www.itochu.co.jp/ja/business/economic_monitor/pdf/2011/20110127_2010-011_U_HomePrice&SavingRate.pdf
 
米国で住宅価格の再下落が続いている。2010 年11 月のS&P ケースシラー住宅価格指数(20 都市)は季
調値前月比▲0.5%と5 ヶ月連続で低下し、原系列前年比でも▲1.6%(10 月▲0.8%)と2 ヶ月連続で水
面下に沈んだ(図1)。水準そのものを見ても2010 年のピークである6 月の147.8 からは3.5%低下の142.7
と、住宅バブル崩壊後のボトムである2009 年5 月の141.0 が視野に入りつつある。住宅価格再下落は、
中古住宅市場において販売と在庫のバランスが大きく崩れているためである。中古住宅販売は12 月に前
月比12.8%と急増し、中古住宅在庫は4 ヶ月連続で減少し、需給バランスは改善方向にある。それでも在
庫率は8.6 ヶ月と、住宅バブル前までの標準的な水準である4〜6 ヶ月を大きく上回ったままであり(図2)、
中古住宅市場の需給バランスが崩れてしまっていることに変わりはない。

こうした住宅価格の下落は、家計が保有している住宅の資産価値を毀損するため、貯蓄率にも影響を及ぼ
す。
貯蓄率は@ライフサイクル仮説から必要となる将来に備えた家計の純資産額とA金融(信用)の利用
可能性に決定されるところが大きいと考えられる。@は、ライフサイクル仮説において家計がリタイア後
の生活に備え、一定の純資産額を保有(貯蓄)するとの前提に立ち、その純資産が目減りすれば貯蓄を積
極化し、逆に増加すれば貯蓄を抑制すると考えるものである(図4 のグラフでは現在の所得を基準に純資
産が十分か否かを判断すると仮定し、純資産/可処分所得の変化を示している)。単純化すれば、家計の
保有する資産が拡大するか、負債が減少すると貯蓄率は低下へ向かうことになる。一方、Aは金融技術の進歩や金融機関の貸出態度の改善によっても貯蓄率が低下しうることを示唆している(@とA以外に、政府からの一時的な手当拡大なども短期的には貯蓄率変動に影響する)。

住宅バブル発生前までの趨勢的な貯蓄率上昇はAに挙げた金融技術の進歩によるところが大きい。また、金融機関の貸出態度は家計のバランスシートに依存するため@とAは無関係ではない。@が貯蓄率低下に寄与するときには、Aが@の影響を増幅することになり、そうしたメカニズムが米国における住宅バブルや過剰消費を後押ししたとも言える。

足元を見ると、金融機関の貸出態度は幾分改善したことから家計の金融利用は幾分容易になっており、Aの要因は貯蓄率を押し下げる方向に作用しつつある(図 3)。一方、@の純資産要因は一進一退である。株高による株式資産価値の拡大がある一方で、前述した住宅資産価値の減少が押し下げに働き、家計の純資産はボトムアウトこそしたものの明確な持ち直しには至っていない(図4)。住宅資産価値の減少が続く下で金融機関の貸出態度が大幅に改善するとは考えにくいことを踏まえると、現在5%台半ばの貯蓄率は容易に低下しない可能性が高いと考えられる。貯蓄率の高止まりが続けば、個人消費の拡大は限定的なものに留まらざるを得ない。


13. 2011年1月29日 02:04:45: cqRnZH2CUM
GDP予想したほど改善せず、ダウ暴落 円急騰 
好材料やメルケル発言は眼中になし


米GDP:識者はこうみる
2011年 01月 29日 00:23 JST

 [ワシントン/ニューヨーク 28日 ロイター] 米商務省が発表した第4・四半期の国内総

生産(GDP)速報値は年率換算で前期比3.2%増となった。アナリスト予想は3.5%増だった。

 市場関係者のコメントは以下の通り。

●2010年下期に回復の勢い増す、ドル安効果も寄与

 <パーテノン・グループのエコノミスト、リチャード・デカサー氏>

 米経済は2010年下期に着実に回復の勢いを増しており、2011年も好調な滑り出しとなっている。在庫を増やすことなく需要がこの水準に達するということは、さらに生産拡大の余地があることを示している。

