★阿修羅♪ > 経世済民70 > 561.html
 ★阿修羅♪  
▲コメTop ▼コメBtm 次へ 前へ
消費税率アップができないなら「インフレ税」を“活用”しよう デフレで私たちは損している? 得している?
http://www.asyura2.com/10/hasan70/msg/561.html
投稿者 tea 日時 2011 年 1 月 07 日 00:16:23: 1W1IXELjjF6i2
 

短期的に、中銀と投機マネーの力を考えると
「財政赤字が円高要因になるのは理論的に常識」
とは言い難いが、長期的には、その通りだろう

http://business.nikkeibp.co.jp/article/money/20101228/217763/?ST=print
日経ビジネス オンライントップ>投資・金融>新しい経済の教科書
デフレで私たちは損している? 得している?
消費税率アップができないなら「インフレ税」を“活用”しよう


* 2011年1月5日 水曜日
* 広野 彩子

デフレ  インフレ  円高  インフレ税  フリードマンルール  トービン効果  財政赤字 

 「失われた20年」を経て、依然デフレが続く日本経済。民主党政権の元でも財政赤字は一層膨れ上がり、将来世代へのツケがなお積み上がっている。年金改革、経済政策始め、軸足がはっきりしない政権運営に、国民の将来不安は増すばかりだ。

 円高基調の為替相場が続き為替政策にも注目が集まる中で、財政赤字が円高要因になるのは理論的に常識であり、財政再建こそ真っ先に取り組むべき課題と指摘するのが、北海道大学の工藤教孝准教授だ。

 デフレとインフレの本質とは何か、消費税アップが容認できないとしたら、我々にはどんな選択肢があるのか――。経済理論に裏打ちされた洞察から長期停滞脱出の処方箋を探る。

(聞き手は日経ビジネス記者、広野彩子)

―― 日本は10年ほど緩やかなデフレの状態が続いています。デフレの定義は一般物価水準が持続的に下落することですが、デフレ退治のためにインフレ待望論も聞かれます。そもそもデフレはそんなに良くない状態なのでしょうか?
工藤 教孝(くどう・のりたか)
米ニューヨーク州立大学経済学部博士課程(Ph.D)修了。1996年立命館大学経済学部卒業。2005年から現職。専門はマクロ経済学。共著に『サーチ理論〜分権的取引の経済学』(東京大学出版会、2007年)がある。日経ビジネスのコラム「気鋭の論点」に定期的に寄稿している。(写真:菅野 勝男)

工藤 それが実は、すべてにおいてそうとは言い切れない部分があります。デフレの場合、僕たちは既に「補助金」をもらっているんです。

 物価が下がっている一方、額面の数字が変わらない貨幣を保有することは、保有貨幣に対して補助金をもらうのに等しい効果があります。本当にデフレが経済に良くないのであれば、デフレの時代に補助をもらわないといけないのは企業のはずで、家計ではないのです。家計はデフレで補助金をもらっている側です。それがもし害ならば、損をしている企業を支援するのが筋です。

―― なるほど。企業関係者が聞いたら涙を流しそうなご意見ですね。例えば、英サッチャー政権の顧問だったパトリック・ミンフォード教授は、デフレでも経済成長はできると断言していました。最適なインフレ率はまだ誰にも分からないとも言っていました。

工藤 そうです。最適なインフレ率があるのかないのか、あるとしたらどのあたりがいいのかについては、理論的にも決着がついていません。もちろんモデルを書くとそこから最適なものは出るんですが、別のモデルを書くとまた別の結果が出てくるので、なかなか決着がつかないのです。
「フリードマンルール」ではマイナスのインフレ率が最適

 理論モデルを使っている立場からすると、著名な「フリードマンルール」といわれるものがあります。これは名目金利はゼロが良いという考えで、この時インフレ率はマイナスになるのですが、それが最適と考えるもので、社会厚生を最大にするインフレ率はマイナスであると結論づけています。

―― ノーベル賞経済学者のミルトン・フリードマンですね。マイナスのインフレ率、つまりデフレが最適というわけですか。

工藤 しかもこれが理論的に非常に頑健なんです。モデルの拡張をし、いろいろな人が挑戦するんですが、「フリードマンルールは最適ではない」という結論を出せない。

 もちろん、最近いくつかフリードマンルールが最適でないケースが報告されてはいますが、大きなインパクトになるほどではない。ここ10年ぐらいの間に、現代的なマクロ経済学のモデルを使って昔と同じ問い掛けを本格的にもう一度やったという仕事が増えているのですが、フリードマンルールの頑健性はなかなか打ち破れないのです。

 その意味でも、デフレを退治した方がいいというスタート地点はコンセンサスを得にくい。そういった理論的な結論と人々の感覚とギャップが出ている理由は、ずっとデフレでかつずっと景気が悪いからでしょう。「デフレ」と「不景気」という言葉が、日本ではほぼ同義語のように扱われてもいます。デフレが嫌だと言っている人の大半は、不景気が嫌だと言っているのではないかとも思います。

―― 一部の企業経営者にとっては嫌なことでしょう。

工藤 経済学的に考える時、世の中にとって良いか悪いかを考えるのは難しいです。例えば消費者にとっては嬉しいけれども企業にとっては嬉しくない、あるいはその逆もある。社会全体で集計すると総和は変わらず、嬉しいと思う主体が右から左に移っているだけだとも言えます。

