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世界で一番冷たい貧困大国ニッポン 連載C 住宅ローン破綻で家を失わない米国 追い出される日本[ゲンダイ]
http://www.asyura2.com/09/senkyo75/msg/746.html
投稿者 feel 日時 2009 年 12 月 08 日 23:10:40: /berAdga6DXu.
 

(回答先: 世界で一番冷たい貧困大国ニッポン 連載B 非正規社員の立場を守るオランダ 物件費として扱う日本[ゲンダイ] 投稿者 feel 日時 2009 年 12 月 08 日 23:09:21)

ゲンダイ 2009年12月5日(4日発行)
世界で一番冷たい貧困大国ニッポン 連載C
ジャーナリスト 矢部武
やべ・たけし 1954年、埼玉県生まれ。米アームストロング大で修士号取得。米紙「ロサンゼルス・タイムズ」東京支局記者等を経てフリーに。著書に「世界で一番冷たい格差の国・日本」(光文社)など。

住宅ローン破綻で家を失わない米国 追い出される日本

 住宅ローン破綻の対応を見ても、日本は基本的に借り主に冷たい。米国では、NPOがサブプライムローン破綻で家を失いかけた人たちの救済にも力を入れている。
 もちろん危険な住宅ローンを組んだ責任は消費者にもあるが、考えてみれば住宅ローンに"
偽りの価値”をつけて証券化商品に作り替え、高利回り商品として販売した銀行の責任の方がはるかに大きい。そこで全米各地のNPOが立ち上がり、住宅所有者と銀行との間に入って差し押さえを防止する支援に乗り出した。同時に、「政府は銀行だけでなく、住宅所有者も救済すべきだ」と訴えたのである。
 これを受けてオバマ政権は09年2月、2750億ドルの大規模な住宅支援策を打ち出した。第1の柱は約400万〜500万人の住宅ローン利用者を対象に低利ローンヘの借り換えを支援すること。第2は住宅を差し押さえられた300万〜400万人への支援で、750億ドルの補助金を使って貸し手に金利引き下げを求めた。
 また、一部の自治体は、NPOや地域住民の要請を受けてモラトリアム条例を導入した。カリフォルニア州のバレーホ府議会は08年10月、住宅所有者に1OO日間の支払い猶予を与えるよう銀行に求める条例を制定。その結果、住宅差し押さえの急増に歯止めをかけることができたという。このような支援のおかけで、家を失わずに済んだ米国人はたくさんいる。

家を失っても残る借金

 借り主の法的保護という点でも、日米には大きな違いがある。米国では、住宅口ーンを払えなくなったら担保の家を金融機関に返せば借金はゼロになる(借り主責任限定型のノンリコースローン)が、日本では借り主が家を失っても借金(ローン残高から売却代金を差し引いた額)を払い続けなければならないのだ。
 日本では、昨年の金融危機以降、競売物件が増えている。今後はさらに住宅ローン破綻が急増するとの懸念もある。不況で仕事を失ったり、収入が激減したりする人が増えているからだ。
 果たして政府は、適切な対応を取れるのか。先日、亀井金融担当人臣の「返済3年猶予のモラトリアム」発言で物議をかもした中小企業等金融円滑化法案が成立した。しかし、「借金返済に困窮している中小企業や住宅ローン利用者を対象に金融機関に借金の猶予を促す」としているものの、条件変更に応じる基準など具体的な運用については、ほとんど示されていない。結局、銀行などの強い反発があり、金融機関に"丸投げ”する形になってしまったからであろう。これでは効果はあまり期待できそうもない。(つづく)

 

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コメント
 
01. 2009年12月08日 23:58:57
ノンリコースローンですが、欧州ではアメリカのサブプライム事件を悪化させたのはこの貸出慣行によるところが大きい、という否定的見解が強いです。
ジョージ・ソロスが絶賛したというデンマークの住宅ローン制度ですが、ノンリコースローンではなく、たとえ家を失っても最後まで借金返済するのは当然、という意識が債務者には強いとのことです。
このゲンダイの連載は、世界中から良さそうな制度を引いているようですが、その制度が成立する社会的歴史的な構造を踏まえないと、我が国には適用できるかどうかわかりません。まあ「世界にはこういう制度もある」という知識を得るにはよいでしょうが。

02. taked4700 2009年12月09日 12:30:25: 9XFNe/BiX575U
確かに、ノンリコース制度が定着するには前提がある。まず、中古住宅の価値が日本では一年もしないうちに新築の半額程度になってしまうことがこの制度の成立を阻んでいる。

 つまり、中古住宅をどうやって維持管理するかという地域ぐるみの取り組みがアメリカではされていて、そのため、中古住宅のほうが新築時よりも価値が高いと言う現象も生じている。

 また、住宅ローンを組んでそれが返せなくなっても、住宅を放棄すればそれですむので、一定期間は新築の夢のような住宅に住めるということで、金融機関が提案するもともと返済が無理なローンを組むことに賛成した人も多く居たはず。実際、裏にプールがついているような家を年収200万円ほどの人が購入した例も結構あると言う。

 ただ、以前の日本のように経済発展が急で平均年齢が若い場合は、今の日本のように借金はそのまま残ると言うほうが合理的であるように思えるし、反面、現在の日本のように経済が成熟してしまい、高齢化が進んでいる社会ではノンリコース制度のような今あるものに価値を認めていく社会のほうがいいように思う。

 社会が若ければ新陳代謝も盛んで、古いものを壊し新しいものを作ることが出来るし、経済が発展するので借金も返すことが出来る。しかし、社会が高齢化すると、今あるものを大事にする必要が出てくるためだ。


03. 2010年7月09日 13:00:45: FdbFHBugnw
うーん、アメリカについては必ずしも良いとはいえないようですよ。
制度だけ書くと確かにそうなんですが、米国の問題は、利率の安いローンに借り換えることは法律で許可されても殆どの借り手にはその手続きそのものが難しくて太刀打ちできないのが現実のようですよ。
自分もオバマの救済法をニュースで知ってから「貧困大国アメリカ」(岩波新書)の堤未果さんに直接講演先で質問したんです。
そしたらそのように言っていました。
つまり貸し手の側も取っぱぐれないように海千山千の弁護士を連れてくるわけで、そういう相手とやりあうためにはこちらも凄腕の弁護士を用意しなければならない、でもそういう弁護士は費用がバカ高く、住宅ローンが返せないような生活苦に陥っている借り手にその余裕はないのだと。

堤さんいわく、オバマは住宅ローンも教育ローンも利率を下げたりローンの条件を緩和したそうですが、それは根本的な解決にならない訳で、家を手放せば借金チャラになるといっても同時に各州がホームレスの厳罰化、違法化をすすめているので地獄は続くのです。
現場で沢山の借り手を取材した堤さんの言葉だけに説得力がありました。
弁護士社会のアメリカと、日本(まあ日本も近づいてはいますが)を対比する場合、単純に対極にある図としては描けないと思いました。
むしろ、市場原理が国を飲み込むアメリカの後を追っているのが日本、という図の方が正確ではないでしょうか。


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