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欧州よ、同じ筋書きの危機で同じ過ちを繰り返すな 市場はユーロネタからインフレネタへ?
http://www.asyura2.com/10/hasan70/msg/684.html
投稿者 tea 日時 2011 年 1 月 18 日 19:12:25: 1W1IXELjjF6i2
 

ロシアのスペイン債購入再開などもあって、現在、あまり市場のリスク回避度は高くない。
逆に、インフレがネタとしての影響度を高めつつある
ユーロ危機ネタは、今年一杯は使えるとしても、振幅は小さくなっていくか
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90920021&sid=aHWo2UvQOAHc
【コラム】欧州よ、同じ筋書きの危機で同じ過ちを繰り返すな−Mリン

  1月18日(ブルームバーグ):新しい年が来て、新たな危機がやって来た。欧州の債券トレーダーや政治家、中銀当局者らが休暇を終えデスクに向かうやいなや、欧州の周辺に位置する小国の運命をめぐるせめぎ合いが始まった。

  今回はポルトガルだ。しかし、その筋書きは過去のギリシャやアイルランドと極めてよく似たものだ。国債利回りが急伸し、政府は救済の必要性を懸命に否定する。ドイツとフランスの首脳は、欧州の団結が重要だとする使い回しのせりふを口にし、国際通貨基金(IMF)や欧州連合(EU)の担当者が荷造りをし、フライトスケジュールをチェックする。

  そして不敵な発言はあっという間に聞かれなくなり、救済が始動するといった具合だ。

  だがこれまでのところ、ポルトガルをめぐる議論の多くは同国の救済をいつ開始するかを問題にしている。もっと重要なポルトガルを救済すべきかどうかという問題はほとんど話し合われていない。

  実際、これはひどいアイデアだ。ユーロ危機の隣国への飛び火を阻止できないばかりか、救済のメカニズムはいいかげんだ。EUやIMFの支援プログラムから脱する計画も欠如している。さらにこの救済パッケージの明らかな欠陥は、ユーロ圏の解体の可能性を高めることだ。EUは、ギリシャ救済は大きな過ちだったと認め、単純にポルトガル債務の再編を行う方が良いだろう。

            利回りの目安

  ポルトガル政府が今後いつまで債券市場からの圧力に耐えられるかは誰も分からない。先週初め、ポルトガル国債利回りは急上昇したが、その後、若干下げている。17日の10年物ポルトガル国債の利回りは6.6%だった。大体の目安として、7%が転換点となるようだ。ポルトガルは恐らく利回りをこの水準未満に維持できるだろうが、絶対とは言い切れないだろう。

  真の問題は、ギリシャ救済から1年もたたぬうちにユーロ導入国救済で3回目の救済パッケージを取りまとめるのは理にかなうかどうかだ。

  答はノーだ。以下に理由を説明しよう。

  第一に、この救済では危機の波及を阻止できないからだ。ギリシャ救済の後、市場はアイルランドを標的にした。アイルランド救済も、ポルトガルへの攻撃を阻止できなかった。従ってポルトガルを救済しても次にスペインが狙われると考えるのが妥当だ。市場は、一度に一つの国を標的とする。それは、その国が唯一の高リスク国だからではなく、手っ取り早く利益を上げる最も簡単なやり方だからだ。こうして救済の完了と同時に、舞台は次の国へと移るわけだ。

             金利の高さ

  第二の理由は、この救済メカニズムがでたらめに作られていることだ。救済された国に課す金利は懲罰的であり、財政的窮地からの脱出を一段と困難にする。アイルランドは救済の第1弾に対して、5.51%の金利を支払っている。ギリシャの金利は約5%だ。これは通常の金融機関の借り入れコストを大きく上回っている。そもそもこれらの国は、借り入れた資金の金利を払う余裕がないために救済を必要としたのに、追加の借り入れで一段と高い金利を課すのは理にかなっていると言えるだろうか。

  私がポルトガル救済は不合理だと考える第三の理由は、救済プログラムを脱するための計画が存在しないことだ。救済後もギリシャとアイルランドの国債利回りは依然、ユーロ圏の平均を大きく上回っている。利回りが下がる兆候は見られないし、これらの国が景気回復する様子もない。では、これらの国はどのようにして通常の成長軌道に戻るというのだろうか。出口戦略を用意せずに戦争を始めてはならないのと同様に、市場を適切に機能させるアイデアを持たないまま国を救済すべきではない。

