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日銀「成長期待分野への新貸出制度」導入は天下り先開拓のため 「環境・エネルギー分野でイノベーションを促進、など眉唾
http://www.asyura2.com/10/hasan68/msg/230.html
投稿者 gikou89 日時 2010 年 5 月 22 日 08:48:11: xbuVR8gI6Txyk
 

(回答先: 野村ホールディングスが挑む大改革、“外資化”への試練 投稿者 gikou89 日時 2010 年 5 月 22 日 08:46:57)

http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20100521-00000001-gendaibiz-pol

日本銀行が環境・エネルギーなど成長期待分野を特定して融資する新しい貸出制度を作る。

 白川方明日銀総裁は4月30日の記者会見で想定している分野を「たとえばイノベーション(技術革新)を促進するような研究開発、科学・技術の振興、あるいは成長分野として期待される環境・エネルギー事業など」と例示していた。

 この話には、疑問がいくつもある。

 まず日銀の役割は日銀法第2条で「物価の安定を図ることを通じて国民経済の健全な発展に資することをもって、その理念とする」と定められている。そのための手段は経済全体を対象にしたマクロ金融政策である。

 それがなぜ特定分野なのか。

 「成長が期待できる分野」などと言われると、もっともらしく聞こえるが、そもそも日銀に成長分野が特定できるはずがない。「民間銀行には目利きがいるから、銀行の判断を尊重して日銀が融資する」というなら、初めから日銀が分野を特定せずに潤沢に資金を供給すればいい話である。

 実は民間銀行だって、なにが成長分野なのか、よく分からないはずだ。「これぞ成長分野」などというものがはっきり分かっているなら、世界はあっという間に成長する。

 かつて世界的に活躍している著名ベンチャーファンド経営者に話を聞いたが「成長分野などというものは、100とか1000やってみて、当たるのは一つか二つ」と言っていた。それが現実である。

 政府から支援を受けるどころか妨害されたが、自前の努力で世界的企業に成長したホンダの例が象徴しているように、政府にだって成長企業や成長産業は分からない。まして殿様商売の日銀がにわか勉強したところで突然、成長産業が判別できるはずがないのだ。

 日銀内には「いまの日本経済にはA銀行が融資リスクをとらないなら、B銀行もとらないという『協調の失敗』がある可能性がある。そこを日銀が呼び水になって融資を促す効果を期待できる」という意見もある。

 そういう呼び水効果は日本政策投資銀行など政策金融機関が果たす仕事だ。実際、日本航空の再建では政投銀が協調融資に加わることが民間銀行の融資条件になった。日銀はそんな案件に直接、首を突っ込む事態を想定しているのだろうか。まさか。

 どこかの銀行が「これが成長分野の案件です。だから貸して」と日銀に話を持ってきたとして、それを日銀がどう判断するのだろうか。適切に判断できる基準も能力もないから、結局、特別扱いするかどうか日銀が裁量的に決められるようになる。

 実は、それこそが日銀の狙いなのかもしれない。この貸出制度は特別扱いする銀行を日銀が裁量的に選別するための仕組みなのだ。

 白川総裁の会見を聞いて、私はすぐ「焼き鳥」の話を思い出した。

 かつて日銀は資金供給する銀行を裁量的に選別する仕組みをもっていた。金融緩和をほどほどに止めておくと、市場に供給される日銀券(ベースマネー)には限りがある。一方で、銀行は決められた額の日銀当座預金を期日までにきちんと預けなければならない。

 必要な預金額(所要準備額という)を期日までに積み上げられない銀行に対して、最後の貸し手になった日銀が優位に立って銀行を締め上げる構図を「焼き鳥にする」という。金融界の隠語である。

 旧東海銀行が1991年、不祥事に絡んで日銀から天下りしたOB役員を処分すると、怒った日銀が1000億円の資金を同行から引き揚げた一件が有名だ。所要準備額の積み上げに際して業界慣行を守らなかった旧三和銀行が火あぶりにされた例もある。

 今回の貸出制度は銀行を締め上げる「焼き鳥」とは異なるが、特定銀行を優遇して利益を配分する点では裏表の関係で似たようなものだ。

 日銀はなぜ特定銀行をターゲットにしたいのか。天下りの開拓である。

 焼き鳥はいざとなれば締め上げて、天下りを認めさせる「ムチ」の役割を果たしたが、新貸出制度には天下りを促す「アメ」にする狙いが潜んでいるのではないか。

 特定産業を優遇して天下りを確保するのは、経済産業省をはじめ霞が関の得意技だ。日銀も霞が関の手口をよく学んでいる。


*** 日銀が意識する「デフレ議連」の動き ***
 もう一つ、なぜこのタイミングかといえば、鳩山由紀夫政権が成長戦略の策定を急いでいることと無関係ではないだろう。

 約130人の民主党議員が参加した「デフレから脱却し景気回復を目指す議員連盟」(会長・松原仁衆院議員)は日銀法改正も視野に入れて、デフレ克服のためにインフレ目標政策の採用を求めた。民主党は参院選の公約(マニフェスト)にインフレ目標の盛り込みを検討している。

 インフレ目標が導入されると、日銀はなんらかの達成義務を負う形になりかねないので、なんとしても阻止したい。それで妥協策として特定産業優遇策に動いた可能性がある。天下り開拓と民主党へのアメ玉の一石二鳥になるからだ。

 日銀副総裁らとの会合で私がそう指摘すると、ある日銀幹部は「べつに民主党議員から『目くらましじゃないか』という声は出ていませんよ」と言ってのけた。

 ははぁ、やはりそうだったか。

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(著者:長谷川 幸洋)
 

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