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(回答先: 世界で一番冷たい貧困大国ニッポン 連載A 簡単に首を切れない米国 無理やり首をきる日本[ゲンダイ] 投稿者 feel 日時 2009 年 12 月 08 日 23:07:47)
ゲンダイ 2009年12月4日(3日発行)
世界で一番冷たい貧困大国ニッポン 連載B
ジャーナリスト 矢部武
やべ・たけし 1954年、埼玉県生まれ。米アームストロング大で修士号取得。米紙「ロサンゼルス・タイムズ」東京支局記者等を経てフリーに。著書に「世界で一番冷たい格差の国・日本」(光文社)など。
非正規社員の立場を守るオランダ 物件費として扱う日本
欧州でも非正規雇用の問題は存在する。しかし、日本と異なるのは、EUが1997年にパー卜社員に正社員と同等の賃金、社会保障などを与えるように求める指令を出すなど、早くから対策を講じてきたことだ。その結果、非正規社員の待遇差別の改善が進んだ。
オランダでは非正規社員の割合が52%と非常に高いが、彼らは正社員の平均95%の賃金を得ているので問題ないという。また、派遣社員も正社員と同じように失業給付を受けられる。職業訓練所に通い、技能を身につけて正社員をめざすこともできる。現に毎年、派遣社員の約3割が正社員として雇用されている。
このような雇用の安全網は最初から用意されていたわけではない。
オランダでは90年代半ばに派遣社員の待遇差別が大きな社会問題となった。そこで政府が指導力を発揮し、企業側と組合側の代表を招いて徹底的に議論させた。そして企業に派遣・パート社員などの雇用を認める一方で、非正規社員に同一賃金、十分な社会保障、職業訓練などの提供を義務づける法律を制定したのである。
これによって正社員が週3、4日のパート社員になるなど働き方が多様化し、同時に新規雇用をつくり出すワークシェアリングも進んだ。
役にたない改正パートタイム労働法
このスタイルは経済危機の対応にも役立っているという。景気後退になると、企業はすぐに非正規社員から首切りしようとするが、大切なのは、すべての社員が痛みを分かち合い、かつ経営側も協力して危機に対応することなのである。金融危機をきっかけに、日本の大手企業がこぞって非正規社員を大量に解雇したのとは大きな違いだ。
日本では雨社員の88・7%が年収200万円以上であるのに対し、非正規社員の77%は年収200万円未満というひどい賃金差別が存在している。
OECDは06年に「所得の二極分化を防ぐために非正規社員の賃金・待遇差別の問題に取り組むべきだ」と提言。それを受けてか、08年4月の改正パートタイム労働法に「同一労働をしているパート社員を労働条件面で差別してはならない」との規定が盛り込まれた。ところがその要件が厳しすぎて(仕事の内容、転勤条件などが正社員と同じであること)、実際に適用されるパート社員は数%とされる。これではあまり役立ちそうもない。
鳩山政権には、すべての非正規社員の均等待遇を義務づける法制定を含む思い切った対策が求められている。(つづく)