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BOJによると2007以降の経済危機では、大企業の赤字倒産は少なく、メインバンクの財務などバブル崩壊後の貸し渋り倒産とも様相を異にしており、キャッシュフローの枯渇が倒産の主因であった。
そのことが多くの企業の内部留保積み増しへの大きな動機づけとなっており、実際に、内部留保を厚くした企業の倒産は、ほとんどなかった。
これは日本が人口オーナスの時代であり、かつデフレ不況状況であることと強く関係している。
そして、現在、国内で企業の積極的な借入と設備投資を期待しても難しいということも理解できる。
XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX 引用 XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX
2010年12月
福田慎一*
粕谷宗久**
赤司健太郎***
本稿の目的は、2007年夏以降の世界的金融危機の下で発生したわが国の上場企業における倒産要因を、1990年代末の日本の金融危機における要因と比較しながら検討することである。財務データや取引先銀行情報を用いて各上場企業の倒産確率をロジット・モデルから推計した場合、2つの金融危機下での企業倒産に影響を与える要因は大きく異なっていた。まず、日本の金融危機下で倒産確率に対して有意な影響を及ぼしていたメインバンクの健全性や特別損失・特別利益といった財務変数は、世界的金融危機の下では有意な影響が観察されなかった。また、通常期には倒産確率を予測する上で非常に有効な営業利益は、世界的金融危機下では有意ではなくなった。
その一方、平常時には有意でない内部留保が倒産確率を減少させる上で有意であった。以上の結果は、世界同時不況下での日本経済では、「貸し渋り」のような金融機関側の要因による倒産は顕在化しなかっただけでなく、利益率など企業パフォーマンスを表わす代表的な財務指標の情報価値が大幅に低下したことを示唆するものである。実際、2007年夏以降の企業倒産では、不動産業を中心に直前の決算で黒字であった企業が少なからず倒産した一方、製造業を中心に直前の決算で大幅な赤字を記録した企業の多くが倒産に至らなかったという2つの点でパラドキシカルな特徴が観察された。ただ、パラドキシカルな利益率の影響は、不動産業など特定の産業の特定期の特殊事情もあり、その原因を単純に金融危機に帰着できるかはより慎重な解釈が必要である。
本稿の作成にあたっては、随清遠氏をはじめとする2010年日本金融学会秋季大会参加者の方々および日本銀行調査統計局のスタッフの方々から有益なサジェスチョンをいただいた。なお、本稿で述べられた意見、見解は、筆者個人のものであり、日本銀行あるいは調査統計局のものではない。
* 東京大学大学院経済学研究科(E-mail: sfukuda@e.u-tokyo.ac.jp)
** 日本銀行調査統計局(E-mail: munehisa.kasuya@boj.or.jp)
*** 統計数理研究所
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