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(回答先: 世界で一番冷たい貧困大国ニッポン 連載C 住宅ローン破綻で家を失わない米国 追い出される日本[ゲンダイ] 投稿者 feel 日時 2009 年 12 月 08 日 23:10:40)
ゲンダイ 2009年12月9日(8日発行)
世界で一番冷たい貧困大国ニッポン 連載D
ジャーナリスト 矢部武
やべ・たけし 1954年、埼玉県生まれ。米アームストロング大で修士号取得。米紙「ロサンゼルス・タイムズ」東京支局記者等を経てフリーに。著書に「世界で一番冷たい格差の国・日本」(光文社)など。
失業者に寛大なドイツ 冷徹な日本
正規、非正規を問わず、労働者が人間的な生活を維持していくには失業した時の最低限の生活保障が必要である。しかし、日本の労働者は、なかなかその保障が得られない。
09年3月に国際労働機関(ILO)が発表した無保険失業者に関する報告書によれば、日本で失業給付を受けていない失業者の割合は77%で、先進国のなかで最悪の水準だという。
しかも、失業給付期間は驚くほど短い。自己都合の失業者は雇用保険の加入期間が10年未満なら3ヵ月、20年以上でも5ヵ月しかもらえない。
一方、ドイツでは、1年以上働いた人の失業給付は6ヵ月、2年以上は12力月、3年以上は18力月である。これは非正規社員にも適用されるという。
また、ドイツでは、失業給付が切れても再就職できなかった人や最初から失業給付のない人などを対象に「失業給付2」が設けられている。食費や家賃など最低生活を維持するための扶助で、仕事が見つかるまで支給される。単身者で月350ユーロ(約4万6000円)だが、これがあれば非正規社員が仕事を失っても路上生活を強いられることはなさそうだ。
有給は6週間OK
ドイツが労働者の社会保護を強化したのは歴史的なことも関係している。マルクス主義の思想が広がった19世紀後半、当時のビスマルク宰相は「失業や飢えの不安をかかえた労働者に社会保障を与えなければマルクス革命が起こるかもしれない」と考え、社会保護政策を導入したという。
この考えは今日のドイツ社会でも生きている。EUは労働者に年4週間の有給休暇を与えるよう加盟国に指令を出しているが、ドイツでは労働組合が「4週間では不十分だ」として経営側と協議し、6週間の有休を取れるようにしたという。1週間の有休を取るのも大変な日本の労働者からすればうらやましい限りであろう。
労働者の社会保護を強化すれば生産性や競争力が高まり、同時に、格差の少ない社会を実現できる。そう欧州の例は示している。日本の社会保障給付費の対GDP比はOECD29力国中23位(03年)と低いが、上位はほとんど欧州諸国が占めている。米国は26位と日本を下回るが、NPOが福祉機能の役割を担っている。
こうしてみると、日本はやはり先進国一の冷たい社会ではないかと思われる。詳しくは拙著「世界で一番冷たい格差の国・日本」を参照していただきたい。
(おわり)