 1つの物事に両面の意味がある時に、マイナス面だけを見続けると、インフレになろうとデフレになろうと、結局みんな困った、困ったと言ってしまうのではないでしょうか。

―― 英国の1970年代の大不況の時は、インフレ率20%でした。インフレ=好景気ではないし、不況=デフレでもないということですね。

工藤 そうです。不況でインフレだったらもっと悲惨なはずです。ただでさえ稼ぎが少なかったり失業してしまったりした人は、少ない現金預金を頼りに生きているはずです。そこにインフレが襲った場合、なけなしの貯蓄が氷のようにどんどん溶けていくのです。インフレの場合、本当に大勢の生活困窮者が出てくる心配をしないといけないでしょう。

―― 今も生活困窮者はいると思いますが、今の比ではなくなるということですか。
不況から受ける庶民の傷はデフレだから浅い側面も

工藤 今は安く生活できるために何とか貯蓄の取り崩しで生きていけるわけですが、本格的なインフレになった場合、生活が成り立たなくなるのは間違いないでしょう。いずれにせよ、インフレに対してバラ色一色のイメージを持つのは危険です。

 ただ、経済学的にインフレにバラ色の面があることも確かです。これを「トービン効果」と言います。

―― 株価と企業の価値との関係についての投資理論、「トービンのq」を提唱したノーベル賞経済学者、ジェームズ・トービンの理論ですね。

工藤 インフレには、貨幣に対する課税という側面があります。貨幣を持っているとペナルティーが掛かるので、ペナルティーの少ない方法で貯蓄をしたいと人々は思います。そうすると蓄財のため、貨幣以外の、株や金、不動産などといった実質の単位で保有できる実物資産に資金が流れていきます。

 そうすると当然、株価は上がるし、不動産価値も上がる。それが経済成長にプラスの要因を与えることが指摘されており、これをトービン効果というのです。トービン効果がものすごく強ければ、つまりインフレによって不動産価格や株価が上昇すれば、インフレでバラ色のシナリオも考えることはできる。すべては「トービン効果がどのくらい強いか」にかかってくると思います。「インフレ万歳」という人が書くシナリオの背景にある理論は、トービン効果でしょう。

―― ただ株や金、不動産といったものは基本的に富裕層が動かす資産ですよね。

工藤 そうなんです。おっしゃる通りで、それがインフレは逆進性を持つ税金だといわれる根拠です。富裕層は現物資産にアクセスしやすいですから、インフレが起きるときっと得をするに違いないでしょう。庶民の大半は貯蓄が氷のように溶けていくのを黙って見ているだけになる。インフレでは、そういう残念な状況になりがちです。

 そういう意味で、インフレ政策は必ずしも庶民向けの政策ではないと思います。

―― インフレ政策による負の側面をお話いただきましたが、以前、日経ビジネス本誌(2010年6月28日号)で座談会に参加していただいた時、財政赤字の解消手段として、人為的にインフレを起こすことに言及されていました。財政再建のためには、ある程度のインフレが必要なのでしょうか?。

工藤 現状、正攻法の増税や歳出削減で日本の財政再建ができるかというと、それはかなり厳しいと思います。ちょっと無駄を削減した程度ではもう無理です。
無駄削減だけではなく大切なものにも切り込む必要

 真剣に歳出を減らすことを考えるなら、無駄を削減するのではなく、大切なものにも切り込むぐらいでなければだめですし、たとえそうしたとしても十分には減らないでしょう。そのために私が言ったのが「インフレ税」だったのです。

 インフレは先述のように現金に対する課税と考えられるので、「インフレ税」という税金であると見るべきです。インフレを起こして景気を良くしようということは、実質、増税ということになるのです。だから財政再建ということを考えると、私は「インフレ税」に踏み込む必要があると思うのです。

 これは日本銀行の独立性にもかかわる怖い政策ですが、国民がインフレを待望している様子なので、いっそのことやってみたらどうでしょう? という、問題提起です。

 ただ、デフレは退治しなければいけないというコンセンサスが本当にできているかというと、そうではありません。インフレ政策は、このコンセンサスを踏まえた上で考えないといけないのです。

 先ほど申し上げたように、インフレが経済に悪影響を及ぼすということについてはかなりの学術研究での蓄積があるんですが、物価が下がることが経済に害を及ぼすかどうかは、控えめな言い方をしても、未解明ですとしか言いようがない。

 私が財政再建のために中央銀行の独立性をある程度、犠牲、もしくはリスクにさらしてでもインフレ税を考えてもいいのではないかと思う理由は、年々累積債務の残高が大きくなって、いつか大きいインフレがどかんと来るのではないか、と多くの人が恐れ始めているからです。

―― 国債が暴落するのではないかという懸念が、国民の間に高まっているのではないかということですね。

工藤 私自身はインフレには来てほしくないと思っています。もし日本国債が何らかのきっかけで暴落し始めたとしましょう。その時、やはり日銀は市場の安定化を至上命題とする組織ですから、買い支えに走らないはずがありません。
否応なくインフレが起こってからではもう遅い

