投稿者 gikou89 日時 2010 年 5 月 19 日 00:15:58: xbuVR8gI6Txyk
(回答先: 企業「消滅」、2万7000件=休廃業など、倒産の2倍超−09年度 投稿者 gikou89 日時 2010 年 5 月 19 日 00:13:04)
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20100524-00000001-aera-soci
AERA5月17日(月) 12時 9分配信 / 国内 - 社会
──混乱したマーケットは、もう落ち着いたようにも見える。
しかし、本当に大丈夫なのか。現役金融マンが一歩先を読んだ。──
降ってわいたようなギリシャ危機に端を発する欧州危機……と言われるが、実際ギリシャが財政赤字額をごまかしたなどというのは極めてマイナーな理由に過ぎず、今回のことはユーロという体制が持っている本源的矛盾が一気に噴出したとみるべきだ。ギリシャなどのマイナー・ヨーロッパの問題である、と認識するならまた、すべてを過小評価することになるだろう。
私はここ2年ほど、特にサブプライム問題発生からリーマン・ショック以降、「ヨーロッパが爆弾だ」と言い続けてきたし、実際、サブプライムの被害総額も欧州全体ではアメリカの倍近くあったのだから、欧州はいつ何らかの変調をきたしても全くおかしくない状態にあった。
にもかかわらず、これを見逃してきたECB(欧州中央銀行)はもちろん、中心国であるドイツ、フランスの責任も十分に重いと言わざるを得ない。
今回のギリシャ問題に関して5月13日段階で発表されている救済案をまとめてみる。詳細を評価すれば、問題点が如実に浮かびあがってくるからだ。
(1)ユーロ圏内とIMF(国際通貨基金)でギリシャ国債の借り換えを主な目的に1100億ユーロの融資枠を設定する。
(2)ユーロの為替安定化基金として3年期限付きSPV(特別目的事業体)を設立。4400億ユーロの相互政府信用枠を設定、「実弾」を400億ユーロ用意し、ユーロ買い支えの資金原資とする。諸条件が整えばこの基金にIMFがさらに200億ユーロを貸し付ける。
(3)ギリシャに続いてリスクが高いと思われるポルトガル、スペインについては早急に緊縮財政案を検討させることの合意を取り付けた(と発表)。
(4)ECBはいつでもユーロを維持するため介入をするという意思表示をする。
(1)については、5月7日の段階でドイツ、フランスの議会をこの緊急融資法案が通ったにもかかわらずユーロの動揺は全く収まる気配を見せなかった=写真上のチャート参照。
それは当然で、ギリシャが融資を受けるには、長期にわたる緊縮財政など、のまないといけない条件があまりに厳しい。ギリシャでは反対の大暴動が発生していて、肝心のギリシャが緊縮財政をどの程度実行していくのか不透明で、融資そのものが実行されない恐れがある。仮に融資が実行されたとしても、今のギリシャの市場金利を更に上回る金利で貸し付けることが条件となっている。
この救済案をわかりやすくいえば、「多重債務者」であるギリシャに更に高金利の融資を付けるということになる。今の借金が返せないと言っている人に更に高金利で貸し付けても回収不能になるのは常識で、ギリシャがどんなに緊縮財政を図ろうとも返済は不可能だ。
救済というからには日本がアジア危機の時に対応したように利息をタダにする、または借金そのものを帳消しにするしかないことは、IMF自身もロシア、アルゼンチンの破綻時に経験している。しかも、ギリシャに対してはドイツ、フランス、更には次の破綻予備軍と言われているイタリアなどもたっぷり貸し込んでおり、欧州中が俗に言う「追い貸し」状態になっていることも忘れてはいけない。
■「そば屋の出前」状態
(2)の為替安定化基金のアイデアも実現性は相当怪しい。
まず、ユーロ諸国のうち、まともな外貨準備を保有しているのはドイツだけで、そのドイツがこの案には国内的に合意に至っていない。
野党である社会民主党(SPD)はこれらの金額はすべてドイツの負担になる可能性が高いとして徹底的に反対すると主張している。与党側も一枚岩とは言い難い。少ない見積もりでもドイツ一国の負担額は1500億ユーロにも及ぶと言われているのだから当然か。
さらにユーロを買い支えるキャッシュ「実弾」は400億ユーロしかない。
繰り返すがドイツ以外の国は財政に余裕がない。この基金の信用を提供する側には倒産予備軍である、スペインもイタリアもポルトガルも入っている。これから倒産するかもしれない国の信用した枠を、一体誰が信じてユーロを買い支えるというのだろうか。
(3)(4)に至っては論外で、ポルトガル、スペインは緊縮財政に合意したといっても金額も期間も全く明らかにされていない。
介入すると言っているECBは、誰がどのタイミングでいくら介入するのか、具体的な手法はどうするのか(買い切るのか、協調介入するのかなど)、何一つ明らかにしていない。いわば「そば屋の出前」状態だ。
これらのことを踏まえた上でもなお、あなたはユーロという通貨を信頼できるだろうか?
