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ラテンアメリカと日本をまたにかけ活躍する歌手/作家の八木啓代さんのブログで
今回のクーデターのとても分かりやすい解説が掲載されていました。
http://nobuyoyagi.blog16.fc2.com/blog-entry-393.html
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ホンジュラスのクーデター
ホンジュラスのクーデターで、中南米では緊張が高まっています。
タイムテーブルとしては、現地28日未明(日本時間28日夜)、ホンジュラスにおいて、軍が大統領を拘束し、コスタリカに移送。
現地時間28日午後、国会事務局長よりホセ・マヌエル・セラヤ大統領及び閣僚の辞任を発表。国会はミチェレティ国会議長を臨時大統領とすることを承認し、同日午後、大統領就任式が行われた、というもの。
で、ホンジュラスでは、クーデターを起こした軍に対して、民衆の抗議行動が広がり、死者や行方不明者、怪我人が出ているとのこと。また、セラヤ内閣閣僚や中南米左派政権の外交官も軍に拘束されています。
一方、軍は、情報を絞り、インターネットなども断絶しているという報道がありましたが、現在は復旧しています。
また、拘束後のすみやかな臨時大統領就任の筋書きなどから、これがいわゆる「軍事クーデター」ではなく、国会と軍がグルになったクーデターであることが明らかに。
で、拘束され、国外追放されたセラヤ大統領
この人は、もともと中道右派だったのですが、最近の中南米左傾化の波にばりばりに乗って(?)、ベネズエラのチャベスらに急接近。去年の8月には、ついにチャベスが提言し、キューバは言うまでもなく、ボリビア、エクアドル、ニカラグアなどが参加しているALBA(アメリカ大陸におけるボリバル主義者同盟)にも参加。国内的にも左派的な政策をとってきており、その流れのまま、任期延長の国民投票を行おうとしていた矢先でした。
もっともセラヤが筋金入りの左派であったかどうか、というのは疑問。
つまり、いまの中南米においては、左翼陣営と仲良くしているほうが現実的だということです。
そして、このALBA、共同での、医療組織・教育機関・銀行・食糧基金・石油公団・防衛軍の創設までを視野に入れているときている。
一方で、ホンジュラスときたら、貧困ライン以下が65%、失業率は30%近い貧困国。
セラヤも、ALBAに参加することによって、見方によっては、まず、ベネズエラの石油を安価に手に入れる道を開いたわけ。そして、最低賃金を引き上げ、貧困層の生活を改善し、民衆の支持基盤を強化した。これに、長期的視野に立った医療や教育の支援を受けられると、この国にも未来が開けてくるというもの。
実際、彼はALBA加盟の際の演説で「もしも40年間のホンジュラスの政治が貧困だけをもたらすことがなかったなら、ホンジュラスが社会主義に向かうことはなかっただろう」と演説しているのです。
内戦下の時代みたいに、「右翼反共政権」であるというという理由だけで、国内でどんだけ人権弾圧をやっていようと、政権が腐敗していようと、米国からガンガン援助をもらえて、それで小国がやっていけてた時代は完全に終わりました。
なんたって、ブッシュがイラク戦争で泥沼にはまった挙げ句に、膨大な財政赤字を抱え、とどめにサブプライム問題ときています。その挙げ句に、オバマが大統領です。
彼は、そもそも選挙中から対中南米政策を見直すと発言しているうえ、とりあえず、米国の財政を立て直すのが急務です。「右翼反共政権」であるというだけの理由で、米国からガンガン援助をもらって、その金で食っていたホンジュラスとかコスタリカあたりは、もろにそのあおりをくらって、財政火の車なわけです。
セラヤが馬鹿でないなら、米国に頼るのではなく、いま、チャベスが作ろうとしている中南米経済圏に参加する方がずっと現実的というわけ。
それでなくても、ホンジュラス。西はニカラグアに、そして北には誕生したばかりの左翼政権エルサルバドルに囲まれているのです。
もちろん、中南米の国で、真面目に貧困層の問題を解決しようとするなら、左派にならざるを得ない、という別の意味で現実的な問題もありますが。
しかし、そうなればなったで、裏切られたと思うのが、旧来の「右派」の人々です。追い詰められているだけに、危機感は大きい。
一方で、追放されたセラヤ大統領は、追放先のコスタリカで記者会見。
まず、ALBA加盟国である、キューバ、ベネズエラ、ボリビア、エクアドル、アンティグア&バーブーダ、ドミニカ、ニカラグア、サント・ヴィンセント&グレナディーンが一斉に大使を召還したのに続いて、ブラジル、メキシコも大使を召還。チリも召還をほのめかし、アンデス共同体(ボリビア、コロンビア、エクアドル、ペルー)やグァテマラもクーデター非難を決議。
さらには、米国のオバマ大統領も、クーデター非難の声明を発表。マヌエル・セラヤのみが民主的に選ばれた大統領であることを言明した上で、新政権を認めないことを表明しました。さらに、「もう暗い過去には戻らない」と。
中米統合機構加盟国は、ホンジュラスへのすべての支払や借款を無期限停止。および、国境を接するグァテマラ、エルサルバドル、ニカラグアはすべての通商も当面停止。
国連では、緊急総会を決定。本日30日、セラヤ大統領は総会で演説し、そのあと、クーデター非難とセラヤ支持の決議案を圧倒的多数で決定する模様。
クーデター陣営、完全孤立しました。
早ければ木曜日には、セラヤ大統領、ホンジュラスに復帰するのではないかという観測もあります。