 もし本当に強くて強硬な中央銀行であれば、国債がどんなに暴落しようと絶対に我々は買わないと宣言すると思うのですが、たぶん日銀は買い支えに走るでしょう。暴落が始まり、それを買い支えるとなると、必要な買い支え額が金融政策のすべてを決定してしまいますから、買い支えが始まった途端に金融政策に自由度がなくなります。

 そうなると、かなり本格的なインフレが来ることが懸念され、上手にコントロールできる範囲内には収まらない恐れがあるのです。これは25年ぐらい前に、サージェントとウォーレスという研究者が、英語で『Some Unpleasant Monetarist Arithmetic』という、日本語で『ある不愉快なマネタリストの算術』という論文で指摘しています。

 この論文は財政金融政策論の中では金字塔の1つと言われています。中央銀行の独立性が維持できないなどの状況、例えば累積債務が大きくなり過ぎた時などに買い支えが始まります。するとそれにより非常に大きなインフレが始まってしまうのです。

 彼らの主張は、将来の高インフレと今の低インフレとの間にはトレードオフがあるということです。国債暴落まで待って、仕方なく後手後手にインフレ政策が始まると、かなり状況が厳しくなりそうです。そういう意味で、インフレ税を始めるなら今のうちから自発的に始めておいた方がコントロール可能な範囲内でインフレを生み出せる可能性があるかもしれない、と思うのです。

―― 早めに着手すればインフレがコントロール可能な水準に落ち着く可能性は、本当にあるのでしょうか。

工藤 自信はありません。たぶん日銀の皆さんも自信はないと思います。人類始まって以来、私の理解では、インフレ税獲得という目的のために人為的かつコントロールされたインフレを起こしたことはないですから。

 ドイツやハンガリーで過去にあったハイパーインフレは、一応インフレ税獲得のために発生させられたインフレの一例とされていますが、コントロール不可能でした。
人為的なインフレが制御できた試しはない

 いずれにせよ、少なくとも私の理解では、インフレはいつも嫌々発生しています。インフレ税率5%程度のインフレが起きるといいなと言ってインフレを起こし、その結果、税収が思い通りに確保できてまた2%のインフレに戻したなどという事例は、いまだに世界のどこにもないはずです。

 そういう意味では、中央銀行がインフレ政策に及び腰になってしまう気持ちはとても分かる。いったん始めてしまった時に全然コントロールが利かなくなる。そうすると本当に日本は先進国ではなくなってしまうでしょう。

―― それは日本にとっては由々しき事態です。

工藤 特に理論的によく分からない部分というのは、今、例えば日銀が意識的につくり出せるインフレ率が、本当に連続的に分布しているのかどうかです。つまり、今はマイナス1%ですね。マイナス1%からプラス5%ぐらいのインフレを、中央銀行が自由に選ぶなどということができるのかどうか。それとも、プラスになる時は突如5%とか10%になってしまうのか。これが分かっていない。

 なぜかというと、デフレ下では買い手は「これからも物の値段は下がるだろうから、今はまだ買わなくていいや」と思って行動しますが、インフレが始まると、売り手は「これからどんどん値が上がるから、今すぐ物を店頭に出さなくていいや」と変わります。ゲームのルールが変わるのです。こういった状況で、上手に好きなインフレ率を選ぶことができるのかは全く分かりません。消費市場の流通パターンがいったん乱れ始めると怖いです。

―― 1973年の「第一次石油危機」の時、トイレットペーパーが買えなくなると思った人々が、店の前に長蛇の列を作りました。同じように消費者はパニックに陥るかもしれません。

工藤 デフレの中で人々が取っている行動が、インフレになっても同じだと思わない方がいい。突然変わる可能性があるのです。ある日突然、物が店頭に出なくなる状況を考えなければいけません。

 また、インフレを人為的に発生させると、これは実質的には貨幣に対する課税になるのですが、貨幣による購買力が完全に蒸発するわけではありませんね。必ずどこかに「受け取り手」がいます。それは、政府になります。この意味でも政策としてインフレを考える時には、広い意味での税体系の1つとして考えないといけない。
赤字国債発行はイコール金融引き締め策である

―― 財政再建については、日本の国債はほとんどを日本人が買っているのでデフォルトに陥ることはないと言われるなど、必要以上に恐れる必要はないという意見も聞かれます。工藤さんが財政再建が必要だと考える理由は何でしょうか。

工藤 財政再建が何より重要なのは、赤字国債発行というのは、イコール金融引き締め政策だからです。

 国債発行をすると、多くの人々は財政政策だと思うでしょう。ところがこれは金融政策なのです。国債の発行は金融市場に金融資産を売りに出す活動であり、財政出動のための資金調達だからです。国債発行は金融政策で、しかも国債を人に買ってもらう政策ですから資金を吸い上げます。従って、国債発行は緊縮的な金融政策なのです。

 赤字国債の発行で、借金を将来世代に押しつけるのは良くないということばかりが言われますが、一方で金融引き締め政策になっていることも忘れてはいけません。

 金融引き締め政策では、国債を買うことによる機会費用が発生しているのです。国民が購入する場合は消費をあきらめているかもしれません。株式を売却して国債を買うのであれば、株式市場を冷やすことになります。

 国債を購入しているのが外国人であれば、円を欲しがる力になりますので、円高要因になりますね。もし外国人が買わずに日本人が買っても、本来日本の外に出て、国外の資産に投資されたかもしれない資金が、国債を買うことで日本国内に留まるので、やはりこれも円高要因になる。これは大学2年生向け程度の教科書に登場する話で、財政赤字が長期的には円高圧力になるというのはとても基本的な話です。

