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行天元財務官:ユーロ崩壊「ない」、人民元改革は「年内」あり得る
http://www.asyura2.com/10/hasan68/msg/702.html
投稿者 gikou89 日時 2010 年 6 月 19 日 20:28:13: xbuVR8gI6Txyk
 

(回答先: オバマはBPにも石油業界にも弱かった 投稿者 gikou89 日時 2010 年 6 月 19 日 20:26:48)

http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90920012&sid=aftYmXHEs.zw

6月18日(ブルームバーグ):国際通貨研究所の行天豊雄理事長(元財務官)は17日、欧州債務危機下でもユーロは崩壊しないとの見解を示した。米国の過剰消費に依存した世界経済の構造が金融危機後も変わらなければ、不均衡の再拡大で将来ドル不安が生じる恐れがあると指摘。中国が人民元改革を年内に始める可能性は「まだかなりある」と予想した。20カ国・地域(G20)首脳会議では政策目標の確認や意思のすり合わせが重要だと語った。

  行天氏(79)は17日のインタビューで、欧州は「7500億ユーロで時間を買うことができた」と分析。緊縮財政は景気下押し懸念を伴う「諸刃の剣」だが、手を緩めるのは「非常に危険で、問題の先送りに過ぎない」と話した。市場に「期待と安心感」「不安と失望」のどちらをもたらすかは「政治的な指導力の質と能力にかかっている」と強調。財政規律の強化で市場の信認が「劇的に改善すれば、必ずプラスに働く」と述べ、1980年代の英サッチャー、米レーガン両政権の成功例を挙げた。

  域内16カ国の共通通貨ユーロは「発足後最大の危機に瀕している」が「欧州の歴史的統合に対する欧州人の思い入れは、域外の者が想像する以上に強い」と指摘。「どんな困難に見舞われても、欧州は最終的に切り抜けるだろう」と話し、ユーロ崩壊は「ない」と言明した。

  ユーロ圏16カ国政府は5月9日、欧州連合(EU)緊急財務相理事会で、国際通貨基金(IMF)からの2500億ユーロを含め、最大7500億ユーロを圏内諸国に融資する枠組みで合意。欧州中央銀行(ECB)も公社債の購入による市場安定化策を打ち出した。著名投資家ジム・ロジャーズ氏は今月16日、ユーロは財政赤字国の救済により10−15年後に姿を消すと予想した。

        ユーロ、来年に一段安も

  行天氏は、米国経済の緩やかな回復もあり「中期的にはユーロ安・ドル高は変わらない」と分析。来年以降、ギリシャ支援策の成果が上がらない場合には、ユーロが「さらに下押しされる可能性は十分ある」と語った。ただ、史上最安値までは下落しないとも予想した。

  ギリシャの財政懸念が域内の重債務国にも広がる中、ユーロ相場は7日に対ドルで一時1.1877ドルと06年3月以来、円に対しても1ユーロ=108円8銭と01年11月以来の安値をつけた。99年1月の導入後の最安値は2000年10月につけた0.8230ドルと88円96銭、最高値は08年7月の1.6038ドルと169円96銭。

  行天氏は、円相場も「当面はドル高・円安」基調と予測した。日本経済は徐々に改善しているが、財政に「かなり大きな不安感」があり「これからが正念場だ」と強調。菅直人内閣の「プランと実際の行動」が市場に「希望と期待」をもたらせば、円の信認も向上すると指摘した。日本銀行は当面「出口政策とは全く関係ないだろう」と予想。財政再建下で景気を支えるため、金融緩和を続けざるを得ないと分析した。

        不均衡の再燃、ドル不安も

  世界経済の不均衡が「金融危機前と同じ形になる可能性は非常にある」と、行天氏は懸念。米国の過剰消費で米経常赤字や対外純債務が増大する構図が再現すると、「来年以降、ドル不安が当然出てくる」と予想。米貯蓄率の上昇が続くかは不透明で、中国や日本は対米輸出を再び増やしていると指摘した。

  行天氏は欧州債務危機の発生前は、中国が人民元の変動幅拡大を「年末までに始める」と予想していた。中国当局の基本方針は現在も変わっておらず、「年内に動き始める可能性は、まだかなりある」と述べた。中国は05年7月に人民元相場のペッグ(連動)制を廃止し、緩やかな元高を容認していたが、08年7月以降は6.8元台に抑制。一日の変動許容幅は人民銀行が決める中心値から上下0.5%以下としている。

        人民元、上昇容認が合理的

  人民元相場の切り上げは中国に輸出産業への打撃、失業の増加、社会不安を連想させる面もあるが、国内景気の過熱やインフレへの懸念が強まれば、人民元高が望ましくなると、行天氏は分析した。利上げのみ実施すると、投資資金の流入加速で通貨高圧力が増すため、元売り介入をさらに増やす必要が生じると指摘。金融引き締めと同時に人民元高を容認する組み合わせは「常識的にはあり得る」と語った。

  行天氏は、中国による人民元高の抑制で、米国には「得られるべきドル安のメリット、米国の中長期的な成長モデルとする輸出の増強が実現できないという苛立ちが非常にある」と分析した。

  ガイトナー米財務長官は11日、中国の為替政策が「世界の不均衡是正にとって障害だ」と発言。中国外務省の秦剛報道官は14日、人民元相場の上昇は米中間の貿易不均衡を解消しないとの見解を表明。国家統計局の馬建堂局長は17日、人民元相場が対ユーロでは7日までに年初来20.5%上昇したと強調した。

  行天氏は、今後の展開は米中次第だが、中国が人民元高抑制を長期間続けるなら「だんだんと不自然になってくる」うえ、他のアジア諸国にとっては「近隣窮乏化政策だということにもなる」と語った。

  G20は26、27日にトロントで首脳会議を開く。行天氏は、G20には「具体的な事を決める権限はない」と指摘。20カ国・地域の首脳が「整合性のある国内政策や為替政策で完全に一致するのは無理だろう」が、少なくとも「世界的な協調を目指した意思の統一、目標についての確認は非常に大事だし可能だ」と強調した。

  行天氏は1955年に東京大学を卒業し、大蔵省(現・財務省)に入省。国際通貨基金(IMF)出向などを経て、85年9月の「プラザ合意」時には国際金融局長、翌年から財務官を務めた。89年に退官。ハーバード大学やプリンストン大で教鞭を取り、92年から東京銀行(現・三菱東京UFJ銀行)会長。95年12月から国際通貨研究所の初代理事長。98年には小渕恵三内閣の特別顧問、09年9月発足した鳩山由紀夫内閣では藤井裕久財務相の特別顧問に就任した。
 

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