ドイツ：ユーロ圏の国債空売り禁止

　【ロンドン会川晴之】ドイツ連邦金融監督庁は１８日、ギリシャの財政危機によりユーロ圏の国債が急落した事態を受け、ユーロ圏各国の国債空売りを禁止する措置を１９日から導入すると発表した。各国債を対象とするクレジット・デフォルト・スワップ（ＣＤＳ）の空売りも禁止した。また、ドイツ銀行、コメルツ銀行など大手金融機関１０社の株式の空売りも禁止した。ドイツ国内が対象で、来年３月末までの時限措置。株式の空売り規制は、０８年秋の金融危機時に米国などが導入した例があるが、国債取引に導入するのは初めてとみられる。

　一方、イタリア中銀は１８日、金融機関が保有する国債を時価評価ではなく、簿価で評価する措置を導入すると発表した。ギリシャ、ポルトガル、スペイン、イタリアなどの国債が急落、これを大量に保有する金融機関の資産が劣化、自己資本比率が急速に低下することを防ぐため、異例の措置を導入した。

　独伊両国が、いずれも極めて異例の措置を導入したことは、信用不安がギリシャから欧州各国に波及し、欧州の単一通貨・ユーロの信認低下が一段と深刻になったためと市場では受け止められており、ユーロやユーロ建て資産の売却を急ぐ動きが加速しそうだ。

　ＣＤＳは、債務不履行（デフォルト）に備えた一種の保険商品。裏付け資産のない投機的なＣＤＳ取引が各国債の大量売りを招き、信用不安を拡大させたとして、独仏ギリシャ首脳とユーロ圏常任議長のユンケル・ルクセンブルク首相は１７日、ＣＤＳの全面禁止を求める共同書簡をオバマ米大統領に送付。６月のＧ２０（主要２０カ国）首脳会議で議題とするよう求めている。

毎日新聞　2010年5月19日　11時06分（最終更新　5月19日　11時23分）

コメント
01. 2010年5月20日 10:57:06: eJpJR4SFmM 空売りやCDSが悪いのではない。 これらは価格激変緩和効果、リスク分散効果もある。 実需だけではそれこそ一方通行になってしまう。 CDS＝倒産保険などは、それが悪いのではなく、引き受けた保険会社であるAIGなどが、それを引き受けられる体力以上に引き受けたのが悪いのである。 保険と言うのは最終的に引き受ける人が自己資金の範囲で引き受けていないと成り立たないわけであるから、想定元本と自己資金の割合に規制は必要であるが、これを停止してしまうことは、間違っている。
02. 2010年5月20日 12:08:25: JQpGI8ShEw 現在は資金力がある一つの銀行が相場を動かして国をも潰してしまう。 資本主義とはルールが無い場合には独裁主義となる。それも私企業の。 今回の規制は必要なこと。

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