 円高を抑えるためには為替介入も1つの考え方かもしれませんが、為替介入は瞬間的に下がっていくドルを買い支えるわけであり、一時的な影響はあります。しかし、長期的な円の価値を介入で決めることができるかというと、それはできません。

―― 円高が急速に進んでいった2010年9月に、大規模な為替介入がありましたね。

工藤 円高がバブル的な、皆が円を買うから買う、という状況であれば、介入によって『円買いは損するかも』と思わせることで一方的な円高の流れを止めることは可能だと思いますが、長期的な水準には影響は及ぼさないと思います。
累積債務を抱えないことこそ最善の円安誘導策

 円を長期的な意味で安い位置に持っていきたいのなら、正攻法は財政再建で、累積債務を抱えないことと言えます。でも、こういうことを言う人は意外といないんですよ…。僕が間違っているのかと思うこともあるのですが、そうだとすると、経済学の教科書に書いてあることも全部間違いということになってしまいますから。

―― 例えば、中級とか上級のマクロ理論にまで進んでいったら、その理論が変わるということはないんでしょうか。

工藤 この結論は、マニアックなモデルを使うのではなく、かなり一般性の高い、モデルの構造をあまり変えない範囲内で出てくるものですから、かなり頑健です。

 日本の財政について考えると、今の日本は、小さな政府でもなければ大きな政府でもありません。収入が小さいのにやたらに歳出が大きいだけです。普通、大きな政府を選ぶ、小さな政府を選ぶという時には、収支のバランスが取れている中でたくさん負担をして福利厚生を充実させるか、それとも収入も支出も小さくするかという話になるのです。しかし日本は、政府が大きくも小さくもなく、単に収支のバランスが取れていないだけです。

 その意味では、現役世代は次世代にこれ以上悪いものを残さず、負担を最低限にしてあげることがまず重要だと思います。政治家は政治主導を1つのキーワードにしてきましたが、本当に政治主導で財政再建できるのかというと疑わしい。

 そういう意味では、財政再建を考えた場合、政治主導よりは財務省の主導でいいのではないかと私は思う。

―― 再建企業のトップに、財務畑の人が就くみたいな感じですか。

工藤 財布のひもを締めるのは財務省だと考えています。日銀の独立性と全く同じで、財政を政治で決めないことが財政再建には重要なのではないか。そのためには、中央銀行の独立性ならぬ財政の独立性が必要ではないかと思うのです。財政規模とか、国債発行残高などについては財務省に権限を与える。そして政治は、与えられたものを何に使うかの優先順位を決める。そこは民意で決める。
財務省には「財布の大きさの管理」だけすべて任せる

 政治家はお金をたくさん使ってくれという圧力に弱いですから、それを縛る存在は制度として必要で、それができるのは独立機関でしょう。今のところ、日銀に権限を与えるよりも財務省に与える方が近道かなと思います。

―― 反発する人が多そうなアイデアですが…。

工藤 新たに独立機関を創設するのも不自然ですので、もともと非常に強い力がある財務省にやってもらえればいいと思います。ただし、力を分離する必要があります。税金を何に使うかに関しては財務省は一切口を出させないことです。

 財務省はただひたすら財布の大きさと、国債をどのぐらいの規模で発行し、償還していくかだけを管理すればいい。そうした技術的なところだけを専門的に担い、政治家もそれを活用するのです。

 また、公的年金に代表されるような、ずいぶん昔に交わした“バラ色の約束”を削らせてもらえるのも、インフレの1つのメリットです。今後、税金は国民全員で負担しましょうという全員野球の精神から考えるとすれば、インフレ税がいいでしょう。政治の力で消費税を大きく引き上げることが可能なら、インフレ税に頼らなくてもいいかもしれない。しかし、税率には今後も大きくは手を付けられない恐れがあります。

―― 今おっしゃったように、高度成長時代に設計した社会保障制度は、現状では維持が困難です。しかも財源として消費税率を引き上げることがなかなか難しい。そこにインフレという形で「税金」を獲得して財源を確保するということですね。
インフレ率と税率が国民に与える影響はほとんど同じ

工藤 インフレ率と税率は、数字的にはそれほど違わないのです。計算するのが面倒な時には、インフレ率が5%だったら、税率が5%アップしたと考えても大きくは違いません。

 式を使ったシミュレーションもできます。インフレ率5%の時に100万円持っていたら、1年後には同じ100万円ではなくなります。例えば、リンゴ100個分の購買力が、1年後には95になる。つまり年率5%のインフレ率だと、4.76%の税率がかかることになるのです。複利計算をすると、同じインフレ率で14年経つと、購買力からみた100万円の価値は半分になってしまいます。

―― 2〜3年間5%のインフレであるだけでも、だいぶ減りますね。

工藤 複利ですから、意外と減少幅は大きいです。今まで100個買えたリンゴが、3年後には86個しか買えなくなるのです。

 インフレが始まったら、インフレに合わせて金利を上げてくれる金融商品もあるとは思います。その意味でいくと、逆にデフレのままの方が、こつこつ普通預金口座に貯蓄してきた庶民にとっては、幸せなのかもしれません。

