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民主党の労働市場政策は見当違い: 梨里庵★lilyyarn☆
官が規制で縛る経済から脱却し、市場経済(民間)を強くしようとする自民党の改革派議員達は、守旧派とひとまとめにされて吹き飛ばされてしまった。選挙の前に政策理念の旗を立てられなかったゆえに自業自得だろう。
では、民主党の経済政策に強い改革派議員はどうか。小沢−菅−鳩山(実質小沢体制)では自民党改革派と同様、埋没してしまうだろう。小沢氏のもともとの持論は、「官から民へ」の規制緩和を進める「小さな政府」主義なのだが、政局至上主義の小沢氏は簡単に信条を曲げてしまう。
政局中心の野党暮らしが長かったせいで、民主党は「自民党の言うことにはなんでも反対」が染みついている。自民党の反対が正論と思いこむ過程で、若手は郵政民営化も金融政策も「アンチ自民党の社民党や国民新党の政策のほうが正しい」と洗脳されてしまった。枝野氏にして「預金金利を上げろ」と言い出すし、原口氏にいたっては、日本郵政西川社長叩きの急先鋒である。「郵政民営化、本当は賛成だったんだけど…」とは誰も言えなくなってしまった。
◇
岡田氏は自ら外相就任を希望していたという噂があったが、噂どおり外相に決まり。今後の政策遂行のためには、岡田氏こそ執行部に残ったほうがよかった。政調会長を兼ねる国家戦略局担当相には菅直人氏。本来なら菅氏は官房長官が適任だったと思うのだが。
参照:党の「小沢支配」鮮明に=二重権力に現実味−鳩山新政権
民主党の鳩山由紀夫代表が5日、党執行部と国会の人事権を小沢一郎次期幹事長に事実上一任したことで、同党の「小沢支配」が鮮明になった。
常任委員会の委員長も全部、小沢カラーか。小沢氏にしてみれば、若手に影響力のある岡田氏は、執行部には置きたくなかっただろう。岡田が外相ねえ…親中共、親韓国、親民団…。親中はいいのだが、距離感が近すぎるとろくな事はない。同盟国と中国を等距離に置く外交ってあり得ないんだけど。
参照:「岡田外相」に期待=中国
参照:「中国と節度ある交流を」=鳩山次期政権に訴え−李登輝元台湾総統
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ここからきょうの本題。
民主党の労働市場政策は時代に逆行する。
9〜10月に予測される失業者の激増
その対策こそ次期政権の最重要課題だ
野口悠紀雄氏
民主党のマニフェストで、雇用確保の観点から非正規雇用者に否定的な態度をとっているのは、見当違いということにもなる。
さらに斜め上を行く「見当違い」の社民党・国民新党は、3党政策協議機関にこだわっているようだが、政策立案にこんなバカ達を関わらせるととんでもないことになる。
世界同時不況下の企業の雇用調整は、データによると正規雇用者と非正規雇用者の減少率にあまり大きな差がなかった。野口氏は「より大きな要因は、社会保険料負担の雇用主負担ではないだろうか」と言う。
『平成21年度経済財政白書』は、現在の日本企業が528〜607万人の「雇用保蔵」を抱えていると推計している。これは、全労働力人口の1割近くに達する膨大な人員である。
失業率が5%を超え、6%に迫ろうとしている現状で、企業は雇用助成金でなんとか企業内失業者を放り出さないで済んでいる。しかし、雇用助成で一時しのぎをするには限度がある。
このままだと失業率は10%を超えるという予測もある。日本は早く抜本的な労働市場改革に着手しなければならない。
>>明日に続く
「積極的労働市場政策を」
http://mojimojisk.cocolog-nifty.com/lilyyarn/2009/09/post-f05f.html
積極的労働市場政策には価値観の転換が必要: 梨里庵★lilyyarn☆
小泉政権以後、今後の成長産業として「観光」「エネルギー」「環境」に重点的に施策を採っている。そのわりには規制緩和が進まず、間が抜けているのだが。霞ヶ関主導の産業政策といえば、真っ先に関連の天下り機関を作るという手口はとっくにバレている。そこは民主党にしっかり監視してもらうとして、さらにこれからの課題は、「教育」「医療」「介護」といった社会サービス分野に雇用の裾野を広げようとしている。
