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【超左翼おじさんの挑戦】
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田母神さんをめぐる対話・下
それにしても、秦さんの田母神批判は、かなり辛辣だ。たとえば……
田母神論文には、「真珠湾攻撃に先立つ1カ月半も前から中国大陸においてアメリカは日本に対し、隠密に航空攻撃を開始していた」という記述がある。これについて、秦さんは、せいぜいそういう計画があったという程度のことを、「記憶のなかで次第に『爆撃した』に変形して……」と指摘している。
コミンテルンの工作を受けたホワイトがハル・ノートの原案をつくり日米開戦にいたったという説については、もっとすごい。「『坂本龍馬はフリーメイソンだった』とか『平清盛はペルシャ人だった』とか、想像を逞しくしていますよ。賛成派と反対派が、それぞれもっともらしい理屈をいって……。しかし、そういうものまで『歴史』に入れていくと、もう収拾がつかなくなりませんかね。両論併記すべしという人もいるが、私は断固反対ですね」
さらに。「田母神さんが英雄扱いされているのは、論文自体ではなく、おそらく彼のお笑いタレント的な要素が受けたからでしょう」。ここまで言われると、ホント、田母神さん、かわいそう。
秦さんという人は、結局、ずっと一貫していると思うのだ。歴史の事実というものを検証し、大事にしている。
以前、歴史学会で左翼が幅をきかしていたとき、イヤなことがあったのだろう。事実の検証を大事にしないで、できあいの法則をあてはめようとしたりする傾向もあった。日本の戦争責任の事実を発掘するのはいいが、欧米の侵略や植民地支配を相対化する場合もあった。だから左翼嫌いだと思われてきた。
だけどいま、右翼的な歴史観が日本をおおっていて、事実なんか投げ捨てて大声をあげているのが、たまらなくなったのだろう。だから、いつの間にか、秦さん、右翼を批判する側にまわってしまった。
田母神さんが影響力を維持しようとしたら、こういう人に信頼されないとだめなのにね。でも、逆に言えば、いまの事実を無視するような歴史観の横行は、これまで右翼的だと思われた人々とも協力できる可能性を広げているのかもしれない。私のブログ、そこをめざしているのだけれどね。
ところで、秦さんがほめている(?)田母神さんのお笑い、すごいんですよ。たとえば、私が声をあげて笑ってしまったのは(怒られるかもしれないけど)、これ。
(中国の歴史問題への批判に対して)「はっきり言えばいいんですよ。どうして総理は抗議しないのか。……日本の総理は名称が悪いんだな、『アイム・ソーリー』だから」
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