 財政規律や、公的年金の問題などを抜きにした国民の「今の幸福実感」について考えるのであれば、単純にデフレがなくなればいいのかどうか、もう少し違う視点からも考える必要があるでしょう。先にも申し上げた通り、デフレ=景気悪化、とは必ずしも定義できないわけですし。

 今の自分の状況があまりに悪いから、逆になれば…と思ってしまうのはある程度仕方がない。はっきりと、こうすればこうなる、と言い切れる正解を誰かが持っているわけではない状況ではなおさらです。

 ただこれまで申し上げた通り、デフレ脱却、インフレ誘導策、及び景気回復について考える時、人為的なインフレは財政再建の手段としては優れた手法とは言えるけれども、必ずしも国民の幸福感や景気回復を担保するものではないのです。

 景気回復策のつもりでインフレを目指す政策を唱えている方が多いですよね。でも経済学的に言うと、それは主張されている方の意図は別にして、財政再建最優先を訴える内容になっており、必ずしも庶民の幸福実感にプラスに働く主張ではないのです。この議論を考える時、その点については忘れないでいただきたいと思っています。
このコラムについて
新しい経済の教科書

経済学の世界をのぞいてみませんか? これまで勉強したことがある人もそうでない人も、最先端の経済学の理論に触れてみることで、新鮮な発見があるはずです。経済学の世界は日々、進歩しています。このコラムでは、気鋭の若手経済学者に、最先端の経済理論をかみ砕いて解説してもらいます。
   

  拍手はせず、拍手一覧を見る

コメント
 
01. 2011年1月07日 08:48:28: cqRnZH2CUM
http://business.nikkeibp.co.jp/article/money/20101222/217674/?ST=print
「通貨供給量を増やせばデフレから脱却できるのでしょうか?」
金融政策についてその目的と手段を知る〈2〉

* 2011年1月7日 金曜日
* 村田 啓子

金融政策  日本銀行  コールレート  期待物価上昇率  デフレ  日銀法 

 今回は金融政策について考えます。金融政策は大きく2つに分けることができます。1つは、いわゆるマクロ金融政策であり、利子率や貨幣供給量を操作することを通じて、経済変数に影響を及ぼす政策です。狭義の金融政策で、マネタリー・ポリシーのことです。日本では日本銀行が担当しています。

 もう一つは、金融システムの安定を目的とする信用秩序維持政策で、プルーデンス・ポリシーと言います。日本では主として金融庁及び日銀が担当しています。本講義では前者であるマクロ金融政策について今回から数回にわたりみていきます。

世界的な低金利

 下のグラフは主要先進国である米国、ユーロ圏、英国そして日本の政策金利の推移を示しています。日本では1990年代半ば頃から低金利が続いていますが、2008年秋のリーマンショックにより先進各国の政策金利は大幅に引き下げられ、現在米国は0〜0.25%、ユーロ圏は1%、英国は0.5%、そして日本では0〜0.1%となり、世界的な低金利が続いています。

 リーマンショック及びその後の世界金融危機の発端は、サブプライム住宅ローン問題を抱えた米国でしたが、派生した金融商品を広く欧米諸国が保有していたために、まず欧米で金融危機が起こり、それが実体経済にも波及しアジアなども含め世界に危機が広がりました。日本はサブプライム関連商品保有が少なかったため、経済への影響は当初限定的と見られていたのですが、輸出など実物経済の面で大きな打撃を受けたことなどにより経済成長率もマイナスとなり、影響が広がりました。

 反対に景気の良いときは政策金利は引き上げられます。例えば2000年頃のITブームのときは、世界的に景気が良かったため政策金利も引き上げられています。

金利スムージング(漸進主義)とは?

 また、上のグラフをみると、最近は政策金利を上げる際には少しずつ小幅に引き上げ、下げるときも変更幅は小幅となることが多く、かつ複数回にわたって変更することが多くなっています。90年代までは0.5%、0.75%という変更も珍しくありませんでした。最近は緊急時を除いて0.25%という小幅な変更が多く見られるようになっています。

 これは「金利スムージング」、あるいは「漸新主義(gradualism)」と呼ばれています。小幅に金利を変更する理由としては、不確実性のある中での政策当局の判断として行き過ぎが起こりにくくなることに加え、マーケットへのショックが少なくなることなどが指摘されています。小幅変更で判断の方向性を示すことにより中央銀行の判断がマーケットに伝わり、マーケットが先行きを予測し易くなる、市場(マーケット)との対話がより容易になるということです。

金融政策の目的は何か

 次に、日本における金融政策の目的をみてみましょう。日本銀行法は1997年に改正(1998年施行)されました。日銀法の冒頭の第1条、第2条で目的が明示されています。

 第1条には、「日本銀行は、我が国の中央銀行として、銀行券を発行するとともに、通貨及び金融の調節を行うことを目的とする」とあります。また、第2条には「日本銀行は、通貨及び金融の調節を行うに当たっては、物価の安定を図ることを通じて国民経済の健全な発展に資することをもって、その理念とする」とあります。

 第2条で日銀の金融政策の目的は物価の安定であると明示されています。財政政策は放っておくと赤字になりやすいという構造的な問題を抱えるという話を前回しましたが、金融政策も同様で、一般には景気の観点から金利は低い方が望ましいという緩和圧力(インフレ的な金融政策運営を求める圧力)の可能性があります。

