★阿修羅♪ > 経世済民69 > 119.html
 ★阿修羅♪  
▲コメTop ▼コメBtm 次へ 前へ
アサヒビール 中国・青島ビールとの「危険な関係
http://www.asyura2.com/10/hasan69/msg/119.html
投稿者 gikou89 日時 2010 年 7 月 05 日 09:57:54: xbuVR8gI6Txyk
 

(回答先: W杯「ブブゼラ」で儲けたのは地元ではなく中国 強豪国は労働者が働かず大損失との調査も 投稿者 gikou89 日時 2010 年 7 月 05 日 09:55:15)

http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20100702-00000301-sentaku-bus_all

「幸運な船出ですね」。この三月、アサヒビールの新社長に就いた泉谷直木氏を指してマスコミは異色で強運な社長と持ち上げた。過去二十年近く営業畑出身者が代々トップに就いてきた同社の「伝統」からすると、泉谷氏は広報・宣伝や経営戦略畑を長く歩み、M&Aの専門家でもあったからだ。

しかも社長交代発表のその日にキリンホールディングス(HD)とサントリーHDの経営統合構想が破談した。仮に両社の合併が実現していたならば、「スーパードライ」しか売れ筋がないアサヒは、シェア五割の統合会社によって押し潰されていた可能性が高かった。

スーパードライは、国内のビール消費の減衰に伴い生産量は減り続けている。絶対数が減っている商品をキリン・サントリー連合軍が集中攻撃したならばスーパードライに勝ち目はなかった。しかし現実には命脈を絶たれずに済み、泉谷社長にとっての脅威も表面的には過去のものとなった。しかし一難去ったかに見える“泉谷丸”の前途にははるかに大きな難題が国内外に山積している。

「コクもキレもない」経営が続く

 まずは売上高の九割以上を占める国内事業の構造改革だ。就任以来、「人口一億人以上の日本市場はまだ開拓できる」と強弁を随所で張る泉谷社長だが、同社の課題はスーパードライに依存する脆弱な一本足経営をどう作り変えるか、という点に尽きる。

装置産業であるビール会社にとってワンアイテムへの依存度が大きいと量産・量販のコスト低減をもたらす一方、市場が変化するとすべてを失う危機に直結する。アサヒはそのリスクを自他共に認識しながら、一九八〇年代後半に発売したスーパードライ以降、大きなヒットを何一つ生み出せていない。

例えばライバルのキリンHD傘下のキリンビールは昨年、アルコール分〇・〇〇%の「キリンフリー」をヒットさせた。サントリーHDの子会社であるサントリー酒類も、昭和レトロブームに便乗して「ハイボール」人気を復活させた。いささか旧聞に属するが、サッポロビールも他社に先駆けて第三のビールを立ち上げた。ところがアサヒだけがヒットがない。

アサヒの商品開発力が他の三社と比べて際立って劣っているというわけではない。市場関係者が何年も前から口を揃えて指摘しているように、スーパードライの成功体験が同社の経営全体を縛っているというのが真相だ。中小の老舗和菓子店なら許されるのかもしれないが、新規売れ筋商品を出せなくなった上場企業というのは聞いたことがない。「コクもなければキレもない」とはキリンのOBがアサヒの経営を揶揄した言葉だが、実際、革新性を失って久しい。

大きな成功体験は企業の内部に「制約」を生む。アサヒの場合は、スーパードライに脅威を与える新商品を作ってはならないという自己規制が今も働いている。「社員が新しいことに挑戦していける風土づくりを目指す」という泉谷社長の発言は、とりもなおさず同社の現実がそれとはほど遠いことを示している。「アサヒから多様性をなくした張本人が泉谷さんだ」との声すら社内外から聞こえてくる。

しかも国内ビール業界は市場そのものの縮小という難題に直面している。ビール、発泡酒、第三のビールを合わせた「ビール類」のマーケット規模は、最盛期の九四年と比較して昨年は約一五%以上も縮小、特にスーパードライが属するビールジャンルの減少が止まらない。ビール類全体の構成比で価格が高いビールはすでに五割を割り込み、低価格の第三のビールだけが伸びている。居酒屋やバーといった飲食店向け需要も止まった。こうした市場構造の変化がアサヒのスーパードライ依存経営を真綿で首を締めるように圧迫している。

もちろんアサヒも「努力」はしてきた。例えば「クリアアサヒ」という第三のビールを投入しているが、キリンの「のどごし〈生〉」と比べればブランド力で見劣りする。営業の最前線も「本気で売る気はない」(大手量販店経営者)。ビール類で唯一伸びているカテゴリーにおいて、クリアアサヒが第二のスーパードライに大化けする可能性はもはやない。
 