           投資家は愚かではない

  最後の理由は、この救済メカニズムの欠陥によりユーロ圏の解体の公算が大きくなることだ。投資家は愚かではない。彼らは、EUとIMFの支援策がうまく行かないと明確に認識する力を持っている。しかし、格付け会社フィッチ・レーティングスはようやく先週になってギリシャ国債を投資不適格(ジャンク)級に格下げした。フィッチによると、ギリシャの昨年の成長率はマイナス4%で、今年はマイナス3%が見込まれる。

  他の国が景気回復を遂げつつあるのに対し、ギリシャは10−20年も持続し得るリセッション(景気後退)に陥っている。このように年を追うごとに貧しくなる国に債務管理が可能だろうか。これが「救済」の目指すところだとしたら、投資家がユーロ安を見込んでいるのも当然と言えるだろう。

  EUがギリシャ救済で過ちを犯したことは既に明白だ。何もせずにデフォルト(債務不履行)させた方がましだった。古い格言に、「穴の中にいることに気付いたら、もうそれ以上は掘るな」というのがある。必要ならポルトガルのデフォルトを容認し、その影響に対処する方が良いだろう。

  欧州が何としても避けるべきことは、危機全体の深刻化を招くだけの新たな救済失敗だ。(マシュー・リン)

(リン氏は、ブルームバーグ・ニュースのコラムニストです。このコラムの内容は同氏自身の見解です)
更新日時: 2011/01/18 15:11 JST  

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コメント
 
01. 健奘 2011年1月19日 00:11:55: xbDm84QDmOFmc : rYd4I1Qido

> 救済プログラムを脱するための計画が存在しないことだ。救済後もギリシャと
> アイルランドの国債利回りは依然、ユーロ圏の平均を大きく上回っている。
> 利回りが下がる兆候は見られないし、これらの国が景気回復する様子もない。
> では、これらの国はどのようにして通常の成長軌道に戻るというのだろうか。

少し長い目(5年とか)で見ると、"豊かな遊び"を提供できるようになることしかありえないでしょうね。

日常の物は、中国から、工作機械など高度技術品は、ドイツから。それで足りてしまいますから。


02. 2011年1月19日 11:42:35: z6FPymHZG6
救済と称する動きはむしろその国に改革をせまる圧力と同義じゃないのかな

03. 2011年1月24日 11:13:22: mHY843J0vA
 bloomberg.co.jp
ユーロ防衛、天王山は「スペインの戦い」−チェイニー 
  1月19日(ブルームバーグ):ユーロ存亡の運命を分ける戦いはスペインが戦場になる。ギリシャとアイルランド、そして近く戦われるポルトガルでの戦闘は小競り合いにすぎない。スペインはスケールが違う。

  欧州連合(EU)の当局者が正しい戦略を取れば、市場はスペインでの決戦を終えた後、インフレなど他のリスクに目を向けるようになるだろう。一方、EUの作戦が失策に終われば、ユーロ圏債務をめぐる悲喜劇は際限ない波乱に陥り、金融リスクの大きさは全世界のシステムを飲む込むに十分な大混乱を起こすだろう。

  金融市場はユーロに対して友好的でも敵対的でもない。しかし、市場はひとたび重大な不整合を発見すると、それが解消されるまで圧力をかけ続けてくるものだ。ユーロの不整合とは国家を持たない通貨というその性質と、ガバナンス(統治)の不備だ。財政統合なし、救済なし、制裁なし、という3つの「なし」がユーロを自壊させる。

  スペインが基本的に支払い能力のある国であっても、ユーロの存続が確信できなければ民間投資家はスペイン国債を買わないだろう。理由は単純だ。ユーロが崩壊すれば、復活する新生ペセタは価値の薄い通貨となり、スペイン政府は債権団との条件見直しが必要になる。

  ギリシャやアイルランド、そして近くポルトガルにも供与されるとみられる融資のような流動性の支えは、英国を含めた欧州の銀行システムにおける連鎖的な破綻を防いできたが、各国の長期的な支払い能力について疑念を払拭(ふっしょく)することはできないし、ガバナンスの問題を解決しない。