 また、固定為替レート制の頃は政策当局は為替レートの維持という別の役割も担っていました。変動相場制への移行、及び前回お話したインフレの教訓なども経て物価安定が経済の安定的成長にも重要という認識も広まったことなどから、物価の安定が法律で明示されるに至っています。

 とはいえ、実際に金融政策を運営するに当たっては、日銀は物価の動向を見ているだけではありません。物価が安定していても経済成長が停滞していては、「国民経済の健全な発展に資する」ことにはなりません。現実には物価安定を第一に考えつつ、成長率や失業率を含めた経済情勢を踏まえつつ、より広い視点から金融政策が運営されています。

 第1条の第2項には、先に述べた金融政策の2つ目の目的である金融システムの安定が次のように明文化されています。

 「日本銀行は、前項に規定するもののほか、銀行その他の金融機関の間で行われる資金決済の円滑の確保を図り、もって信用秩序の維持に資することを目的とする」。信用秩序維持、すなわちプルーデンス・ポリシーも担うということです。

中央銀行の独立性と透明性とは

 1998年に日銀法が施行される前は、旧日銀法がありました。これは1942年に施行されたものです。そこでは金融政策の目的の具体的な規定はありませんでした。一方、内閣が総裁、副総裁の解任権を持つなど、中央銀行としての独立性も制限されており、議事の公開規定もありませんでした。

 改正後は、金融政策決定会合が設置され、金融政策は政策委員会(日銀総裁と2名の副総裁、6名の審議員で構成)が月1〜2回開催する金融政策決定会合でその方針を決めています。また、議事要旨は約1カ月後、議事録も10年後に公開されます。日銀の独立性を高めるとともに、透明性の確保を明確にしたということです。議決は9名による多数決です。内閣による総裁などの解任権も、病気などの場合を除き意に反して解任されることはなくなりました。

 政府との関係は、「政府の経済政策の基本方針と整合的なものとなるよう、常に政府と連絡を密にし、十分な意思疎通を図らなければならない」と日銀法に定められており、政策決定会合には財務大臣、経済財政政策担当大臣(この大臣が置かれてないときは内閣総理大臣)またはそれぞれ指名する職員(例えば副大臣、政務官など)が出席します。

 政府からの出席者は、議決権は持っていませんが、意見を述べること、議案を提出すること、次回会合まで議決を延期することを求めること、ができます。実際にゼロ金利解除の時に政府側が延期を求め、否決されたことがあります(2000年8月)。

 金融政策目標達成のため、政策を実行していくための主な手段としては、次のようなものがあります。

 政策手段としては、一般に公定歩合操作、公開市場操作、預金準備率操作などがあります。ただ、これら手段を講じても、すぐに最終目標である物価安定にはつながるわけではありません。短期金利、マネタリーベース、準備預金(日銀当座預金)といった操作目標、長期金利、マネーサプライ、貸出増加額といった経済変数(情報変数)などを考慮して金融調節が行われています。

 最近の日本では、政策手段は公開市場操作が中心となっており、政策金利の誘導目標としては、無担保コール翌日物が採用されています。

 例えば、物価安定のために景気抑制が望まれる場合、短期金利よりも貸出金利に関係の深い長期金利の方が実体経済に直接的な影響をもたらすと考えられます。長期金利が上昇すれば貸出金利上昇を通じて設備投資などの需要も抑制され、物価は安定に向かいます。逆に景気が悪い場合、長期金利が低下すればより低いコストで設備投資が行えるようになり、より安い金利で住宅ローンが借りられるようになるなど需要が刺激されます。

 ただ、長期金利は経済の先行きや人々の期待も関係するので、日銀が簡単に調節できるものではありません。また、中央銀行による手段の行使から最終目標に至るまでの波及経路は時間もかかります。このため、その他重要な経済変数の動きにも注目し判断しながら、政策運営が行われているのです。

 なお、かつてはマネーサプライが中間目標として重視された時期もありましたが、最近はマネーサプライは以前ほど重視されなくなっています。

公開市場操作により政策金利を誘導

 金融政策の手段について、経緯も含めもう少し詳しくお話しましょう。戦後日本における金融政策の手段としては、公定歩合操作、窓口指導、預金準備率操作、公開市場操作が用いられてきました。

 公定歩合操作とは日銀が金融機関に資金を貸し出す時の金利である公定歩合を動かすことによって、民間信用に影響を与える政策です。かつては、この公定歩合が金融政策のスタンスを示すものとして重要でしたが、金融自由化後、徐々に公定歩合に代わり市場金利による調整メカニズムが重視されるようになり、 1995年7月以降は政策金利としてコールレートが正式に採用されました。

 窓口指導は、金融機関に対して預金や貸出取引などの日々の接触を通じて貸出量を適正と思われる範囲内にコントロールすることです。1991年6月に正式に撤廃され、現在は用いられていません。

 預金準備率操作は日銀が市中金融機関に預金などの債務の一定割合を無利子で日銀に預け入れることを義務付けているものです。この比率が変化すると銀行の貸出行動に影響が及びます。例えば、準備率を引き上げればその分、日銀に預けておかなければならない金額が増えるので、金融を引き締める効果があります。ただ、これも日本では1991年10月を最後に今まで行われていません。