 コアインフレに関する指標はほぼすべて下向きのトレンドとなっており、経済の緩みを反映している。

 また米ドル安からの意義ある効果がついに見受けられるようになった。貿易実績や在庫積み上がりペースの鈍化にそれが表れている。

●強い成長、純輸出の反転寄与

 <スイス再保険の首席米エコノミスト、カート・カール氏>

 純輸出の反転が大きく寄与している。消費は非常に堅調で、これまでの低迷と比較して力強さが目立っている。在庫調整も進ちょくしており、企業の設備投資は底を打った。建設には一服感がみられるが成長の足かせにはなっていない。一方、政府部門はマイナスとなった。

 全体の成長率は市場予想平均を下回ったものの、強い数字に変わりなく、私見として、資金を債券から株式に移行すべきと考える。

●最終需要めぐりFRB内で見方割れる可能性

 <IFRエコノミクスのエコノミスト、デイビッド・スローン氏>

 第4・四半期の米国内総生産(GDP)速報値は前期比年率でプラス3.2%と、市場予想(プラス3.5%)を下回ったが、在庫投資の伸びが大幅に減速したことが主要因だ。

 最終需要はプラス7.1%と、市場予想を上回り、1984年第2・四半期以来の高い伸びとなった。この数字は、米連邦準備理事会(FRB)のタカ派メンバーの見方を支える可能性がある。

 半面、第4・四半期に見られた輸入の大幅減が今後続く公算が小さいことから、FRBのハト派メンバーは、3.4%の伸びとなった国内最終需要が基調的な需要をより正確に反映していると受け取る可能性がある。

ブルームバーグ
米GDP:第4四半期3.2%増、個人消費と純輸出が寄与 (Update1) 
  1月28日():昨年第4四半期の米国経済は、前期比で成長した。個人消費や輸出が寄与した。

米商務省が28日に発表した2010年第4四半期(10−12月)の実質国内総生産(GDP、季節調整済み、年率)速報値は前期比3.2%増だった。ブルームバーグ・ニュースがまとめたエコノミストの予想中央値は3.5%増。第3四半期は2.6%増だった。在庫投資を除いた最終需要は7.1%増と、 1984年以来の高い伸びだった。

実質GDPは13兆3800億ドルと、リセッション(景気後退)突入前のピークをつけた2007年第4四半期の水準を上回った。

2010年通年での米GDPは2.9%増。前年は2.6%の縮小だった。

第4四半期のGDPを項目別にみると、個人消費は4.4%増。2006年第1四半期以来の高い伸びを示した。GDPへの寄与度は3ポイント。

貿易赤字の縮小が好影響し、純輸出は3.4ポイントのプラス寄与となった。

一方、在庫投資は72億ドルと、前四半期の1214億ドルから大幅に縮小し、3.7ポイントのマイナス寄与に転じた。これは1988年以来で最大のマイナス。

食品とエネルギーを除いたコアPCE(個人消費支出)価格指数は前期比年率0.4%上昇と、同指数の記録が開始された1959年以降で最も低い伸びとなった。

翻訳記事に関する翻訳者への問い合わせ先:ニューヨーク 楽山 麻理子 Mariko Rakuyama 4903mrakuyama@bloomberg.netEditor: Akiko Nishimae,Tsuneo Yamahiro記事に関する記者への問い合わせ先:Bob Willis in Washington at bwillis@bloomberg.net
更新日時: 2011/01/29 00:15 JST

米消費者マインド指数:1月は74.2に低下、現況が悪化 (Update1) 
  1月28日(ブルームバーグ):1月の米消費者マインド指数は、前月比で低下したが、予想ほどは悪化しなかった。

1月のロイター・ミシガン大学消費者マインド指数(確定値)は74.2と、前月の74.5から低下した。ブルームバーグ・ニュースがまとめたエコノミスト予想中央値は73.3。速報値の72.7からは上方修正された。

1月の現況感指数は81.8と前月の85.3から低下した。今後6カ月の先行き景況感を示す指数は69.3と、前月の67.5から上昇した。

1年先のインフレ期待は3.4%と、前月の3%から上昇。5年後のインフレ期待は2.9%だった。

TDセキュリティーズの市場チーフエコノミスト、エリック・グリーン氏は、「堅調な景気見通しや景気動向に対する手堅い見方が示されている」と述べた。

原題:U.S. Consumer Sentiment Falls LessThan Forecast (Update2)