          「見えない財政統合」

  危機を解決する方法は、ガバナンスの仕組みを変更することによってユーロ存続の可能性を投資家に確信させることだ。恒久的な危機対応メカニズムを 2013年までに整備するとした昨年10月29日の合意は、この点で重大な転機だった。域内の政治指導者らは初めて、国家のデフォルト(債務不履行)があり得ること、秩序ある対応が必要であることを認めた。

  投資家は依然として懐疑的だ。まず、2013年は遠い先だ。第2に、将来の危機解決システムの形はまだはっきりしない。さらに重要な第3の点として、投資家はドイツなどユーロ圏の大国の政治的決意を、超国家のユーロ共同債が発行されるまでは信じられない。難しいのは、そのような債券は「見えない財政統合」を始動させかねないことだ。欧州中央銀行(ECB)の元チーフエコノミスト、オトマー・イッシング氏が最近警告したこのような動きは、ユーロに対する国民の反発を引き起こしかねない。

            「恐れと畏怖」

  イタリアのトレモンティ経済・財務相とルクセンブルクのユンケル首相が支持する共同債構想は、イッシング氏に言わせると不合格だ。高品質と低品質の債券が統合されてしまうからだ。この問題を修正する一つの方法は、共同債に参加する各国で徴収される税金を担保とした債券を発行することだ。各国は約束した担保の額に沿った資金を得るので、財政統合にはならない。それでも、財政をめぐる「権限委譲」の側面があるため、現時点では政治的に受け入れられにくいだろう。

  政策担当者らは予想よりもはるかに迅速(じんそく)に包括的なガバナンス改革に向けて進んでいるものの、市場がスペインやイタリアなど大規模国の借り換えを行き詰らせるペースは速く、政治的交渉の時間枠では追いつかないかもしれないい。

  「驚きと畏怖」の戦略が不可欠なのはこのためだ。当局者は2月11日にブリュッセルで開かれるEU経済サミットより前に、そのような作戦を練り上げる必要がある。ポルトガルとスペインに合わせて5000億ユーロ(約55兆3600億円)を融資すれば恐らく、2012年末までの両国の資金需要を満たすことができる。ユーロのガバナンス改革を完了する期限として妥当であると同時に、両国が苦境にある銀行に資本を再注入する予備資金としても十分だと思われる。

           バジョットの遺訓

  これが19世紀の英思想家、ウォルター・バジョットが後世に残した大原則の真髄だ。「良質の担保を取って高金利でたっぷり貸し出す」のが最後の貸し手の仕事なのである。

  スペインでの決戦で、ECBは強い姿勢を示し、ユーロ防衛の決意を鮮明にしなければならない。ECBがスペインの支払い能力を信じているならば、ファンダメンタルズ(経済の基礎的諸条件)に照らして割安な価格でスペイン国債を購入した結果としてバランスシートが劣化することを心配するはずがない。2、3年後にスペイン債を売却したときのキャピタルゲインで、最終的には納税者に利益が出るかもしれない。

  バジョット流の「驚きと畏怖」作戦は合理的かつ実践可能であり、スペイン防衛の経済的・政治的価値を考えると実行される可能性は高い。あれこれ迷って決定を遅らせれば、収拾不可能な事態になるだろう。欧州当局者にとって、ユーロの安定回復のために計算されたリスクを取ることは、悪いことが起こらないことをただ祈っているよりはるかに賢明な選択肢だ。(エリック・チェイニー)