宿痾となった「押し込み」体質

アサヒにとっての喫緊の課題は、キリンHDやサントリーHDのような脱ビール、脱ビール類戦略の速やかな具体化だ。スーパードライの余力が残る今のうちに進めないと「キリン・サントリー・ショック」を上回る致命的危機がやってくる。ただ、頭でわかっていても販売という身体が別の反応をしてしまうところがビール大手四社の中でも「ひときわ、体育会系体質が強い」(流通紙記者)と指摘されるアサヒの第二の問題点である。

それを象徴するのが昨年末、キリンとの間で展開された不毛なシェア争いだった。この攻防は最終的にキリンビールが二〇〇〇年以来九年ぶりに国内シェアトップに返り咲いて結着したが、「アサヒは、販売量ではこちらがトップとわかりにくい主張を展開した」(同)。

ビールのシェアは出荷量(課税数量)で決まる。だからキリンの首位は揺るがない。これに対して販売量とは流通との取引を表したものだ。工場から出荷していなくても取引契約が成立すれば販売量の数字は増える。アサヒは奇妙なロジックを展開してまであくまでトップという称号にこだわった。

流通に対するこうした「押し込み」は商戦が激化するとビール業界に限らず発生する。特に年末の十二月は忘年会需要などからビール類の消費量は大きく増える。しかし年が明けた一月は、気温が低くビール類はあまり飲まれなくなる。案の定、無謀な十二月の競争の結果、アサヒの流通在庫は異常なほど膨らんだ。この反動だろう、今年に入ってからアサヒの出荷量は伸びていない。ちなみに今年一〜三月の業界全体の出荷量は前年同期比で五・七%も減少し、過去最低を記録した。

過度なシェア争いは消費者不在と紙一重だ。メーカー側の近視眼的な行動は往々にして消費者ニーズと離れてしまう。実際、ビール大手二社がお互いに出荷量で一位、販売量ではうちが一位などと主張し合えば、一般の消費者は混乱するばかりか日頃の宣伝や商品へも不信を抱くようになる。消費者にとってビールのシェアなどどうでもいいのだ。

そもそもアサヒがスーパードライの品質をCMどおりに重視するのなら、流通在庫は少ないに越したことがない。ビール人気が高かった時代ならば仮に在庫が膨らんでもすぐに捌けたろうが、今は違う。膨らんだ流通在庫は最終的には安売りで処理される。しかし店頭価格の下落はスーパードライの商品価値の低下をもたらす。それをわかっているのに「押し込んでしまう」体質は、アサヒの業というか宿痾としか言いようがない

http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20100702-00000302-sentaku-bus_all

度し難い「発想の硬直化」

 少子高齢化が止まらず、しかも若い人のビール離れも進んでいる国内市場は、今後、生産の合理化や販促費の削減、値上げ等で利益を確保していったとしても、かつてのような成長は見込めない。しかも、この先景気が回復する見通しはないだけに、なおさらだ。そこで海外事業展開となるが、アサヒの売上高(〇九年度は約一兆五千億円)に占める海外比率は五%と、キリンHDの二六%、サントリーHDの二一%と比べて大きく見劣りする。

アサヒは昨年末、二〇一五年までに売上高を二兆〜二兆五千億円に引き上げ、世界の食品企業でトップテンに入るとの大風呂敷の中期経営計画を発表したが、この中で海外比率を二〇〜三〇%に高めるとぶち上げた。その原動力として期待するのが中国でのビール事業なのだが、これが実に心許ない。
 
同社はスーパードライの快進撃の勢いを駆って一九九〇年代半ばに中国市場に進出したものの、十年以上経った今も赤字が続いている。しかも最大の苦戦要因がスーパードライだ。日本では広く支持された味も中国人には受けなかった。様々な販促活動を展開し、北京に新工場まで建設したにもかかわらず、スーパードライは売れていない。シェアは北京地区で一〇%未満と見られる。この低迷が杭州などから上がる利益を食い潰している。
 
そもそも嗜好品であるビールは自動車や家電製品などと違って地域の食文化と深く関わる。しかも中国は、統計上は確かに世界最大のビール消費国だが、地域により好まれるビールの傾向が大きく異なる。小さなビール市場の集合体と捉えた方が正しいかもしれない。それなのにアサヒはスーパードライを過信し、この商品だけで中国市場を制覇できると考え続けた。これまた組織や発想の度し難い硬直化を物語るものだろう。
 
確かにアンハイザー・ブッシュ・インベブ(ABインベブ)、SABミラー、ハイネケンといった欧州のビール大手も、中国事業は大半の社が黒字化していないが、各社は「先行投資」として中国に入っている。人民元が切り上がるまではとにかく我慢し、やがて元が高くなった時に利益を上げて投資を回収しようというシナリオだ。
 