翻訳記事に関する翻訳者への問い合わせ先:ニューヨーク 楽山 麻理子 Mariko Rakuyama

mrakuyama@bloomberg.netEditor: Shigeru Chiba、Tsuneo Yamahiro記事に関する記者への問い合わせ先:Alex Kowalski in Washington at akowalski13@bloomberg.net
更新日時: 2011/01/29 01:40 JST

ガイトナー米財務長官:景気拡大、失業率の低下には依然弱過ぎ

  1月28日(ブルームバーグ):ガイトナー米財務長官は、米国の景気拡大ペースについて、失業率の低下や財政赤字の削減には依然として弱過ぎるとの認識を示した。

  同長官はスイスのダボスで開催中の世界経済フォーラム(WEF)年次総会で、「現在では信頼感が一段と高まっており、景気拡大は持続している」とした上で、「急拡大ではない。失業率を急速に低下させられるような拡大ペースではない」と加えた。

翻訳記事に関する翻訳者への問い合わせ先:ニューヨーク 森 茂生 Shigeki Mori smori1@bloomberg.net Editor: Akiyo Kinoshita記事に関する記者への問い合わせ先:Simon Kennedy in Davos, Switzerland atskennedy4@bloomberg.net
更新日時: 2011/01/28 22:34 JST


14. 2011年1月29日 03:18:17: cqRnZH2CUM
米国の力の根源は、新しいビジネスを生み出す力
それが続く限り、米国は世界1を維持できるだろうが
革新を支える庶民の質自体が、変質している気がする

1月27日(ブルームバーグ)
カーネルおじさんは毛沢東より有名−ヤム・KFCの中国市場開拓物語 

:北京にある毛沢東元国家主席の墓地から通りを隔ててすぐそばにある天安門広場の外れで、何颖颖さん(21)はフライドチキンを頬張りながら、温和な表情の顔が描かれた看板をじっと見上げた。「私たちはこの人が大好きなの」。

  何さんは北京にある首都経済貿易大学の学生。彼女が言う「この人」とは、天安門広場に肖像画が掲げられている国のシンボル的存在、毛元主席のことではない。米ケンタッキー・フライド・チキン(KFC)のレストランの看板に描かれた白ひげのおじさん、カーネル・ハーランド・サンダースのことだ。ここは何さんがお気に入りのファストフードレストランだ。ブルームバーグ・マーケッツ誌3月号が報じた。

  本拠地の米国市場で、KFCは困難な状況に陥っている。ファストフード最大手、米マクドナルドのほか、傘下のフランチャイズ店との間でも、顧客獲得合戦でしのぎを削っており、利益減少に歯止めをかけるのに懸命だ。

  一方、中国では、KFCはマクドナルドや中国国内の競合企業より優位に立ち、多くの都市でカーネル・サンダースの看板が毛元主席の肖像画よりずっとよく見掛けるようになった。このような成功は、これまで外国企業がつまずき、壁にぶつかることの多かった中国では特筆すべきことだ。

           ご当地の味覚にアピール

  KFCの親会社米ヤム・ブランズの成功の秘訣(ひけつ)は、中国国内での資源の利用方法にある。それは、運営チームにもメニューについても言えることだ。中国で 24年間操業しているヤムは、事業拡張を進める上で中国人マネジャーを採用。国内企業との協力関係を築き、マネジャーの専門知識を活用して国内の味覚にアピールするご当地メニューをずらりとそろえた。顧客は、おなじみのフライドチキンのほか、豚肉やキノコ、卵入りのかゆも購入することができる。

  ヤムは2010年の予想営業利益20億ドル(約1640億円)のうち36%は中国で展開するレストラン3700店からの収益によるものと推計。同社が米国で展開するタコ・ベルやピザ・ハット、KFC、ロング・ジョン・シルバーズ、A&Wなど計1万9000店の利益の総額を初めて上回ることになる。ヤムは18日、中国に注力する戦略の一環として、ロング・ジョン・シルバーズとA&Wを売却する方針を発表した。