医療・介護はビジネスとしては成り立ちにくいが、医療・介護従事者を拡大するには、それを支える保険業の拡大が伴わなければならない。産業別GDPの推移を見ると、日本は鉱業が1980年から20年で三分の一に落ち込み、金融・保険業が3倍に伸びている。サービス業も順調に伸ばしている。製造業は横ばい。
つまり産業構造の変化は、高度成長期から成熟した高齢化社会に向かうに従って、自然に推移していくものなのである。インフラ整備が急がれていた成長期のハード部門からソフト部門に移行していくのは当然である。ところが、政官業癒着構造は、既得権を保護するために規制し続ける性癖を持つので、産業構造の変化を時として邪魔をする存在である。
「正社員であるべきだ」「終身雇用に戻せ」という社民主義者は、高度成長期の一時期、寄らば大樹の陰が可能だった時代が再び巡ってくると信じているらしい。「終身雇用」は、高度成長期の大企業の男性のみ、しかも全体の労働力人口の10%にも満たなかったのである。現在は女性の就労も飛躍的に増え、学歴も上がっているので、終身雇用は幻想であることを受け入れよ。
◇
企業中心から職種中心へ。スキルアップを目指して働く場所の移動をしやすくする。職種転換も可能にする再教育制度の拡充、失業中のセーフティネット、今までの固定観念を捨て去り、労働市場の流動化促進が果たされてはじめて「同一労働同一賃金」が実現できる。
特に人材育成は急務である。OECDのデータによれば、日本の人材教育に対する政府支出は対GDP比で0.25%しかない。厚労省に任せておくと、雇用対策費が「私のしごと観」などに浪費されてしまう。
<積極的労働市場政策>
参照:フォーサイト9月号「多様な働き方」への転換は可能か
柳川範之氏
北欧諸国で展開されている積極的労働市場政策(Active Labor Market Policy)は参考になる。転職に対する前向きな価値観が日本でも浸透すれば良いと思う。
たとえば、デンマークの労働市場は、フレキシキュリティと呼ばれていて、これは、柔軟性(フレキシブル)と保障(セキュリティ)を合わせた造語であるが、デンマークの雇用システムを良く表している。
どこが日本の参考になるかというと、解雇されても所得の安定が保障され、ポイントはその給付が人的資源の開発に使われることである。もちろん「働く気のない給付狙い」の歯止めもかかっている。教育訓練を受けないと失業給付が得られないし、人材開発のプログラムが日本とは比較にならないほど充実しているのだという。米国型の働く意欲のある者にはより手厚く給付が行くシステムも良いと思う。
◇
労働市場を活性化するポイントは、日本と異なり、北欧では解雇がかなり自由に行われることである。日本では正社員が給与や待遇の面で過剰に保護されているため、非正規にとばっちりが行く現実を直視しなければならない。民主党は連合と利害調整できるだろうか。
高齢化などによる産業構造の転換がスムーズに行われるためには、雇用対策として予算の付け方を大幅に変更する必要がある。偏った業種を成長産業に選んで、お上が業界に補助を出すことが成長戦略ではない。需要は市場が決める。
フレキシキュリティモデルは、トライアングルで示すことができる。
1,柔軟な労働市場(解雇が自由)
2,手厚いセーフティネット(失業給付の充実)
3,積極的労働市場政策(充実した教育訓練)
2と3は、とりあえず民主党政権で対応できると思う。1は連合と社民党が足を引っ張るだろう。しかし、1なくして2も3もないのである。
応急手当の雇用調整助成金の“痛み止め”が切れる前に、民主党では頼りないので、民間の政策集団を中心に議論を巻き起こしたい。
http://mojimojisk.cocolog-nifty.com/lilyyarn/2009/09/post-421d.html
※コメント:
このブログは、「保守系・改革派」の内容である。論理的であり分かりやすい。