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http://www.hotnam.com/news/100701084247.html
工場労働者の生活、辛い夜勤
およそ1カ月の期間に、日系電子企業、台湾系履物企業、ベトナムの刺繍企業に入り、工員らとともに働いた。
■大変な仕事、安い給料
日系電子企業には期間工として入ることができた。手続きはとても簡単で、IDカードのコピーと、簡単な数学のテストのみで、公証済の戸籍や健康診断書はいらなかった。
しかし仕事は大変だ。6時前にはタイムカードを通すため工場に来ていなければならない。そして6時ちょうどには、それぞれが現場にいなければならない。仕事は連続して6時間あり、11時40分になって昼食。昼休みは45分しかないため、大忙しの食事と昼寝となる。
初日は食堂で座る場所を確保できなかった。あまりにも人が多いので、私と新人の数人は、そのあたりに立って別の人の食事が終わるのを待った。みな急いで食べ、急いでトイレに行き、急いで目を閉じて、その後4〜5時間の仕事に備える。なかには何時間もの仕事で疲れ、昼食を食べずに昼寝にあてるような人もいた。工員用の休憩場所は常にいっぱいで、工員たちは肩を寄せ合って眠る。
ベトナムの刺繍企業でも、工員は埃やゴミでいっぱいの床の上、機械の脇で横にならなければならなかった。その頃は非常に暑く、工場の中はまるで炉のなかのようだが、食事の50分を除いて私は、8時間立ち通しだった。両足はまるで感覚を失い痛み、加えて機械が発する音でかなりの脱力感を覚えた。
台湾系履物会社では、正式な勤務開始は6時だが、5時40分には工場ゲートに集まり、並んで朝礼をする。下宿先から工場までは10km以上もあったため、5時30分に工場にいるために私は4時30分には起きなければならなかった。ここでは8時間シフトのため、9時30分に食事となる。だが食堂は外部にあり、そこへの行き来で8分かかり、食事と休憩時間は実際には22分しか残らない。ここでは工員用の休憩場所がなく、工場内は靴底をプレスする機械がうるさいため、食事が終われば工員たちは、庭の木の下などで休むしかない。
日系電子企業での勤務初日を終えると、私の手はいくつかのはんだの火傷で熱くなっていた。手袋には1カ所穴が開いており、交換してもらおうと願い出ると、「食事の時間になってから」とにべもなかった。そのときにはまだ、食事まで2時間もあった。
仕事が終わると工員たちはいそいそと帰宅する。やっとのことで19歳の工員を捕まえ、話を聞くことができた。「毎日朝早くから夜遅くまで残業。日曜日も仕事。もう死にたくなるくらいに疲れてる。テト(旧正月)のあとは、4月30日の祝日になって、やっと太陽が見れたくらいよ」。
このように仕事は大変だが、給料はいくばくもない。日系電子企業は1日8時間の仕事で残業がない場合は月155万ドン(約82ドル)。台湾系履物企業では134万ドン(約71ドル)しかない。ベトナムの刺繍企業では基本給が月143万4,000ドン(約75ドル)で、残業代は1時間7,000ドン。入社した日に別の工員に給料が安いことを嘆くと、「ここはまだましよ。別の会社で働いている友達なんて、給料をもらってからトイレで泣いちゃったんだって。1カ月働いて、残業もして、それで80万ドン(約42ドル)ちょっとだって」。
■管理職の注意に恐れ
日系電子企業で働いたところはクリーンルームで、みな専用の衣服、帽子、マスクを着用するため外見で見分けはつかないはずだが、管理職はすぐにわかるようで、行きつ戻りつして続けざまに注意する。仕事は顕微鏡を使って組立るもので、当然新入りは慣れていないため仕事が遅く、そして当然のようにすぐに注意される。
工員はいつも注意されることを恐れている。「何やってるの?」あるとき管理職のこんな大声が飛んできて、注意された女性工員は顔を青くした。その場にいた誰もが2人を見て、別の管理職、監督者2人もやってくる。4人に見つめられその工員はますます焦り、また失敗する。そして注意の声がまた大きくなる。