  ヤムの中国事業の利益は昨年7−9月(第3四半期)に23%増加。米国では2%の減益だった。ダンキンドーナツや、電子商取引サイトを運営するeベイなどの欧米企業が市場参入に苦心する中国で、ヤムは18時間に1軒の割合で新店舗をオープンしている。英市場調査会社ユーロモニター・インターナショナルによると、中国のファストフードチェーンにおけるヤムの市場シェアは40%と、マクドナルドの16%を上回っている。

成功とリスク

  1987年に中国で初めてレストランを開店したヤムは現在、KFC3200店、ピザ・ハット500店を展開。店舗は熱帯の島、海南島から北朝鮮との国境付近、古代シルクロードの砂漠にあるオアシスなど中国国内650都市に広がっている。KFCは店舗数を約5倍の2万店に増やすことを目標としている。

  中国の米商工会議所の会頭を務め、05年に出版された「OneBillion Customers: Lessons From the Front Lines of DoingBusinessin China」(邦題:「中国ビジネス開花記」)の著者、ジェームズ・マグレガー氏は「ヤムは中国で最も成功した外国企業となっている」と指摘。「いち早く進出し、製品を改良した。積極的に事業を拡張し中国人マネジャーに実際の決定権を与えた」と分析する。

  ヤムの中国でのサクセスストーリーにはリスクも伴う。ヘッジファンドマネジャーのヒュー・ヘンドリー氏やジム・チャノス氏ら弱気派の投資家は、中国の資産バブルが崩壊し、人件費や食料価格の高騰が企業を直撃すれば、同国の成長率は半分の水準に減速する可能性があるとみている。中国は30年以上にわたって平均10%の経済成長を遂げている。

  ヤムの元バイスプレジデントで欧州のプライベートエクイティ(PE、未公開株)投資会社インベストインダストリアル・アドバイザーズの中国部門の会長、ワレン・リュー氏は、ヤムの世界の売上高と利ざやのうち中国が4年以内に半分以上を占めると予想している。

  リュー氏は「その市場が財務面から見てどんなに魅力的でも、1つの市場に過度に依存することを懸念している。ヤムの中国事業が不振に陥れば株価に大きな打撃を与えるだろう」と予想する。

さらに2億人が顧客に

  米ケンタッキー州ルイビル在勤のヤムのデービッド・ノバック会長兼最高経営責任者(CEO)は、そのような事態にはならないと語る。米モルガン・スタンレーとユーロモニターの推計を引用し、中国経済は向こう10年間に3倍に拡大し、さらに2億人の中国人がファストフードの消費層に加わるとみている。

  ノバック氏(58)は電子メールで「21世紀の外食産業にとって中国は絶好の事業機会になっている」との見方を示した。

  ヤム・ブランズが米飲料・食品メーカーのペプシコから分社化した1997年以降、今月25日までにヤムの株価は6倍以上に上昇した。この間のS&P500種株価指数の上昇率は37%だ。

  マーケティング戦略情報会社、中国市場調査グループの高齢化問題担当ディレクター、ショーン・ライン氏(上海在勤)は「中国の消費関連株への投資に気軽に一口乗りたいと思うなら、ヤムは格好の投資先だ」と語る。

200万ドル

  毛元主席の墓地を見渡すKFCで、何さんはフライドチキンの最後の一口を平らげ、「好吃」(ハオチ=おいしい)と言うと、もう一度カーネルおじさんの看板をちらりと見た。

  「彼は本当にたった200万ドルで事業を売ったの?」と信じられないという表情をし、「きっと後悔したでしょうね」とつぶやいた。

  サンダースは1980年にこの世を去った。自身が考案した米南部の料理が数百万人の中国人を引き付ける日が来ることなど想像もしなかったことだろう。それも地元のビジネスのノウハウを活用するKFCの半ば公然となったレシピと欧米風の魅力、スパイスの効いた米南部料理の味のおかげだ。

-- With assistance from Michael Wei in Beijing, Mark Lee andFrank Longid in Hong Kong, Andrew M. Harris in Chicago andPhil Milford in Wilmington, Delaware.Editors: David Ellis, Jonathan Neumann.
更新日時: 2011/01/27 09:37 JST


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