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イランのネット検閲活動は西側技術に支援されたもの =1
ニューヨーク(ウォール・ストリート・ジャーナル)イラン政府は、欧州の電気通信企業の支援を得て、国内でのインターネット管理・検閲において世界で最も洗練された仕組みの1つを開発した。この仕組みにより政府は、個人のオンライン通信の内容を大規模に調べることが可能となっている。
イラン内外の技術専門家とのインタビューは、イラン政府によるネット情報検閲の取り組みがウェブサイトへのアクセス阻止やネット接続の切断を超えた領域にまで及んでいることを露呈した。
イラン政府は、この1週間で起きた政治的混乱に対処するため、「ディープ・パケット・インスペクション(DPI)」を駆使したもようだ。DPIを利用すれば、政府当局は、通信を阻止するだけでなく、個人情報の収集を目的に監視し、偽情報(デマ)を流す目的で情報を改ざんすることも可能だ、と専門家は言う。
こうした監視能力の少なくとも一部は、独シーメンス(NYSE:SI)とフィンランドのノキア(NYSE:NOK)(NOK1V.HE)の合弁事業であるフィンランドの通信機器大手ノキア・シーメンス・ネットワークスがイランに2008年下期に提供したもの。ノキア・シーメンスの広報担当者のベン・ローメ氏はこの事実を確認した。
ローメ氏によると、イランの電気通信独占体制下で設置された「監視センター」は、携帯電話ネットワーク技術を含むイランとの大型契約の一環だった。
ローメ氏は「ネットワークを販売するということは本質的にネットワーク上のいかなる通信内容も傍受する能力を得ることを意味する」とした。
ノキア・シーメンスがこうした機器をイランに販売したことは、「フューチャーゾーン」と呼ばれるオーストラリアの情報技術ウェブサイトの編集者により4月に初めて報告された。
イラン政府は、ここ数カ月は短期間のみこの機器を試験していたが、それは広範囲の使用ではなかったため、機器の真の能力は大統領選の結果をめぐる最近の混乱が起きるまでは完全に露呈されなかったと、インタビューに応じた複数のインターネット専門家は述べた。
テヘランの某ネットワークエンジニアは「これほどのことが可能だとわれわれは知るよしもなかった」とし「ネットワーク上で極めて複雑な追跡も可能にするこのような強力な機器を今やイラン政府が持つことを知った」と述べた。
DPIは、電子メールからインターネット電話、映像、「フェースブック」や「ツイッター」などSNS(ソーシャルネットワーキングサイト)上の伝言に至る、オンラインデータの流れに機器を挿入するもの。DPIではオンラインデータのすべてのデジタルパケットが解析され、キーワードで検索され、ミリセカンド(1000分の1秒)で再構築される。イランのシステムに詳しいネットワークエンジニアによると、イランの場合、単一のチョークポイント(難所)を介してこれが国全体で実施されている。
イランの抗議デモの最中にはインターネットに世界の目が集中した。イラン政府によるオンラインアクセス侵入こそが、政府がインターネットの機能を継続させた理由や、大統領選の結果で暴動が起きてから数日間ネットの接続速度が異様に遅かった理由を説明しうる。
イランの利用者は、インターネット接続が通常の10分の1の速度に低下したと推定する。ネット専門家によると、DPIは処理能力を大幅に増強して相殺しない限り、オンラインデータの転送速度を遅らせる。
カリフォルニア州のインターネットセキュリティー会社「マーシャル8e6」の技術戦略ディレクター、ブラッドレー・アンスティス氏は、イランは「国民が何を言おうとしているのかを探っている」と述べた。インタビューに応じたアンスティス氏と専門家らは、イラン内外でコンテンツ検閲の特徴を示すインターネットトラフィックを調べた結果、「中国を含め、いかなる国の状況よりも一歩先を進んでいるようだ」との見方を示した。
中国の誇示する「グレート・ファイアウォール」は、世界で最も進んだ広範囲のインターネット検閲と考えられ、これもDPIに関与しているとみられる。しかし専門家によると、中国は単一ハブを通じてではなく、インターネット・サービス・プロバイダー(ISP)のレベルで、より分散的にこの能力を開発しているもよう。その配置はISP全体の協力にかかっていることは、その実施形態がイランほど一元的ではないことを示唆している。
その差は規模にもかかわっている。中国は約3億人のネット利用者がおり、世界の国別利用者数ではトップだ。イランでは、政府による通信独占下の「テレコミュニケーション・インフラストラクチャー」と呼ばれる単一の拠点から、国内のネット利用者全体(推定約2300万人)のオンライン通信をカバーする。イランへの海外からのリンク全体は、この会社を通して入ってくる。
(続く)
http://www.nikkei.co.jp/news/kaigai/media/djCWO1582.html