 現在日本で最も重要なのが、公開市場操作です。具体的には、日銀が金融機関同士が資金を融通し合う場である短期金融市場において、市中の金融機関から公債や政府短期証券、手形などを購入すること(買いオペ)や逆に売却すること(売りオペ)により、資金の需給関係に影響を与え、政策金利(無担保コール翌日物)を金融政策決定会合で決められた誘導目標(現在は0%〜0.1%)に収まるよう誘導します。これにより民間信用、さらには経済全体に影響を与える政策です。70年代半ば以降活発化してきました。

 また、最近では長期国債の買い切りオペなども行われていますが、最近の状況については次回以降また説明する予定です。

―― 日銀はもっと通貨供給量を増やしていけば、少なくともデフレという状況からは脱却できるのではないかと思うのですが。

 確かに以前は世界においても通貨供給量、すなわちマネーサプライをより重視する政策運営が行われていたこともありました。しかし、最近では今お話ししたように、日銀は基本的に政策金利の誘導目標を重視した政策運営を採用しており、通貨供給量を政策に明示的にとり入れるような手法は用いられていません。

 この理由の一つに、マネーサプライと実体経済の関係が不安定化しているという点があります。例えば、2002年以降の景気回復期において、CPIはゼロ近傍となり、名目GDPも停滞するなか、マネーサプライ(M2+CD)は前年比プラスを維持し名目GDPを上回って伸びていました。

 「マネーサプライ上昇率をもっと高めればデフレは克服される」と考える人もいるかもしれません。しかし、その場合でもどうやってマネーサプライを増やすかという問題があります。一般には実質金利が低下すれば、企業はお金(資金)を借り、その資金で設備投資をし新たなビジネスを始めたり、規模を拡大したりして生産を増やします。ところがバブル崩壊後、金利が低下しても企業は借入を増やすとは限らなくなりました。

―― デフレですから、1.5%の金利でデフレが1%であれば、実質金利は2.5%になるから金利が高くなっているからではないでしょうか。

 そうですね。ただ、実質金利は正確にはインフレ期待で測るべきです。今、足元の物価上昇率が0%、あるいはマイナス0.5%でも、来年に向けての期待物価上昇率が1%になったとすれば、期待実質金利は低下することになります。

 例えば米連邦準備理事会(FRB)のバーナンキ議長は、2010年夏の講演で金融をさらに緩和する可能性を示唆しました。バーナンキ議長が言うのであれば今後さらなる金融緩和により景気が順調に回復し物価も上昇していくと人々は考えるかもしれません。そうやって米国では期待成長率、さらには期待物価上昇率を高めようしているのではないかと思います。残念ながら、日本は今のところ期待物価はあまり上昇していないようですが。

期待物価上昇率はどうしたら高まるのか

―― インフレ期待はどのようにすれば起こるのでしょうか。

 現在の日本経済の状況を踏まえると、とても難しい問題です。1つお答えできるとすれば、そういうメッセージを出すことによる可能性です。例えば日銀では現在実質ゼロ金利であることは既にお話しましたが、それに加え「時間軸政策」を取り入れています。

 これは、足元の政策金利を誘導水準に誘導するのみならず、現在採用している政策を「物価の安定が展望できる情勢になったと判断するまで」続けると将来に対しコミットする、約束することを意味しています。

 すると、「この先しばらくの間ゼロ金利が続くんだな」と、マーケットや人々が思うようになり、先行きの景気にも良い影響をもたらし、それにより期待物価上昇率も高まっていくことが期待されます。その意味では、米国についても金融政策が今後出口政策としてどのような動きを辿るか、米国の経済情勢と金融政策運営の今後の動きが注目されます。

 また、これも次回以降説明する予定ですが、日銀も一昨年以降、デフレ克服のために様々な努力をしています。

 また、日本経済の景気回復、持続的成長は政府の担うべき役割でもあります。リーマンショック後、政府も累次にわたる経済対策を策定するなど世界金融危機に対し日本経済を下支えしたほか、その後も景気の自律的回復に向け努力しています。金融政策における日銀の独立性はもちろん重要ですが、デフレ克服のためには政府、日銀が経済情勢に対する認識を共有し政策を実行していくことが重要です。

 2010年12月の月例経済報告では「政府はデフレからの脱却を喫緊の課題と位置づけ、日本銀行と一体となって、強力かつ総合的な政策努力を行う。日本銀行に対しては、引き続き政府と緊密な情報交換・連携を保ちつつ、適切かつ機動的な金融政策の運営によって経済を下支えするよう期待する」としています。

―― 新日銀法で物価の安定を図って国民経済に資するとうたっていますね。各国の中央銀行は、同じように目標を法律としてうたっているのですか。

 はい。ただし、国・地域によって若干異なります。米国では100年近く前の1913年の連邦準備法で規定されています。物価と雇用の安定を目的とすると解釈され「デュアルポリシー」とも呼ばれています。欧州中央銀行(ECB)はマーストリヒト条約(1993年発効)において物価の安定の維持が目的であると既に明記されています。

 英国はかつては曖昧だったのですが、1998年に改訂されたイングランド銀行法以降物価の安定維持などが目的として明記されるようになっています。
このコラムについて
日本経済のゆくえ

