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投稿者 ヤマボウシ 日時 2009 年 3 月 16 日 00:38:55: WlgZY.vL1Urv.
 

Like a rolling bean (new) 出来事録
http://ameblo.jp/garbanzo05/day-20090315.html

2009-03-15
豊洲新市場予定地は調査するだけで液状化(日本環境学会坂巻先生の記事から)

日本環境学会の坂巻幸雄先生が、「季論21」秋号(本の泉社・2008年)に、築地市場移転問題の記事を寄せていらっしゃいます。

タイトルにも書きましたが、豊洲東京ガス跡地の新市場予定地は、「地質調査をするだけでどこも液状化してしまう」という事実などには、改めて驚かされると思います。

 「季論21」 2008年10月 第2号 特集 環境の世紀への思想と行動

http://www.honnoizumi.co.jp/cargo/shop/02910.html

 『築地魚河岸――豊洲汚染地 ― 都民・仲卸業者・研究者の連帯から見えてきたもの』
 坂巻幸雄

  日本環境学会土壌汚染ワーキンググループ長<前副会長>

  元・通産省地質調査所主任研究官

本当に、可能ならこの文章はぜひすべての方に読んでいただきたいという気持ちがあります。

ただ、ネットなどではまだ公開されていません。

そこで、重要な部分のいくつかを抜粋要約いたします(要約することについて、著者のご承諾を得ています)。

〜〜〜

まず、液状化しないという嘘をつき、技術会議でも液状化のことはないがしろにしてきた豊洲新市場予定地ですが、なんと、土質を抜き取って確認するボーリング調査の段階で、お汁粉のような泥水となっている、つまり液状化している、しかもそれがごく限られたところでなく全域にわたるそうです。

 ある回で視察できたのはボーリング調査であった。専門家会議の指示で、埋立土に接してその直下にある「有楽町層」と呼ばれる自然地層には掘り込まず、その直上で止める仕様になっている。その境目で採集管から取り出したサンプルは、色も硬さ加減も、鯛焼き屋の漉し餡そっくりだ。先端部は水分を含んで緩く、これはまるでお汁粉である。「どこでもこうなんですよと若い技師がその「お汁粉」を指しながら、都の職員に気付かれないようにそっと目配せした。私はハッとし、次いでその言おうとするところを完全に理解した。採集管を打ち込む衝撃で、地層が液状化したのである

 液状化は、大地震の時に軟弱地盤がゆるんで支持力を失い、構造物に大きな被害をもたらす、もっとも警戒を要する地震災害の一つだ。ましてや、政府の中央防災会議は、首都直下型地震について、今後三十年間に発生する確率は七〇%と見込んでいる。賭に勝ちたければ、「地震が起こる」ほうに賭けろ―ということだ。液状化の危険性は、専門家会議も否定していないが、豊洲の場合はただ地盤が緩むというだけではなく、汚染物質の流動までが激しくなるという深刻な問題を含む。

もちろん、この「どこでもこう」とは、豊洲新市場予定地全体、を指しています。

この地域は関東大震災の際の瓦礫で埋め立てた脆弱な土地で、十分な液状化対策は必須です。

阪神淡路大震災時のポートアイランドの液状化は、記憶にある方も多いと思います。

実際、東京の湾岸の高層ビルやマンションなどには大深度まで杭を打つなどの処置が十分に施されているのでしょうけれど、この東京ガス工場跡地の問題はそれができない深刻な状況にあります。

複合汚染が過酷すぎ、かつそれを除去することはできないために、汚染の物質の拡大を防止するためには、杭を打ち込むなどの対策がそもそも不可能です。

そのように他の湾岸地区とは大きく前提条件が異なるのに、通常の再開発だとイシハラ都政は強弁し、そのいっぽうで、地震以前に、ボーリングで土の(泥の)サンプルを採取するだけで、お汁粉のように液状化しています。

(もしこの点を質問したとき、東京都側から予想される回答としては、ボーリングのサンプルを乱暴に採取したとかなんとか言うのでしょうね)

水溶き片栗粉を少しだけ深めのお皿に作って、しばらく置いて、静かに表面に触れれば一見固化したかのようですが、ちょっと強く押さえればすぐに水のようにやわらかいことがわかりますが、そういった地層がここにはあります。しかも汚染されています。

ずっと書いていますが、生鮮品卸売市場を作るどころか、現在の環境基準に照らし合わせれば、どんな民生事業を行うこともここでは難しいでしょう。

〜〜〜

上の引用部では、実態を知らせた技師(業者の方でしょう)が、「都の職員に気づかれないようにそっと目配せした」ともあります。

都の徹底した隠蔽体質を熟知し、それを告発することで発生する(言ってみれば)「制裁」を恐れる現場の方々の苦しい思いも見て取れます。

本文とは引用順序は変わりますが、隠蔽体質ここに極まれり、というご経験を記した箇所を引用します。

なんと、現地からサンプルを石ころひとつ持ち出してはならないと都職員から命令されたそうですが、それは50年という長い研究人生の中でたったの2回だけだったそうです!