5時間あまりの作業中、工員は手を休められない。ある女性は近視のため、顕微鏡を覗いているとよく疲れてしまうのだが、メガネをはずして目をこするだけで、すぐに管理職が飛んできて、「休んでないで作業しなさい」となる。
台湾系履物企業では、塗装をちょっと失敗しただけで、管理職から「こんなに簡単なのにできないの?」と言われる。工員Hさんは管理職に嫌われており、目をつけられている。塗装のミスを見咎めると管理職はすぐに「これHでしょ? あとでミーティングして、眠れなくしてやるから」と言う。そしてHさんはやはり眠れなくなってしまった。終業近くになり管理職から、残業を言われたためだ。
■期間工と残業
工員たちは、期間工のほうが賃金が良く、縛られることもなく、嫌なら辞めればいいというが、期間工は保険もなければ、残業制度も受けられず、夜間手当てもボーナスもない。残業を断る権利も。さらに会社に問題が生じ生産を縮小するとなれば、真っ先に解雇の対象となる。高い、という賃金だって、工員らが考えているほど良くはない。期間工は、日中は時給9,200ドン、夜間は1万800ドン、規定の時間と残業時間の区別はない。実際には、働く3カ月間はほぼ残業しなければならないが、それでも多くの工員が期間工を願い出る。私と同じ時には30人入ったが、うち約20人が期間工登録だった。
私たちのような期間工は、2〜3日で仕事を覚えた後は、ほぼ毎日のように残業が求められた。初日に私たちは、それまでに指導がなされた組立ではなく、はんだづけに応援にまわされた。8時間の規定就業時間が終わろうかというときに、グループ長から「今日は全員18時まで残業」との指示が出る。期間工の一人がおずおずと、「今日は残業しないでいいですか? ずっと座ってるのに慣れないから腰が痛くて」と言うと、グループ長はこう告げた。「期間工は必ず残業」。翌日、組立部門で仕事を覚えた最初の日にも、仕事を完璧に覚えていないにもかかわらず残業させられた。その理由は簡単なものだ。グループ長が上司から新入り期間工ばかりを割り振られ、それに怒っていたからだ。
だが正規工員もさして状況は変わらない。突然の注文が入ったり、生産が遅れていたりすれば、1週間連続して残業しなければならない。労働法では、残業は年200時間を超えてはならず、1週間あたり12時間までしか残業させられないはずだが、台湾系履物企業ではほとんどの工員が、週18時間の残業をしている。毎日3時間の残業をしなければならないが、彼らが残業を終えた後でタイムカードを通せるのは最初の3日だけ。残る3日は残業前にタイムカードを通さなければならない。労働当局の目を欺くためである。
■混乱する生活
現在は多くの会社がシフト制を導入している。6〜14時、14〜22時、22〜6時という8時間3シフト制もあれば、6〜18時、18〜6時という12時間2シフト制もある。
日系電子企業と台湾系履物企業では、2週間に1度シフトチェンジがあり、ベトナム刺繍企業では1週間ごと。工員たちはこれに慣れなければならないが、やはりシフトチェンジがあると、新入りだけでなく古い工員でも最初数日は大変なようだ。台湾系履物企業で1年以上働くある人は、「夜勤になると生活がおかしくなる。きちんとした時間に食べられなくて、きちんとした時間に眠れなくなるから」と言う。
夜勤に備え、工員たちは日中にたくさん睡眠をとろうとするが、このように暑いなか、また狭苦しい下宿ではそれも簡単ではない。初めて夜勤をしたときに周囲を見渡すと、誰もがあくびをして、目が座ったような状態だった。
台湾系履物企業では、8時間シフトのため深夜12時30分に食事となる。管理職の「食事休憩」という言葉に工員達は食堂に行くが、誰もが疲れた様子は隠せない。夜中に食べる習慣がない私は、お腹は鳴っていたが、とても喉を通らない。他の工員も少ししか口に運ばない。工員たちによると、2週間の夜勤を終え日勤に移ると、今度は夜が来ても眠れなくなる。睡眠不足で疲れ、目は黒いクマ。多くの女性工員は二十歳そこそこだというのに、肌は青白く艶を失い、ニキビがあちこちに見える。