通常、中央銀行は自国通貨が売られるとなれば金利を上げて通貨防衛に走らねばならない。しかし、今の欧州に金利上昇に耐えうる国があるだろうか?
■米国の最悪シナリオ
金融危機後、世界中が金融緩和していることをいいことに、欧州はこれまでもギリシャ、イタリアなどの弱小国がその低金利のせいでバブルになることを「意図的に」スルーしてきたのだ。
元々経済力も財政事情も全く違うドイツとギリシャに同じ金融政策を適用するなどということが可能だったのか──。当初から我々市場参加者が危惧していたことではある。だが今まさにギリシャという国で矛盾が噴出した形になった。現実的に、もはや金利を上げられる経済状況にないことは明らかだ。
となれば、アジア通貨危機のアジア諸国と同じように、ユーロは通貨防衛のためには虎の子である外貨準備のドルを売ってユーロを買い続けるしかない。何より通貨価値の下がったユーロでドルを返済しなければならないため、多くの米国ドルの調達を急がねばならない。
これが何を意味するか。
リーマン・ショック以降、FRB(連邦準備制度理事会)はゼロ金利政策に量的緩和まで実行して、必死にドルの流動性を確保してきた。だが、今ユーロが通貨防衛のために、ドル調達に邁進すれば──世界中でドルの奪い合いが始まり、アメリカ国内のドル需給が大幅に逼迫する。需要が供給を上回れば、当然ドルの金利が上昇することになり、FRBのこれまでの苦労は水の泡、アメリカ自身の調達金利が上昇するという最悪のシナリオに突入していくことになる。
そして何よりも重大な懸念は流動性危機の再来だ。リーマン・ショックが起きるまでの過程ではすべての市場参加者が疑心暗鬼になり、欧米の銀行に対するクレジット枠を絞り込んだためにベアー・スターンズとリーマン・ブラザーズという“犠牲者”を出したわけだが、今度は民間金融機関ではなく、国に対してこれが起こり得るということだ。
今やギリシャ国債、イタリア国債など買う投資家は当然いないだろう。負債の大部分を今後負担していくドイツやフランスの国債も今まで通り買うという「人の良い」市場参加者が一体どれだけいるだろうか。
■ドイツマルク復活?
こんなことになれば、リーマン・ショックどころの沙汰では済まないのは明らかだろう。欧州中の国が資金調達不能に陥るのだ。
解決策は限られている。
ギリシャを筆頭にユーロの価値を下落させる国をできるだけ早くユーロから切り離し、その国の通貨を切り下げて緊縮財政を図る。そうすればユーロ全体が「泥船」にならずに済む。
もう一つは、アグレッシブなアイデアだが、唯一体力のあるドイツがユーロを離脱して、ドイツマルクを復活させ、ドイツの信用力を維持することで欧州全体の信用力を回復する。
■世界貢献のチャンス
しかし、本当の切り札は実は東にある。
日いづる国、日本なのだ。
考えてみてほしい。
G20の国で外国から外貨で一切借金をしていない国(厳密には国債の5%程度を海外勢が保有しているがこれは諸外国の外貨準備対応分で市場には売られることがないミニマムシェアである)は日本しかないのだ。
財政赤字がどうのこうの、と言われるが、外貨で借金をしていない国は稀有であり、その唯一の国である日本がユーロの信用力を支えれば、ユーロの下落は止まる可能性が高い。さらに潤沢な日本のアメリカドル建ての外貨準備を担保として提供してもいいかもしれない。
ちなみに、現時点で日本の負担分は、IMF引き受け分の日本の出資に応じた分のみで、これによると筆頭の米国が最初の欧州への融資額を1千億ユーロとすれば約70億ドルの負担、日本は6%なので約20億ドル程度といったところか。
世界経済をどん底に叩きこむ恐れのあるユーロ危機を救済できるなら、あらゆる力を尽くすのが当然で、それこそ世界に貢献するチャンスだろう。
そして今の日本にはその力があるということを改めて強調しておきたい。
ファイナンシャル・アドバイザー 山口正洋
(5月24日号)
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