 ・この豊洲新市場予定地

 ・石ひとつが1000円以上もする金鉱

・・・「逮捕する」、というような暴言もあったということも、同行された方からうかがっています。

 私の一生の仕事となった地質調査・研究。大学時代の恩師は、「迷ったら、フィールドに戻れ」と口癖のように諭した。敏腕刑事が現場をこまめに歩くように、手掛かりも答えも、すべては現場にある。豊洲でも、事態が進むまでは制約もなくガードマンもいなかったので、夕刻、作業が一段落した後などは私たちでも現場を見ることができたのだが、そのなかで湧き出している地下水が、不自然な強アルカリ性を呈していることを報告してからは、規制が厳しくなった。問題の湧水の水質が一過性でないことを証明するためには、やむなく釣り船をチャーターして水路側から採水する、などの非常手段も採った。

 そんな中で、現場に入れる機会と言えば、議員団の視察に同行するか、調査の途中で都が企画する一般向け見学会(都合二回開催された)に応募して、抽選に当たるしかない。そのような機会を捉えて、僅かながらも計四回、現場に立ち入ることが出来た。参加者に対して都の担当者は毎回事前に注意を与えるが、その中身は、「サンプルは石ころ一個といえども持ち出してはならない。水質の測定も一切認めない。違反した場合は即刻退場して貰う」という厳しいものであった。現場で「サンプルを持ち出すな」と言われたのは、五十年を越す地質屋稼業の中で、これが二度目である。初回は品位の高い鉱石を産する優秀な金鉱山で、サンプル一個中の金価格が千円を越していたのだから無理もないが、豊洲でこれほど厳しくするのには、何か、知られてはよほどまずいことがあるのでは--と勘ぐりたくもなる

知られてはまずい、ということをあからさまに行動で示して、都合の悪いことには文書でもしらばっくれて、知る権利を奪い、さらには、(八つ当たりでしょうか)公衆の場でのチラシ配りやパフォーマンスすら禁じようというのが、独裁国家のモデル地区としての先取りを図るイシハラ都政のものごとの進め方だと考えます。

「自然に無謀にも挑み、大きな仕事をする」(とたんまり儲かる)という、イシハラ氏とそのお仲間が酔いしれるロマンには付き合って、生命が危機にさらされ、官製地上げが進められる、ことには黙っていられません。

そんな、ぼんやりとしたロマンの風に吹かれている彼らには、どんな矛盾を抱えた神話を信じているのかを理解できていないのだと思います。

以下も坂巻先生の文章からです。

 「いくら掃除した、消毒した、だから心配ない、と言ったって、便所で握った鮨は食えねえ。そうじゃないか!?」と、魚市場の若い衆は言った。確かに、専門家会議の結論は、「対策工事を完璧に行えば、その上で食品を扱っても実害はないから問題ない」という、「リスク・マネージメント」の立場に立っている。しかし私たちは、安全が完全に証明されなければ、危険な要素に近づくべきではないという「予防原則」の立場に立つ。

 「健康被害が現実に起こらなければ、良しとする」という意見の人は、たとえば最近問題になった食品偽装事件―伊勢・赤福の賞味切れ商品の再販売、船場吉兆の、食べ残し料理の再提供など―に対しては、世論は厳しく糾弾したのをどう考えるのだろうか。どちらの場合も、健康被害どころか、客は逆に何の疑問も抱かず、舌鼓を打っていたのである。象徴的に言えば、石原都政の、都民の生活の安全に対するモラルが問われているのが、豊洲移転問題なのだ。技術的な無理を重ね、一千億を超える多額の税金を投入したとしても「必ず安全が買える」とは限らない。

本の紹介です。

「季論21」 2008年10月 第2号 特集 環境の世紀への思想と行動

http://www.honnoizumi.co.jp/cargo/shop/02910.html

『築地魚河岸――豊洲汚染地 ― 都民・仲卸業者・研究者の連帯から見えてきたもの』
坂巻幸雄
 日本環境学会土壌汚染ワーキンググループ長<前副会長>
 元・通産省地質調査所主任研究官


※以下の章からなっています。

◆豊洲--そして築地魚河岸
◆ガス工場が汚染源へ
◆石原都政の執念のもとに
◆ある出会い--仲卸業者・都民と研究者と
◆専門家とは? 専門家会議とは?
◆審議の流れをチェックする
◆現場を見ながら
◆最終報告書と安全評価のからくり
◆新たな段階を迎えて

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