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(回答先: 法人税減税で雇用が増えるのは間違いない しかし・・ 〜 法人税減税とデフレ脱却 投稿者 tea 日時 2010 年 12 月 15 日 20:29:50)
[東京 16日 ロイター] 政府は16日午後、2011年度税制改正大綱を閣議決定した。法人実効税率を5%引き下げ、雇用促進税制や環境関連投資、総合特区制度・アジア拠点化などを推進するための政策税制措置を講じるなど企業に手厚い税制改正となった。
他方個人には、給与所得などの控除制度見直しなど富裕層中心に増税色の強い内容となったのが特徴。「デフレ脱却と雇用のための経済活性化」を改正の柱に据え企業減税に傾注した結果、法人税減税では見合い財源の確保が不十分で、当初目指した「成長戦略と財政健全化の両にらみ」は道半ばに終わった。
11年度税制改正では、(1)デフレ脱却と雇用のための経済活性化、(2)格差拡大とその固定化の是正、(3)納税者・生活者の視点からの改革、(4)地方税の充実と住民自治の確立に向けた地方制度改革──を4本柱とし、とりわけ「雇用と格差是正」を税制改正の中核に位置づけた。
<法人実効税率5%下げ、実質ネット減税に>
最大の焦点だった法人実効税率は5%引き下げる。日本の法人実効税率は現在約40%で先進国で最高水準。ドイツや英国は30%弱、中国や韓国は20%台半ばだ。引き下げによって国内企業の国際競争力を強化し、外資系企業の立地を促進し、雇用と国内投資の拡大を促す。ただ、減税が雇用促進・投資促進につながるかは不透明。
一方で、恒久減税には見合いの恒久財源を確保するとのペイ・アズ・ユー・ゴー原則を順守することができなかった。国と地方分を合わせた法人実効税率5%引き下げに伴う減収は1兆5000億円程度で、特別償却制度の廃止・縮減や欠損金の繰越控除制度の制限など、課税ベース拡大による財源確保は6500億円程度にとどまった。大綱では「ペイアズユーゴー原則との関係では、財源の確保は十分ではない」としながらも、「デフレ脱却と雇用拡大を最優先し」思い切った引き下げを決断したと説明。不足する財源4000─5000億円については「埋蔵金や予算の歳出の削減などで手当てする」(五十嵐文彦財務副大臣)としている。
また、中小法人向けの軽減税率(現行18%)も3年間の時限措置として15%に下げる。法人税の引き下げで本則税率を22%から19%に下げ、09年衆院選マニフェスト(政権公約)での表明を反映し軽減措置を維持した。
首相指示で検討が進められてきたを雇用促進税制や環境関連投資促進税制の導入も盛り込んだ。雇用促進税制では、雇用者数を10%以上増加させることなど3要件を満たす法人に対し、新規雇用1人当たり20万円の税額控除を認める。3年間の時限措置。環境関連投資促進税制では「エネルギー起源CO2排出削減などに効果が見込まれる設備などに関する特別償却制度を創設する」ことを盛り込んだ。
地球温暖化対策税(環境税)を創設、2011年10月から3年半かけて段階的に導入する。初年度の増収規模は約350億円、完全実施となる15年度の増収規模は2400億円程度を見込む。税収はエネルギー特別会計に繰り入れ、省エネ対策に充てる。税率は、二酸化炭素(CO2)排出量に応じて化石燃料ごとに設定し、原油と石油製品は1キロリットル当たり現行の2040円から15年4月には2800円に、ガス状炭化水素は1トン当たり1080円から1860円に、石炭は同700円から1370円に引き上げられる。
国内線の飛行機の燃料に課税する航空機燃料税は、現行の1キロリットル当たり2万6000円を8000円引き下げて1万8000円とする。11年度から3年間の時限措置。
<家計部門は富裕層中心に5000億円の増税>
個人に対しては、高所得者層・資産家中心に大幅な負担増となった。社会の歪み・格差が拡大し二極化が進む中で、富裕層に応分の負担を求め、格差是正や税の再分配機能を回復させることを狙う。
具体的には、サラリーマンの給与所得控除の対象を年収1500万円部分までとし、それを超える部分は対象外とする。23歳から69歳の家族を対象とした成年扶養控除も原則、568万円超の部分は廃止する。また相続税も基礎控除額を圧縮する。国税ベースでは、所得税と相続税など資産課税で約5000億円の増収を見込む。
子ども手当拡充のための財源として検討が進められたきた配偶者控除の縮小は見送った。政府は来年度3歳未満の子どもをもつ世帯に限って、子ども手当の支給額を月1万3000円から月2万円に増加する方針。上積みに必要な財源は約2400億円にのぼり、高所得者の配偶者控除を廃止して財源をねん出する案を検討したが、党内の反対が強く断念。購買力の高い富裕層への課税強化となるが、これによるマクロ経済への影響が懸念される。
<繰り返される証券優遇税制延長劇に終止符の文言>
証券優遇税制は2011年末までの期限を2013年末まで2年間延長する。軽減税率の廃止と併せて導入する予定の日本版ISA(少額投資非課税制度)も導入時期を2年先送りし、2014年1月からとする。繰り返される延長劇に終止符を打つために大綱に「経済金融情勢が急変しない限り、確実に実施する」と明記し、「リーマンショックのような激変がない限り、3年後には(本則に戻すことを)実施する」(五十嵐財務副大臣)ことを明確にした。
証券優遇税制は上場株式などの配当や売却益などにかかる所得税と住民税の税率を本則の20%から10%に軽減する措置。金融市場の活性化を目的に、03年に時限措置として導入され、08年の金融危機などを理由に過去2回延長した。10年度税制改正大綱で12年に廃止することを決定していたが、デフレ状況下での軽減税率廃止による市場への悪影響を懸念する金融庁と国民新党に押し切られ、再延長した。
<抜本改革「早急に具体的内容を検討」>
消費税を含む抜本改革については「11年半ばまでに成案を得る」とした政府・与党社会保障改革検討本部の決定を踏まえ、政府与党と連携し、「早急に税制抜本改革の具体的内容について検討を行っていく」と明記した。
税制抜本改革の時期では不透明感も残るが、野田佳彦財務相は「来年は間違いなくやらなければならない」と決意を示し、「来年の税制改正時には(具体案を)しっかりやらなければならない」と繰り返した。
(ロイターニュース 吉川 裕子記者)
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