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(回答先: 仙谷氏「市場の警戒サイン」 Ｓ＆Ｐ、日本国債格付け見通し下げ 投稿者 gikou89 日時 2010 年 1 月 27 日 02:18:45)
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2010&d=0125&f=business_0125_157.shtml
先週19日（水）から3日間で、米国を中心に海外株式市場は大幅に下落し、ダウ平均株価は11月半ば以来の水準まで調整した。僅か3日間であるが、その調整幅はマイナス5．2％にも達した。同時に、商品市況や高金利通貨などへの投資を回避する動きが強まり、原油など商品市況も大きく調整した。
ダウ平均は、2009年7月半ば以降、調整幅が4％以下に止まっていたが、今回の調整はそれを上回っている。また、09年6月半ばにＮＹダウは7．4％下落した厳しい局面があったが、この時は約1ヶ月かけての下落だった。今回のように短期間でかつ大幅な調整は、金融システムへの懸念がまだ根強かった、2009年3月末（2日で5．1％下落）以来の出来事である。
こうした、株価の急落は「オバマショック」とメディアで呼ばれている。オバマ大統領が、21日に金融機関に対する規制強化を表明したことが、マーケットに驚きをもたらした。特に、発表された当日、オバマ大統領が自らテレビ画面に登場し、この必要性について強い口調で訴えたことが、驚きをもたらしたようだ。
金融業への規制強化が強まることが、将来の金融機関のビジネスだけでなく、それが経済全般に対して大きな影響を及ぼすリスクがあることは確かである。ただ、そうしたリスクがあるとしても、先週の世界の株式市場の大きな反応は、「行き過ぎ」ではないかと考えている。
一つの理由は、米政府が、金融業への規制を強化する方向で動くことは、長い目でみれば合理的な面があるためである。世界的な金融危機が深刻化した原因の一つは、大手金融機関がリスクを無視して信用を拡大させたことだ。そのコストの大きさを金融当局が把握できなかったことが、世界的な金融危機を引き起こしたとすれば、当局が金融機関の行動に一定の歯止めをかけることは必要になる。
こうした米国における規制強化の動きは、すでに1月に入ってから、金融機関に対する特別課税制度の導入などで進んでいた。この動きで先行していた英仏などに近づいていたわけで、こうした規制強化の方向性は海外の主要メディアでも報道されていた。今回、市場でサプライズを与えたとされるのは、投資銀行へのレバレッジ制限、商業銀行による自己ポジション業務制限、だと言われている。ただ、実際に、どの程度の金融機関のビジネスに縛りをかけるかは流動的で、更に、法律が策定され、当局による規制が運用される中でその影響はいくらでも変わりうる。
市場の不安心理が高まると、リスク資産から逃避する動きはよくみられることである。不安心理が高まると、米政府が打ち出した新たな規制案が、「金融機関の融資抑制などを通じて米経済のダイナミズムをそぐことになれば、回復途上にある世界経済にも影響が及びかねない」（日経新聞1月22日）などの疑念までもたらす。しかし、逆に、規制がうまく運用され金融システムがより安定になれば、2009年に歴史的な落ち込みに見舞われた米国経済の回復を支える可能性だってあるだろう。
現在は景気回復の初期局面であり、超低金利などで景気回復がサポートされている状況にある。銀行などの金融機関が信用を膨らませリスクを抱えている状況ではないため、「融資規制」が近い将来米国の景気回復の足かせになる可能性は低い。足元の経済指標を見る限り、米国の景気は個人消費を含めてかなり堅調である。これらをあわせて考えれば、1，2年の投資期間であれば、今回の株価急落は「買い場」を提供することになると考えている。（執筆者：村上尚己 マネックス証券チーフ・エコノミスト 編集担当：サーチナ・メディア事業部）
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