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株式日記と経済展望
http://www5.plala.or.jp/kabusiki/kabu225.htm
http://blog.goo.ne.jp/2005tora/
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「流動性の氾濫」が為替市場を不安定にし、日本やブラジルなどの国々
は輸出業者の防衛を余儀なくされている。 ジョセフ・スティグリッツ
2010年10月7日 木曜日
◆FRBとECBの超緩和政策、世界を混乱に=スティグリッツ氏 10月6日 ロイター
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-17532720101006
[ニューヨーク 5日 ロイター] ノーベル経済学賞受賞者のジョセフ・スティグリッツ氏は5日、欧州中央銀行(ECB)や米連邦準備理事会(FRB)の超緩和政策は、景気回復を後押しするというより世界を「混乱状態」に陥れていると批判した。
コロンビア大学の会合で記者団に対して述べた。
FRBとECBによる「流動性の氾濫(はんらん)」が為替市場を不安定にし、日本やブラジルなどの国々は輸出業者の防衛を余儀なくされているという。
同氏は「皮肉なことに、FRBは米経済再生のために、これらの流動性を提供しているが効果はなく、他国を混乱に陥れている。非常に奇妙な政策だ」と述べた。
ドルは9月初め以来、対主要通貨バスケットで約6.5%下落した。FRBによる追加緩和の観測で、投資家が他により高いリターンを求めるようになったことが背景。
ドルの流入でブラジルなど成長が見込める多くの新興国市場の通貨は上昇した。円もさらなるドル安観測から最高値水準にある。
同氏は、これらの国々が打ち出した最近の自国通貨高抑制の動きについて、「必要だった」と理解を示し、「これらの国が、通貨高で輸出を崩壊させるわけにはいかないと言うのは自然だ」と述べた。
ブラジルは4日、国債に対する海外投資への課税を2倍にすると発表。日本も5日にゼロ金利容認や5兆円規模の資産買い入れを明らかにした。
ただ同氏は、追加の金融刺激策は世界の需要不足によって生じた問題を解決できないのは明らかと指摘。「利下げは少しは役に立つかもしれないが、米国や欧州が直面する問題の解決には力不足。必要なのは財政による刺激策だ」と述べた。
◆本日の日銀の金融緩和について〜ようやく、具体的な一歩を踏み出した。あとは「Mission Impossible」の呪縛を解けるのか? 10月5日 勝間和代
http://kazuyomugi.cocolog-nifty.com/private/2010/10/mission-impossi.html
このように政策を小出しにしていきいますと、市場が刺激になれてしまい、反応しづらくなってしまうことを懸念しています。
−なぜ、一気に基金も20兆円とか、それより大きくなどと言わないのか
−なぜ、買い入れる国債の残存期間は問わない、と言わないのか
−なぜ、インタゲについてもごもごとして明確にしないのか
ちょうど下記のウェーバー=フェヒナーの法則を朝日新聞で書いたばかりなのですが、刺激に弱くなってしまい、「またどうせ、日銀は今後も小出しにするのだろう」と市場からなめられるおそれがあるためです(すでにそうなっているかもしれませんが)。
リンク: asahi.com(朝日新聞社):人間はどんどん刺激の強いものが好きになる――ウェーバー=フェヒナーの法則 - 勝間和代の人生を変える「法則」 - ビジネス・経済.
しかし、市場にとって、そして私にとっても「(質的には)ポジティブサプライズ」であったことは確かです。今後、市場がどのくらくい日銀の本気度かを理解するのか、それは、これからの「さらなる日銀からの(量的な)ポジティブサプライズ」に期待したいと思います。
なお、私は今回のオペでも私のある仮説に日銀が従って動いており、やはりそうなのか、と思ったことがあります。それはなにかというと
「日銀はデフレ脱却はしたいとは思っているが、市場に出回っている国債の流通価格を大きく引き下げるようなリスクとってまではやりたくない」
という呪縛があるのではないかということなのです。
例えは「インタゲを1%」とか「2%」と明確にコミットしてしまうと、いまの国債利回りはそれよりも小さいものばかりですから、もしマーケットが「長期利率も1%以上、ひょっとしたら2%も越えてくる」と考えた瞬間、国債の見切り売りが流通市場で始まり、収集がつかなくなる可能性があるためです。
そして、政府系金融機関や、民間金融機関、年金ほか、さまざまな金融機関が大量に保有をしてる国債が、たとえば日銀のインタゲコミットにより、利回りが1%以上上昇して評価損を大きくくらって、銀行によってはBIS規制にひっかかったりしたら、日銀が守りたい「金融システムの安定性」を自ら揺るがせてしまいます。それこそ、日銀が守りたいと思っている庭先の人たちに対して、親分自らはしごを外すわけですから、非難囂々でしょう。そういうことを恐れているのではないかと思う節があります。
なお、金融機関がインタゲで保有国債が評価損を食らったとしても、他の資産、たとえば保有株式が値上がりしたり、不良債権が回復して回収できるようになったり、新規の優良貸出債権が増えれば、銀行の資産全体は痛まないはずです。100%国債の資産ポートフォリオでない限り。ただ、多少のタイムラグができたり、そのときにうまく乗りきれる銀行、乗りきれない銀行が出てくることもあるでしょう。
