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(回答先: 広瀬隆氏、久しぶりのTV出演で「陰謀史観」を全面否定…「私は陰謀論者ではない！」 投稿者 馬鹿まるだし 日時 2009 年 7 月 21 日 01:22:30)
資本主義は崩壊したのか──広瀬隆氏に聞く（東京新聞「特報」）
天安門事件、そしてベルリンの壁崩壊から二十年。これまで資本主義（市場経済）が社会主義（計画経済）に完全勝利したととらえられてきたが、事態は一変した。米国発の金融危機以来、企業の国有化、公的資金による救済が相次いで行われ「資本主義の終焉」「まるで社会主義化」との声が少なくない。今、起きているのはパラダイムシフト（時代の大転換）なのか。（秦淳哉、上田千秋）
昨秋の米大手証券会社リーマン・ブラザーズに続き、今月には世界最大の自動車メーカー、ゼネラル・モーターズ（GM）も破綻。世界経済は米国ウォール街で起きた金融危機をきっかけに「百年に一度」とされる大不況を迎えている。
「経済危機は突然起きた天災ではない。腐敗した投機家たちが招いた災厄だ」。こう指摘するのは、近著『資本主義崩壊の首謀者たち』（集英社新書）で資本主義のルールを逸脱した事態が進んでいるとの歴史認識を示す広瀬隆氏だ。
広瀬氏が問題視するはウォール街の持つ傲慢さ、強欲さ、そして腐敗。この性質を持つヘッジファンドと商業銀行が投機をあおり、際限ない金もうけ主義が金融バブルを生み出した。それ以上に広瀬氏は経済危機に陥った各国が今でも再発防止策を講じていない点に危機感を抱く。
「腐敗システムを止める方策を何もとっていない。金融危機を受け、四月にはロンドンでG20が開かれたが、ヘッジファンドとタックスヘイブン（租税回避地）の規制を文言で決めただけ。具体策は何もなく、商業銀行による金融バブルを規制する効果はない」と批判する。
現状に目を転じれば、リーマンとGMは、けた外れの負債額で破綻。世界経済が負った傷は想像できないほど深い。「GMの負債は十七兆円。リーマンの場合はデリバティブ（金融派生商品）も多数抱えていたから、実際にどれぐらい大変なことが起きているのか誰もわからない」と恐怖心を抱く。
しかし、経済危機に見舞われた各国の望みは、いまだに米国の景気回復というのが現状だ。広瀬氏は米国依存の危うさにこう警鐘を鳴らす。「米国人自身が米国再生はないと言っている。過剰消費の時代が二度とないことは米政府も言っているし、一般庶民も感じている。それでもG20の首脳は、米国が崩壊しつつあると思う一方、腹の中で『いつになったら米国は回復してくれるのか』と願っていた。世界中が米国再生はないことをきちんと認識したほうがいい」
グローバリズムに対抗する形で、自らを保護主義派と称する広瀬氏。「日本は年収二百万円以下の人が一千万人を超えるほどの貧困になった。これがグローバリズムの結果だ。日本人は日本経済をどう立て直すのか根本的に考えなくてはならない時期に来ている」と指摘。「輸出だ、グローバリズムだと言って製造業者が金融の餌食になることは許されない。金融システムに巣くっている原油や穀物など生活必需品のデリバティブは全廃すべきだ。そうでなければ、百年に一度の危機では済まず、間違いなく今回と同様の危機を繰り返すことになる」
唯一の超大国を謳歌してきた米国の落日で、今度は資本主義が“敗北”したと言えるのだろうか。
広瀬氏は「『社会主義か資本主義か』という選択がおかしかった。どちらも良い面、必要な面を持っている。GMの国有化などで米国が官僚型社会主義になっている」と苦笑交じりに言う。
ベルリンの壁が崩れたとき「いずれ資本主義が終わる」と直感したという広瀬氏。「資本主義にとって“敵対”する相手を失ってしまい、奪う相手がいないと成り立たない金融で食っていこうと、グローバリズムが進んでいった。雪だるまが大きくなるように転がしていたのが、転がす場所がなくなってしまった」
米国では、最富裕層の富の占有率は徐々に大きくなって格差が拡大。いまや中産階級が崩れ、貧困層やホームレスが増えている。「そこで狙われるのは日本」と広瀬氏はみる。
「GMや金融業界の救済資金で米国は莫大な財政赤字を抱えている。これを穴埋めできるような魔法のランプはどこにもない。のどから手が出るほど欲しいと思っているのは、日本の郵貯、簡保の三百兆円」と断言する。
日本郵政は二〇〇七年に民営化され、「ゆうちょ銀行」と「かんぽ生命」の金融二社は早ければ一〇年度に上場、一七年度に株式は完全売却される予定だ。
「民営化が決まったとき、ウォール街の連中は歓喜して祝杯を挙げた。上場されれば間違いなく米国の資本家が狙ってくる。日本は米国の現金自動預払機（ATM）になるつもりなのか」と危機感を募らせる。
日本でも、低所得化に加え、四月に5％を超えた完全失業率は今後ますます悪化すると予測されている。「私が生きてきた時代の中で、今が一番ひどい。貧しくても希望があるならともかく、先が見えないんだから」という広瀬氏。「救命ボートで逃げ出したのは一等船室の客からで、三等船室の客はみな死んでしまった。犠牲になるのはいつも貧乏人から」と、大西洋に沈没した豪華客船タイタニック号を引き合いに出し、こう訴える。
「日本を豊かにするには、衣食住を立て直すことに尽きる。農業、漁業が立ち直れば、食糧自給率も上がる。米国はすでに世界の中心ではない。輸出入に頼るグローバリズムから少しずつ脱却して、国内を守る政策を考えるべきなんです」
ひろせ・たかし 1943年、東京都生まれ。早稲田大卒業後、会社員生活を経て作家に。原子力発電所の安全性を問う『危険な話』『東京に原発を！』や、世界最大の財閥とされるロスチャイルド家の系譜を解き明かした『赤い楯−ロスチャイルドの謎』など著書多数。
記事原文：http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokuho/list/CK2009060602000062.html
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