経済学という“道具”で世の中を見ると、それまでとは違った視点で物事を考えられるようになるといいます。どうやら、経済学は役に立つ学問のようですが、これまで敬遠していた人、あるいは、ゼニカネのことばかりで物事を考えるのはいかがなものか、とお考えの方も多いのではないでしょうか。このコラムは、これまで経済を本格的に勉強したことのない人に向けて、難しい数式は抜きに、経済学のイロハから、現実の経済政策や日本経済の諸問題について教えていただくオンライン版の“市民大学”です。三鷹市が開催する市民大学総合コースで2010年5月から始まった講義をベースに構成しました。

⇒ 記事一覧
著者プロフィール

村田 啓子(むらた・けいこ)

首都大学東京大学院社会科学研究科教授、オックスフォード大学経済学博士。1986年東京大学経済学部卒業、同年経済企画庁入庁。OECD経済局、内閣府などを経て2008年より現職。著書に『データで斬る世界不況 エコノミストが挑む30問』、『政権交代の経済学』(ともに共著、日経BP社)。


02. 2011年1月07日 15:10:56: Uj0daPKq1Y
デフレで得してるのは、富裕層だけ。

中間層以下、貧困層は、減給、失職で四苦八苦してる。


03. 2011年1月07日 22:37:49: jW4gpf2wXU
自民党案の「消費税10〜15%引き上げ、法人税20%引き下げ」よりは、
インフレ税を実施してみる価値はあるかも。

04. 2011年1月08日 09:55:37: Pj82T22SRI
国内インフレ率は、世界の生産や金融システムとリンクしているので
政府や中銀が、これをコントロールすることは現代では不可能だ。

とは言え、最終的には、膨張する社会保障など累積財政赤字を解消する手段としては、高インフレによる資産&所得課税以外に選択はないだろう。

現在は、円国債バブル崩壊が、いつ来るかを待っている状況と言える。
関東大震災や東海巨大地震と同じく、必ず来るのだが、
金融現象というのは、皆が来ると思って、用心するほど、デフレ不況とバブル崩壊は先延ばしになる経済心理学の対象だから皮肉であるw


05. 2011年1月10日 18:07:17: lZ83XepxDw
そもそも「経済」と言う曖昧模糊とした現象は、それぞれ個個の価値の違いが顕著かした現象であって、
このような心理的哲学的な現象を物理現象のように数値に置き換えられるのでありましょうか?・・・・・。

各々の価値観に基づいて生じる現象を理論的に考察するにも理論的に考察する個個にさえそれぞれの価値観によって仮説をするのであります。
そんな仮説であっても実証実験を行うといたしましょう。しかし、実証実験段階で実験対象物の価値観は変貌しているかも知れません。
実験者は特異例として扱うでしょうが、本当に特異なのでありましょうか?諸行無常の真理を反故にした結論しか得られないのではないでしょうか?

つまり、経済現象の場合は物理や化学の実験と違い、一定の経済政策を行った場合にどういう結果がおきるかと言うことを検証したくとも、
物理や化学の実験では可能だった「他の条件を同じにする」と言うことが現実の社会ではでき得ないことなのです。
現実の経済社会の中で、特に食糧について実験をするのは危険であり、今現在のまたは過去あった経済社会事象を見つめて考察・検証するしかないのですが
輸出国の都合により数量を制限されたり停止されたりしたことはなかったのでしょうか?

それとて、自国や他国の現在とか過去の中から予想していた仮説と合致していたとしても、その結果がその経済政策を原因として引き起こされたのか、
それとも別の要因によって引き起こされたのかを明らかに証明することはできないでありましょう。
経済論理は唯物論のみで結論を導きださず心理的、哲学的な要素も大きく加味しなけねばならないのではと思うしだいであります。

経済学者が自然科学に似せた方程式を操り、供給力=需要であるかのごとく囁く、科学・生産技術の発展により増大しつづける生産(供給能力)と
需要をどのように融合させるかを経済教科書を離れた新たな視点で考察するべき時ではないでしょうか。
経済学者、経済アナリストさんの奮闘を祈っております。


  拍手はせず、拍手一覧を見る

この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます(表示まで20秒程度時間がかかります。)
★登録無しでコメント可能。今すぐ反映 通常 |動画・ツイッター等 |htmltag可(熟練者向)
タグCheck |タグに'だけを使っている場合のcheck |checkしない)(各説明

←ペンネーム新規登録ならチェック)
↓ペンネーム(2023/11/26から必須)

↓パスワード(ペンネームに必須)

(ペンネームとパスワードは初回使用で記録、次回以降にチェック。パスワードはメモすべし。)
↓画像認証
( 上画像文字を入力)
ルール確認&失敗対策
画像の URL (任意):
 重複コメントは全部削除と投稿禁止設定  ずるいアクセスアップ手法は全削除と投稿禁止設定 削除対象コメントを見つけたら「管理人に報告」をお願いします。 最新投稿・コメント全文リスト
フォローアップ:

このページに返信するときは、このボタンを押してください。投稿フォームが開きます。

 

 次へ  前へ

▲このページのTOPへ      ★阿修羅♪ > 経世済民70掲示板

★阿修羅♪ http://www.asyura2.com/ since 1995
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。

     ▲このページのTOPへ      ★阿修羅♪ > 経世済民70掲示板

 
▲上へ       
★阿修羅♪  
この板投稿一覧