「手許の物価は上げたいけれども、長期金利は現状よりできるかぎり上げたくない」
この「Mission Impossible」のようなバランスを取ろうとする限り、よほどクリエイティブな施策でないと、今後も日銀の緩和策は歯切れが悪くなるし、マーケットの実効性もなめられてしまうのではないかと思います。
デフレは脱却したいが、あまり強い薬を打つと、長期の名目金利も大きく上がってまうので、漢方薬でもいいから打ち続けながら、なんとか現状の国債(しかもそのほとんどを国内金融機関が保有している)の大きな評価損も避けながら、せめて「1%」までいけないか。
そんな日銀の苦悩を感じ取った包括緩和でした。いずれにしても、「タダ飯はない」ということに早く気付いて欲しいです。
参考〜残存10年、クーポン1%の実効利回りごとの価格めやす
1%・・・100円(基準と考えた場合)
2%・・・91円(評価損9%)
3%・・・83円(評価損17%)
4%・・・75円(評価損25%)
残存年数が小さければ、評価損はもっと小さくなります。2009年12月現在、国内金融機関が保有する国債残高は631兆円、全体の76%のシェアです。5%の評価損だけでも31兆円、10%になると63兆円の負担です。
市場にぶん投げられた国債を思考実験的にはひたすら日銀が買い取ることも可能は可能でしょうが、それはかなりの物量作戦になるリスクがあります。
それよりは、その評価損が他の資産で吸収されるかいなかを考えた方が、健全でしょう。
(私のコメント)
ノーベル経済学賞受賞者のジョセフ・スティグリッツ氏の意見は、まことに正論であり、だから欧米の政財界から煙たがられています。日銀などの中央銀行に対する批判はどの国でもタブーであり、神聖にして犯すべからずという神話が出来てしまっている。だから日銀の金融政策を批判するような学者やエコノミストは、日銀の手先によるマスコミによって袋叩きされてきた。
しかし株式日記は、馬鹿なマスコミの経済記者ではないので正論を書き続けてきた。もちろんむやみに金融緩和すれば、勝間和代氏が言うように国債が暴落すれば金利が急騰して、国債を保有している銀行は巨額損失を被るし、政府日銀は国債の利払い費が増大して財政は破綻する。
しかしそれは極論であって、インフレターゲット政策で物価が上昇して金利も上昇すれば、金融を引き締めればそれで済む話だ。インフレというと学者やエコノミストは終戦直後のハイパーインフレの事を持ち出しますが、戦災によって工場が壊滅して供給力がなくなってしまった時の話だ。しかし現代は供給力過剰でデフレギャップが生じているから物価が下がり続けている。
ジョセフ・スティグリッツ氏が言うように、今の金融財政政策で必要なのは、財政による刺激策であり、アメリカやヨーロッパはカネをばら撒くよりも日本のように公共投資でカネをばら撒くべきだ。日本で公共投資というとマスコミによって批判されましたが、それなりの効果はあった。しかし橋や道路ばかり作っても肝心の経済が元気にならないと何の役にも立たない。
ではどうしたら経済が元気になるのかというと、画期的なイノベーションが起きないとなかなか経済が元気にはならない。自動車が一般家庭にまで普及した事によって、住宅の郊外化が起きましたが、家が広くなった事によって家電製品も大型化して、冷蔵庫やテレビなども軒並み大型化している。
日本の高度経済成長は60年代から80年代まで続きましたが、それは日本のモータリゼーションと郊外化が進んだ時期でもあった。日本全国の高速道路や新幹線が作られて日本全国が郊外化していった。そうなれば自動車は売れるし新築住宅も売れる。これで経済が高度成長したのであり、欧米のバブルや新興国の経済成長は日本の後追いだ。
しかし日本を始め、世界が郊外化したライフスタイルをし始めれば、自動車はガソリンで走るから石油が高騰し始めた。石油の高騰が基本的にはバブル崩壊の原因であり、日本をはじめとして欧米も借金で苦しむようになった。国民は巨額な住宅ローン返済で消費から借金返済を優先するから消費が停滞する。
解決方法としては、日本のように20年30年かかっても経済停滞を我慢して借金を返し続けるか、南米やロシアのようにデフォルトしてハイパーインフレで借金をチャラにする方法があります。現代のFRBやECBがやっている事は意図的にインフレにして借金をチャラにしようとする方法ですが、はたしてうまくいくのだろうか?
上手く行くとわかっていれば日銀もそうしているのでしょうが、政府日銀の官僚たちは前例のある事しか分からない。財務省の官僚たちはデフレの真っ最中なのに増税で財政健全化をしようとしているし、日銀官僚は金融緩和に対してインフレになると心配して金融緩和をしたがらない。経済や金融の事がわからないからそうなるのですが、債券市場や株式市場の反応を見れば、どうすればいいかわかるはずだ。
問題はこれからどうなるかですが、欧米の超金融緩和策はジョセフ・スティグリッツ氏が指摘するように、世界経済を混乱させて通貨安戦争を引き起こす。日本も欧米の金融緩和の波に呑まれていますが、世界中は紙幣を刷りまくってばら撒けば結果的にどうなるか、投機筋は金や石油の買い占めに走って世界的にはインフレになるだろう。
いったんドル安に歯止めがかからなくなれば基軸通貨の信任を失って、石油輸出国はドルで石油を売らなくなる。そうなればアメリカ経済も一巻の終わりだ。通貨も多極化して一番価値のある円が基軸通貨化するだろう。金や石油や石炭や鉄鉱石が値上がりしていますが、通貨そのものの信任が失われようとしている。バーナンキがそのことに気がつく頃は手遅れになっているだろう。
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