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日本では、マスコミに登場するいわゆる「親米ポチ」コメンテータなどによって、余りにも米国の姿が誇張して伝えられてきたので、その誇張によって考えを組み立てている人が多いのではないかと思える。米国の現在の行動や日本の対応を考える上でも、米国の現在どのような状況にあるのか、冷静に把握することがとても重要ではないか。
先ず押さえておきたいことは、そもそも米国がこの何十年にわたってやってきたことは、自国民を犠牲にした上でごく一部の仲間内だけが儲かる仕組みを作ることだった。米国が金融立国に転換したのは、自動車産業にしても、元々まともに戦ったんでは、技術的にもまた人件費などのコスト面からも日本とかドイツに勝てないことを認識したからだ。さらにアウトソーシングした方が、その仲間内には儲かるからだ。だから、かなり前から、海外へ製造業のアウトソーシングを始めていて、自国民を犠牲にしている。このことは、広がる一方の所得格差にハッキリと出ている。米国の知人を何年かぶりに訪れても、働く時間が増えるだけでちっとも給料は上がらない。というより、実質下がる。つまり、日本よりもずっと前に日本と同じ状況が訪れていた。
米国でここまで格差が進んでいってしまったのは、自由とかに対する米国民のカルト的信仰によるところが一つの要因として挙げられると思える。これはヨーロッパ社会とはまるで別物だ。
オバマ演説にあるように、米国では「アメリカンドリーム」という嘘が未だに信仰されており、貧乏なのは本人が悪いということになる。何年か前に見た調査でも、例えばベルギーだったかと比べてさえ、米国は所得階層間の移動率がきわめて小さく、言ってみれば「アメリカンドリーム」どころか、ひどい固定社会なのだ。オバマという黒人大統領の誕生は、99%すでにありもしない「アメリカンドリーム」という米国民の自己満足を満たし、厳しい現実をオブラートで包む働きをしている。米国民はまだ現実を直視できないようだ。
いずれにしても、米国金融資本が儲けるためには、米国内にカネが還流する仕掛けをつくらなければならない。そのために何回も仕組まれてきたのがバブルであり、これを支える理屈として出てきたのが、グローバリゼーションや市場原理主義。そして、投資銀行や格付け機関、政府、議会、マスコミが一体となった米国株式会社がそれらのバブルを支えた。一般米国民はその片棒をかつがされたにすぎない。現在はその仕組みが壊れてしまって、再び米国に還流させる仕組みをつくろうと、景気底打ちとかの嘘を繰り返している状態。
恐らく還流の仕組みは、米国が自国内で圧倒的な製造業が育たない限り、回復できないだろう。しかし、米国民の現状での賃金とか、育てるためのコストとかを考えれば、これは不可能だろう。また、製造業を育てるなどという考えがあの連中にあるとは思えないから。他人のものをいじって儲けが出る限り、いつまでも現在の状況を続けようとする。郵政民営化などはその一環ということになる。
要は、米国金融資本がやっていることは金融操作業という完全なパラサイト業であり、パラサイトできる対象がなくなれば、それで終わりということではないだろうか。彼らはやり続けるだろうが、仕組みがわかった以上、同じ手を何度も食うほど、世界各国の指導者がバカとは思えない。米国を追い詰めながら、自分たちの国を守る仕組みを考え、作っていくだろう。ベネズエラをはじめとする中南米諸国がそうだし、中東諸国もそうなっていくのではないだろうか。民主党政権誕生という政権交代劇もその流れの中で考える必要があると思える。紆余曲折はあるだろうが、この流れが成功するかどうかは国民次第ってところだろうか。
湘南の片田舎から
http://ootw-corner.asablo.jp/blog/
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