<党内支配力増した小沢> 新政権には、一見目立たない形で「小沢色」が反映されている。 小沢氏は総選挙で新人候補を大量当選させ、民主党内で150人ともいわれる圧倒的勢力を得たものの、“小沢派”は当選1〜3回の実力未知数の議員が多く、閣僚に押し込む人材が決定的に不足している。片腕の山岡賢治氏も、国対委員長に留任させた。 鳩山内閣の大臣で小沢側近といえるのは、中井洽・国家公安委員長ぐらいしかいない。そこで小沢氏は、参院選対策として重視する農家の戸別所得補償制度を担当する農水相に、同盟を組む左派(旧社会党出身議員)から、選対委員長として自分を支えた赤松広隆氏を起用した。 それだけではない。 参院から3人の大臣が就任した背後にも小沢氏の影がちらつく。 鳩山首相は当初、参院の大臣枠は直嶋正行・経済産業相の1人を想定していたとされるが、小沢氏の腹心、輿石東・参院議員会長が「大臣枠2人」を要求し、結果的に千葉景子・法相、北沢防衛相を加えて3人となった。 小沢派「一新会」の議員がうそぶく。 「小沢派の党内勢力からいえば、大臣5人以上送ってもおかしくない。だが、入閣適齢期の者が少ないから、左派と参院にポストを割り振ったということだ」 もっとも、農水相の赤松氏は農業政策には詳しくないし、北沢防衛相もベテランとはいえ防衛関連の役職の経験はあまりない。 参院の3人枠には、別の思惑も働いたようだ。 民主党参院議員が語る。 「千葉と北沢は、来年の参院選後に交代する江田五月・参院議長の後任の議長候補だったが、入閣でその芽は消えた。残っているのは輿石1人。小沢さんは腹心の輿石議長を確定させるために、ライバル2人を大臣で処遇した。これで参院での小沢さんの影響力がますます強まった」 鳩山新内閣は、決して「適材適所」とは言い切れないのだ。 (了) 【千早 正成】
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