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(回答先: SDR構成比、日本円10%割れ=世界経済での地位低下鮮明に―IMF 投稿者 gikou89 日時 2010 年 11 月 18 日 02:18:26)
http://jp.reuters.com/article/marketsNews/idJPnTK047105620101117
財団法人経済広報センターでは、現在イギリスから著名ジャーナリスト4人を迎えている。今回は彼らの関心、疑問から日本の現在を探ってみたい。
<イギリスの現状>
2008年9月のリーマン・ショックから2年、09年第4四半期のプラス成長復帰以来、イギリスは回復基調を維持している。イングランド銀行は引き続きインフレへの警戒を緩めておらず、インフレ率の上振れ・下振れを両にらみしながらの金融政策運営を行っている。
ところが、雇用や消費関連の統計にネガティブな要素がみられるようになってきていることで、景気の拡大ペースには減速感がひろがりつつある。だからこそというべきか、依然として、日本の失われた10年から何らかの教訓を引き出そうとする雰囲気は強い。
<日本の「失われた10年」から学べることは何か>
5月の総選挙を経て発足したキャメロン保守党・自由民主党連立政権では、財政再建を最重要課題のひとつと位置づけ、2011年から14年までの4年間で累計810億ポンド(約10兆円)の歳出削減を目指している。危機の際には銀行への公的資金投入、財政出動、金融緩和とすばやく対策を打ってきたが、これからは財政再建に一気に舵をきるというメッセージがでたのだ。財政危機からIMFに緊急融資を仰いだ1976年の記憶はイギリス人にとってさほど遠いものではない。財政再建路線への決意の固さは、その表れであろう。
その裏腹といえようか、もはや財政再建に向けての時間的な猶予があまり残されていない日本に対し、なぜ、次の一歩を踏み出さないのか(踏み出せないのか)、イギリス人ジャーナリストからは、その裏の裏まで確認したいという気持ちが強く感じられる。キャメロン政権下での政府支出の削減が二番底を誘発しないだろうかとの不安を、彼ら自身がぬぐいきれていないのである。
もちろん、この不安に対する明確な答えは、日本の経験をもってしてもわからない。
しかし、日本の失われた10年が20年にならないように、この間の反省を日本人全体で共有しつつ、われわれの財政の未来についてもよく考えていかなくてはならない。
<どうやって、日本は成長しようとしているのか>
自国の財政再建路線に対する強い意思とその裏に隠れる不安とは別に、高齢化した成熟国家日本が、今後、どのように成長戦略を描いていくのかについての関心も高い。高齢化では日本は他の先進国よりはるかに先をいっているところだが、彼らにとっても明日はわが身の課題である。
これに関してわが国では、高齢化社会ならではのニーズが見込めるヘルスケア分野の産業を掘り起こすこと、また、対GDP比で十数パーセントしかない輸出の伸張(ドイツでは輸出の対GDP比は40%以上、韓国では50%以上である)、例えば環境関連産業ではR&Dを積極的に進めて技術的なアドバンテージを確保しつつ新興市場に適したコスト競争力のある製品の開発にも注力すること、また、原子力発電や鉄道、水関連などのインフラを全体システムとして輸出することなどが政府や産業界で幅広く検討されていることは読者もよくご存知に違いない。
EPA/FTA等の締結、閣議決定されたTPP(環太平洋連携協定)の協議開始など貿易環境の整備なども成長への布石である。
<アジアの中における日本の位置づけ>
日本の成長のブースターは紛れもなくアジア地域である。
しかし、日本がアジア市場で一定の成功を収めていることは、さほどイギリス人に理解されているわけではない。そもそもヨーロッパから見ると、アジアは文字通り「中東(Middle East)」のさらに向こう」である。ヨーロッパの多くの人々にとってアジアとは「遠いところ」であり、知識的にはともかく、感覚的な意味で非常に距離感があるといわざるを得ない。
遠くからあるものを見ると、細部よりも全体像に目が行きがちである。かつては、遠くにあって一国、強烈な光を放つ日本に直接視線が向けられていたが、現在では、アジア地域全体が巨大な輝き=魅力を放っていて、日本の輝きはその中に埋没してしまっている。
幸いにもアジアへの関心は高まる一方のようである。アジア地域で日本が経済的・政治的どのような成果を挙げているのか、積極的に示していくべきだろう。
<日本からみた中国、日中関係>
アジア地域にはインドやインドネシアといった大国が複数存在するが、中でも、中国はもっとも世界の耳目を集めている国だろう。日中関係への関心は急速に高まっているが、突如として関心が生まれたのではなく、「中国のことを日本に聞いてみる」というのは、はるか以前から行われてきたことである。
「お隣のことは知りません」という言葉はわれわれには期待されていないことを胆に銘じなくてはならない。
<日本をアピールしよう>
もともと、日本の民主党は折々、英国の政治・行政システムを参考にしようとしてきた。2大政党制から始まり、英国のポリシーユニットを参考にした国家戦略室、政治主導のための政務三役重視、菅首相の「第3の道」発言、等々である。ところが、そのような事実がイギリス人にどの程度知られているかというと、実は大変心もとない状況である。
「A Modern History of Japan」(邦訳「日本の200年」みすず書房)などを著しているハーバード大学教授のアンドリュー・ゴードン氏は、その著書で繰り返し『日本は決して特殊な存在ではない』と述べている。
これは、世界のすう勢がいまだに日本を特殊なものとして観察し、日本人自身もことあるごとに『日本特殊論』という考えに逃げ込みがちであることの裏返しである。われわれひとりひとりが、内向きになることなく、世界の人々に対して堂々と日本をアピールしていくことが、求められているのではないだろうか。
*本レポートの内容は担当者個人の見解に基づいており、財団法人 経済広報センターの見解を示すものではありません。
財団法人経済広報センター 国際広報部主任研究員 川口 惠
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