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(回答先: 日教組の強い地域で、学力テストの点数が低い、ということは--(大学教員の日常・非日常) 投稿者 ミスター第二分類 日時 2009 年 10 月 09 日 09:43:08)
http://blog.livedoor.jp/yahata127/archives/50390486.html
社会調査のウソ【「下流社会」を読む前に】---(大学教員の日常・非日常)
買ったときは平積みなんてしてなかったのに、読まない間に話題の本になってしまって、いつの間にやら50万部を越えて読まれちゃった新書「下流社会」ですが、正直なところ衝動買いするんじゃなかったなぁ、と。
この本を読むべき前に読む本は、言うまでもなくこの本
「社会調査」のウソ
posted with 簡単リンクくん at 2005.12.17
谷岡 一郎著
文芸春秋 (2000.6)
通常2-3日以内に発送します。
オンライン書店ビーケーワンで詳細を見る「社会調査の半数はゴミである」と切り捨ててしまっているこの本なら、「下流社会」はダメ調査の典型であることを看破してくれるでしょう。
「下流社会」全体に言えるのは「○○なんじゃなかろうか?」という自分の考えが先行しており、それを元にアンケート結果を見て、適当な…という言葉を使うと、うまくできてるみたいになっちゃうんで、お粗末な説明がつけくわえられてます。
この世の中に「上昇志向のない下流階層」ができつつあることは、誰しもが肌で感じていますが、その原因も実状も、この本からはまったく理解することができません。
「下流社会」の半分以上は、カルチャースタディー研究所+○○(イー・ファルコンor読売広告社)のアンケート結果から、いろいろと「下」の方々の傾向などを書きつらねてありますが、この調査にかかわっているのは、全国で800人です。
世代を4つ(昭和ヒトケタ、団塊世代、新人類、団塊ジュニア)にわけてあり、男女各100人づつです。
本書で何度もメインのようにとりあげられる団塊ジュニア(1971〜75年うまれ)は、100人の男性と100人の女性です。
場所は1都3県とありまして、県のうちひとつは千葉らしいです。なんかすごい首都圏限定な感じがしますが、そこは気にしないことにしましょう(他の調査と同じなら、残りは神奈川と埼玉ですね)。
で、その100人のうち「下」と判定されるのは、自分で「下」「中の下」と申告した人たちです。
その数48人!日本を代表する意見は、首都圏の48人の意見で決まってしまっているわけです。
その結果「下」はフジテレビが好きとか、適当な結果が並びます。その理由も述べてますが、検討する価値もありません。
さらにその比較対象とされている自称「上」の方々はたったの12人!
なので、33.3%の人がNHKを見ているなんて調査結果も、たんに4人の人がNHKを見ているだけです。
ちなみに夜は「上」の人も「下」の人も33.3%でフジテレビを見ていますが、フジテレビが好きなのは「下」だそうです。
ちなみに「中」の人は55.5%で見ています。でも「下」の人が好きなんだそうです。
アンケートをとって、なんかの事実を調査しよう!と思うとき、誰にアンケートをとるかということは重要です。
例えば、授業評価のアンケートは、前に座ってる数人だけに書いてもらうより、受講した全員に書いてもらう方がいいでしょう。できれば、講義に出なくなった人にも書いてもらえた方が、意味のある意見を得ることができます。
集団を代表する特徴(年齢の平均のような計測できるものから、考え方の傾向のように数字でまとめられないものも、すべてひっくるめます)をアンケートで知りたいと思えば、集団全員に聞くのがより正確なわけです。
ところが、全員に聞くってのが、そう簡単にできない場合もあります。
というか、ほとんどの場合、全員に聞くなんて不可能です。
タバコを喫う人の気持ちが知りたい!と思っても、喫う人全員にアンケートをとることは時間的に不可能でしょう。
取りおわる頃には、アンケートにこたえた人が死んでいて、新しく吸いはじめた若者が増えちゃってるはずです。
じゃあ、どうするか?と言えば、全員を代表しそうな人を選んで、アンケートをとるわけです。
統計の用語で言えば「母集団から標本を抽出する」とか「サンプリング」なんて言葉で説明されてます。
母集団は「本当は調べたい人けど調べることのできない人含めた全員」で、標本は「実際に調べる人」を意味します(厳密には違う、とかツッコむのは、緩やかならば許可)。
標本(サンプル)を選ぶときには、その人たちが、全体を代表するような人たちであることが重要です。
授業評価のときに、熱心にきいてる前列の学生だけでアンケートをとったり、講義に出てない学生だけでアンケートをとったら大変なことになるように、ここで偏りがでてしまうと、調査結果じたいが意味のないものになります。
「社会調査」のウソで紹介されているサンプリング(標本の選び方)のバイアス(偏り)は、以下の4点です。
(1)数が少ない
(2)母集団がわからない
(3)比較的できないサンプルを使う
(4)代表的な意見を反映されていない
で「下流社会」の調査は、
(1)100人にも満たない「下」の人だけ話をしてますので、数は圧倒的に少ないです。
(2)(4)東京、千葉、神奈川、埼玉でどうやってアンケートをとったか不明です。郵送して選んだとのことですが、回収率の高さ(1150件中929件回収)から考えると、アンケート調査会社に登録していて、報酬目当てに積極的にアンケートに回答する人だろうと考えられます。
つまりは、全国の代表ではなく、首都圏の小遣い稼ぎ好き代表です。
という点で、アウトと考えることができます。
(追記 12/20)
http://d.hatena.ne.jp/june_t/20051208/p1
アウトと考えるのは早計らしいです。
正しくは「首都圏のことを念頭に置いて読むべし」
日本全国でデータを取ると、階層差ではなく地域差も混じるから。たしかに。
(追記ここまで)
そして、これらの指摘はすべて著者が認めています。
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ただしこの問題は大変デリケートな問題であるから、今後、社会学者が本格的な研究をされることを望む。そもそも本書で紹介した私のアンケート調査は、サンプル数が少なく統計学的有意性に乏しいことは認めざるを得ない。
したがって、見出しに「?」が多いように、本書で書かれていることの多くは仮説である。これらの仮説が今後より精緻に検証されていくことを私は望んでいるし、私自身もそれに向けて努力するつもりである。
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「この本ゼーンブ、もしかしたら…って話なんですよー!」という大事なことを284ページある本の283ページ目に書いている時点で、悪徳商法と呼ばせていただいてよろしいでしょうか?というか、詐欺に等しいです。
もし本当に検証したいなら、こんな悪辣な本で稼いだ金は、全部しかるべき社会学者に投資して、本人には二度と世間に顔向けしていただきたくないところです。
売れてるものが、いいものとは限らないわけで、そういうものにひっかかったときは、悔しさをバネにエントリにしちゃうぞ!と思ったしだい。
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