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(回答先: バフェット氏:米地方債に恐ろしい問題生じる−連邦政府支援に発展も 投稿者 gikou89 日時 2010 年 6 月 03 日 23:57:05)
首相としての失政にも関わらず、鳩山由紀夫氏が唯一挙げることができる大きな功績は、自ら率いる民主党が55年間ほぼ途切れなく続いた自民党支配に終止符を打ったことだ。鳩山氏は2日、政権発足から9カ月足らずで辞任表明を行ったが、民主党は日本政治の再調整を主導する機会を逸してしまうかもしれない。
鳩山首相退陣の直接の理由は、沖縄県の米軍普天間飛行場移設問題をめぐる対米交渉でのつまずきが国民の怒りを買ったことだ。鳩山氏はむやみに普天間飛行場移設に関する交渉を蒸し返すことで、国内の反米感情を煽ってしまった。朝鮮半島の緊張がここ数年では最高に高まっているほか、中国海軍が一段と示威行動を強めているという、まさにその時に鳩山氏は、米国との50年に及ぶ同盟関係を疑問視する姿勢を示した。
鳩山氏が抱えていたより大きな問題は、国民がいつも、政権のコンピタンス(能力)の根本的な欠如を疑う状況にあったことだ。有権者は民主党政権の経済運営に我慢できなくなった。控えめに言っても、日本を慢性的なデフレと輸出依存から、いかに脱却させるかという明確なビジョンを欠いていた。鳩山氏と、前日同様に辞任を表明した小沢一郎民主党幹事長はいずれも、絶えず献金問題や政治資金問題の渦中にあった。この問題で、民主党が掲げたガバナンス(統治)向上という公約はうつろなものとなった。普天間基地問題をめぐる混乱は、民主党が政権を担うという「プライムタイム」に向けた準備ができていないのではないかという疑念を単に確認したものにすぎなかった。
民主党に統治能力があるかという内外の懸念に対処するのは、鳩山氏の後継者の仕事になる。最有力候補とされる菅直人副総理兼財務相は鳩山氏に比べれば、有能のように見えることには成功するかもしれない。同氏は鳩山氏よりも、より明確な政策展望に定評がある。また、短期ではあるものの、これまでに2度の閣僚経験があり、指導性ではより輝かしい経歴を誇る。
しかし、菅氏が鳩山氏よりも優れた指導者であることを証明したとしても、問題は残る。指導力はどの構想でいかされるのか。国の安全保障問題については、菅氏の普天間基地に関する見解は依然ブラックボックスだ。菅氏は昨年、鳩山首相から普天基地問題の仕切りを要請されたが、断った経緯がある。以来この問題では発言も控えていた。現在、普天間基地問題は決着したかに見えるが、予期せずに問題が再燃する可能性がある。基地移転に関する日米合意が履行される過程で日米間で断続的に生じる問題に、鳩山氏の後継者も直面する可能性があるためだ。
一方、菅氏の経済政策面でのスタンスはもっとよく知られているものの、勇気づけられるものではない。財務相としてのデフレ脱却の主な戦略は、日銀に圧力をかけ一段の金融緩和政策を実施させたことだ。日本の元気を取り戻し、企業のバランスシート上で眠っている、安く調達された資金を使わせるような構造改革を行う明確な計画は見えない。鳩山政権が郵政民営化計画を撤回しようとしていた時、何もしなかった。菅氏は最近、デフレのなか消費を一段と冷え込ませるリスクがある状況で、財政赤字削減のために消費税を引き上げることを提案した。
より抜本的な対策を講じなければ、世界第2位の経済国が回復基調をたどらずに低迷するという危険性がある。日本経済はデフレが深刻化するリスクに直面しており、国内の需要低迷で、日本の世界経済回復への寄与は限定的となる。日本は今後も成長のけん引役として輸出に依存するだろう。このため、海外景気の減速や二番底の影響を受けやすい。
公正を期せば、ビジョンの破綻は民主党に限ったことではない。鳩山氏は在任1年かそれより短期間に辞任した首相としては4人目。直近では在任期間が最も長かった首相は小泉純一郎氏だ。小泉氏が、明確な経済および安全保障政策を、しっかりとした首尾一貫性のもと追求したことで定評があることは偶然ではない。有権者は再び、この種の指導性を期待している。どの主要政党も指導性を発揮していない。自民党は野党になった現在、その時間を政権奪還のために必要な説得力のあるプラットフォームを策定することに使わず、党は壊れつつあるにある。
最も楽観的な解釈は、鳩山首相が1年足らずという予想外のスピードで辞任することで、政治的な再調整が予想以上に早く起きるということだ。来月の参院選で大躍進するのは、自民党や民主党から枝分かれした小規模政党である可能性があり、彼らの政策は首尾一貫している(一部は賢明なものだが、そうではないものある)。
このような政治的再調整は長年の懸案だった。しかし、これには時間がかかる上、日本とアジア地域の安全保障のほか、国内経済にとっても難しい時に起きている。鳩山氏は、これらの試練に遭遇するにはふさわしい首相ではなかった。構想を持った後継者が首相の座を引き継ぐために立ち上がるのは早ければ早いほどよい
http://jp.wsj.com/Opinions/Columns/node_67392
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