(チェイニー氏は、アクサ・グループのエコノミストです。このコラムの内容は同氏自身の見解です)
更新日時: 2011/01/20 07:42 JST


04. 2011年1月29日 11:49:11: cqRnZH2CUM
2011 年1 月28 日
The Global Monetary Analyst
インフレのメリーゴーランド
Spyros Andreopoulos (44 20) 7677 0528
Joachim Fels (44 20) 7425 6138
 主要先進国と新興国との間では足許、世界的な「インフレの
メリーゴーランド」が生じている。
1. 新興国の中央銀行は、米ドル・ペッグ制(ハード・ペッ
グ、ソフト・ペッグ)を通じて、主要先進国の超緩和的・拡
張的な金融政策を輸入している。
2. 既に新興国において問題化しているインフレは、先進
国に出荷される製品価格の上昇を通じて、先進国へ再輸出
されている。
3. 「合理的判断に基づき静観の構えを採る」先進国の中央
銀行は、そうした輸入インフレを容認している。このよう
な中央銀行の姿勢は、国内のインフレを押し上げるリスク
を孕んでいる。
 世界経済は現在、こうしたプロセスの第二段階を迎えてい
る。世界的なインフレのループは、先進国または新興国の
少なくともいずれかの側が金融政策(または為替政策)の正常
化を決めるまでは、今後も続くだろう。世界的な「インフレ
のメリーゴーランド」が上昇スパイラルへ発展する前に政策
の正常化が図られるかどうかは依然として不透明である。
この2〜3 ヵ月間に世界経済の先行き見通しが改善している。
このような状況下、投資家の視線は、再びインフレ動向に向
けられている。相次いで打ち出された量的緩和措置を背景に、
先進国においてはインフレ期待が上昇しており、一部におい
てはインフレ率そのものが上昇している(図表1 参照)。実際、
英国やユーロ圏では、インフレ率は中央銀行が目標とする水
準を既に超えている。米国についても、インフレ率は(早晩)
底入れする可能性が高い。さらに、コモディティ価格が上昇
している。石油や一部のハード・コモディティの場合はイン
フレ/経済成長見通しが、また多くの農産物については一時的
な供給混乱が価格を押し上げている要因となっている。
図表 1
上昇しているインフレ期待
出所: ブルームバーグ、モルガン・スタンレー・リサーチ
先行き見通しの変化に反応する市場−「中央銀行にとっては
いつものこと」先行き見通しの変化に対して債券市場は反応
しており、より多くの利上げ回数を織り込む展開を見せてい
る。イールド・カーブの中長期セクターにおいては、利回り
に上昇圧力がかかっている。このように、市場では、中央銀
行は、従来と同じように、インフレ期待上昇の芽を早いうち
に摘み取ろうと機先を制した利上げに動くと予想されている。
つまり、市場においては、中央銀行の反応関数は従来と殆ど
変わらないと見られている。
変化している中央銀行の反応関数: しかしながら、我々の見
るところ、主要先進国の中央銀行の反応関数は、金融・経済
危機の発生およびその後の世界経済を取り巻く環境を受けて、
大きく変化している。我々が思うに、中央銀行は、様々な点
を踏まえた合理的判断に基づき、短期的には静観の姿勢をと
るだろう。
・ 金融市場の安定性に対する懸念から、大幅な金融引き締
めは難しい。銀行システムや消費者のバランスシートは
依然として脆弱である。また、債務残高が積み上がって
いるソブリンにとっては、債券市場の報復が何より恐ろ
しいことである。
・ 昨年から指摘しているように、先進国の景気回復は引き
続き「トリプルB 級」並み(回復にむらがあり(bumpy)、成
長率が標準を下回る(below-par)、不安定(brittle)な足取り)
にとどまる可能性が高く、このため、先行きの透明性が
低下している。これは、下手に行動しない方が無難なこ
とを意味している。換言すれば、インフレについては、
どう対処していけばよいのか中央銀行はよく知っている。
これに対して、デフレは、どう対処すればよいのか中央
銀行も実のところよく判っていない「悪魔」のような存在
である。このため、どちらかを選ぶとすれば、よく知ら
ない悪魔(デフレ)より旧知の悪魔(インフレ)の方がまし、
と中央銀行は考えるだろう(2010 年8 月18 日号The
Global Monetary Analyst 収載”Better the Devil You Know”
参照)。
・ さらに、中央銀行は最近、「ナイト的不確実性」(確率分
布が思い描けない不確実性)が非常に高いと繰り返し述
べている。先を見越してプロアクティブに行動するには、
中央銀行は、足許作用している経済要因やそれがインフ
レ動向に及ぼす最終的な影響について把握している必要
がある。したがって、経済要因やその影響について把握
できない状況にあっては、霧が晴れて視界がクリアにな
るまで、中央銀行は、問題が起きてから適切に対応する
リアクティブな行動を余儀なくされる可能性がある。

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