http://www.asyura2.com/10/hasan69/msg/607.html
Tweet |
(回答先: (日本完敗)「超高収益企業「サムスン」〜なぜこんなに儲かる〔大前研一「ニュースの視点」〕 投稿者 賢者の石 日時 2010 年 8 月 29 日 13:12:52)
そういえば、小沢さんが「人づくり」を強調していましたな( http://etc8.blog83.fc2.com/blog-entry-604.html )。
===
http://business.nikkeibp.co.jp/article/world/20100702/215247/?ST=print
技術より“人づくり”で負けた日本
元常務が語る「サムスン社員が必死に働く理由」
半導体、薄型テレビ、携帯電話などで、世界トップクラスのシェアに君臨する韓国のサムスン電子。後追いでも日本メーカーに圧勝する原動力は、厳しい競争の中で鍛え上げられた社員たちだ。サムスン流の人材活用術にはどんな秘密があるのか。
サムスン電子の日本人の元常務が内側から見た強さと死角を語る。
(聞き手は山崎良兵=日経ビジネス記者)
吉川良三(よしかわ・りょうぞう)氏
1940年生まれ。64年日立製作所に入社後、ソフトウエア開発を担当し、CAD/CAMに関する論文を多数発表した。日本鋼管(現JFEホールディングス)を経て、94年に韓国サムスン電子に入社。常務としてデジタル技術を活用した設計・開発の業務革新を担当した。帰国後、2004年より東京大学大学院経済学研究科ものづくり経営研究センター特任研究員として、日本と海外の製造業を比較研究している。 主な著書に『危機の経営〜サムスンを世界一企業に変えた3つのイノベーション』(講談社、畑村洋太郎氏との共著)。(写真:中村 宏)
―― サムスン電子の役員として約10年間働いた経験をお持ちです。成長が続くサムスンの人材育成にはどのような特徴があるのでしょうか。
吉川 実はサムスンの人材育成は、日本企業に学んだ社員教育の手法が基盤になっています。サムスングループの創業者であるイ・ビョンチョル氏の指示で、教育担当の幹部が、様々な日本メーカーの施設やプログラムを調べて回りました。
例えば、サムスングループの人材育成の心臓部に当たる「人力開発院」は、ある日本メーカーの研修所をイメージして作ったものです。1960年代末以降、電機や半導体分野に参入する過程で、技術だけでなく、人づくりも日本に学ぼうとしたのです。
日本企業が30年前にしていたような研修を、今でもサムスンは実践している。例えば、人力開発院で1カ月近くにわたって実施される厳しい新人研修は有名です。サムスンの創業者の理念、経営哲学、チームワーク、礼儀などを徹底的に教育する。
しかし私が日立製作所に入社した1960年代半ばには、11カ月にもわたる厳しい研修がありました。今は10日ほどで終わるそうですが、昔の日本企業は同じような研修を当たり前にやっていた。多くの日本企業が忘れてしまったような時間とお金をかけた人材教育をサムスンは重視しています。
―― サムスンの社員は猛烈な働きぶりで知られています。
土日も深夜もなく全力で働く
いったん目標を決めたら、達成するために全力を尽くす。それがサムスンの社風です。社員には実質的な休みがないと思うくらいです。土曜も日曜もなく本当に熱心に働きます。
私がサムスンの役員だった2000年代前半のことです。週末にゴルフをした帰りに、開発拠点がある水原(スウォン)事業所に行くと、普段どおり出社して働いている社員が常にたくさんいました。
サムスンでは目標を達成しないといけないので、感覚的に土日がない。そういう風土が本当にすごい。年俸制なので、休日出勤には手当てがつきませんがそれでも働く。日本企業なら、こうはいかないでしょう。
こんな経験もあります。私が開発部門で工数管理をしようと思って、社員の労働時間を調べましたが、とらえるのが難しかった。
普通なら1日8時間労働で考えるのですが、サムスンには午前2時、3時まで働いてもへっちゃらな社員がたくさんいる。「どうしてここまでサムスンの人は働くのか」「土日の感覚があるのか」と本当に驚きました。
ほかにもいい例があります。サムスンは1990年代に、朝7時から午後4時までを勤務時間にする「7−4制」という制度を導入したことがありました。交通渋滞を避け、仕事の能率を高め、帰社時間を早めて、自己研鑽の時間に当てるのが狙いです。
もちろん会長の指示です。社員は朝5時に起きて、6時から会議で、7時から仕事を始めていました。しかし結局、夕方に退社することが難しく、夜まで働き続けるケースも少なくなかった。この制度は何年間か続いたのですが、さすがに体が持たないということもあり、廃止になりました。
―― グループのオーナーで、サムスン電子会長のイ・ゴンヒ氏の存在感が、極めて大きいと聞きます。トップの意思は、社員にどのように伝わっていくのでしょうか。
直立不動で聞くイ会長の言葉
イ会長の発言は、日本人が想像できないくらい社内で強い影響力があります。
サムスンには社内放送局があり、幹部のインタビュー映像を収録します。それを朝の7時半くらいから30分の朝礼で放送します。イ会長らの発言を、社員は直立不動のような姿勢で聞く。海外も同じで、一斉にやります。周知を徹底させるために、トップの発言の要旨は紙で配られたり、イントラネットに掲載されたりもします。
