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2009年10月11日(日)
故人献金が国会の争点という天声人語の我田引水
テーマ:政治
人さまの書いたコラムにケチをつける趣味はないが、ちと今日は虫の居所が悪いのか、朝日の「天声人語」に小言をいいたい気分になった。
全文はこちら をクリックしてもらうとして、まずは出だしの一節。
「古今の名言に勇気をもらうことがある。例えば〈小事にこだわるには人生は短すぎる〉などは、落ち込んだ時によく効く。取るに足らない失敗や不評を引きずっていては、前に進めない」
ふむふむ、その通り。いい感じだと思って読み進めると、そこから唐突にキナ臭い話に転回した。
「鳩山首相が外遊先で、これを独り唱えたかどうかは知らない。本紙の報道で発覚した<故人献金>のお粗末について、東京地検特捜部が動き始め、自民党は臨時国会で攻め立てようと手ぐすねを引く」
スクープの自慢話は余計だが、それより、せっかくの意味深いイントロと、何だかつながりが悪くて、しっくりこない。
「大店(おおだな)のぼんぼんなら金に無頓着なのもご愛敬だが、大まかが小事で済まない地位もある」
なるほど、ここで「小事」を持ってきたか。総理大臣ともなれば、小事も大事だというわけだ。そして、最後のコマでこう締めくくる。
「政権交代を受けての国会。論ずべき大事は山ほどあるのに、攻守ところを変えた<政治とカネ>が争点とは寂しい。首相は捜査を理由に口をつぐむが、ここは民主党の金銭感覚が問われている。大いにこだわりたい」
論じなければならない大きな問題がいっぱいあっても、国会の争点は「政治とカネ」だと、勝手に決めているところが、さすがに天下の朝日らしい。
この国のかたちを変えようと、新政権が臨む最初の国会論戦。新しい大臣や副大臣たちが官僚に頼らず、どのように政策を語るのか。国民の関心はこれまでになく高い。
天声人語氏は、朝日の特ダネ「故人献金」こそ、その国会の争点とすべき重要なテーマであり、しかしそれが争点になるのは寂しい限りだと、主張したいようなのである。
まことに自分勝手な、スジの通らぬ理屈ではないか。
それでは、最初から、朝日は今度の国会を矮小化したいのだと思われても仕方あるまい。日本で指折りの新聞の姿勢として、それこそ寂しい限りである。
当ブログは10月6日の記事で、鳩山献金疑惑を承知のうえで国民は民主党政権を選択したことを強調し、以下のように書いた。
「鳩山献金疑惑がどれほどの重さを有する問題なのか、自民党の計量能力が問われることになる。重量をこえた追及は、しつこく映るからだ」
賄賂性のない鳩山献金問題をほじくるのもけっこうだが、そればかりに大切な国会論戦の時間を割かれては、多くの国民は大迷惑だと思うのではないか。
「小事にこだわるには人生は短すぎる」。せっかくの名言も、こういうコラムに使われると、深みは失せる。
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