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イスラエル:ガザ侵攻 停戦、双方残る不満 - 毎日新聞
◇ハマス、程遠い検問所正常化/イスラエル、トンネル破壊不徹底
【エルサレム前田英司】イスラム原理主義組織ハマスが18日、イスラエルに続いてパレスチナ自治区ガザ地区での停戦を「一方的」に宣言したことで、ガザ情勢は小康状態に入った。しかし双方とも戦いの目的を満足に果たすことはできておらず、脆弱(ぜいじゃく)な停戦状態の先行きは予断を許さない。
「ガザの停戦を我々の側から宣言する」。シリアのハマス幹部マルズーク氏は18日、イスラエル軍の攻撃停止から約12時間後に表明した。同氏らはイスラエル軍に1週間の撤退猶予を与えるとともに、ガザとイスラエル、エジプト両境界の検問所を再開して、ガザの封鎖を解除するよう要求した。
ハマス側のこれらの要求は、調停役のエジプトを介してイスラエルに伝えていた停戦条件と大差ない。イスラエルは「停戦が維持されるなら検問所は開き、膨大な人道支援物資が搬入される」(首相府報道官)としているが、ハマスがイスラエルへのロケット弾攻撃などの名目に挙げていた検問所の正常化からは程遠い。
一方、イスラエルの国内治安機関シャバクのディスキン長官は18日の閣議で、今回のガザ攻撃で集中的に空爆したエジプト境界の武器密輸用トンネルについて「完全には破壊できなかった」と認めた。停戦で平穏な状態が続けば、ハマスは数カ月後には武器密輸を再開するとの見通しを示し、米国などが約束した武器密輸防止策の早期実行を強調した。
ハマスが「停戦」を宣言した後もガザからのロケット弾攻撃は続いた。イスラエル軍は即反撃の構えを崩していない。停戦状態の持続は、ガザ境界の検問所開放や密輸トンネルの封鎖といった両者の要求がどこまで実現するかにかかっている。
◇外出できない患者も攻撃の被害者 悪化後に来院−−日本人医師証言
「空爆のため病院へ来られず、重病になる人も多かった。こうした人たちも攻撃の被害者だ」。パレスチナ自治区ガザ地区の病院で医療支援に携わった山形市の非政府組織(NGO)「地球のステージ」代表で精神科医の桑山紀彦さん(45)は18日、弱者が最も大きな被害を受ける戦場の悲劇を語った。
桑山さんは15日にラファ入りし、市立病院の救急救命室のチームに加わった。病院や宿泊先の数百メートル先に爆弾が落ちることもあり、爆風で窓ガラスがビリビリ揺れた。
病院に運び込まれてくるのは、空爆によるけが人だけではなかった。それ以上に多かったのが、外出できずに病気を悪化させ、運び込まれてくる患者だった。1歳半の女児は髄膜炎だったが、来院が遅れたため脳までウイルスが回り、今も昏睡(こんすい)状態のままだという。
「鎮痛剤などの薬不足は深刻で、あと1〜2週間で在庫は底をつきそうだった」。その前に停戦となったことに安堵(あんど)の表情を見せた。【ラファ(ガザ地区南部)澤田克己】
毎日新聞 2009年1月19日 東京夕刊