トップの言葉が、末端の社員までスーッと流れていく。会長が話している内容は、その日のうちに全社に浸透していきます。
面白いのは、トップダウンのように見えて、実はボトムアップの側面が強いことです。会長は大きな方向性を抽象的に語る。細かい指示は出しません。事業部門の幹部は、オーナーの発言の意味を自分で考えて、「こうですか」と会長のスタッフなどに確認したりもしながら、下に落とし込んでいく。
オーナーや幹部が出した発言や方向性を、週に2回程度開かれる「ワークショップ」の時間に、職場の社員みんなで議論します。ワイワイ、ガヤガヤと話しあう。トップの指示をチームワークで実行させているのです。
―― イ会長は社内でどんな発言する機会が多いのでしょうか。
危機意識を持てない社員は消える
「もっと危機意識を持て」と常に言っています。褒めるようなことは滅多にありません。「このままではつぶれる」としょっちゅう発言する。日本の会社なら「危機だ」と何度も言われると、社員は慣れてしまうのかもしれませんがサムスンは違う。
「緊張感を持たないとまずい。大変なことになる」という雰囲気があります。職を失うことも珍しくないからです。一生懸命努力しないような社員は、あっという間に消えていく。何かよく分からないのですが、通常の人事異動とは別に、いなくなってしまうことがよくあります。
―― 多くの日本企業と違って、危機意識を持たざるを得ない風土がある。
社員が強い危機感を持つ背景にはプロフィットシェア(利益分配)制度もあります。年俸以外に利益の一定の割合を従業員に分配する仕組みです。目標を超えて利益を出せば、莫大なボーナスが出る。この金額は事業部門によって異なります。例えば、テレビ事業で年俸の50%が出ることになると、年収800万円の社員には400万円の特別ボーナスが支払われる。幹部になるとはるかに大きな差がつくことも当たり前です。
ただし自分が所属する事業部門が利益を出せないとゼロになる。今年いくらもらえるかは死活問題なので、社員はがむしゃらに働いて、成果を出そうとします。
末端の社員までが自分で稼ごうとする仕組みはすごい。成果に応じて部門全体に厚く報いるだけでなく、個人、とりわけ幹部には大きな差がつくようにする。給与で格差をつけることは、社員の働き方に絶対的な影響を与えます。みんな「課長になってやろう」「部長になろう」「役員を目指そう」となる。
サムスンの社員の給料は日本メーカーとあまり変わりませんが、役員の給料は日本よりもはるかに高い。しかも成果を出せば、プロフィットシェアでさらに多額のボーナスが出る。教育だけではなく、アメとムチのインセンティブが明快なことが、サムスンの競争力を支えています。
対照的に日本は格差をなくそうとしてきたことが、社員のやる気をなくしているのかもしれません。頑張ったら、手厚く報いられないと、優秀な人材は集まりません。格差が少ないことが、日本をダメにしているのかもしれない。
目標を達成したらインセンティブがある。希望を持って頑張れる。ここが日本に欠けている点です。
福利厚生も充実しています。役員になれば、運転手付きのクルマが用意され、立派な家具付きの部屋もある。一般社員にも子供の教育手当てが支払われ、様々な自己啓発のための費用も負担してくれる。
企業文化の是非は別として、日本の大企業で、サムスンのような給料や待遇で働ける会社があったら、誰もが入社を希望するでしょう。
―― サムスンの人づくりに死角はないのでしょうか。
美しい言葉と厳しい現実
人力開発院における教育プログラムは充実していて、「サムスンすごいなあ」と思ってしまいがちです。確かにここで教育された社員たちが、一生懸命働いてサムスンの躍進を支えているのは事実でしょう。
しかしサムスンの経営幹部を見ると別の現実も見えてきます。人力開発院ができたのは1982年で、ここで新人教育を受けた人が必ずしも経営の中枢にいるわけではありません。2000年頃からは欧米で博士号やMBA(経営学修士)を取った人を社外から中途採用して抜擢する人事も目立つようになりました。
上司の手足となって働くという意味では、よい人材を育てているのかもしれませんが、経営を引っ張る優れたリーダーを生んでいるのかは、検証の余地があります。
また「人材第一」といった美しい言葉と、現実がどれだけ一致しているのかも気になるところです。人材を大事にするという一方で、社員がどんどん辞めていく。サムスンが掲げる「公平な人事」も、理想はともかく、実現するのは簡単ではありません。
サムスンがうまいのは、外に対してする話がすごくきれいなところです。現実には、非常に厳しい仕組みで徹底的に人を鍛えて、働かせる風土がある。もっとも日本の経営者はきれいごとを言うだけで、結果を出せていない場合も多い。そう考えるとサムスンの方が優れているのかもしれません。
この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます(表示まで20秒程度時間がかかります。)
- Re: 技術より“人づくり”で負けた日本(日経BP)・・・この吉川良三なる人物だけど 夏水仙 2010/8/30 18:29:10
(0)
- Re: 技術より“人づくり”で負けた日本(日経BP)・・サムスンは人作りを日本から学び、日本では忘れてしまった。 metola 2010/8/30 00:09:38
(0)
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。