■夜勤で疲弊する工員たち
日系電子企業では、夜勤は日勤より大変だ。日勤のときは残業がない日もあるが、夜勤では人が少ないため連続して残業になる。ここで夜勤へのシフトを申し出ると、簡単に認められた。「移ったら残業しなきゃいけないからね」という言葉とともに。
夜勤の初日には、組立をまだ覚えていないことからケーブルを折る作業を任された。品質検査の工員からケーブルを受け取り、機械に入れてきれいにしたものを折り、それを組立工員のトレーに入れる。手を足を動かし作業していたが、品質検査を待つ数秒のあいだ座っているだけで、「組立終わったケーブルを洗浄して」と言われる。慌ててその作業に行き、戻ってみるとテーブルにはケーブルが山のよう。グループ長や組立工員から、「こっちもう終わってるから早く、遅い」などとせかされる。何時間ものあいだ、あれやこれやと言われ、あちこち走り回りもう目が回りそうだった。夕方6時から翌2時過ぎまで働き、ようやく食事休憩となる。徹夜に慣れていないため、とにかく眠い。だが力を維持するため、頑張って食べた。
台湾系履物企業の夜勤中の食事を終えると、急いでトイレにたち、眠気を覚ますため顔を洗った。すると2人の女性工員が、トイレの片隅で寝ている姿に出くわした。物音を感じ1人が目を開け、「今何時」とぼんやり聞く。「1時15分前」と答えると、「あと15分」と彼女は呟いた。2人は食事をせず、30分の休憩をまるまる睡眠にあてていたのである。
本来夜勤中の休憩は45分と規定されているが、尋ねてみると管理職からは「45分は45分だけどね。でも製品がいっぱいあるでしょ。終わらなかったら6時には帰れないからね」との答えが返ってきた。
日系電子企業での最初の夜勤を終えて、私は誰とも一言も会話をすることができなかった。気だるくクリーンルームを後にし、頭はぼんやり、手足はクタクタで、今が昼なのか夜なのかという感覚すらない。ふと隣を歩く女性工員がいたため話を聞いてみたが、力のない返答ばかり。彼女の青白い表情と、色を失った唇を見ていると、もはや質問攻めにする気持ちにはなれなかった。
夜勤2日目には組立作業をまかされた。「いま12時だから、1時までにみんな40個組み立てて」とグループ長が言う。隣に座っていた19歳の女性工員がこう呟く。「できないって。どうしたって怒られるのよ」。彼女はその日頭痛がして、吐き気もあったため医務室に行ったのだが、すでにベッドはいっぱいで仕方なく持ち場に戻ってきたという。彼女は作業に没頭したが、それでも数は足りなかった。「寝てた? まだ32個? 続けて、まだ足りないんだから」というグループ長の声が響き渡る。彼女は顔を伏せ、その言葉を聞くしかない。あたりを見渡すと、そこに並ぶのは、疲れた様子で作業に集中する顔ばかり。もはや最初のように無駄なおしゃべりをしている余裕はなかった。
Nghe An省出身の女性工員に、夜の食事の際に話を聞いた。彼女はこの4日、連続して夜勤をしているという。疲れたか、と尋ねると、彼女は首を振って、「疲れたどころじゃなくて死にそうよ。今週終わったらやめる。できないわ。夜勤は大変なのにそれで何度も注意されるでしょう? もう嫌になっちゃう」。
別の工員はこう言う。「夕方6時に仕事、朝6時に終わって家に帰ったら、昼2〜3時までうつらうつら。熟睡なんてできない。起きて食事して、シャワー浴びたらまた仕事。夜勤のときは、時間が何だか速く感じるわ」。彼女のグループは、この1週間連続して夜勤をしているという。
朝4時、何人かが時計に目をやっては、窓の方を見やる。5時40分、辺りは明るくなってきた。「あぁ明るくなった。もうすぐ終わり」検品担当の工員が、小さく声をあげた。
*この記事は、ベトナム現地ではどのような報道がなされているのか、という観点から選んでいるものです。
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