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(回答先: <魁:日本株銘柄レポート>小反落、94代首相誕生も売り先行 投稿者 gikou89 日時 2010 年 6 月 05 日 06:26:42)
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/100602/plc1006020308005-n1.htm
5月19日に、原口一博総務大臣と日本経団連の御手洗冨士夫前会長とが会談し、「道州制」の実現に向け協力することで一致したという。しかし、これは実に奇妙なことだ。民主党はマニフェストに「地域主権」は掲げていたが、「道州制」への移行は記載していない。しかも、鳩山由紀夫首相は地域主権論者ではあるが、道州制には反対で、その意味でも唐突な感は免れない。
とはいえ、与党の閣内不一致はいまに始まったことではない。むしろ問題なのは、経団連のご都合主義的な「道州制」の提言のほうだろう。経団連はこれまでにも、平成19年に道州制の導入に向けた「第1次提言」を、20年にも「第2次提言」を発表して、「究極の構造改革」だと主張している。しかしこれは「究極の日本破壊」でしかない。
まず、東京一極集中のためリスクが高まっていると述べているが、いまの東京への一極集中は都道府県制のために生じているのではなく、ビジネス効率を最大化しようとする経済的誘因が大きい。また公務員が減らせると述べているが、その一方で、地域の治安を向上させ子育て支援を行い、地域医療を拡充するという。それなら、他の先進国に比べて著しく公務員の少ない日本においては公務員を増やさざるをえないだろう。
経団連の提言にある試算では、国家公務員を地方に振り分けるだけでなく、地方公務員も削減できることになっている。しかし、道州に権限が移譲されれば道州庁自体の仕事も多くなるのが道理で、地方公務員は拡充せざるをえなくなる。そもそも連邦制や道州制を採用している国の公務員比率は、日本に比べはるかに大きいことも忘れるべきでない。
さらに、地域がそれぞれの発意によって道州制を推進するとあるが、道都や州都を持てそうな都道府県は積極的だが、そうでない地域は道州制に懐疑的である。道州都を持てない地域は道州の中の下位に位置付けられ、道州庁による新しい中央集権の下で閉塞(へいそく)してしまう危惧(きぐ)があるからだ。
加えて、中央政府は外交、防衛、マクロ経済政策だけを担うとされているが、経済と権限の大半が道州に移行してしまえば、中央政府の対外交渉力は大きく低下する。道州制論者には19世紀の思想家トクヴィルの米国型連邦制称賛を引用する人がいるが、そのトクヴィルは欧州では米国型は採用できないと強調していた。外圧が強かった欧州では外交と防衛に破綻(はたん)をきたしてしまうからである。
いま欧州で地方分権が進展し、道州制を採用する国もあるのは、上位にEUという連邦国家が形成され、各国レベルの軋轢(あつれき)がやや後退し、相対的に地方が浮上しているためだ。強圧的な国が多い極東の日本に、果たしてそうした政治的構造が可能なのだろうか。
こうしてみると、経団連の道州制案は根拠が薄弱なだけでなく、きわめて危険なものと言わざるをえない。もし、東京一極集中がそれほど気になるなら、経団連は所属の大企業に本社を地方都市に移転するよう奨励してはどうだろうか。「まず隗(かい)より始めよ」。原口・御手洗会談では「電子行政」の推進の話も出たらしいが、「電子経営」も活用して地方分散するのが、経団連にとって責務ではないのか。(ひがしたに さとし)
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