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(回答先: 青木直人:DVD Vol.11「中国経済はどこに行く」 投稿者 gikou89 日時 2010 年 11 月 11 日 02:37:01)
http://diamond.jp/articles/-/10028?page=3
米国株の回復
米国の株価は、ニューヨークダウで見て1万1千ドル台の推移となっており、リーマンショック以前の水準をほぼ回復した。FRB(連邦準備制度理事会)の金融緩和を受けて長期金利の水準が10年債で2.5%台まで下落するなど、金融緩和が株価を押し上げた格好になっている。加えて、FRBは、先般のFOMCで追加の金融緩和を決めており、あまり良い響きの言葉ではないが、所謂「カネ余り」的な株価の上昇がさらに続く可能性は大いにある。
FRBの金融緩和に対しては、主に新興国から、実質的なドル安誘導であることと、新興国へのドル資金の流入が新興国の資産価格に対してバブル的なバイアスを与えていることに対して非難の声が上がっているが、バーナンキFRB議長は「ドルにとって最も良い基礎的条件は米経済が力強く成長することだ」と語り、相手にする気配がない。
今後のG20会議にあっても、この問題は話題に出る可能性は大きいが、米国は韓国の協力を得て、経常収支水準に対する規制案に議論を誘導する動きを見せており、金融緩和政策の是非に関する議論が中心的話題になることを避ける戦略を採りそうだ。
新興国は、外国資本の流出入の急激な変化が自国の経済に対してショックを与えかねない可能性を警戒しているが、資本が安定的に流入する限りにおいては、経済成長を促進する方向に働くので、米国の金融緩和自体にどうしても反対しなければならないというインセンティブは持たないはずだ。
新興国に限らず、米国以外の各国は自国通貨高を現在望んでいない。自国通貨の騰貴を防ぐためには、自国の金融緩和か為替市場への介入を行う必要がある。中国に典型的に見られるとおり、為替介入は、自国通貨の流通増を招くので、結局金融緩和的に働く。
米国を発信源とする世界的な金融緩和は今後も続きそうだ。これを見越して、金も原油も値を上げてきている。
出遅れる日本株
一方、日本株は、日経平均で見ると9千円台であり、リーマンショック以前の1万2千円台には、遙か遠い。
指標を見ると、11月8日の日経平均は9,732円だが、東証一部全体のPER(株価収益率)15.67倍(今期予想ベース)から益利回りを計算すると6.38%ほどある。
益利回りと名目成長率予想(政府予想は今年度0.4%、民間シンクタンクは0.5%前後の予想が多い)を足し合わせると、7%近くになり、これは長期金利に対して6%近い差を付けており、株価は、適正ないしやや安いと判断して良さそうだ。
PBR(株価純資産倍率)に至っては、1.06倍とほぼ1倍の水準であり、資産面から見ると株価ははっきり「安い」と見ていい。
中間決算の数字も、売り上げは大きく伸びていないものの、経常利益ベースでは上方修正傾向が目立つ。
円高や、エコカー減税、エコポイントの終了など、経済統計で見る景気には、当面停滞感が漂うが、これらは相当程度予想されていたことであり、企業の側の対応は進んでいる。対応の内容は、海外への生産移転であったり、採用の抑制を伴うコスト削減努力であったりと必ずしも社会的・国民経済的に喜ばしいことばかりではないが、企業は努力している。
日本株が出遅れている直接的な原因は、やはり円高だろう。日経平均はリーマンショックの2週間前である2008年8月末には12,631円で、現在はこれよりも約23%安い。対して、ドル/円の為替レートの同時期の変化を見ると、107円26銭が81円20銭に約24%円高となっている。つまり、米ドルベースで見た日経平均はリーマンショック以前と大差ないし、逆に、日本円から米国株への投資を為替ヘッジの無いベースで見ると日本株への投資と大差なかった(どちらもダメだった)ということになっている
変化の可能性はポジティブ
現在、日本は、景気一致指数が久しぶりに前月比マイナスに転じて回復一服ムードが漂っているし、政治的には、菅内閣への支持率が急落するなど、冴えない雰囲気が覆っているが、株式投資にとって重要なのは、将来の新しい変化の方向性だ。これを考えると、日本株は案外悪くないように思う。
先ず、米国が金融緩和を拡大することに伴って、日本も一層金融緩和を拡大しなければならない。日銀は既にリスク資産を買い入れる非伝統的な金融緩和を実施する方針を示している。これは、結局の所、資産価格が上昇することを通じて景気、ひいては物価を刺激するところまで続けざるを得ないし、FRBの金融緩和によってドル安が進行した場合、一層強化せざるを得ない。日本の金融緩和にあっては、日銀だけでなく、財務省の行動が重要な段階に入っているが、大筋として、今後金融緩和が強化される方向性は確かだ。
次に考慮すべきは、法人税率の引き下げだ。法人税率引き下げに関しては、その財源を企業への課税強化で賄おうとする本末転倒の議論が出ており、日本経団連の米倉会長が憤っているが、国際的な比較の見地から見て引き下げ幅が小さいことなど不満点は残りつつも、今後引き下げが行われる方向にある。法人税率の引き下げは、企業の純利益にとって直ちに増益要因であり、株価評価上の直接的プラス要因だ。文句を言いながらの引き下げであっても、株価にはポジティブだ。
加えて、TPP(環太平洋経済連携協定)の進展も、日本企業の収益、ひいては株価にとってポジティブなサプライズとして作用する可能性がある。TPPに加入することで関税率が引き下がることは、国際的に展開する日本企業にとって小さくないプラス要因だ。TPPに関しては、与党内にも一定の反対勢力があるが、全体の効果と国際的な状況を考えると、日本が参加しないという選択肢は考えにくい。本来なら、消費者へのメリットを具体的に語って政権の人気浮揚にも使えるはずの好材料だ。
「金融緩和」「法人税率引き下げ」「TPP」と、何れも現在、政府と政治がもたつきを見せているテーマなので、期待が高まりにくいが、その分、現在の株価は高くない。何れかがネガティブな方向に逆回転するリスクもなにがしかあるが、大局的には概ね進む方向にあるのではないだろうか。
政治はダメでも、経済はしぶとい。少し気が早いが、来年の日本株は悪くないパフォーマンスを示す可能性が大きいのではないかと思うのだが、いかがだろうか
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