その際にポイントとなるのは中国全体での生産量であり販売量だ。市場支配力が大きいほど利益は短期間に拡大できる。ところが日本のビール三社のビジネス規模は欧州大手と比較して段違いに小さい。アサヒはどう戦うつもりなのか。

カギを握るのは昨年四月に棚ボタ的に資本・業務提携した中国第二位の青島ビールとの関係だろう。リーマン・ショックで資金繰りに窮したABインベブが保有していた青島ビール株を売りに出し、これをアサヒが引き受けた。

「願ってもないパートナーと資本提携することができた」と同社が公式資料で漏らすとおり、意図してアライアンスを結んだわけではなかったが、これもマスコミは泉谷氏の強運のおかげだと喧伝している。
 
いずれにせよアサヒは、青島ビールの一九・九九%の株を持つ第二位の大株主として生産相互受委託や原料の共同調達などに乗り出す予定で、第一弾として煙台工場などアサヒの現地拠点で青島ビールの生産が始まる。
 
稼働率が低い北京工場での生産も見込まれており、これらのカンフル策により中国進出以降初めて中国ビール事業は黒字化する見通しが付いた。
 
見つからぬ「ポスト・ドライ」

 とはいえ、日本のビール四社を合わせた規模を持つ青島ビールからすれば、アサヒは現状では有力な生産委託先企業の一つに過ぎない。両者の販売協力も提携項目に含まれてはいるが、現実には期待薄だ。「アサヒには国際的に通用する人材がいない」(ライバルビールメーカー幹部)うえ、青島ビールの営業マンからしても中国本土での実績がほとんどないアサヒの商品を積極的に売るはずがなく、自社製品の販促に力を入れることは火を見るより明らかだ。
 
泉谷社長に残された道は一つしかない。青島ビールとの一層の関係の強化だ。昨年十一月に東京で会見した金志国・青島ビール董事長(会長)は「アサヒは長くつきあえる恋人」と持ち上げた。品質管理や生産管理、環境活動などの手法を学べて長期的な関係を築けるという意味からだ。

「短期間の利益を追ったABインベブとは違う」(金董事長)とも話した。しかし、すべてを学んでしまえばアサヒの利用価値はなくなる。アサヒは現在の出資比率をさらに増やし(ただし上海証券取引所分は外資は取得できない)、最終的には青島ビールとの株式の相互持ち合いまで持っていくしかない。
 
青島ビールは中国共産党政府とも関係が深い。彼らにとってアサヒが欠かせない戦略パートナーになれるのなら提携は成功する。将来、中国だけではなく東南アジアなどにも共同で事業展開していけるウィン・ウィンの関係を築けるかもしれない。
 
ただし、一寸先は闇ともいわれる中国ビジネスである。散々貢いだ挙げ句にアサヒは青島ビールから「使い捨て」にされるリスクを負う。しかも、青島ビールはアサヒとの低価格な共同開発商品をもって内陸の農村市場の攻略を示唆している。成功すればリターンは大きいが、一つ間違えれば利益が生まれない泥沼の戦いとなってしまう。
 
だが、スーパードライに拘泥し過ぎたアサヒにはもはや選択の自由も余地もない。少なくとも青島ビールとの関係では「脱ドライ」で腹を括らざるを得ない。伸るか、反るか。歴代社長が「ポスト・スーパードライ」構想を長年語りながら、現実には「やるやる詐欺でしかなかった」(前出の流通紙記者)アサヒを待ち受けるツケ払いは極めて大きい。  

  拍手はせず、拍手一覧を見る

この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます(表示まで20秒程度時間がかかります。)
★登録無しでコメント可能。今すぐ反映 通常 |動画・ツイッター等 |htmltag可(熟練者向)
タグCheck |タグに'だけを使っている場合のcheck |checkしない)(各説明

←ペンネーム新規登録ならチェック)
↓ペンネーム(2023/11/26から必須)

↓パスワード(ペンネームに必須)

(ペンネームとパスワードは初回使用で記録、次回以降にチェック。パスワードはメモすべし。)
↓画像認証
( 上画像文字を入力)
ルール確認&失敗対策
画像の URL (任意):
 コメントの2重投稿は禁止です。  URL紹介はタイトル必須
ペンネームの新規作成はこちら←
フォローアップ:

このページに返信するときは、このボタンを押してください。投稿フォームが開きます。

 

 次へ  前へ

▲このページのTOPへ      ★阿修羅♪ > 経世済民69掲示板

★阿修羅♪ http://www.asyura2.com/ since 1995
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。

     ▲このページのTOPへ      ★阿修羅♪ > 経世済民69掲示板

 
▲上へ       
★阿修羅♪  
この板投稿一覧